マドリッド・オープン準決勝で、錦織はマレーに敗れて昨年に続く決勝進出はなりませんでした。ストレートで負けましたが、この後のクレーコートの試合で十分期待できるような内容を見せてくれました。
ストロークの打ち合いになれば錦織が主導権を握ることが多く、ラリーが長く続いたときには錦織がほとんどポイントを取っていました。
マレーはストロークで押されている展開でもカウンターショットが上手いため、ラリーが長く続いた時にもっと錦織が苦しむかと思ったのですが、錦織の攻めが鋭くマレーにカウンターを打つ余裕を与えませんでした。
但し、ストロークの安定感があまりなく凡ミスが多く、それが主な敗因だったと思います。第2セットで先にブレークした後のゲームで自分のサービスゲームをキープできていれば、勢いに乗っていけたと思うのですが、リードしながらもブレイクを許したことで流れを掴めませんでした。
マレーは錦織をよく研究していたようで、錦織のペースにならないようなプレーをしていました。錦織はマレーのセカンドサービスのときにリターンを打ち込んでポイントを取ろうとしていましたが、サーブのコースや回転量を変えるなどして、錦織に思うように攻めさせない工夫をしていました。
また、錦織は大事な場面でファーストサービスが入らずに苦しんでいたのとは逆に、大事なポイントのときにマレーはファーストサービスをよく入れていました。やはり、トップの選手と戦うときは、サーブの調子を上げていかないと厳しいというのを実感しました。
今回負けはしましたが、次にマレーとクレーコートで試合をするときは十分対応できると思いますし、クレーコートでは錦織の方に分があるような気がします。
もう一つの準決勝は、ナダルがベルディヒに勝って決勝に進みました。ナダルはこの大会に入っても本調子ではなかったようですが、それでも決勝まで来るのはさすがという感じです。
ナダルは今年に入ってクレーコートの試合で3敗していますが、これはこの12年では最も多い敗戦となっています。逆の見方をすると、過去10年以上クレーコートの試合で年間2敗以下しかしていなかったということです。
去年までのようなクレーでの圧倒的な強さは戻っていないようですが、全仏オープンに向けて徐々に調子を上げていくような気がします。
来週もマスターズ1000の大会であるイタリア国際があります。錦織は第5シードで出場し、順当に勝ち上がると準々決勝で第1シードのジョコビッチと対戦します。
マドリッドは標高が少し高くボールの飛びが良くなりますので、錦織にとってはやりやすいコートだったと思います。それに対してイタリア国際が行われるローマは標高が高くないため、ラリーが長引くようになります。そうなると試合時間が長くなり、体力の消耗が多くなります。
この大会でも上位を目指して欲しいのですが、ここで体力を消耗して全仏オープンに影響が出るのが不安ですので、ジョコビッチと対戦できるベスト8まで行けば十分だと思います。
他の選手の結果にもよりますが、準々決勝まで行ければランキング4位になれる可能性があります。そうなれば全仏オープンで第4シードになり、トップ3の選手とは準決勝まで対戦しなくて済みます。
イタリア国際では早く負けても、それだけ全仏オープンへの準備期間が取れると割り切って、楽な気持ちで臨むのが良いかもしれません。
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