錦織とジョコビッチの対戦は、今夜11時開始となりました。もしかしたらATPが日本のテレビ局とファンに気を使ったのかもしれませんね。

 

ATPファイナルは、大会名も途中で何回か変わり、大会方式も変化してきています。実は1970年の第一回大会は東京で開催されました。ATPファイナルの歴史や記録をまとめているサイト(http://www.jouhoumou.net/~au-saga/lendl/columnG_masters.html )がありますので、興味がある人は読んでみてください。

 

 

錦織に対する期待は高まっていますが、前回の記事 にも書いたように、ジョコビッチの壁はかなり高いと言えます。ここからは、ジョコビッチがどのような選手なのかを説明したいと思います。

 

ジョコビッチは今大会絶好調です。ラウンドロビンの3試合では、1セット当たり1.5ゲームしか落としていません。錦織のフェレール戦の第3セットに近い状態を3試合とおして維持しているような感じです。

 

ジョコビッチは、フォアでもバックでも強打でき、リターンも強力です。フットワークも良く左右に振られても追いつく守備力があり、スタミナも十分です。そして一番の特徴は、ギリギリで届くようなボールを打つ時の、無理な体勢でのショットの安定感です。

 

左右に振られたときにも体勢が崩れず、次の動作に早く移ることができます。また、無理な体勢になっても、体勢の整った状態と同じようにショットを打つことができるので、チャンスになるようなボールが中々返ってきません。

 

相手からすると、厳しいショットを打っても決まらないだけでなく、チャンスボールも簡単には来ません。ジョコビッチに対しては、良いショットを1球だけでなく、23球と連続して打たなければならないため、結果として無理をしてミスをしてしまうことになります。

 

また、ジョコビッチは無理な体勢からでも威力のあるショットを打てるので、追い込んだと思っても強力な切り返しにあうことがあります。それをされないために、更に厳しいところを狙わなければいけないのですが、そうするとミスになる可能性も高くなります。

 

これらを可能にしているのが、ジョコビッチの体の柔軟性です。ジョコビッチは関節の可動域が広いため、無理な体勢でも筋力をうまく使うことで強いボールを打つことができます。筋肉トレーニングをしてパワーを上げるのではなく、むしろ体重を絞りスタミナを増やすようにしているようです。

 

また、ジョコビッチのショットは強力ですが、一発で仕留める力はフェデラーや錦織に比べるとありません。但し、強力なショットを23球と安定してミスなく打ち続けることができます。1球で決めることができなくても、続けて厳しいショットを打ってポイントを取ることができます。

 

 

その他にも、戦術面と精神面での強さもあります。戦術面では、相手のプレーの特徴に対応した戦いができることです。また、劣勢になっても戦い方を変えることによって流れを変えることもできます。

 

全米オープンの準決勝で、ジョコビッチは錦織に完全に力負けしたような形で敗れましたが、先日のマスターズ・パリ大会では、錦織対策を講じてストレートで圧勝しました。

 

精神面では、自分のメンタルをコントロールするのが上手く、大事なポイントで良いプレーを出すことができます。

 

今年のウィンブルドン決勝のフェデラー戦でも、2-1とリードして迎えた第4セットでも先行して、このままいけば優勝と言う状況から逆転でセットを取られてしまいました。優勝までもう少しというところまで行ったのに、それを逃して精神的にガックリときて、そのままズルズルと負けてもおかしくありませんでした。

 

そこでトイレットタイムを取って気持ちを切り替え、最終セットは終始押し気味に進めてフェデラーのサーブをブレイクし、優勝を勝ち取りました。今シーズンからコーチに迎えたベッカー氏も、ジョコビッチの精神面の強化に役立っているようです。

 

 

ジョコビッチは公開練習では、ダンスをしたり、他の選手のモノマネをしたりして、観客を楽しませるようなサービス精神を持っており、テニスファンから親しまれています。

 

東日本大震災の時には、試合で「JAPAN」の文字を記したソックスを身に付けて、震災被災者への思いを込めて戦いました。その後、ジョコビッチが多くのテニスプレーヤーに呼び掛けてチャリティーを行い、収益を被災地に寄付しています。また、非常にフェアプレーの精神を持っており、他の選手からも尊敬をされています。


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