錦織はATPランキング4位となっており、日本人男子選手で最もランキングが高い位置にいます(女子ではクルム伊達公子が同じく4位になっています)。
現在の男子プロテニス界は、歴代でも凄い選手が揃っている時期だと言えます。下の表にあるように、ビッグ4と呼ばれている選手のうち、フェデラー、ナダル、ジョコビッチは、グランドスラム大会の歴代優勝回数トップ10に入っています。
注)青字は現役選手
フェデラーは優勝回数17回と歴代トップで、ナダルはサンプラスと並んで2位になっています。この2人はグランドスラム大会の全てを優勝する生涯グランドスラムを達成しています。生涯グランドスラムを達成した男子選手は、これまでに7人しかいません。
ジョコビッチは、これからもグランドスラムタイトルを複数回獲得する可能性があり、まだまだ順位を上げることが予想されます。また、全仏オープンを優勝すれば生涯グランドスラムを達成できます。
上の表を作って思ったのですが、マッケンローが10位に入っていないというのが意外でした。マッケンローは優勝が7回(全英3回、全米4回)で、歴代では14位となっています。
また、1970年代後半から1980年代前半の頃は、全豪オープンは「遠い」という理由で欠場するトップ選手が少なくありませんでした。この時期に活躍した選手は、その分優勝回数が少なくなっています。
次は、ATPランキング1位にいた期間が長い選手を調べてみました。下の表は、ランキング1位にいた通算期間が長い上位10選手をまとめたものです。現在のランキングシステムは1973年に導入されましたので、それ以降にランキング1位になった選手だけが対象となっています。
ランキング1位在位通算期間
![グランドスラム優勝記録H270419](https://stat.ameba.jp/user_images/20170918/09/orange54321/9b/2f/j/o0262017714029741276.jpg?caw=800)
注)青字は現役選手
こちらでもフェデラーが歴代1位で、ジョコビッチとナダルもベスト10に入っています。他の選手も、一度は耳にしたことがある名前ばかりだと思います。
記録の面から見ると、フェデラーは歴代で最高の選手といっていいと思います。テニスのスタイルについてもオールラウンドプレーヤーで、どのコートサーフェスでも力を発揮しており、史上最強のオールラウンダーと言われています。
かつてはサンプラスが史上最強のプレーヤーと呼ばれて、グランドスラム優勝回数とランキング1位在位最長記録を持っていましたが、両方ともフェデラーが記録を塗り替えました。
また、サンプラスはクレーコートでは強さを発揮することができませんでした。フェデラーは全仏オープンこそ1回だけの優勝にとどまっていますが、ナダルがいなければもっと優勝できていたかもしれません(フェデラーは準優勝が4回、ベスト4が2回あり、そのうち5回ナダルに敗れています)。それに対してサンプラスは、全仏オープンではベスト4が1回だけで決勝にも進出していません。
フェデラーは33歳で全盛期は過ぎているのは確かですが、現在でもジョコビッチを脅かす一番手の存在だと言えます。
ナダルは、グランドスラム優勝回数が歴代2位で、全仏オープンでは歴代最多の9回優勝をしています。全仏オープンには10回出場して1回しか負けたことがなく、クレーコートでは圧倒的な強さを誇っています。クレーコートでの強さは、歴代でも屈指といえると思います。
フェデラーと同じ時代にプレーしていなければ、ナダルのランキング1位在位期間はもっと長くなったことが考えられます。
また、ジョコビッチはフェデラーとナダルという歴代グランドスラム優勝回数が1位と2位の選手と同時期にプレーしているにもかかわらず、グランドスラム優勝回数とランキング1位在位期間でともにベスト10に入っています。
フェデラーやナダルが全盛期よりも力が落ちてきているので、ジョコビッチはこれからも記録をどんどん伸ばしていくことが予想されます。
グランドスラム優勝回数でフェデラーの記録を破るのは難しいですが、あと3年ちょっとランキング1位をキープできればフェデラーのランキング1位在位期間を追い越しますので、こちらは可能性があります。
現在の男子テニス界は、このようにテニス史に残るような選手が同時にランキング上位にいる状況です。ランキング3位のマレーは、グランドスラムのタイトルは2つありますが、上記の3選手がいなければもっと多くのタイトルを取れたと思います。
錦織は、このような選手に勝ってグランドスラム優勝やATPランキング1位となることを目指しています。そう考えると、錦織は物凄い選手達に対して戦いを挑んでいることを再認識しました。この3選手が健在なうちにグランドスラム優勝やランキング1位になれば、その価値は相当高いと言えると思います。
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