ATPツアー・ファイナルのラウンドロビン3戦目で、錦織がフェレールに逆転勝ちしました。その後の試合で、マリーがフェデラーに敗れたことにより、錦織の準決勝進出が決まりました。

 

ラオニッチの棄権で、急遽相手がフェレールに変わったのには驚きました。フェレールは、現在のランキングは10位ですが、昨年は3位まで上りつめていましたし、驚異的なコートカバーリング能力を持っていますので、決して簡単な相手ではありませんでした。どんな苦境に陥ってもあきらめず「練習時にも全てのボールを"人生最後の一球”のように追う」と、他の選手からも称賛されて敬意を集めている選手です。

 

1セットはフェレールの粘りに苦しんで失いましたが、第2セット以降は攻撃的なプレーに転換して巻き返していきました。特に第3セットは、本人も完璧だったと語ったように神懸かったプレーで圧倒しました。

 


今大会のこれまでの戦いをみると、ジョコビッチとフェデラーの調子が非常に良いようです。

 

フェデラーはマリーに1ゲームしか与えず三連勝でB組一位となり、準決勝進出を決めました。ファーストサーブが入った時の得点率は、なんと100%を記録したようです。

 

錦織との試合でも、ストロークで錦織が良いショットを打っても、しっかり動いてボールを拾い、隙があれば切り返して鋭いショットを打ち返していました。錦織はサーブの調子は良くありませんでしたが、その他のプレーでの錦織の調子悪くなく、それよりもフェデラーのプレーが良すぎたという試合でした。

 

 

ジョコビッチは、先々週のマスターズ・パリ大会での好調さをそのまま維持しています。その大会では、5試合戦って1セットも落としませんでしたし、準決勝では錦織に圧勝していました。今大会でも、ラウンドロビンの3試合で9ゲームしか落としていません1セット当たり1.5ゲームしか失っていないことになります。今年のベストの8人だけが出場していますので、対戦相手はランキング上位の選手ばかりですから、これは物凄いことです。

 

先日のフェデラーやマスターズ・パリ大会でのジョコビッチは、明らかに錦織対策を練っています。今年の錦織の躍進や全米オープンの戦いを見て、これまで以上に錦織に対する戦い方を研究してきています。フェデラーとジョコビッチは、戦術面でも非常に高いレベルにある選手ですので、うまく錦織に対応した戦いができたようです。

 

 

準決勝で対戦するジョコビッチは、現在世界ランキング1位で非常に安定した力を発揮している選手です。世界ランキング1位になった2011年から4年間のグランドスラム大会では、16大会全てでベスト8に入り、優勝6回、準優勝5回、ベスト44と常に安定した成績を残しています。

 

ジョコビッチのプレーの特徴は、フォアとバックの両方で強打を打てて弱点がなく、特に守備力は非常に強い選手です。フェレールも守備力が強い選手ですが、ジョコビッチはフェレールのように粘りがあるだけでなく、厳しいショットを打たれても中々チャンスボールになるようなボールを打たず、切り返して逆に厳しいショットを打ってきます。

 

錦織はマリー戦やフェデラー戦のようなサーブの調子では、簡単にブレークを許してしまうので、勝負にはならない可能性があります。フェデラー戦でもサーブの調子が良くて、サーブでもっとポイントが取れていれば、もっと違う展開になったと思います。

 

ジョコビッチの鉄壁の守備力を打ち破るには、それを上回る攻撃を錦織がすることが必要です。ジョコビッチが打ち返してきても、何度でも厳しいショットを打ち続けなければなりません。ジョコビッチの守備力と錦織の攻撃力との我慢比べで、錦織が勝つことです。

 

地上波でも生中継することになりましたので、準決勝は是非ともライブで見たいと思います。錦織選手のプレーだけでなく、両者のレベルの高い打ち合いも見所です。


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