明日の24日から全仏オープンが開幕します。昨日ドロー(組み合わせ)が発表になり、錦織はジョコビッチ、マレー、ナダルとは決勝まで対戦することなく、トップ4シードのうち最も与しやすいベルディヒの山に入りました。

 

 

 

ランキング1位のジョコビッチが優勝候補の本命です。先週のイタリア国際でも優勝して、今年に入ってから出場したマスターズ10004大会で全て優勝しています。

 

1月の全豪オープンでも優勝しており、今年になってから352敗と圧倒的な強さを誇っています。フェデラー、ナダル、マレーとともにビッグ4と呼ばれていますが、現在はジョコビッチが抜け出している状態です。

 

ジョコビッチはグランドスラムで唯一優勝していない全仏オープンで優勝すれば、生涯グランドスラムを達成することになります。今年は、体調面を考慮してマドリッド・オープンを欠場して全仏オープンに備えているなど、意気込みも相当なものだと思われます。過去3年はいずれもナダルに敗れていますが、今年はこれまでにないチャンスが到来しています。全仏で優勝すれば、年間グランドスラムにも一歩近づくことになります。

 

 

アンツーカーの大会と言えばナダルが優勝候補として挙げられますが、故障明けの今シーズンは中々調子が上がらず、クレーコートシーズンに入ってからも優勝が1つもないという非常事態になっています。

 

2006年から2010年の5年間では、クレーコートシーズンでなんと1264という恐るべき成績を残しています。ナダルが同じシーズンのクレーコートで4敗以上したのは12年ぶりのことです。

 

ナダルは全仏オープンで過去661敗と圧倒的な強さを誇っていますが、現在のナダルの状態では優勝候補の本命とは言えません。プレーの安定性に欠けており、自信も失っているような状態です。大会を戦っていく中で調子を上げていき、「赤土の王者」として復活できるかに注目したいと思います。

 

勝ち進んで行くと準々決勝でジョコビッチと対戦することになり、更にそこに行くまでも曲者が揃っておりナダルにとっては厳しい組み合わせになりました。しかし、準々決勝まで勝ち上がり、そこでジョコビッチに勝てば自信を取り戻すことができ、一気に優勝まで駆け上がる可能性もあります。ジョコビッチからすれば、不調とは言え全仏のナダルはやはり要警戒の相手であり、できれば準々決勝で当たる組み合わせは避けたかったのではないかと思います。

 

 

今年に入ってから調子を取り戻してきたマレーも優勝候補の一人です。マレーはクレーコートを苦手にしており、昨年まではクレーコートの大会で優勝はおろか決勝に進出することもありませんでした。しかし、今年はドイツの大会で初めてクレーコートでのタイトルを取り、マドリッド・オープンでも安定した戦いで決勝まで行きました。

 

クレーコートへの苦手意識を払拭できているようで、現時点ではジョコビッチの対抗馬の一番手と言えます。但し、クレーコートでジョコビッチに勝つのは難しいと思いますので、ジョコビッチがマレーと戦う前に不覚を取らない限り、優勝は厳しいでしょう。

 

順当に勝ち進めば、準々決勝でクレーコートスペシャリストのフェレールと対戦します。マスターズなどの大会とは違い、全仏オープンは5セットマッチですので、試合が長引いて消耗戦に持ち込まれると厳しくなるような気がします。

 

 

フェデラーは、ジョコビッチ、ナダル、マレーとは逆の山に入りました。イタリア国際では決勝まで行きましたが、モンテカルロとマドリッド・オープンでは早期敗退するなど、クレーコートでは安定した戦いができていません。

 

しかし、今年は体力面を考えて出場する大会を絞っていますが、それでも確実にポイントを稼いでいます。ジョコビッチが今年に喫した2敗のうち1つはフェデラーに負けたものです(ジョコビッチは、その後は負け知らずの22連勝中です)。それでもアンツーカーの全仏オープンでは、上位に進出はできても優勝できる可能性はかなり低いでしょう。

 

順当に行けば準々決勝でバブリンカと対戦します。バブリンカは、調子が良いときの爆発力はありますので上位の選手に勝つ番狂わせを起こす可能性もありますが、その反対に早期敗退してしまう可能性もあります。今年に入ってからも、下位の選手への取りこぼしが多いのですが、トップ10の選手にはそこそこ勝っています。フェデラーにとっては、バブリンカが準々決勝まで勝ち上がってくると、かなりやっかいな相手になると思います。

 

 

ランキング4位に上がったベルディヒは、今季安定した成績を残しており全仏でも上位進出する可能性は高いです。今年のベルディヒは取りこぼしが全くなく、自分よりランキングが下の選手には1回も負けていません。逆に、トップ10の選手には中々勝てず、番狂わせを起こせるような感じはありません。

 

全仏オープンでも抜群の安定感を発揮して準々決勝まで勝ち残ることが予想されます。ベルディヒのブロックには、伊藤竜馬と添田豪の日本人選手が入っています。二人とも初戦にシード選手と当たりますが、なんとかしてベルディヒと当たるところまで勝ち残って欲しいですね。

 

 

錦織は第5シードとして出場し、これまでの全仏オープンと比べても最も良い状態で臨めそうです。昨年は故障で出場すること自体が微妙な状態で、結果は初戦敗退でした。

 

昨年掴みかけたクレーコートでの戦い方を完全に自分のものにしていますので、上位進出が期待できそうです。

 

一方で、各選手の錦織対策も進んでおり、錦織にいかに攻めさせないようにするのかという工夫を凝らしています。それを打ち破って自分で仕掛けていき攻撃的なテニスができれば、クレーコートでの攻撃力は錦織がナンバーワンだと思います。

 

ストロークやサーブの安定感に欠ける部分がありますが、今のジョコビッチにクレーコートで勝てる可能性があるのは、大当たりした時のバブリンカ、完全復活した時のナダル、そして攻撃的テニスを展開できた時の錦織ではないでしょうか。

 

初戦は地元フランスのマシューで、初戦ということで緊張感もあり、先行されると応援の後押しもあるので苦しい展開になってしまいます。先にブレークしてリードを奪い、早めに主導権を握れるような展開に持ち込みたいところです。

 

錦織の山には、クレーコートが得意で今季好調のベルッチ、攻撃的なプレーをするベルダスコなどがいます。ここを乗り切って4回戦まで行けば、ベスト4が視界に入ってくると思います。

 

 

他の日本人選手では、男子シングルスでは本戦ストレートインの伊藤竜馬と添田豪の他に、ダニエル太郎と西岡良仁が予選を突破して本戦進出を決めました。女子シングルスは奈良くるみが一人だけが出場します(※)。

 

錦織がトップ5以内にいる間に、もう12人の選手がランキング30位以内に入ってくる日本人が出てくれば、国別対抗のデビスカップでも上位進出の可能性が出てきます。錦織がいなくなったら、また日本でのテニス熱が冷めてしまうことが考えられますので、錦織に続く選手が出てきて欲しいですね。


※訂正
女子は土居美咲も本戦出場するので、一人ではなく二人出場でした。



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