【夕顔125-3】「狩衣」と「直衣」の違い☆
源氏物語イラスト訳の重要古語です
【古文単語の主なパターン】
1.古典特有語
…現代にない古語。
2.古今異義語
…現代と意味の異なる古語。
3.死語的現代ワード
…高校生がほぼ使わない死語?
【今回の源氏物語】
いとことさらめきて、御装束をもやつれたる狩の御衣をたてまつり、さまを変へ、顔をもほの見せたまはず、
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今回出てきた古文単語
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■【いと】…とても
■【ことさらめき】…カ行四段動詞「ことさらめく」連用形
※【ことさらめく】…わざとらしくする
■【て】…単純接続の接続助詞
■【御―】…尊敬の接頭語
■【装束(せうそこ)】…衣装
■【をも】…~を。~も
※【を】…対象の格助詞
※【も】…強意の係助詞
■【やつれ】…ラ行下二段動詞「やつる」連用形
※【やつる】…目立たない状態になる。みすぼらしくなる
■【たる】…存続の助動詞「たり」連体形
■【狩(かり)の御衣(おんぞ)】…狩衣のご衣装
■【を】…対象の格助詞
■【たてまつり】…ラ行四段動詞「たてまつる」連用形
※【たてまつる】…「着る」の尊敬(作者⇒光源氏)
■【さま】…姿。ようす
■【を】…対象の格助詞
■【変へ】…ハ行下二段動詞「変ふ」連用形
■【をも】…~を。~も
※【を】…対象の格助詞
※【も】…強意の係助詞
■【ほの見す】…わずかにでも見せる
※【ほの―】…ほんの~。わずかに~(接頭語)
※【見】…マ行上一段動詞「見る」未然形
※【せ】…使役の助動詞「す」連用形
■【たまは】…ハ行四段動詞「たまふ」未然形
※【たまふ】…尊敬の補助動詞(作者⇒光源氏)
■【ず】…打消の助動詞「ず」終止形
◇ 今回は「をも」にも注意しましょ♪
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☆ 本日の古文単語「狩の御衣」 ☆
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「狩(かり)の御衣(おんぞ)」とは、
古文を学ぶ人ならご存じのはず!
そう、「狩衣(かりぎぬ)」のことですよ!
【狩衣(かりぎぬ)】
【名詞】
…公家(くげ)・武家が広く用いた表着(うわぎ)の一種。丸えりで、袖を後ろ身頃(みごろ)にわずかに縫い付けて動きやすいようにし、袖口にはくくり紐(ひも)をつけて絞れるようにしてあるもの。下には「指貫(さしぬき)」をはく。もとは狩猟用の服であったが、平安時代には貴族の普段着・外出着として用いられ、以後、公家の平服となった
【御衣(おんぞ)】
【名詞】
…お召し物。お着物(「着物」の尊敬語)
*全訳古語例解辞典(小学館)より
以前に、「直衣」についてはご説明しましたが、
今回、光源氏は、
上流貴族の平常服である直衣ではなく、
貴族なら誰もが着る略装の狩衣を着ています。
ヽ(*'0'*)ツ
袖ぐりの紐や、出だし衣の有無など、
いろいろ違いはあるようですが、
いちばん分かりやすいのは、下の部分かな。
直衣には、「欄(らん)」「蟻先(ありさき)」と呼ばれる、共布部分があるので、かなりシャンとした感じがしますね。
詳しいことは、
私がよく参考にさせてもらっております「風俗博物館」のホームページに、直衣・狩衣の詳細な写真やイラストが載っていますので、ご参考にしてください。
こういう昔の装束なんて、入試に出ないから…
と、疎かにしてたら、
残念!…なことになっちゃったりもします。
Σ(゚д゚;)
たとえば、こんな入試対策問題をひとつ☆
いとことさらめきて、御装束をもやつれたる狩の御衣をたてまつり、さまを変へ、顔をもほの見せたまはず、
問)傍線部の説明として最も適当なものを選べ。
1.光源氏は、自分の素性を知られないようにと狩衣で参上した。
2.光源氏は、さらに夕顔家の調査を進めるよう惟光に狩衣を贈った。
3.光源氏は、惟光から狩り場で着るためのお着物を与えられた。
4.光源氏は、身分を隠すためにお忍び用の狩衣をお召しになった。
5.光源氏は、夕顔に見合うように狩猟用のお着物をお召しになった。
正解…4
いとことさらめきて、御装束をもやつれたる狩の御衣をたてまつり、さまを変へ、顔をもほの見せたまはず、
● 過去記事リンク
■いと
■も
■見す
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