昨年あたりから、クレーコートでのプレーのコツを掴んでいたようですが、この大会でのプレーはそれを証明するような内容でした。
クレーコートの中でもアンツーカーは、ボールのスピードが落ちて高く弾みますので、中々エースをとることができません。
クレーコートが得意な選手は、ベースラインから大きく下がってボールを拾いまくり、相手のミスを誘うという戦い方をするのが常識です。
しかし、錦織は出来るだけベースラインよりも下がらずに前で打って攻撃的にいくことでポイントをとる戦い方をします。
クレーコートはハードコートと違いイレギュラーもありますしボールが高く弾むので、ライジングで打つのは難しいのですが、錦織は予測能力の高さとタッチの良さでボールを捉え、これを可能にしています。
松岡修造氏が言っていましたが、この錦織のプレースタイルが今後のクレーでの新しい戦い方になるかもしれません。
錦織は、クレーコートをどちらかというと苦手にしていましたが、今後はクレーコートでも活躍できるような気がします。
この後も全仏オープンまでクレーコートでの大会が続き、錦織は全仏オープンの前に2つのマスターズ1000の大会に出場します。
上位10選手のポイントと、マスターズと全仏オープンの失効ポイント(昨年獲得したポイント)についてまとめてみました。
錦織が失効するのは610ポイントで、ランキングのポイントが近い3位のマレーから8位のフェレールの中では、失効するポイントが最も少なくなっています。今後のクレーコートシーズンの間に、ランキングを上げることは十分考えられます。
唯一不安な点は怪我です。昨年も、バルセロナオープンとマドリッドオープンの激戦で股関節を痛め、マドリッドオープン決勝を途中棄権し、イタリア国際は欠場しました。怪我が完治しない状態で出場した全仏オープンは初戦で敗退しました。先日のバルセロナオープンでは、股関節に痛みがあったようですので、それが悪化しないかが不安です。
マドリッドオープンの後は、休みなく次の週にイタリア国際が開催されます。マスターズ1000の大会は3セットマッチですが、大会後半は連戦になり体力を回復する時間がないので、疲労が蓄積して故障する可能性が少なくありません。
マスターズ1000のタイトルも取って欲しいですが、最も重要なグランドスラム大会の全仏オープンで上位に行くためにも、あまり無理はしない方が賢明かもしれません。
全仏オープンに備えて、フェデラーやジョコビッチはマドリッドオープンを回避するかもしれないようです。本来は前年シーズン終了時のランキング上位30選手については、モンテカルロオープンを除くマスターズの大会に出場しなければなりません。
しかし、以下にあるような一定の条件を満たすと一部免除されます。条件を1つ満たすごとに1大会欠場することが許され、3つ全てを満たすとマスターズの参戦義務がなくなります。
・通算600試合以上
・年間12大会以上参戦した年から数え始めて通算12年以上のプレー
・31歳以上
錦織はこれらの条件を満たしていませんが、ジョコビッチは通算600試合以上の試合に出場しており、フェデラーは3つ全てを満たしています。
強い選手であれば大会を勝ち抜いていく可能性が高くなり、それだけ体力の消耗も激しくなります。ジョコビッチは初の全仏のタイトルを狙っていますし、フェデラーは体調を整えるために出場する大会を絞っています。そのため、マドリッドオープンを欠場するのではと言われています。
錦織にはマスターズの大会でも活躍して欲しいのですが、それによって全仏オープンの戦いに影響が出ることは避けたいところです。
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