ここ数年、日本と中国の関係は悪化した状態が続いています。そのような状況をみて、政治的な関係は悪くても、経済的な関係だけは良くした方がいいという意見があります。そして、中国との経済的結びつきを強くしておけば、中国は日本に対して横暴なことはできないと主張している人もいます。

 

しかし、実際には中国との関係を深めると、それだけ中国側に外交カードが増えることになります。

 

平成22年に尖閣諸島沖で、違法操業の中国漁船を取り締まろうとした日本の海上保安庁の船に対して、中国漁船が意図的に衝突してきた事件がありました。

 

漁船の船長を逮捕して起訴する方針が出されると、中国は日本に対して複数の報復措置をとりました。希少金属(レアアース)の輸出差し止め、中国人観光客の規模縮小、在中のフジタ社員の身柄拘束などです。

 

平成24年に尖閣諸島国有化の後にも、中国が訪日ビザ発給を大幅に減少して訪日中国人観光客を意図的に激減させました。中国国内では、日本企業の商業施設や工場などが襲撃される暴動が各地で発生し、中国当局は取り締まりをせずに放置して、日本企業は多大な損失を被り、在中日本人が危険に晒されました。

 

 

また、在留中国人は年々増えて70万人を超えており、国籍別ではトップになっています。中国の国防動員法により、有事の際には在外中国人を中国政府の統制下に置いて徴用することになっています。

 

国防動員法が発令されていなくても、在留中国人が中国政府の意のままに操ることは簡単です。中国国内にいる彼らの家族は人質のようなものですので、在留中国人が中国政府に逆らうようなことをすれば、家族が酷い目に遭います。

 

実際に、平成20年に北京五輪の聖火リレーが長野市で行われた時、1万人を超える中国人が終結して不法行為や傷害事件を多数起こしました。集まった中国人の中には、4千人の留学生もいたようです。

 

一方で中国に在留している日本人は約135千人おり、米国在留に次いで多くなっています。平成24年までは年々増加していました。彼らは、何かあったときには中国当局に拘束され人質のようにされてしまう可能性があります。中国は法治国家ではなく共産党独裁政権ですので、やる気さえあればいつでもできると思います。

 

 

中国のこうした対応は、日本に限った事ではありません。平成13年の中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の自由貿易協定締結の合意などにより、ASEAN各国は中国との貿易額が増加し、ASEAN全体では中国が最大の貿易相手国になりました。

 

そうなると、中国はASEAN各国に無茶な要求を突き付け、それを拒むと取引を減らすなどの制裁措置をチラつかせてきます。そうなると中国の要求を拒否できなくなり、中国の言いなりになってしまうこともあります。

 

 

このような不当な経済制裁を中国が行い外交カードとして使えるのは、中国が独裁政権だからです。貿易量を減らせば、相手国の企業だけでなく中国側の企業も痛手を被ります。

 

貿易量が減ってしまうと相手国の政府は企業から何とか解決しろと突き上げを受けますが、中国は独裁政権ですから企業側の利益を無視して押さえつけることが可能です。

 

観光客にしても、外国旅行をしたい中国人からは不満が出ますが、中国はそれを無視することが可能です。日本が同じようなことをすれば、国民から政府が責められるのは避けられないでしょう。

 

中国は普通の民主主義国家では外交カードに使えないようなことも、独裁国家であるために使用できるようになっているということです。

 

偽りの民主主義国と言われている韓国でも、さすがに中国が行っているような経済制裁はできません(それでも十分不当なことは行っていますが・・・)。

 

中国と経済的な繋がりを強くすれば、政治的な関係も良くなるというのは大きな間違いです。中国は経済的なことも政治的に利用することは当たり前のように行っています。中国にこれらのような外交カードを使わせなくするためには、やはり中国とはできるだけ関わりを持たないことではないでしょうか。



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