【帚木274-2】「らる」の識別☆
ふぅ~~っ
やっと、式部丞の話までたどりつきました。
「源氏物語」…ほんとに高い山!!
帚木…まだ「ふもと」ですワ(;゚;∀;゚;);
今回は「らる」の識別について☆
では、一気に説明していきましょう!!
ε=ε=ε= ヾ(*~▽~)ノ
↓今回の源氏物語↓
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「式部がところにぞ、けしきあることはあらむ。すこしづつ語り申せ」と責めらる。
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【源氏物語~これまでのあらすじ】
桐壺帝の御子である光源氏は、輝くように美しく、帝の寵児であったにもかかわらず、亡母の身分の低さにより賜姓「源氏」として臣下に降格します。五月雨が続くある夜、宮中の宿直所で、光源氏は義兄で親友の頭中将と、女性論の話になり、そこに友人の左馬頭、藤式部丞が加わって、さらに話は盛り上がります(雨夜の品定め)。左馬頭の2人の妻の話、頭中将の失踪した愛人の話、そして、式部丞も語り出します。
「式部がところにぞ、けしきあることはあらむ。すこしづつ語り申せ」と責め①らる。
問)傍線部①「らる」の文法的意味を次の中から選べ。
1.受身
2.尊敬
3.可能
4.自発
…と、こういう問題は、センター試験などでも、
よく組み合わせ問題として出題されます。
(((゜д゜;)))
解き方は、「るる」の識別 でも詳しく見たように、
1.「人に~される」というニュアンス→受身
2.主語が身分の高い人→尊敬
3.受身や反語を伴う→可能
4.心中語を伴う→自発
…というのが、基本マニュアルです。
しかしながら、その法則を知っていても、
実際の古文で、このような形で出てきたら、
(°Д°;≡°Д°;)
どうやって見分ければよいのか分かりません。
(-。-;)
古語や文法の基本法則は、覚えただけでは得点に繋がりません。
古典常識などを絡めながら、実際に古文を読み慣れていくことが必要です。
これが、古文目線☆
このブログは、その練習のためにあるのですよ!
☆-( ^-゚)v
「式部がところにぞ、けしきあることはあらむ。すこしづつ語り申せ」と責めらる。
「『……』と、責め~」という文脈ですから、
「(会話主が)『……』と、責める」のであって、
「~られる(受身)」は合いません。
「責められる」としたら、主述関係に矛盾が生じるからです。
要するに…
「『……』と、責めらる」
↑
この「らる」をとっても、意味が通じるということです。
したがって、今回の「らる」は尊敬☆
ここまでは大丈夫でしょうか?
(o^-')b
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で、尊敬であるならば、
誰に対する敬意表現か
つまり、
「式部がところ…」の部分の話し手は誰か
この4人の中から、誰が主語かを見分けていきましょう♪
(o^-')b
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まず、「式部がところにぞ…」というように、
式部丞が話題にのぼっているので、
「……」の会話文の主語は、式部丞ではないことは明らかです。
次に、左馬頭ですが、
前述の古文の中には、敬語が用いられていませんでしたよね。
したがって、
「……」の会話文の主語は、左馬頭でもないということです。
…となると、残りは…
この2人のどちらかです☆
まず、光源氏が会話主だとすると、
「申す」は、自分に対する敬意表現、
つまり、自敬表現となります。
Σ(・ω・;|||
まあ、…光源氏ぐらいになると、それもアリなのかもしれませんが、
友人どうしの会話では、ちょっと不自然ですよね^^;
では、光源氏でないとすると…
最後に、頭中将ですが、
基本的に、頭中将に対しては、敬語が用いられていませんでした。
(°Д°;≡°Д°;)
しかし、
■御息子の君たちただこの御宿直所の宮仕へを勤めたまふ。
という、複数の場合や、
■宮腹の中将は、なかに親しく馴れきこえたまひて、…
という、二方向の敬語の場合に、
頭中将の行為にも、尊敬語が用いられています。
したがって、
頭中将にも尊敬語が用いられる可能性があるということです。
さらに言えば、
この直後に、頭の君(頭中将)に対して、
明らかに尊敬語が用いられます。
したがって、
「らる」は、頭中将への尊敬の助動詞。
ここまでは、大丈夫でしょうか?
(;´Д`)ノ
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それでも、なんだか判然としないというあなた☆
実は、この「らる」はもう一つ解釈ができるんです。
(-_\)(/_-)三( ゚Д゚)
「(会話主が)『……』と、責める」ではなく、
「(式部丞が、会話主に)『……』と、責められる」
つまり、「らる」は受身の助動詞☆
古文目線によって、主語が変わっていきます。
イメージを持って読んでいくと、
上に書いたようなヘリクツではなく、
感覚で主語や助動詞が識別できるようになりますよ♪
(o^-')b
正解…2(頭中将への尊敬)
※1(受身)という解釈もできる
ご意見・ご指摘等があれば、コメントお願いします。
では次回の講釈もおたのしみに☆
(o^-')b
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あいでした