最近、テレビや新聞で中国の全人代や北朝鮮の最高人民会議を「日本の国会にあたるもの」と報じているのを何度か見かけました。しかし、こういう風に言ってしまって本当にいいのかということを感じました。

 

日本の国会とは、日本の立法府で国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関と位置付けられ、国民の代表機関でもあります。国会は衆議院と参議院によって構成され、国民の選挙によって選ばれた国会議員で組織されています。

 

 

中国の全人代(全国人民代表大会)は、中国の一院制の議会で憲法上は国家の最高権力機関および立法機関として位置付けられています。

 

全人代の代表は約3,000名で任期は5年となっており、全国の省・自治区・直轄市および軍隊から選出されています。

 

選出方法は国民による直接選挙ではなく、選出母体による間接選挙で中国共産党の意向に沿った人間が選ばれています。代表の約70%が共産党員となっています。

 

全人代に提出される議案や予算案などについては、反対や棄権をすることができますが、否決になったことはなく賛成率も多くが9割台と非常に高くなっています。実態は、共産党の意思を追認する機関となっています。

 

 

北朝鮮の最高人民会議は、国の最高主権機関および立法機関です。地域や軍区ごとに決められた選挙区から選出された代議員によって構成されます。

 

選挙権は17歳以上の者で、被選挙権は成人なら誰でも立候補できることになっています。しかし、朝鮮労働党中央委員会に指名された候補者しか立候補できず、全ての選挙区で一名しか立候補しません。実質的には、朝鮮労働党中央委員会が代議員を選考しています。

 

国の最高主権機関であり立法機関となっていますが、実際には朝鮮労働党や最高指導者の金正恩の意向に法的根拠が与えられており、議案についても反対や棄権などが無く満場一致で可決されます。

 

 

中国の全人代も北朝鮮の最高人民会議も、名目上は日本の国会と同じ国の最高機関であり立法機関ですが、実態は大きく異なります。

 

構成している代表や代議員は普通の選挙によって選出されていませんし、中国共産党や朝鮮労働党の意向を汲んだ者が選任されています。また、政府への本格的な追及や砲丸が否決されることがなく、中国共産党や朝鮮労働党の意思を追認するだけです。

 

中国の全人代や北朝鮮の最高人民会議を、日本の国会にあたるものと言ってしまっていいのでしょうか。中国や北朝鮮が非民主的で独裁的な体制であるということを、少しでも思わせないような意図がテレビ局や新聞社にあると考えてしまうのは、穿った見方でしょうか。



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