あの空へ、いつかあなたと

主に百合小説を執筆していきます。
緩やかな時間の流れる、カフェのような雰囲気を目指します。

このブログは小説や詩を投稿していくブログです。

主に百合(GL)をメインに執筆していきますので、ご了承ください。


現在連載中……

『傷は抱えたままでいい』 

クラスメイトのキスを見てしまったことから始まるシリアス百合です。

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⇒小説家になろう様でも公開中です


完結済み小説……

『あなたと私のファースト・ステップ』

保育士2人の織り成す、社会人百合モノです。

⇒作品ページ(小説家になろう様)へ



※別館「風の記憶簿」もどうぞお越しください


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前話へ



リコとの公園の出来事から数日後、私は再び保健室を訪れていた。
促されるままに、処置を受けた時と同じように椅子に腰かける。目の前にはこの部屋の主である彼女が座っている。相変わらず、包み込むような柔らかな笑みを浮かべて。

彼女はゆっくりと指に巻かれた包帯に手をかけた。一巻き、もう一巻きとクルクル円を描いて、包帯が徐々に解かれていく。
あらわになっていく指を、私はジッと見つめていた。というより、他に何を見ることもできなかった私の視線が、自然とそれに向いてしまったという方が正しいのかもしれない。


彼女――――織部 美涙先生…………ルイ。
ほかでもないリコが明らかにした、あの時のキスの相手。

彼女の名前を聞いたときから、きっとそうなのだろうとは思っていた。
でも、ただの推測と当事者の口から実際に語られるのとでは印象が大きく違う。
その事実を聞いてしまった今、彼女の姿、特に顔、……もっと言うなら唇を見ることなんてできない。


こうやって向かい合ってるだけで、否が応にもあの光景が頭をよぎるのだ。
あの日、この保健室でキスをしていたリコとルイの姿。抱き合う服と服のこすれあう音、その息遣いまで鮮明に。

いったい唇と唇が触れ合うときの感触はどんなものなのだろう。
柔らかさは? 温かさは? 優しさは? 嬉しさは?
何を思うのだろう、何を感じるのだろう。

もし私が**とキスをしたら――――


「はい、終わったよ」
ルイの声に反応して、反射的に視線を前へと向けてしまう。
「……ひゃっ!?」
目と鼻の先には彼女の笑顔。その距離は先ほどと幾らかも変わっていない。
でも近づいてきたと錯覚した私は思わず短い悲鳴をあげてしまった。

左手で口元を抑えたときにはすでに遅く、むしろ動揺しているということを彼女に伝えているだけだった。
そんな私を見



てクスクスと笑うルイ。私が慌てている理由を彼女が知っているかどうかは分からないしあえて聞こうとも思わない。で

 も何もかも見透かされているような、そんな気分を覚える。


次話へ

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ややお久しぶりです。

少し更新が滞ってしまっていてすみませんでした。



現在今こちらで連載している『傷は抱えたままでいい』のほかに、短編の小説を細々と書いています。

『傷は~』は今の目測だとかなり長いスパンで書いていくことになりそうなので、もっと短くサクッと読めるものがあるといいと思ってのことです。


今のところ「小説家になろう」の方で2作品上がっているので、こちらも読んでいただけると嬉しいです。

なお、おそらく今後も書いていく小説のジャンルは百合になるかと思います。

人を選んでしまうジャンルではありますが、同時に個人的に追求していきたいと思っているものでもあるので、ひたすら前に進んでいけたらと思う今日この頃です。



ちなみに『傷は~』は前回までが第1章、次回からが第2章となります。

少しずつ物語が進んでいきますので、どうか楽しみにしていてください。



Innocent Grey様より発売されている百合ゲー『FLOWERS 春編』を始めました。

開始数分ですでに甘美な百合描写にドキドキしてます。

いつかちゃんと紹介記事を書けたらいいですねー

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前話へ



「いい人たちだったんだね」
「そうだね……話してみないと分からないこともあるね」
「私たち、みたいにね」
それを聞いたリコが照れくさそうに笑う。今まで見た中でこの表情が一番可愛らしいなと素直に思った。

辺りも本格的に暗くなってきている。
私とリコはまだ人通りの多いうちにお互い家に帰ろうということになった。
「早川さん、一人帰れる?」
「うん、リコこそ平気?」
「平気だよ。家、そんなに遠くないし」
「そうなんだ……あ、そうだ」

公園の入り口まで来て、一度足を止める。
「私のことはチサって呼んでよ。早川さんなんてよそよそしいって」
「……分かった。今日はありがとう、チサ」
「ううん、こっちこそ本当にありがとう。……あとさ、リコが無理しなくたっていいんじゃないかな」
「……何の事?」
「え、あ、あの人たちもいるし、もうフラフラになってまで危険なことをしなくても……」
「あ、ああ……うん、分かった。チサに心配かけたくないし、やめるよ」
「そっか……よかった」

意外にもあっさりと、私の頼みを受け入れてくれた。
最後に二人で手を振り合って、別々の方向へと分かれた。


リコと色々なことを話した。少しだけ、リコの気持ちが分かった。
何か、言いようのない満たされる想いのする時間だった。

でも、それでもなお。私の中で新たに芽生えた違和感は拭えなかった。

今日のリコはよく話をしていた。見たことのないくらい饒舌だった。……不自然さを覚えてしまうほどに。
あれが彼女の本来の姿だというならそれで納得できないこともない。でも、ルイへの想いなど私の訪ねていないことまで自分から話すほど、彼女が大っぴらな性格とはとてもじゃないが思えない。

あれはどこか、言葉を並べ立てることで自分の身を守ろうとしているような……
そして結局聞けずじまいだった”鈴森桐江”のこと……

「…………」
考えていても仕方ない。
聞かされたことを聞かされたまま、私は受け止めるしかない。
いや、受け止めるべきなのだ。そう言い聞かせる。

無言で後ろを振り返る。
視線の先には少しずつ小さくなり、次第に闇に溶けていくリコの姿があった。

私にはその背中が、どこか泣いているようにも見えて。そして――――




――――今すぐ肩を掴んでこちらを向かせて、その涙を間近で……



<第1章 完>


次話へ

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