源氏物語イラスト訳【若紫164】人よりは | 【受験古文速読法】源氏物語イラスト訳
2022年02月07日

源氏物語イラスト訳【若紫164】人よりは

テーマ:┗【若紫】イラスト訳

弁の君、扇、はかなううち鳴らして、「豊浦の寺の、西なるや」と歌ふ。人よりは異なる君達を、源氏の君、いといたううち悩みて、岩に寄りゐたまへるは、たぐひなくゆゆしき御ありさまにぞ、何ごとにも目移るまじかりける。例の、篳篥吹く随身、笙の笛持たせたる好き者などあり。

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【源氏物語イラスト訳】

 

 

より異なる君達

訳)普通の人より格別にすばらしい貴公子に対し

 

 

源氏の君いといたううち悩み寄りたまへる

訳)源氏の君が、とてもひどく苦しそうにし寄り掛かって座っていらっしゃるのは

 

 

たぐひなくゆゆしきありさまぞ、

訳)比類なく不吉なまでに美しい様子のため

 

 

何ごとにも目移るまじかりける

訳)他の何人にも目移りしそうにないのだっ

 

 

【古文】

より異なる君達源氏の君いといたううち悩み寄りたまへるたぐひなくゆゆしきありさまぞ、何ごとにも目移るまじかりける

 

【訳】

普通の人より格別にすばらしい貴公子に対し源氏の君は、とてもひどく苦しそうにし寄り掛かって座っていらっしゃるのは比類なく不吉なまでに美しい様子のため他の何人にも目移りしそうにないのだっ

 

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■【人】…普通の人

■【より】…比較の格助詞

■【は】…取り立ての係助詞

■【異なる】…ナリ活用形容動詞「異なり」連体形

※【異なり】…格別にすばらしい

■【君達(きんだち)】…貴公子

■【を】…対象の格助詞

■【源氏の君】…光源氏

■【いと】…とても

■【いたう】…ク活用形容詞「いたし」連用形ウ音便

※【いたし】…ひどい

■【うち―】…語調をととのえる接頭語

■【悩む】…病気で苦しむ

■【て】…単純接続の接続助詞

■【岩】…岩壁

■【に】…場所の格助詞

■【寄りゐ】…ワ行上一段動詞「寄りゐる」連用形

※【寄りゐる】…寄りかかって座る

■【たまへる】…~ていらっしゃる

※【たまへ】…ハ行四段動詞「たまふ」已然形

   尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)

■【る】…完了(存続)の助動詞「り」連体形

■【は】…区別の係助詞

■【たぐひなく】…ク活用形容詞「類なし」連用形

※【たぐひなし】…比類ない。またとない

■【ゆゆしき】…シク活用形容詞「ゆゆし」連体形

※【ゆゆし】…不吉なまでに美しい

■【御―】…尊敬の接頭語(作者⇒光源氏)

■【ありさま】…ようす

■【に】…原因・状態の格助詞

■【ぞ】…強意の係助詞

■【何ごと】…どんなこと。どんな者

■【に】…対象の格助詞

■【も】…強意の係助詞

■【目移る】…目移りする。他のものに心が惹かれる

■【まじかり】…打消推量の助動詞「まじ」連用形

■【ける】…過去の助動詞「けり」連体形

 

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☆本日の『源氏物語』☆

 

おっと。

せっかく頭中将や左中弁が

横笛や謡曲を披露して目を見張る場面なのに

 

それでも光源氏の悩ましげな美しさには

かなわないってことですね;;

笑い泣き

 

 

 

 


 

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