日本一周の旅31日目:奥塩原新湯温泉~那須湯本温泉
本日の温泉入浴数:9湯(トータル213湯)
本日の走行距離:47キロ(トータル2775キロ)
本日のルート:奥塩原新湯温泉~那須湯本温泉(栃木県)
3月23日に日本一周の旅に出たので、
ちょうど丸1か月が経過したことになる。
感覚的には、あっという間の1か月であった。
毎日、温泉に入っているだけの旅ではあるが、
目標の1日8湯に入るのは物理的にけっこう大変だ。
効率的に段取りよく回らないと、8湯は難しいということもわかってきた。
その合間に、ブログを更新したり、情報を整理したり、
次の温泉を探したり、そして移動したり・・・と「暇だな」と思う瞬間がない。
本当はもっと観光したり、本を読んだりする予定だったが、
それもかなっていない。
でも、いい意味でとても充実した毎日を過ごせている。
感動的な温泉にもたくさん出会えている。
やっぱり、思い切って旅に出てよかったと、
今日も温泉に浸かりながら、しみじみと感じていた。
1年で帰ってくる予定だから、12分の1が経過したことになる。
最初の1週間は、3000湯という大きすぎる数字に尻込みしていたが、
毎日毎日を積み重ねることで、確実に近づけるということを
実感として得ることができた。
人生でもなんでも積み重ねと積み減らしの連続だな、と思う。
【第1湯】は、奥塩原新湯温泉・むじなの湯 (地図)
硫黄臭漂う小さな温泉地・新湯温泉には、3つの共同湯があるのだが、
前日、「むじなの湯」だけは、カギが閉まっていて、入浴できなかった。
「源泉のトラブルで泉温が低い」という掲示もあったので、
もしかしたら、今回は入れないかも、と心配していた。
だが、早朝に湯小屋を訪れると扉が開いた。
「やった、入れる!」と小躍りしたのも束の間、
ん? なにかがおかしい・・・。
浴室がキレイすぎるのだ。
浴槽や床の木が真新しい。
キレイなことはよいことなのだが、
むじなの湯の場合は、キレイであることはほめ言葉ではない。
むじなの湯といえば、洞窟風の湯船が特徴で、
岩の間からアツアツの湯が注がれている、という話を聞いていた。
混浴の鄙びた感じを体験するのを楽しみにしていた。
しかし、少し鄙び感が薄い。
3人ぐらいが入れる小さな湯船は、
男女別にしっかりと仕切りがされている。
内装をリニューアルしたのはよいが、
昔ながらの「むじなの湯」に入れなかったのは残念だし、
新湯温泉の顔役が、少し姿を変えてしまったことに違和感を覚えた。
湯は、むじなの湯という独自源泉が適温の状態で注がれており、
さすが、という泉質を誇っていた。
それだけに、今回のリニューアルは少し寂しい。
今の湯小屋も、時が経てば、いい感じの鄙び具合になるのだろうが・・・。
ちょっと気になったのは、浴槽の隣に犬小屋のようなものがあること。
何に使うのだろうか・・・。
犬小屋の下に、源泉があって、ここで何か調整したりするのだろうか。
謎である。
【第2湯】は、奥塩原元湯温泉・大出館 (地図)
湯元温泉には、3つの宿が存在しており、
そのうちの2つは前々日に入浴済み。
しかし、大出館は駐車場がいっぱいで入れなかったため、
もう一度リベンジを果たすべく、日帰り入浴開始時間と同時に訪問。
ここは、以前から一度入浴してみたかった湯。
内湯のトビラを開けた瞬間、感動でしばし呆然としてしまった。
なんと、墨の湯という黒い湯と五色の湯という抹茶色の湯が
2つの湯船に同居しているのである。
同じ浴室に泉質が異なる湯船が2つ以上ある例はたまにあるが、
これほどまでに、個性的な湯が同じ浴室にあることは稀だ。
その事実にも驚くが、ビジュアルもまた美しくて、オツなのである。
なんだか、自分の身を沈めるのがもったいないくらいだ。
黒湯のほうは、鉄錆び臭とコクのある苦味のある湯。
千葉でも黒湯はたくさん入浴したが、東京湾沿岸で見られる
凄味がある黒湯とは違い、少しミルクを入れたようなマイルドな色。
それでも、少し浸かっているだけで、
どっと体のパワーを奪われていく感じ。
それだけ温泉成分が濃く、パンチが利いているということか。
抹茶色の湯は熱くて、ほとんど入浴できなかったので、
飲泉を楽しむ。
ラーメンの粉末スープのような、ダシのきいた味覚。
こちらも、なかなか個性的な湯である。
温泉は浸かってなんぼのものだが、
この温泉に限っては、見ているだけでも楽しめる。
いつまでも、眺めていたくなった。
新湯温泉や元湯温泉から塩原温泉街に向かうと、
そのちょうど分岐点に「日帰り、かけ流し」の文字が躍る看板が目に入る。
旅館に併設された、日帰り入浴施設で、
中塩原温泉に位置する。
ここの湯の特徴は、毎分800リットルの湧出量。
800リットルは、桁違いの多さで、
100リットルあれば立派な湯船をつくることができる。
そのことは、浴室に入ればすぐにわかる。
20人ほど入れそうなコンクリートづくりのシンプルな湯船に、
轟音をたてながら、湯が注がれ、そのままオーバーフローしていく。
小さな湯船で激しくオーバーフローしている例はよくあるが、
これだけ大きな湯船から激しくオーバーフローしている様は圧巻。
浴室の掲示にも、「豊富な湯量を体感してもらうために、
あえてシャワーをとりつけていません」とある。
要は、シャワーなど使わず、贅沢に温泉で体を洗ってくれということ。
これほどの湯量を誇るところは、そうないはずだ。
浴室がシンプルなのもよい。
ジャグジーやサウナ、水風呂など余計なものがない。
ただ、湯船があるのみ。
湯質で勝負したい、という意気込みが伝わってくる。
泉質は、肌にやさしいアルカリ性単純温泉。
ここ数日、刺激の強い酸性硫黄泉が連続していたので、
新湯温泉や元湯温泉の上がり湯としても重宝する。
塩原温泉街には、箒川沿いに4つの露天共同湯がある(新湯は除く)。
これまで、岩の湯、不動の湯、もみじの湯に入浴してきたが、
もっともマイナーな青葉の湯を残していた。
吊り橋のたもとにある小さな混浴露天風呂で、
対岸には旅館もあり、丸見えといえば丸見えだが、
人通りが他の3つの湯ほどは多くないので、その分落ち着くロケーション。
露天風呂に近づくと、男性2人が入浴し、
女性がその傍で服を着て会話していた。
ちょっと気まずいかなと思ったが、
塩原はこの日を最後に離れる予定だったので、
挨拶をして、素早く服を脱ぎ、チャポンと湯に浸かる。
ここの湯は、予想を超えてスバラシイ。
ボクが大好きな泡付きの湯。
全身の体毛という体毛に、気泡があっという間に付着していく。
払っても払っても、こまかな美しい気泡がまとわりつく。
源泉が熱いので、ホースで加水されているのだが、
加水をしていなかったら、もっと激しく付着するのだろうか、
と想像すると楽しくなる。
泉温も少しぬるめになっていたので、
ゆっくりと長湯を楽しむ。
先客の女性は、そのうち周辺を散策すると言って、
立ち去ってしまったが、きっとボクのせいで気まずくなったんだろう。
空気読めなくて申し訳ない^^;
【第5湯】は、愛宕山温泉・露天風呂 (地図)
いよいよ4日間滞在した塩原温泉の最後の湯。
塩原温泉の入り口付近の土産物屋の看板に、
大きく「露天風呂」書いてあるのが気になって、
事前情報がないまま飛び込み入浴。
けっこう大きな土産物屋だが、閑散としている。
昔はにぎわっていたのだろうが、手前に道の駅ができたので、
客足は激減したのだろうと想像できる。
入浴の受付は、この土産物屋の店内で行なう。
入浴したいと告げると、おばさんがすまなそうな顔で、
「今日は外気が高いから、泉温が熱めなんですが、それでも入りますか?」
と聞いてくる。
普通ならひるむところであろうがると、熱い湯には慣れている。
「やけどしない程度であれば、大丈夫です」といって入浴を決める。
すると、おばさんは「免許証をお願いします」と言う。
最初、何を言われたのかわからなかったが、やっぱり免許証だと言っている。
温泉に入るのに免許証が必要なんて大げさな話だ。
後から納得したのだが、湯小屋が離れており、カギを開けて入るシステムに
なっているので、カギの持ち帰りを防止するためだと思われる。
(入浴後、免許証のコピーは返却してもらえる)
湯船は、西那須野ののどかな街並みが望める岩づくりの露天風呂。
湯口からけっこうな量の湯が投入され、かけ流されていたので、
源泉かけ流しかと思ったが、循環もしているという。
アルカリ性のスベスベ感も強く残っていたので、併用式かもしれない。
【第6湯】は、塩原日の出温泉・塩原あかつきの湯 (地図)
塩原から、那須方面への移動を開始。
その途中にあるのが、塩原あかつきの湯。
周囲は牧場が点在し、牧草地に囲まれた緑豊かな環境。
外観はよくあるタイプの大型日帰り入浴施設なのだが、
泉質は、かなりの個性派。
黄褐色の湯は、オイル臭が漂い、強スベスベ感をもつ。
この特徴は、3日目に入った千本松温泉とそっくり。
そういえば、千本松温泉とは、ほとんど離れていない。
この周辺の地盤から湧く特有の泉質なのだろう。
千本松温泉とあかつきの湯のスベスベ感は全国でも屈指のものだと思う。
【第7湯】は、那須湯本温泉・中藤屋旅館 (地図)
ここからは、那須湯本の温泉めぐり。
「鹿の湯」という有名な温泉を中心に、小さな旅館や民宿が密集する温泉街。
湯治をしている人も多い、由緒ある温泉街だ。
周囲は硫黄臭がたちこめ、硫黄臭フェチのボクにはたまらない環境。
その温泉街の一角にあるのが同旅館で、
看板を出して、日帰り入浴を積極的に受け入れている。
内湯のみであるが、湯船が総ヒノキづくりで、
那須湯本の温泉の特徴である白濁湯が、なみなみとかけ流しにされている。
湯船はアツ湯とヌル湯の2つに分かれており、ちょっと硫黄疲れ気味のボクは、
ヌル湯のほうで、じっくりと湯と向き合う。
硫黄臭とレモンのような酸味、そして白濁具合は、
奥塩原新湯ととても似ている。
【第8湯】は、那須湯本温泉・滝の湯 (地図)
この日の宿は、那須湯本温泉街にある民宿を予約。
那須湯本では、何が何でも温泉街の宿に泊まりたいと思っていた。
なぜなら、湯本の温泉街の旅館や民宿に泊まった人だけが
入浴できる共同湯が2軒存在するからだ。
そのひとつが、滝の湯。
まずは、宿泊する宿で、カギを貸してもらう。
カギといっても、電子キー。
鄙びた共同湯と電子キーという取り合わせは、なかなか面白い。
電子キーを入口にかざすと、ロックが外れる。
滝の湯は共同湯といっても、かなり立派な木造の建物で、
脱衣所と浴室も広々している。
浴室内は総木造で温泉情緒たっぷりで、
4人で一杯になる四角い湯船が二つ並んでいる。
アツ湯とヌル湯に分かれている。
両方とも程よい泉温に調整されていた。
その調整方法が特徴的で、
湯口に杭を抜き差しして、湯量と泉温を調節する。
杭を抜くとドバッと流れ、杭を差すとチョロチョロとなる。
熱くしたいときは、杭をぬくのだ。
このような泉温の調節方法は初めて見たので新鮮。
人がいなくなってから、まるで子供のように、
この杭を抜いたり、差したりして、泉温調節を楽しんだ。
洗い場には、上がり湯があり、
4つの湯口から上がり湯がこぼれ落ちる。
それぞれに、その下に桶を置いておくのがルールのようだ。
ゆっくりと入浴を楽しんだが、
その間も湯治客や地元の人がひっきりなしにやってきていた。
会話もはずみ、社交場の雰囲気であった。
【第9湯】は、那須湯本温泉・河原の湯 (地図)
滝の湯とは20軒ほど隔てたところにある湯本温泉の共同湯。
この日の宿の隣にあるので、内湯感覚で使わせていただいた。
このように、宿に内湯をもたず、共同湯を使う「通い湯」が
文化として息づいている温泉街なのだ。
滝の湯に比べて、かなりコンパクトサイズであるが、
中に入ると、意外と奥行きもあり、
2つある湯船の大きさは滝の湯とそん色ない。
行人の湯という、滝の湯や鹿の湯とは別の源泉がかけ流し。
こちらも総木造の湯小屋なので、鄙びた雰囲気がよい。
昼間よりも夜のほうが、さらに風情が増す。
こちらは観光客よりも、地元の利用が圧倒的に多いようで、
夜遅くまで、ひっきりなしにお客がやってきていた。
宿が隣なので、浴室での会話が聞こえるのもまた、いとをかし。
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連日、硫黄臭が強い温泉に入っているので、
体に硫黄の臭いがしみついてしまったようだ。
アルカリ性の湯に入っても、硫黄の臭いがかすかにして、
おやっ、と思う。
体に染みついた匂いが漂ってきているのかもしれない。
自分ではあまり気付かないが、服や車の中もきっと硫黄臭いはず・・・。
本日も硫黄まみれだ。