源氏イラスト訳【若紫351】夜深
「幼き人は、御殿籠もりてなむ。などか、いと夜深うは、出でさせたまへる」と、もののたよりと思ひて言ふ。
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【源氏物語イラスト訳】
「幼き人は、御殿籠もりてなむ。
訳)「幼い姫君は、お休みになって…。
などか、いと夜深うは、出でさせたまへる」と、
訳)どうして、ずいぶん深夜のうちに、お出であそばしたのですか」と、
もののたよりと思ひて言ふ。
訳)何かのついでと思って言う。
【古文】
「幼き人は、御殿籠もりてなむ。などか、いと夜深うは、出でさせたまへる」と、もののたよりと思ひて言ふ。
【訳】
「幼い姫君は、お休みになって…。どうして、ずいぶん深夜のうちに、お出であそばしたのですか」と、何かのついでと思って言う。
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■【幼き人】…ここでは、若紫のこと
※【幼き】…ク活用形容詞「をさなし」連体形
■【は】…取り立ての係助詞
■【御殿籠もり】…「殿籠もる(ラ行四段動詞)」に「御」がついた形
※【殿籠もる】…「寝」の尊敬(少納言乳母⇒若紫)
■【て】…単純接続の接続助詞
■【なむ】…強意の係助詞(結びの省略)
■【などか】…どうして~か
■【いと】…とても。非常に。ずいぶん
■【夜深う】…ク活用形容詞「夜深し」連用形のウ音便
※【夜深し】…まだ位早朝だ。深夜だ
■【は】…強意の係助詞
■【出で】…ダ行下二段動詞「出づ」未然形
■【させ】…尊敬の助動詞「さす」連用形
■【たまへ】…ハ行四段動詞「たまふ」已然形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(少納言⇒光源氏)
■【る】…完了の助動詞「り」連体形
■【と】…引用の格助詞
■【もの】…何か
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【たより】…ついで。機会
■【と】…引用の格助詞
■【思ひ】…ハ行四段動詞「思ふ」連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
■【言ふ】…ハ行四段動詞「言ふ」終止形
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「もののたより」というのは、
光源氏が、どこか、他の女性の所へ「通い婚」として行った帰りだと思ったのでしょう。
こんな、「夜深」に、
まさか、若紫を奪いに来るなんて、
思ってもみなかったようです。