訪日外国人の旅行中の消費額でも、中国人が最も高くなっています(「なぜ中国人旅行者が日本で買い物をするのか?」 参照)。平成26年7~9月の訪日外国人のうち約2割の中国人が、旅行消費額の3割を占める1,847億円を使っているようです。特に買物に多くのお金を使い、数十万円単位で買うこともあり「爆買い」とも呼ばれています。
日本の企業の中には、消費意欲が旺盛な中国人富裕層にモノを売りたいと考えているところが少なくないようです。マスコミでも、中国人富裕層は有望だということをよく言っています。
では、中国の富裕層というのはどのくらいいるのでしょうか?
クレディ・スイスが、世界の富に関する包括的な調査分析を行った「2014年度グローバル・ウェルス・レポート」に、各国の富裕層人口などが載っています。ここで言う富裕層とは、純資産を100万ドル(1ドル=107円で換算)以上保有している人のことです。富裕層人口が多い上位10カ国は以下のとおりです。
資料出所:クレディ・スイス「グローバル・ウェルス・レポート」
米国が圧倒的なトップで約142万人、日本は第2位です。中国は第7位で、富裕層人口は日本の4割強しかいません。
次に、純資産が5,000万ドル(1ドル=107円で換算)以上の超富裕層人口を見てみます。上位10カ国は以下のとおりです。
資料出所:クレディ・スイス「グローバル・ウェルス・レポート」
こちらも米国が圧倒的な1位となっており、日本は7位と富裕層人口に比べるとかなり順位が落ちています。中国は7,630人の第2位となっています。
中国の純資産100万ドル以上の富裕層人口は日本の4割強しかいないにもかかわらず、純資産5,000万ドル以上の超富裕層は日本の約3倍もいます。
次に、富裕層人口トップ10の国の一人当たりGDPを見てみます。
資料出所:グローバルノート
10カ国の中で、中国だけ一桁小さい6,959ドルとなっており、圧倒的に少なくなっています。
最後に、人口に対する富裕層人口の割合を見てみます。
資料出所:クレディ・スイス「グローバル・ウェルス・レポート」、グローバルノート
注)富裕層人口は2014年、人口は2013年のデータ。
スイスが8.3%とトップで、中国は0.1%と一人当たりGDPと同様に断トツの最下位です。
これらのことから、中国の富裕層は実は世間で言われるほど多くはないですが、超富裕層は多くなっています。そして、人口に対する富裕層の割合は極端に低いので、中国の人口が巨大だから富裕層が多いというわけではないことが分かります。
また、1人当たりGDPは低い割に富裕層人口が多いということは、先進諸国と比べて貧富の差が激しいことを現しています。
中国は貧富の差が激しく一部の富裕層に富が集中しているから、1人当たりGDPが低いにもかかわらず富裕層人口が多いと推測することができます。更に、富裕層人口に比べて超富裕層人口が多いことから、極一部の超富裕層に特に富が集中しているということになります。
(関連の記事)
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○経済成長には富裕層より中流階層の消費が必要
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