【夕顔376-3】古文単語「まことなり」
重要古語の記事では
源氏物語イラスト訳で出てきた古文の
単語を1つピックアップしています♪
源氏物語イラスト訳 重要古語
古文単語は、
1.とにかく丸暗記して覚える語
2.漢字やイメージで覚える語
3.文脈判断で決める語
があります。
今回は「イメージ」で覚える古語です♪
【今回の源氏物語】
「『益田』はまことになむ」と聞こえたり。めづらしきに、これもあはれ忘れたまはず。
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今回出てきた古文単語
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■【益田(ますだ)】…「ねぬなはの苦しかるらむ人よりもわれも益田の生けるかひなき」(拾遺集)の引用と思われる
■【は】…区別の係助詞
■【まことに】…ナリ活用形容動詞「まことなり」連用形
※【まことなり】…本当だ
■【なむ】…強意の係助詞
■【と】…引用の格助詞
■【聞こえ】…ヤ行下二段動詞「聞こゆ」連用形
※【聞こゆ】…「言ふ」の謙譲(作者⇒光源氏)
■【たり】…完了の助動詞「たり」終止形
■【めづらしき】…シク活用形容詞「めづらし」連体形
※【めづらし】…めったにない(ほどすばらしい)
■【に】…順接の接続助詞
■【これ】…この女。空蝉をさす
■【も】…添加の係助詞
■【あはれ】…しみじみした愛情
■【忘れ】…ラ行下二段動詞「忘る」連用形
■【たまは】…ハ行四段動詞「たまふ」未然形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【ず】…打消の助動詞「ず」終止形
◇ 今回は「なむ」にも注意しましょ♪
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☆ 本日の古文単語「まことに」 ☆
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「『益田』はまことになむ」と聞こえたり。めづらしきに、これもあはれ忘れたまはず。
問)傍線部の文法的説明として最も適当なものを、次の中から1つ選べ。
1.形容動詞の連用形+願望の終助詞
2.副詞+願望の終助詞
3.副詞+強意の助動詞+推量の助動詞で、「きっと~だろう」という確述用法の形。
4.名詞+格助詞+強意の係助詞で、係り結びの結びが省略された形。
5.形容動詞の連用形+強意の係助詞で、係り結びの結びが省略された形。
実は、「まこと」の品詞については
以前に間違えてブログに挙げていた敬意がありますので
訂正もかねて、
ここで明確に提示しておきます。
【まこと(誠・真・実)】
【名詞・形容動詞:ナリ活用】
①うそでない本当のこと。真実。真理。事実
②偽りのない本当の心。まごころ。誠意
【副詞】
…ほんとうに。まったく
【感動詞】
…忘れていたことを思い出したり、話の途中で別の事を思いついたりした時に発する言葉。そうそう。ああ、そうだ
*『全訳古語例解辞典(小学館)』より
つまり、
「まこと」は名詞もあるし、
副詞もあるし、感動詞もあるんですね!
現代でも、「まっこと!」なんて
副詞や感動詞っぽく使ったりすんじゃね?
(-c_,-。)
また、これとは別に
「まことに(誠に)」という副詞もよく出てきます。
【まことに】
【副詞】
…ほんとうに。実に
*『全訳古語例解辞典(小学館)』より
今回の傍線部は
副詞とも形容動詞ともとれますが…
「『益田』はまことになむ」と聞こえたり。
「なむ」の接続から
選択肢が大きく絞れますよ!
1.形容動詞の連用形+願望の終助詞
2.副詞+願望の終助詞
3.副詞+強意の助動詞+推量の助動詞で、「きっと~だろう」という確述用法の形。
4.名詞+格助詞+強意の係助詞で、係り結びの結びが省略(○)された形。
5.形容動詞の連用形+強意の係助詞で、係り結びの結びが省略(○)された形。
…ですが、
「まことに」で名詞+格助詞はありえませんから
(※「に」の識別参照⇒)
答えはおのずと、決まりましたね。
(-c_,-。)
【答え】…5
「『益田』はまことになむ」と聞こえたり。めづらしきに、これもあはれ忘れたまはず。
● 過去記事リンク
■まことに
■めづらし
■も
■たまふ
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