源氏イラスト訳【若紫243】廂
帰したてまつらむはかしこしとて、南の廂ひきつくろひて、入れたてまつる。
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【源氏物語イラスト訳】
帰したてまつらむはかしこしとて、
訳)お帰し申し上げるようなのは恐れ多いということで、
南の廂ひきつくろひて、
訳)南の廂の間をさっと片づけて、
入れたてまつる。
訳)お入れ申し上げる。
【古文】
帰したてまつらむはかしこしとて、南の廂ひきつくろひて、入れたてまつる。
【訳】
お帰し申し上げるようなのは恐れ多いということで、南の廂の間をさっと片づけて、お入れ申し上げる。
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■【帰し】…サ行四段動詞「帰す」連用形
■【たてまつら】…ラ行四段動詞「奉る」未然形
※【たてまつる(奉る)】…謙譲の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【む】…婉曲の助動詞「む」連体形
■【は】…取り立ての係助詞
■【かしこし】…恐れ多い。かたじけない
■【とて】…~ということで
※【と】…引用の格助詞
※【て】…単純接続の接続助詞
■【の】…連体修飾格の格助詞
■【廂(ひさし)】…寝殿造りで、母屋(もや)の外側、「簀(す)の子」の内側の部分
■【ひきつくろふ】…とりつくろう。さっと片付ける
■【て】…単純接続の接続助詞
■【入れ】…ラ行下二段動詞「入る」連用形
■【たてまつる(奉る)】…謙譲の補助動詞(作者⇒光源氏)
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光源氏が、わざわざお見舞いにいらっしゃった。
…まさか、むだに帰らせるわけにもいかず…
とりあえず、ご対面の手はずがととのいました。
「南の廂(ひさし)」というのは、基本的には
寝殿造りの正面南側の廂の間をさします。
↑
貴人を招く客室です。
ただ、今回は、
重篤の尼君とのご対面なので、
尼君の自室である北の対の南の廂かもしれませんね。