源氏イラスト訳【若紫385】本音
すこし小さくて、
「ねは見ねどあはれとぞ思ふ武蔵野の露分けわぶる草のゆかりを」
とあり。
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日々の古文速読トレーニングにお役立てください。
【源氏物語イラスト訳】
すこし小さくて、
訳)少し小さい文字で、
「ねは見ねどあはれとぞ思ふ武蔵野の
訳)「まだ一緒に寝てはみないけれど、(またその根も見てはいないけれど)、しみじみ愛しいと思われるよ。
露分けわぶる草のゆかりを」とあり。
訳)武蔵野の露を分けて逢いに行くのに難儀する、紫草のゆかりのあなたを」とある。
【古文】
すこし小さくて、
「ねは見ねどあはれとぞ思ふ武蔵野の露分けわぶる草のゆかりを」
とあり。
【訳】
少し小さい文字で、
「まだ一緒に寝てはみないけれど、(またその根も見てはいないけれど)、しみじみ愛しいと思われるよ。
武蔵野の露を分けて逢いに行くのに難儀する、紫草のゆかりのあなたを」
とある。
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■【すこし】…副詞
■【小さく】…ク活用形容詞「小さし」連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
■【ね】…「寝」と「根」との掛詞
■【は】…取り立ての係助詞
■【み】…マ行上一段動詞「見る」連用形
■【ね】…打消の助動詞「ず」已然形
■【ど】…逆接の接続助詞
■【あはれ】…しみじみ愛しいこと
■【と】…引用の格助詞
■【ぞ】…強意の係助詞(「思ふ」が結び)
■【思ふ】…ハ行四段動詞「思ふ」連体形
■【武蔵野】…歌枕。関東平野の紫草ゆかりの地。
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【露(つゆ)分(わ)く】…露を置いた草木を押し分けて進む
※【露】…秋の景物
■【わぶる】…バ行上二段動詞「わぶ」連体形
※【―わぶ】…~しづらくなる。しかねる。しきれない
■【草のゆかり】…紫草のゆかりのあなた
(※「草」は藤壺宮をさす)
※【の】…連体修飾格の格助詞
※【ゆかり】…縁故。かかわり
■【を】…対象の格助詞
■【と】…引用の格助詞
■【あり】…ラ変動詞「あり」終止形
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若紫に手すさびのように書いたこの歌は、
明らかに、光源氏の本音ですよjね!!
「露分けわぶる草」というのは、
通って逢いに行くのが困難な人――藤壺宮をさします。
そして、「草のゆかり」は、誰かというと――
血縁の上でも関係のある、この若君をさします。
ここから、この若君のことを、
「若紫」などと、後世の読者は呼ぶようになったんです。