源氏イラスト訳【若紫331】愚痴
少納言は、惟光に、あはれなる物語どもして、
「あり経て後や、さるべき御宿世、逃れきこえたまはぬやうもあらむ。…」
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【源氏物語イラスト訳】
少納言は、惟光に、あはれなる物語どもして、
訳）少納言の乳母は、惟光に、気の毒な身の上話をいろいろとして、
「あり経て後や、さるべき御宿世、
訳）「生き長らえて後には、しかるべき前世からのご因縁なので、
逃れきこえたまはぬやうもあらむ。…」
訳）逃れ申し上げなされないこともあるのだろう か。…」
【古文】
少納言は、惟光に、あはれなる物語どもして、
「あり経て後や、さるべき御宿世、逃れきこえたまはぬやうもあらむ。…」
【訳】
少納言の乳母は、惟光に、気の毒な身の上話をいろいろとして、
「生き長らえて後には、しかるべき前世からのご因縁なので、逃れ申し上げなされないこともあるのだろう か。…」
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■【少納言】…少納言の乳母のこと
■【は】…取り立ての係助詞
■【惟光（これみつ）】…光源氏の腹心の従者
■【に】…対象の格助詞
■【あはれなる】…ナリ活用形容動詞「あはれなり」連体形
※【あはれなり】…しみじみ気の毒だ
■【物語】…世間話
■【―ども】…複数を表す接尾語
■【し】…サ変動詞「す」連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
■【あり経】…ハ行下二段動詞「あり経」連用形
※【あり経（ふ）】…生き長らえる
■【て】…単純接続の接続助詞
■【や】…疑問の係助詞
■【さるべき】…しかるべき。そうなって当然の
■【宿世（すくせ）】…前世からの因縁
■【御―】…尊敬の接頭語（少納言乳母⇒光源氏）
■【逃（のが）れ】…ラ行下二段動詞「逃る」連用形
■【きこえ】…ヤ行下二段動詞「きこゆ」連用形
※【きこゆ】…謙譲の補助動詞（少納言乳母⇒光源氏）
■【たまは】…ハ行四段動詞「たまふ」未然形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞（少納言乳母⇒若紫）
■【ぬ】…打消の助動詞「ず」連体形
■【やう】…こと
■【も】…強意の係助詞
■【あら】…ラ変動詞「あり」未然形
■【む】…推量の助動詞「む」連体形
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宿直人として、光源氏の代わりに、
若紫の邸へやってきた惟光に対し、
若紫付きの女房であるの少納言の乳母は
愚痴をこぼします。
まあ、彼に言っても
何も解決しないのでしょうが…
