テニスのイタリア国際で、錦織は準々決勝でジョコビッチに敗れました。これで、全仏オープンでは第5シードで出場することになると思います。

 

1セットを獲られた後、第2セットは錦織のペースとなり取り返しましたが、第3セットの第4ゲームでブレークされて力尽き、その後はゲームを奪えずに第3セットを失いました。

 

錦織がストロークの打ち合いで自分から仕掛けて攻撃的にできているときは、鉄壁な防御を誇るジョコビッチでも守りきれないほど、錦織の攻撃力は高いというのを再認識できました。

 

従って、錦織と戦う選手は、錦織に攻められないように先に仕掛けてストロークの主導権を握ることを狙ってきます。また、緩急を使ったり大きく弾むボールを打ったりと、錦織に気持ち良く打たせないために色々なショットを織り交ぜてきます。

 

そのため、錦織が仕掛け始めるショットを打つときに、かなりミスが目立つこともあります。錦織が今後も更にランキングを上げていくためには、仕掛けのショットのミスを少なくすることが必要だと思います。

 

また、自分のペースで試合が進められない時でも、サービスをキープしていけばチャンスが来ることがあります。そういった意味でも、サービスを安定させることも課題となります。

 

 

ビッグ4と言われている選手と錦織の最も大きな違いは、相手のペースで試合が展開しているときの対応力です。ジョコビッチやマレーの試合を見ていると、プレーが思うようにいっていないときでも、プレーを変えて相手のペースを崩して自分の方に流れを引き寄せるのが非常に上手いです。

 

当然どんな選手でもできるものではなく、戦い方の幅が広く引き出しが多いことが条件となります。錦織の戦い方の幅は広い方ですので、同じようなことをするのは可能だと思います。錦織に欠けているのは、やはり経験ということになると思います。

 

フェデラーやナダルは、グランドスラム初優勝してからあっという間にトップに駆け上がり、そのままトップの座を長い間キープして勝負強さを発揮していました。一方、ジョコビッチとマレーは現在のような勝負強さは若い頃にはありませんでした

 

ジョコビッチは2008年の全豪オープンで優勝して初のグランドスラムタイトルを獲りましたが、その後はグランドスラム大会で上位に行っても優勝が中々できず、次にグランドスラムタイトルを獲得したのは3年後の2011年の全豪オープンでした。ジョコビッチは、万年3位と揶揄された時期もあったくらいです。

 

マレーは2008年の全米オープンで初の決勝進出を果たし、その年のマスターズ1000の大会で優勝もしています。しかし、グランドスラム大会の決勝には進出してもタイトルをあと一歩のところで逃し続け2012年全米オープンでやっと初のグランドスラムタイトルを獲得しました。

 

2人が中々グランドスラムタイトルを取れなかったときは、フェデラーとナダルの全盛期だったというのもありますが、ジョコビッチとマレーは大事なところで勝てない選手と見られていました。

 

しかし、相手選手に研究される中、20代前半の頃からランキング上位をキープして厳しい戦いをして経験を積んだことで、現在のような勝負強さを身に付けました。

 

錦織が本当に世界のトップとして戦い始めたのは、昨年の全米オープン以降からです。ランキングもトップ5に入ってから半年ほどしか経っていません。錦織には、このまま上位をキープして多くの厳しい戦いを経験して、少しでも勝負強さを身に付けていって欲しいと思います。そういった意味でも、負けはしましたがイタリア国際でジョコビッチと戦えるところまで勝ち上がったのは大きなことだと思います。

 

 

錦織の戦い方は、全豪オープンの時に比べても良くなっていると思います。全豪オープンでは、ランキングが下位の格下の選手と戦う時に受けに回ってしまい、先にリードを許すなど苦しい展開になることが少なくありませんでした。

 

最近の試合では、序盤に相手のサービスゲームをブレークして余裕のある展開に持ち込み、試合を早めに終わらせることが多くなってきています。これは、ランキング上位者が体力の消耗を抑えて勝ち進むやり方です。

 

ランキングが下の選手からすると、元々相手の方が実力が上だという意識があります。そこで早めにリードをされてしまうと「やはり敵わないのか」と感じて気持ちが折れてしまいます。そうなれば、その後は楽な展開で試合を行うことができます。

 

昨年の同じ時期に、錦織は試合のダメージが蓄積して故障してしまい、イタリア国際は欠場し、全仏オープンは故障が完治しない状態で出場して初戦敗退をしました。クレーコートシーズンに入る前にも、故障して試合を棄権することもありました。

 

今年は昨年よりも試合数が多いにもかかわらず、これまで大きな故障がない状態です。体力面の向上もあると思いますが、早めに勝負を決して試合時間を短くしていることが影響していることは間違いありません。

 

ランキングで上位をキープするには、各大会で勝ち進むことが必要で、それだけ試合数が増えていくことになります。そうなると体力の消耗が大きく疲労も蓄積するため、故障につながることになります。したがって、できるだけ試合時間を短くして勝ち上がることが故障を防ぐことになります。

 

 

錦織にはグランドスラム制覇をして欲しいですし、それが可能な力は持っていると思います。グランドスラムで優勝すれば、一気に自信を深めて大きく飛躍する可能性もあります。しかし、グランドスラムの次にグレードが高いマスターズ1000の大会の優勝がまだありません。

 

錦織に対してはどうしても大きな期待を持ってしまいますが、現在は経験値を高めている段階でもあります。錦織を見ていると、もっとできるのではと思ってしまうこともありますが、1年前と比べればかなり進歩しているのも確かなことです。全仏オープンでの活躍を期待しましょう。



(関連の記事)

○テニスにおけるコートサーフェスの違い
○錦織は漫画の必殺技を実戦で行っている
○錦織と対戦するジョコビッチについて
○錦織とトップ3との差はどれくらい?
○錦織が覚醒した試合
○錦織が世界ランキング4位
○テニスのプロとアマチュアは違う種類のガットを使用している
○今週からクレーコートシーズン開始
○現在の男子テニス界は凄い選手が存在している
○クレーコートシーズンでの錦織の戦い
○錦織は芝のコートが苦手
○錦織が準決勝でマレーと対戦
○錦織は決勝進出ならず


こちらをクリックしてください!