源氏物語イラスト訳のあいです
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今回の源氏物語
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「遠方人にもの申す」
と独りごちたまふを、御随身ついゐて、

訳と内容が不明確の人は、まずイラスト訳からどうぞ☆
夕顔9のイラスト訳はこちら
では今日も、一気に行ってみましょぉ~♪
ヽ(○・▽・○)ノ゙
これまでのあらすじ
天皇(桐壺帝)の御子として生まれ、才能・容姿ともにすぐれていたにもかかわらず、亡母(桐壺更衣)の身分の低さにより臣籍降下して源氏姓を賜った光源氏。
ただ今、「4.夕顔(ゆうがお)」の巻です。源氏が新たな恋人、六条御息所の所に通っていた夏の頃の話。源氏の従者である惟光の母は、光源氏の乳母でもありました。この乳母が病に臥して尼になったため、源氏は五条まで見舞いに出かけます。その時、ふと源氏は、わびしいたたずまいの隣家に目を向けました。
☆「空蝉」の巻 をはじめから読む⇒
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源氏物語頻出 ☆ 和歌フレーズ ☆
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また出てきました~!
今回も、和歌フレーズ><;;
「遠方人にもの申す」
と独りごちたまふを、御随身ついゐて、
問)傍線部は、『古今和歌集』の旋頭歌「うち渡す遠方人に物申す我そのそこに白く咲けるは何の花ぞも」の一部であるが、その説明として最も適当なものを選べ。
1.この旋頭歌の一部をつぶやくことにより、自分の近くにその白い花を持ってくるようにと、従者に伝えようとしている。
2.この旋頭歌の一部をつぶやくことにより、「遠方人」にあたる女主人に、自分の思いを伝えようと従者に頼んでいる。
3.この旋頭歌の一部をつぶやくことにより、「遠方人」にあたる従者を近くに呼んで、白い花が何の花かを聞いている。
4.この旋頭歌の一部をつぶやくことにより、そこに白く咲いている花は何の花かという歌の真意を念頭に置いている。
5.この旋頭歌の一部をつぶやくことにより、そこに白く咲く花のつぼみの歴史的風情を従者たちに伝えようとしている。
今年の東京大学の前期二次試験でも、
また『源氏物語』が出題されました。。
「玉葛」でしたが……
でも、源氏物語のこういう和歌フレーズ☆
至るところに出てきておりますので、
このイラスト解釈で慣れていってくださいね~!
ヽ(*・ω・)人(・ω・*)ノ
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今回の和歌フレーズ「遠方人に…」 の旋頭歌☆
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うち渡す 遠方人に 物申す我
そのそこに 白く咲けるは 何の花ぞも
あれ……?
五/七/七/五/七/七…?

これ、旋頭歌(せどうか)といって、
五七七五七七の六句からなるリズミカルな、民謡調の和歌です。
上の三句(五・七・七)と、下の三句(五・七・七)とが、
問答・呼び掛け・繰り返しの形をとっていて、
本来は、二人の間で問答歌みたいに、
片歌(かたうた)の(五・七・七)を唱和し合う形だったようです。
うち渡す 遠方人に 物申す我
そのそこに 白く咲けるは 何の花ぞも
(歌意)
はるかに見渡す 遠くにいる方に 尋ね申します、私は。
そのそこに 白く咲いているのは 何の花であるかと。
実は、この歌も問答歌のようで、
これに対する返歌があります。
(返)
春されば 野辺にまづ咲く 見れどあかぬ
花まひなしに ただ名のるべき 花の名なれや
(歌意)
春になれば 野辺に真っ先に咲く 見ても飽きることのない
花の謝礼もなしに ただ名乗るはずの 花の名だとお思いですか?
これは、男が「遠方人(をちかたびと)」に、
白い花の名を尋ねている歌です。
遠方人(はるか遠くの人)とは、
おそらく手に届かぬ人、つまり高値の花の女性を表しているのでしょう。
(;゚;∀;゚;)

これに対して、女の返歌は…
「まひ(=謝礼の品)」もない人に、
そう簡単に名乗る女と思わないで!!

…なんて、
現代の価値観でイラスト訳してみましたが
まひ 【幣】
【名詞】
…依頼や謝礼のしるしとして、神にささげたり、人に贈ったりするもの。「まひなひ」とも
*学研全訳古語辞典(Weblio古語辞典)より
「まひ」とは、本来、
神に捧げる御幣物・供物の意味ですから、
当時の感覚によると、
女は、自分を神の使者(花の精霊)に見立てて、
冗談めかして歌を返していたと捉えるべきでしょう。
ϵ( 'Θ' )϶

今回の光源氏の独り言は、
ただ、この「白い花の名は」という問いかけを意図していただけです。
そして、この後の御随身の返答も、
この問いかけを理解していてすごいのですが…
おそらく、この問答を聞いていた隣家の女主人は…
(-_\)(/_-)三( ゚Д゚)
さあて!
どんな返答をするのか、
それは次回の講釈にて!
(o^-')b
1.この旋頭歌の一部をつぶやくことにより、自分の近くにその白い花を持ってくるようにと(△)、従者に伝えようとしている。
2.この旋頭歌の一部をつぶやくことにより、「遠方人」にあたる女主人に(△)、自分の思いを伝えようと従者に頼んでいる。
3.この旋頭歌の一部をつぶやくことにより、「遠方人」にあたる従者(△)を近くに呼んで、白い花が何の花かを聞いている。
4.この旋頭歌の一部をつぶやくことにより、そこに白く咲いている花は何の花かという歌の真意を念頭に置いている。
5.この旋頭歌の一部をつぶやくことにより、そこに白く咲く花のつぼみの歴史的風情(△)を従者たちに伝えようとしている。
解答…4
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