錦織がフェレールとの四回戦に勝ち、3年ぶりに全豪オープンでベスト8に進出しました。

 

試合前は、過去の対戦のように競った試合になると予想していましたが、フェレールを圧倒してストレートで勝つことができました。

 

ストロークの打ち合いで、錦織の攻撃力がフェレールの守備力を凌駕したことが大きかったです。3回戦までとは違い、試合開始から錦織が攻撃的な攻めをしてストロークの調子も安定していました。

 

ストロークで優位に立てたのは、数字にも現れています。錦織のストロークのウィナー(WINNERS:相手に触らせずに決めたショット)は、フェレールの6本に対して5倍の30でした。フォースド・エラー(FORCED ERRORS:相手のショットの勢いによって打ち返せなかった場合)の数は、錦織の8本に対してフェレールは16本と2倍となっていました。

ラリースタッツ

 

ランキングが上位の選手が相手になったことで、負けられないというプレッシャーがなくなったことと、ラリーを続けるフェレールのプレースタイルが錦織にとってやりやすかったというも、錦織のプレーのリズムが良かった要因だったと思います。

 

また、フェレールは二日前の試合で3時間37分の激闘の疲れが残っていた可能性もありますし、その試合で右足の爪が割れて出血していたので、その影響もあったかもしれません。

 

 

フェレールとの試合では、ストロークの打ち合いが多くありました。ストロークでは、クロスの打ち合いが基本となっています。お互いクロ スに打っているときは、ストレートが空いている状態になるので、どうしてストレート(ダウンザライン)に打たずにクロスに打つのだろうと思うことがあるのではないでしょうか。

 

サイドラインに沿ってストレートに打つのは、リスクが高いショットなのです。

 

クロスとストレートを比べると、ネットからエンドラインまでの距離がストレートの方が短いため、ストレートに打ったときの方がミスをする可能性が高くなります。また、コート中央に比べてサイドラインの辺りは、ネットが10センチくらい高くなっていますので、ネットに掛ける確率も高くなります。

 

そして、クロスで打たれたボールをストレートに打つ場合は、コントロールするのが難しくなります。テニスに限らず、ボールを打つ競技ではボールが来た方向に打ち返すのが最もコントロールするのが簡単です。

 

ボールが来た方向とは異なる方向に打つと横方向の力がかかるので、打ちたい方向にコントロールするのが難しくなります。打ったときにボールに横回転が掛かってしまい、打ったボールが曲がってしまうこともあります。

 

野球でも、一塁側や三塁側にバントしようとしても、中々狙ったコースに打てないことがありますし、バンドしてもボールがファールゾーンに向かって曲がっていきファールになるのをよく見ると思います。

 

ストレートに打たれたボールをクロスに打ち返す時もコントロールするのが難しいですが、ネットを越えてからエンドラインまでの距離が長いので、クロスに来たボールをストレートに打ち返すよりはミスする可能性は低くなります。

 

また、クロスの打ち合いからストレートに打ったボールが甘くなると、相手から見るとクロス側が大きく空くことになり、相手にクロスに打たれて決められる可能性が高くなります。

 

クロスに打たれたボールをストレートに打つ場合は、良いショットを打てば決めることができますが、甘いボールを打ってしまうと逆にピン チになってしまいます。そして、甘くならないようにサイドラインに近くて深い位置を狙って打つと、それだけミスをすることも多くなります。

 

 

準々決勝の相手は、ランキング4位で昨年優勝したスタン・ワウリンカです。今大会のワウリンカは好調を維持していて、四回戦までで落としたセットは1セットだけです。

 

高速サーブとストロークが武器で、強烈な片手バックハンドは現役選手最高と言われています。昨年の全豪ではジョコビッチとナダルを倒して優勝していますし、昨年のATPワールドツアー・ファイナルの準決勝では、フェデラーをあと一歩というところまで追いつめていました。

 

ここからの試合では、フェレール戦のようにストロークが安定していることは当然ですが、よりサーブの調子が勝敗を分けることになります。相手のサービスゲームをブレークするのがより難しい相手になりますので、自分のサービスゲームをしっかりキープすることが求められます。

 

フェレール戦では200キロを超えるサーブを打ったことが話題になっていますが、スピードよりもコントロールが重要となります。スピードが10キロくらい上がるよりも、より厳しいコースや深い場所にサーブを打てた方がポイントを取ることに繋がります。そして、大事なポイントで良いサーブを入れることができるかどうかということも勝敗を左右することになりそうです。

次のワウリンカ戦に勝つことができれば、昨年の全豪オープンの成績からすると、錦織はワウリンカを抜いてラインキングが4位になると思います。

 
(関連の記事)

○錦織が全英オープン4回戦進出を懸けた戦いが今日再開
○錦織が全米オープンでベスト4進出  
○テニスにおけるコートサーフェスの違い
○チャンがベッカーを破り、エドバーグを破ったイバニセビッチと決勝を戦う?
○全米オープン決勝で敗れて錦織は準優勝
○錦織は漫画の必殺技を実戦で行っている
○錦織がATPファイナルで準決勝進出!
○錦織と対戦するジョコビッチについて
○錦織が悔しい敗戦
○錦織とトップ3との差はどれくらい?
○錦織が覚醒した試合
○全豪オープンがあす開幕
○錦織が全豪オープン2回戦に進出
○錦織が苦しみながらも順当勝ち
○錦織が四回戦進出


こちらをクリックしてください!