源氏イラスト訳【若紫350】妻戸
大夫、妻戸を鳴らして、しはぶけば、少納言、聞き知りて、出で来たり。
「ここに、おはします」と言へば、
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【源氏物語イラスト訳】
大夫、妻戸を鳴らして、しはぶけば、
訳)惟光大夫が、妻戸を叩いて、合図の咳払いをすると、
少納言、聞き知りて、出で来たり。
訳)少納言の乳母が、察して、出て来た。
「ここに、おはします」と言へば、
訳)「ここに、いらっしゃっているのだが」と言うと、
【古文】
大夫、妻戸を鳴らして、しはぶけば、少納言、聞き知りて、出で来たり。
「ここに、おはします」と言へば、
【訳】
惟光大夫が、妻戸を叩いて、合図の咳払いをすると、少納言の乳母が、察して、出て来た。
「ここに、いらっしゃっているのだが」と言うと、
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■【大夫(たいふ)】…ここでは、惟光のこと
■【妻戸(つまど)】…母屋の両開きの戸
■【を】…対象の格助詞
■【鳴らす】…叩く。ノックする
■【て】…単純接続の接続助詞
■【しはぶけ】…カ行四段動詞「しはぶく」已然形
※【しはぶく】…せき払いをする
■【ば】…順接確定条件の接続助詞
■【少納言】…少納言の乳母(めのと)※若紫の女房
■【聞き知る】…聞いてよく知る。察する
■【て】…単純接続の接続助詞
■【出で来(き)】…カ変動詞「出で来」の連用形
■【たり】…完了の助動詞「たり」終止形
■【ここ】…この場所
■【に】…場所の格助詞
■【おはします】…「あり」の尊敬(惟光⇒光源氏)
■【と】…引用の格助詞
■【言へ】…ハ行四段動詞「言ふ」已然形
■【ば】…順接確定条件の接続助詞
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「大夫」というのは、
光源氏の従者、惟光(これみつ)のことです。
「妻戸」というのは、
寝殿造りの母屋に入る、両開きの戸のことです。
「しはぶく」というのは、咳払いのこと。
ここで、もし導く者がいれば、
中に入れるのですが、
誰も導く者がなければ、
中に入れないわけですね。
さあ、少納言の乳母は、中に入れてくれるのでしょうか。