【夕顔342-3】古文単語「さしも」
国公二次試験や私大入試では、
古文の出題のされ方には、違いがあります。
しっかり弱い部分を補っていきましょう♪
源氏物語イラスト訳 重要古語
古文単語は、
1.古今異義語(現代の意味と違うもの)
2.古典多義語(現代より幅広いもの)
3.古今同義語(現代と同じ意味のもの)
があります。
大学入試によく出るのは、今回のような【古典多義語】です♪
【今回の源氏物語】
「…またうち返し、つらうおぼゆる。かう長かるまじきにては、など、さしも心に染みて、あはれとおぼえたまひけむ。
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今回出てきた古文単語
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■【また】…また。再び
■【うち返し】…思い返し
■【つらう】…シク活用形容詞「つらし」連用形のウ音便
※【つらし】…薄情だ。つらい
■【おぼゆる】…ヤ行下二段動詞「おぼゆ」連体形
※【おぼゆ】…思われる
■【かう】…このように(「かく」のウ音便)
■【長かる】…ク活用形容詞「長し」連体形
■【まじき】…不可能の助動詞「まじ」の連体形
■【に】…断定の助動詞「なり」の連用形
■【て】…単純接続の接続助詞
■【は】…取り立ての係助詞
■【など】…どうして
■【さしも】…あれほど。そんなに
■【心に染(し)む】…しみじみと心に深く感じる
■【て】…単純接続の接続助詞
■【あはれ】…ああ。深い感動。愛しいなあ
■【と】…引用の格助詞
■【おぼえ】…ヤ行下二段動詞「おぼゆ」連用形
※【おぼゆ】…思われる
■【たまひ】…ハ行四段動詞「たまふ」の連用形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(光源氏⇒夕顔)
■【けむ】…過去の原因推量の助動詞「けむ」連体形
◇ 今回は「けむ」にも注意しましょ♪
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☆ 本日の古文単語「さしも」 ☆
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「…またうち返し、つらうおぼゆる。かう長かるまじきにては、など、さしも心に染みて、あはれとおぼえたまひけむ。
問)傍線部の意味として最も適当なものを、次の中から1つ選べ。
1.なんとかして彼女の心に入り込んでいきたかったものだ。
2.なぜむやみに心にしみじみ感動をもたらしなさったのだろうか。
3.何がそんなに心にしみじみっとうち響いておられたのだろうか。
4.どうしてあれほど心にしみじみ愛しく思われなさったのだろうか。
5.なぜかそれほど心にしみじみと愛しくは思われなかっただろう。
「など」というのは、
原因を示す疑問副詞で
「なぜ」「どうして」と訳します。
1.なんとかして(×)彼女の心に入り込んでいきたかったものだ。
2.なぜ(○)むやみに心にしみじみ感動をもたらしなさったのだろうか。
3.何が(×)そんなに心にしみじみっとうち響いておられたのだろうか。
4.どうして(○)あれほど心にしみじみ愛しく思われなさったのだろうか。
5.なぜか(△)それほど心にしみじみと愛しくは思われなかっただろう。
ここで、古典多義語の「あはれ」に目を向けると、
あとは文脈判断に頼らざるを得なくなります。
(`・д´・ ;)
ですが、この古語に着目してみましょう。
【さしも】
【副詞】
①あれほど。そんなに
②(下に打消・反語を伴って)それほども、たいして(~ない)
*『全訳古語例解辞典(小学館)』より
ほ~ら、もう見えて来るでしょ?
2.なぜ(○)むやみに心にしみじみ感動をもたらしなさったのだろうか。
4.どうして(○)あれほど(○)心にしみじみ愛しく思われなさったのだろうか。
【解答】…4
「…またうち返し、つらうおぼゆる。かう長かるまじきにては、など、さしも心に染みて、あはれとおぼえたまひけむ。
● 過去記事リンク
■つらし
■おぼゆ
■あはれ
■けむ
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