2013年12月、中国のインターネット検索最大手の百度(バイドゥ)がパソコン向けに無償提供していた日本語入力ソフトが、利用者に無断でネット入力情報を同社のサーバーに送っていたことがニュースになりました。このソフトは、入力した内容を漢字などに変換する「バイドゥIME」と言われるもので、ネットで無償ダウンロードが可能です。利用者が打ち込んだ文字情報や、パソコン固有のIDなどが同社のサーバーに自動的に送られていました。

 

このソフトは、表計算ソフト、文書編集ソフト、セキュリティソフトなどにバンドル(※)して、インストールしてしまうことが多いようです。フリーソフトをインストールする時にも、提示されたオプションをそのままにしてインストールをすると、このソフトも同時にインストールされ、日本語入力ソフトとして自動的に有効になってしまうこともあります。また、パソコンにあらかじめインストールされていると、出荷時の設定によって有効になっているケースもあります。いずれも利用者が気付かないうちにソフトを利用していることになり、知らぬ間に情報が送られてしまいます。

 

百度は、スマートフォン向けに提供している日本語入力ソフト「Simeji(シメジ)」についても、入力文字を同社サーバーに送信するようにしています。バイドゥIMEやシメジでは「クラウド変換」と呼ばれる変換方法を採用しており、多数のパソコンから変換パターンをサーバーに集めることにより、変換精度を向上させています。しかし、シメジではクラウド変換エンジンを利用しない設定に変更しても、入力した文字列が送信され続けます。201310月時点で、シメジは700万件ダウンロードされていたようです。また百度は、ドコモと携帯電話向けコンテンツを配信する合弁会社を設立して、ゲームなどのコンテンツを配信しています。 

 

 

インド政府は2010年、中国の通信機器メーカーのファーウェイ(華為)製の機器に盗聴機能が備わったチップが組み込まれているとして、インドからの締め出しを宣言して輸入禁止にしました。米国の大手通信キャリア・スプリントも、ファーウェイとZTE(中興通信)の2社を「安全保障上の理由」により、通信設備の入札対象から外しています。両社は中国当局の影響を強く受けており、アメリカではファーウェイの製品は売れなくなり、同社はアメリカ市場から撤退しました。

 

ちなみに日本では、ガラケーやスマートフォンの本体、携帯電話の通信基地局、ルーターなどにファーウェイの製品を導入しています。ソフトバンクは、LTEの基地局設備の納品をファーウェイとZTE2社にほぼ全てを任せています。国家機密を扱うような人や情報機関所属の人は、ソフトバンクの携帯を使っている人はほとんどいないようです。

 

中国レノボ社製のパソコンについては、英国などでは政府機関で利用が禁じられています。製品を調べたところ、通常のセキュリティ保護をバイパスするためのチップが埋め込まれていました。それにより、外部からの操作によってパソコン内のデータにアクセスできるようになっていたようです。英国のほかにも、アメリカ、オーストラリア、カナダ、ニュージーランドの情報機関のネットワークには、レノボ社製のパソコンの使用が禁じられています。

 

中国のソフト販売会社であるキングソフトは、Android端末向けクリーンアップソフトのインストールを促す広告が悪質だと批判されています。容量が十分残っている端末に「警告!容量が不足しています」などと表示するようになっていました。同社は、不当に広告収入を得ようとする悪質な業者によるもので、意図せずに配信されたと説明していました。

 

中国は国ぐるみでサイバーテロを行っており、軍隊がサイバー攻撃に関与をしているという疑いがあります。中国の企業は、民間企業といっても共産党や軍などとの関係が深く、中国政府に逆らうことは不可能です。中国のネット検閲は世界一の厳しさで、中国のネットワークサービスも政府の支配下にあります。そのようなことから、中国企業の通信機器やソフトウェアには何が仕込まれているのか分かりません。被害に遭わないようにするためには、中国企業の通信機器は使用せず、中国企業の通信機器をインフラに使用しているところのサービスは避けるようにした方がいいでしょう。

 

 

※バンドル:ある製品に別の製品を付属して販売や配布をすることです。人気商品に不人気商品をバンドルして販売する行為は「抱き合わせ販売」と呼ばれ、悪質な場合は独占禁止法違反となります。

IT用語辞典 e-Wordより-



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