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研修や講演の講師としてお招きをいただく立場なので、「講師特有」の悩みを講師仲間と共有します。

一方で主催者側の立場で企画をすることもあるので、主催者特有の悩みもわかります。

 

そこには永遠に越えられない壁があるのです。

今日はそのベルリンより高い壁を崩せるか、講師の立場から私なりに考察してみます。

 

<講師の立場で頭の中に浮かぶこと>

人にもよると思いますが、本音を言えば『ギャランティーはおいくらですか』をまず知りたい。高いから行くとか、安いなら行かないという話ではなく、お金の話をいちばん最後に持ってこられるのは正直、しんどい。ましてや「もう少し安くなりませんか」と値引き交渉されるのは悲しくなってしまいます。

 

<主催者の側が頭の中に思い描くこと>
うちみたいな遠方まで来てくれるのかな

うちみたいな小さな勉強会に来てくれるのかな

謝礼が少ないのだけど、断られたらどうしよう

 

勢い、「断られるのが怖い」心理で、お金の話を最後までしたくないと考えます。

 

これは逆だと思うのですよね。

いちばんしたくない話は最初にした方がいいのです。

 

ファーストアプローチの段階で、講師の側が知りたいであろう要素を全て押さえて箇条書きにしておく。それで断られたら、それはご縁がなかったのです。次、行ってみよう。

 

主催者側が厄介だと感じるのは、講師によって持っている価値観が違うので、わからないことだらけだということです。

 

 

・いったい、いくら出せば来てくれるのだろう。

・グリーン車でないと失礼かな

・駅まで迎えに行くべきか

・ホテルのランクは

・懇親会をつけないと失礼なのではないか

・それなりの会場を準備しないと気分を害するのではないか

・講演会や研修会に控え室は必要か

 

 

実は講演依頼ドットコムさんのような講演エージェントは、このめんどくさい「中間のやりとり」を全て代わりにやってくれます。

お互いが最初に知りたいことの間をつないでくれるのです。(取次手数料もなかなかのものですが、その価値はあります)

 

講師と呼ばれる方は、このような「引き受け条件」はどこかに明示しておくべきですし、

主催者側は、自分たちが準備できる条件を、一発目の依頼文に全て書いてしまうことをお勧めします。

 

ちなみに私の引受条件は以下の通りです

 

・講演講師謝礼

非営利団体、中小企業、商工会議所さんなどは10万円(税別)+交通宿泊費実費

大企業、自治体など公的機関 25万円(税別)+交通宿泊実費

 

・研修費用

半日研修  20万円(税別)+交通宿泊実費

1日研修  25万円(税別)+交通宿泊実費

 

もちろん上記費用は目安です。催事や行事などで予め講師予算が決まっている場合、その金額をいちばん最初にお知らせください。

他の仕事との兼ね合い、季節的なもの(繁忙期閑散期)など、そして主催される方の熱意や想いなどを勘案して、都度お返事させていただきます。

 

それから大切なことですが、講演料、研修費用は原則として、催事の終了後、1週間以内に当社口座にお振込をお願いしています。

 

翌月末、翌々月末、翌々翌月末の支払いと、後出しジャンケンのように言われることがありますが、基本的には終了後1週間以内でお願いしています。経理システム上、止むを得ず振込が遅れる場合は、最初のご連絡時にその旨、お知らせください。

 

その他の引受条件も書いておきます。

 

・消費税は外税でお願いします。
・高速バスでも青春18きっぷでも行きますので交通費はご負担くださるようお願いします。

・飛行機はエコノミー、JRは普通席で充分です、グリーン車などのお気遣いはなしでお願いします。

・ビジネスホテルで充分です。サウナカプセルホテルでも構いません。

・空港や駅までの送迎もお気遣いなくお願いします・路線バスやローカル線が好きです。

・会場に豪華さは必要ありません、控え室も不要です。

・手土産などもお気遣いなくお願いします。

・質疑応答の時間が欲しいです。

・宴席のお気遣いは不要です。

懇親会などで聴講いただいた方とディスカッションできるのでしたら、喜んでお邪魔します。その際、ビールなどを継ぐお気遣いも不要です。とにかく参加者と話がしたいです。

 

・二次会はご遠慮させて頂きます。以前、フィリピンパブに連れて行かれそうになったことがありました(講演会よりそっちがメイン?)ぜひ主催者の方だけで行ってください。私は寝ます。

 

 

嫌味な講師だと思われてしまったか、面白そうと思ってくださったかはわかりませんが、

ぜひ私を講演、研修で呼んでください。

 

「予算がないのです、でも高萩さんを呼びたい」とお考えくださっている方、お気軽にご連絡ください。

「高萩さんを呼びたいのです」の想いに応えます。

 

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【共創】安売り投げ売りは誰も幸せにしない 自分自身のサービスに対する価格の決め方

 

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共創メンバーから、ご質問をいただきました。

 

「こんにちは。高萩さんのYouTubeを拝見して、サービスに対する本質とは何かを考えるきっかけになりました。ご意見を伺いたいのは、自身のサービスの価格の決め方です。」

「仕事をしていると、『あまり手当は払えないのだけど』と言った依頼が来ます。私は価格交渉が苦手なのです。自分が提供できることを、誠実にやっていく。それに見合う適切な対価を設定して、一応、ギリギリでも生活するようにする!と言うのが私の目標です。」

「個人事業主である以上、きちんと本業で成り立つようにしたいです」

 

頂いた質問を熟読して、私なりの考え方を改めてお伝えします。少し長くなりますが、良かったらお読みください。

思いつくまま箇条書きにします。

 

 

(1)鶏口となるとも牛後となる勿れ

(2)他社(同業者)が面倒くさくてやりたがらない

(3)やりたいことより、やるべきこと

(4)料金表を作る

(5)割に合わない仕事を引き受ける基準を決めておく

(6)体良く利用されているケース

 

 

(1)鶏口となるとも牛後となる勿れ

>個人事業主である以上、きちんと本業で成り立つようにしたいです

 

これはまさにその通りです。世の中に個人事業主は何千万人といます。

本業で成り立っている人はどれくらいいるのでしょうか。

 

私がベルテンポを25年前に創立した時、事業計画書もなければ売り上げ目標もありませんでした。あったのは「お客様はどこかにいるはず」との強い信念です。

 

日本に旅行会社は1万社以上あると言われていますが、私が1万1社目を創業しても、

別に誰も振り向いてもくれないし、そもそも、必要とされてもいません。

だって、すでに旅行会社は星の数ほどあるのですから。

 

私は思いつきで障害者の旅を始めた訳ではなく、ふと出会った障害者の方の

「旅に行きたいけれど、行けない現実」を耳にして、

「ここにはとてつもないニーズが埋もれているのではないか」と考えたのです。

 

(2)他社(同業者)が面倒くさくてやりたがらない

 

・ニーズが顕在化していない(けれど需要はとてつもなく大きい)
・誰もやっていない、気づいてもいない
・気づいていても、ビジネスになると思っていない

・他社(同業者)が面倒くさくてやりたがらない

 

要するに、これからの時代、他の人と同じことをやっていてはダメだと25年前に気づいたのです。大手のレッドオーシャンでの戦いに疲れていたのもありました。

 

マーケットリサーチは、ボランティアで出会った障害者当事者の人たちです。

3人か5人くらいにヒアリングして、「これはとてつもないニーズだ」と感じました。

 

マーケティングはお金を出して人に頼んだりせず、自分でフィールドワークをすることをお勧めします。1万人のモニターより、目の前の3人の生の声です。

 

(3)やりたいことより、やるべきこと

 

好きを仕事にと言いますが、好きと仕事がイコールになる確率は低いです。

私も旅を仕事にするべきではなかったと、今でも思いますが、「それしかできなかった」から消去法で始めたみたいなところもあります。

 

ましてや、介護福祉系の仕事に興味も関心もありませんでした。

今でもよくわかりません)

 

でも、「やるべき」とは思いました。やりたいのではなく、誰かがやるべきだと。気づいてしまったのだから、やろうと考えました。

 

やりたいことをやっても良いのですが、別カテゴリーで「神様からやれと言われたからやっている仕事」みたいなフィールドがあると良いです。ライスワークとはまた違います。食べるためにやるのではなく、神様に言われてやっている感覚。

 

さて、

 

「神様からやれと言われた」仕事。

割に合わないかも知れませんが、あなたならできると、神様に任命されたのです。
(注:私、宗教とかはやっていません、念の為)

もちろん、体良く利用されているケースも多々ありますが、それは後で話します。


(4)料金表を作る

私は一応、仕事の料金表があります。講演やセミナーに関する基準みたいなものです。

作っておくのは、依頼者への親切でもあります。目安がないとわからないのです。

その上で「柔軟に対応します」とするか「定価から一円足りとも値引きません」と明示するかはあなた次第です。どちらでも良いのです。

 

ちなみに私は「柔軟に対応する」派です。間口は広く開けておきたいからです。手弁当で引き受けることもあります。

 

ある講演活動家の方が「僕は1時間40万円、飛行機はANAのスーパーシートのみ、新幹線はグリーン車、送迎はタクシーではなくハイヤー」と豪語していました。最近、お見かけしませんが、元気かなあ。いいのですよ、それでもお願いしたいと思うかは依頼者が決めること。

その方は「1万円のしょぼい仕事を受けるとブランドが毀損する。1万円を40本受けるより、40万円を1本受ける」ともおっしゃっていましたから、立派な価値観です。

 

私は個人的には九州ベンチャーの栢野さんの考え方が好きです。

移動は格安LCC、新幹線は自由席、カプセルホテルは贅沢、サウナで充分。

素晴らしいですよね。

講師の先生が高級ホテルに泊まるか、サウナで過ごすかは、講演の質とは関係ありません。

 

 

(5)割に合わない仕事を引き受ける基準を決めておく

 

それでも割に合わない仕事は延々とやって来ます。多いときは週に何件も来ます。

この「割に合わないと思う仕事」を今まで何百と打診されて、感じたことがあります。

 

割に合わないの定義

 

それは、「結局のところ、依頼者との関係性」に尽きると。

あと、相手の本気度や誠実さですね。

 

お金の話を後回しにして依頼してくる人って、結構多いです。

講演料や謝礼の話がいつまでも出てこない。

 

なので、依頼する側に回る際は、予算が少なくても良いので、最初の依頼メールで

「謝礼は幾ら」交通費のことも最初に伝えましょう。これだけで好感度が上がります。受けてくれる可能性がグンと高まります。

ANAスーパーシートのブランド先生は秒で断るでしょうが、「それで、いいのです。お互いに」。

 

たとえ手弁当でも受けたいと思う講演会もあれば、

お金を積まれても嫌だ、と思ってしまう主催者もあります。

 

「割に合わない」と思ってしまう心理は、言ってみれば、依頼者への不信感です。

自分が安く見られているのではないかというモヤモヤ。

 

だから、それらは断れば良いのです。

リスペクトを感じられないから、モヤモヤするのです。

 

とは言え、

開業して最初の3年くらいは量稽古も必要です。まずはお金をいただくに値する仕事をしているか、謙虚に研鑽することも大切です。

 

さちさちさんの場合、すでにプロとして活動されていますから、もちろん量稽古は不要です。

地に足をつけて、次のステージに進みましょう。

 

 

(6)体良く利用されているケース

 

あくまで、私の経験です。毎週、毎月、常に講演会や講話を開催している団体は「話をしてくれる人」を探しています。

とにかく、交通費にもならない謝礼で喜んで話をしてくれる人が、もういないのです。

こう言ったケースでは、「お付き合いで、まあいいか」と思った瞬間、利用されます。

連鎖して、あちこちから声がかかります。「逆にこっちが利用してやる」と言う気概がないと時間とノウハウを吸い取られるだけになります

 

 

 

長くなりそうなので、前半はこれくらいにします。

後半は、「さて、自分にいくらの値札を貼るか」です。

 

 

高萩徳宗

 

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無銭宿泊、無銭飲食を防ぐ方法はあるのか 

現場ではどう対応すべきか
高萩徳宗のサービスの本質塾 2024年4月25日

https://youtu.be/L17MKJzTLqs

 

<宿泊施設:ケーススタディ>
チェックアウト時に持ち合わせがないから後日振り込むと言われた
信用して「いいですよ」と行ったら、いつまでも振り込みがない

 

<飲食店:ケーススタディ>
確信犯で食べ逃げする輩(隙を見てダッシュ系)
財布を忘れたと申告するケース(善意のうっかりさん、又は確信犯)
 

基本は性善説を取る

その上で「そもそも、お客様を疑わなくて良い仕組み」を作る
宿泊施設ならチェックイン時の前精算は「疑わなくて良い仕組み」
前精算は疑っているわけではない。善意のお客様もそれがルールなら問題なく従う
ビジネスホテルはほとんど前精算だが、お客様がそれを不快に思うわけではない

 

高級ホテルはクレジットカードの有効性確認が100パーセントあ

クレカがなければ多額の保証金を預ける、世界的に常識

 

日本は道徳的な精神論から「お客様を信用するのが善」との価値観があるが、

善意のお客側は別に前でも後でも言われた通りにするだけ
(もちろんプライドが高いお客様が「俺を信用できないのか」と言うケースはある

 

飲食店は低価格帯の店なら前払いでなんの問題もないが、

ある程度のレストランだと食券にするわけにもいかない

 

その場合は、ホール担当が顧客とのコミュニケーションを密に取る

声かけ、アイコンタクト、ホール巡回水注ぎなど

 

無関心の空間は無銭飲食できそうな空気になる

意識が顧客に向いていると潜在的な犯罪予備軍の輩は実行に移しにくい

 

<現場でのルール、マニュアル>
あくまで善意のお客様がうっかり財布を忘れた前提でまずはルールを作成
その上で犯罪予備軍の心理を研究し、彼らが実行に移しにくい問答集を作るのがベスト

 

<前提条件>
犯罪予備軍は場を見極める

「ここなら実行に移せる」かどうかをアンテナを立ててみている

逆に言えば「ここは無理だ」と諦めさせるような「場」を作る

 

 

犯罪者が嫌がる飲食店(良い気が流れている)

宿泊施設にも同じことが言える
・クリンリネスが徹底している

・バッシング(食器下げ)が迅速、空きテーブルがいつもきれい
・ホールスタッフの声だし、表情、立ち居振る舞いに活気、元気がある

・その場にいる顧客の雰囲気、品が良い(重要)

・顧客への声かけ、気配り、巡回

 

絶対の正解はありませんが、彼ら(犯罪者)が仕事をしやすい場を作らないことにつきます

 

 

<それでも、もしも「お金の持ち合わせがない」と言われたら>


私なら、こうします(これが正解とは断言できません、あくまで私が現場で対応するなら)

・当社は売掛はやっていないと明確に言う(曖昧な態度を取らない)
・ひとりで対応しない、責任者と変わりますと伝え、出来るだけ顔の怖い人、大柄な人を出す
(とは言え、強面でも言葉は優しく)
・当社の取り扱いルールを説明する(マニュアルっぽいものがあるとなお良い)
・そのルールとは(一例)
 近くのATMまでご案内するので現金を引き出してもらう

 ご家族に連絡してもらい、即振込みをしてもらう(着金が確認できない場合は不可)

 どうしても売掛にしなければならない場合は必ず第三者の立会いで請求書を渡す
  (近所の交番、役場の観光課、親戚の怖いおじさんなど)

 

動画でも同じようなことを話しています
20分ほどのやや長い動画ですが、良かったらご覧ください

 

無銭宿泊、無銭飲食を防ぐ方法はあるのか 

現場ではどう対応すべきか
高萩徳宗のサービスの本質塾 2024年4月25日

https://youtu.be/L17MKJzTLqs

 

 

高萩徳宗

 

お店を出すなら東京より田舎!究極のランチェスター戦略 

鶏口となるとも牛後となる勿れ 

高萩徳宗のサービスの本質塾 2024年4月24日

https://youtu.be/Zg_EELMpnlU

 

 

長野のフィールドワークで印象に残った面白い話をお伝えします。

 

長野県佐久穂町でジュエリーショップを経営しているFさん。

東京から家族で教育移住をして来られました。

 

東京でジュエリーショップを経営されていますが、

佐久穂にもお店を出すことにしました。

 

人口1万人のシャッター商店街にポツンを店を出した結果。

「東京よりよっぽど商売がしやすい」と気づいたそうです。

 

東京、佐久穂の他にシンガポールとベトナムにもお店を出しているそうですが、

シンガポールとベトナムは「飛躍の可能性しか感じない」まさに成長途上。

4都市の中では東京が「最も元気を感じない」そうです。

 

そんな話を短くまとめました。

良かったらご覧ください。

 

高萩徳宗

 

 

【関連トピックス】

佐久穂町から8分間のYouTubeライブ

https://www.youtube.com/live/gt0_l4CjdxY?si=S1ljMQN1f1OQumpI

 

【高萩徳宗のおすすめ動画】

・永平寺の宿坊「柏樹関」に到着しました

https://www.youtube.com/live/2ALjQujIXF0?si=Nu5H8rE_zmeVCBGl

・お客様は神様?土の時代から風の時代へ

https://youtu.be/zn_AA_t79ko



【ポジションは単なる役割】


長野県佐久穂町大日向小学校での講演会が終わりました。私が30分、大日向小学校久保校長先生が1時間。久保先生のお話は教育の本質を現実的にお伝えいただき、大変大きな学びになりました。

その後、ワークショップを2時間。私は小海線担当。町長もワークショップに参加、町議会議員さんや会社経営者の方も多数、農家さん、酪農家、東京へ新幹線通勤するサラリーマン、小さな子供を連れて参加する若いお父さんお母さん。中には地元中学生も。多様性などと声高に言わなくても、この会場の多様性たるや。







最後。あるグループの発表は中学生。生徒会長さんだそうですが、驚くばかりのプレゼン力。そして、「小海町はSNSでの発信が弱いと思います。小海町のSNSは更新が一年前から停まっています。町長、そこのところ、よろしくお願いします!」

会場は割れんばかりの拍手。小海町長はその場でひっくり返るほど大笑いして、「月曜日の役場の朝礼で、全職員の前で伝えます!」と約束していました。

今回60名以上の参加者がいらっしゃいましたが、町長や町議会議員さん、大きな会社の社長さんが全く特別扱いされることなく一般参加者に混ざって座り、メモを取り、質問も普通に手を挙げてする。形式的な来賓挨拶などは設定しないし、ご本人たちも求めもしない。

中学生と子育てパパママと町長は社会における役割が違うだけ。日本特有のピラミッド型社会構造における上層部への忖度を排除したら、日本の地方はあっという間に変革するのではないかと、そんな可能性を強く感じました。(講演中の写真がありませんが、また追ってリポートします)

ネット時代のクレーム対応(その2)

昨日に続き先日開催したクレーム対応セミナーの動画を一般公開いたします。SNSの口コミに悩む方の参考になれば幸いです。

今回のセミナー動画は4回に分けて配信します。

https://youtu.be/t6HQ8qICzAI

コメント、高評価頂けたら励みになります。チャンネル登録、シェアもよろしくお願い致します。



 

サービスの本質やクレーム対応について発信している身として、考えさせられる場面に遭遇しました。

 

旅の最終日。プラチナチケットである近鉄観光特急「しまかぜ」のサロン席を1か月前に確保して、それはそれは楽しみにして、賢島駅から名古屋に向けて出発しました。

 

賢島出発時は車内はガラガラです。ほとんどの乗客は鳥羽、伊勢市からの乗車。案の定、伊勢市で車内は満席になりました。


サロンは開放型で密閉はされておらず(往年のブルートレインB寝台のような作り)、4号車に3室あります。


私たちは真ん中の2番。

 

伊勢市で両隣にグループが乗車して来たのですが、隣(1番)に乗り込んできた男性6名グループが席に着くなり大宴会を始めました。


すでに相当飲んでいたようで、乗り込んで来る時にすでに大声で騒ぎながら着席。


4合瓶と思われる日本酒をプラスチックのコップになみなみ注いで、大声で騒ぎ始めました。年齢は60代と思われますが40代くらいの若手も混ざっています。

 

6名の中の年長と思われる高齢男性の笑い声、大声が車内に響き渡ります。和民の大学生の大宴会でも、もう少し声のトーンは低いのではないかと思う、品のないおっさんの宴会。


スルメやらつまみの臭いも車内に充満しています。

 

「ダメだこりゃ、車掌さんが巡回して来たら注意してもらおう」


と思っていたら、反対側のコンパートメントの乗客が苦情を伝えたらしく、車掌さんが来て「お客様、お楽しみのところ恐れ入ります。他のお客様もいらっしゃいますので、もう少し声のトーンを落としてお楽しみください」と諭しているのが聞こえます。

 

やれやれ。


おじさんたちは注意された小学生のように一瞬静かになりました。

 

「ああ、良かった」

 

と、車掌がその場を離れると、また騒ぎ出しました。

 

ああ…


と私たちが呆れていたら、苦情を言ったグループがまた車掌室まで言いに行ったようで、しばらくすると今度は車掌さんがすっ飛んできて、「お客様、もう少し小さな声でお願いします」と再度、注意。

 

車掌が離れると、秒でまた大声の宴会が始まります。6名のうち、大声で騒いでいるのはどうも二人のおっさんなのですが、年長だからか、誰も諌める人がいないようです。

 

3回、4回、5回と同じことが繰り返されて、その度に車掌さんは私たちのところへ来て、「静かにしていただけないでしょうか?」と泥酔老害に低姿勢で「お願い」し、


その足で私たちのところに来て帽子を取り、ひざまづいて土下座をするような姿勢で「本当に申し訳ございません」と謝るのです。何度も何度も謝るのです、車掌さんが。

 

私は「謝るのは車掌さんではないですよ。車掌さんは悪くない、お願いだから謝らないでください。それよりも、迷惑行為をやめない乗客に対して、毅然とした態度で注意して、やめないようなら電車から下ろしてください」とお願いしました。

 

車掌さんは土下座するような姿勢で「本当に申し訳ございません」と頭を床にこすり付けるように、私たちに謝罪します。

 

状況が変わらないので、私は隣のコンパートメントに行き、相変わらず大騒ぎしている男性グループに対して、「うるさいんで静かにしてもらえますか」と強い口調で注意しました。強い口調で。


ところが「すみません」と謝るどころか、「うるせーのはお前だよ」と悪態をついて来ました。

 

いやはや。

 

埒があかないので私はその場にいた車掌さんに「この人たち、何度注意しても騒ぎもやめないし、反省もしていないようだから、運転指令に連絡して、次の四日市で下ろしてください。これは明らかな車内秩序を乱す迷惑行為ですよね」と伝えました。

 

私の怒りも臨界点に来ていたので、車掌さんは私の強い口調に恐れをなしたのか、「わかりました。今すぐ指令に伝えて四日市駅で対応します」と言い、その場を去りました。

 

泥酔男性6名グループはもちろん1ミリも反省せず、車内販売の女性スタッフを呼び止めて、「おい、お姉ちゃん、日本酒くれや。あるだけ全部ね」と絡んでいます。女性スタッフは「ありがとうございます。在庫を確認します」と無線で日本酒の在庫を確認しています。


おいおい、どうなっているんだ近鉄。

 

車掌が私のところに「指令に連絡しました。四日市駅で駅係員が事情を伺いに来ますので、どうぞありのままをお話ください」と言います。


いやいや、事情を私に聞くのではなくて、騒ぎをやめない事情を加害者に聞かなきゃダメでしょう。というか、事情は車掌さんがわかっているのだから、即、強制下車一択でしょう。

 

「それより車掌さん、日本酒あるだけ売ってくれと言われて、応じているようだけど、売っちゃダメでしょ。ねえ、車掌さん、大丈夫?おかしいでしょ。」

 

車掌さんは帽子を取って、私に45度の腰を折る姿勢で「申し訳ございません、申し訳ございません」を連呼します。


クレーマーは僕ですか?

 

車掌さんすら完全に小馬鹿にした6名グループは変わらず大騒ぎ。大声で談笑する内容が丸聞こえです。伊勢神宮に正式参拝して来たそうで、パワーをもらいすぎて声が大きくなっているのだそう。ちなみに皆さん、スーツを着ていて、胸にはある団体のバッチを全員がつけていました。

 

経営者や会社役員なら誰もが知っているあの団体です。40〜50人でこのしまかぜに乗っているらしく、そのグループの一派が6人で座っているようでした。ちなみに車掌さんが車内を駆け回って悲壮感満載だったのは、この団体全体が酔っ払っており、他の車両でも苦情が相次ぎ、あちこちで謝罪を繰り返していたようです。

 

その団体の理念をウェブサイトで確認すると他人のことを思い遣り他人のために尽くすという人道的奉仕活動の理念」と書かれています。


片腹痛い。


有名なロゴのバッチだから、無頓着な私でも知っている団体です。みっともない。

 

車掌さんは私たちに「もし良かったら座席を移動できるように段取りします」と言うのですが、対応としては100%間違っています。


なんで私たちが移るのか、席を移動するのは加害側でしょう、とそれは断りました。こちらは足も悪く、車いすを使っている人もいるし、女性陣は恐怖で動悸がすると言ってます。

 

四日市駅に到着し、駅員がふたり乗り込んで来ました。「なんだ、下ろさないのか」と思いましたが、加害の自覚もない人たちが降りるはずもなく、揉めて電車が遅延するのは本意ではありません。私が乗務員なら引き摺り下ろしますけどね。

 

駅員2名は「私たちもこの電車で名古屋まで行きますので」と私たちに声をかけ、騒いでいる連中にも「名古屋まで乗って行きますので、よろしくお願いします」と伝えて、なぜかデッキに去りました。

 

駅員は扉の向こう、デッキに棒立ちしているだけです。ボルテージがマックスの泥酔男性は結局、名古屋駅まで大宴会を継続して降りて行きました。駅員さん、何しに来たんだ。

 

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鉄道会社がなぜ、車内の迷惑行為に対して腰が引けた対応しかできないのか。


私には理解できませんが、車内秩序(安全、安心、快適)が毀損されている状況に対しての、向き合い方のお粗末さ。

 

毅然と対応できない理由があるとすれば、

 

・そもそも酔っ払いが騒ぐ程度のことは問題だと考えていない

・注意、警告、強制降車、警察案件にして、逆にクレームになるのが怖い

・ことなかれ主義

 

あたりでしょうか。


迷惑行為の放置は鉄道会社の輸送の根幹である、安全、安心、快適が毀損されていると思うのですが、車内の迷惑行為を「マナー」と言うふわっとした言葉でやり過ごそうとしているのが諸悪の根源だと考えます。

 

出羽守と言われそうですが、ヨーロッパなどでは車内での飲酒は不可です(カフェ、レストラン、ビストロ車両などはOK)

飲酒は喫煙と同様、公共の場である車内では禁止行為なのです。

 

日本は元々、酔っ払いに寛容な社会です。

 

・酒の上の出来事だから

・無礼講

・酒を飲むと人が変わる


酔っていれば何をしても許される社会です。

 

「素面だといい人なのだけど酒を飲むと人が変わる」と言うのは違っていて、「酒を飲むと、その人の本性が出る」のです。


私も駅員時代は日常的に泥酔客に殴られました。


職場にも酒癖の悪い先輩は大勢いて、「俺の酒が飲めないのか」と怒鳴りながら、一升瓶を口に突っ込まれたこともあります。あの先輩方が人格者とは到底思えません。

 

泥酔した勢いでしか駅員を殴れない人たちが、素面の時にどんなに良い仕事をしていたとしても、リスペクトできませんよね。


控えめに言って人間のクズだと思います。


今回の輩はスーツ着て、慈善団体のバッジつけて、車掌や他の乗客を見下す人たち。


良き社会人であり、良き家庭のパパだとは思えません。家ではどんな父親なんだろう。

 

 

さてさて、長文の愚痴にお付き合いくださりありがとうございます。このような悲惨な現場に遭遇した鉄道マンの皆さんにお願いがあります。


迷惑行為に巻き込まれた善意の乗客たちは、「あなたたちの一挙手一投足」をじっと見ています。

 

毅然とした対応を取るのか、へこへこして手揉みをしながら、その場をやり過ごすのか。


今回の車掌さんもある意味被害者です。おそらくは組織としてリスクマネジメントができていない。

 

「車内の迷惑行為にどう対応するか」を明確に指示してもらえていないし、きちんとした教育を受けていない(ベテランっぽい車掌さんでしたが)

 

危険行為や迷惑行為、安全安心快適が毀損されている現場は「接客接遇マナー」で対応してはいけないのです。


接客接遇マナー講師の先生方がよくおっしゃるお花畑な「傾聴、低姿勢、ご納得いただけるまで丁寧な説明と理解」は平時においてのみ有効です。

 

車掌が制止しても応じない時点で「迷惑行為確定」ですから、おもてなしや傾聴など無意味です。イエローカード、次にレッドカードをビシッと出して、毀損されたサービスの現場を修復しないと取り返しがつかないことになります。

 

 

『鉄道営業法』42条1項4号

係員は、車内における秩序を乱す旅客を、車両外や鉄道敷地外に退去させることができる。

 

 

鉄道は不特定多数の旅客を、限られた空間に乗せて輸送する公共交通機関です。運送契約上、列車内で他の乗客に迷惑をかけたり、列車の円滑かつ安全な運行を阻害したりする、危険のある行為を鉄道会社は禁止できるのです。

 

鉄道会社は「サービス向上」を謳い、日々努力されていることは承知していますが、旅客輸送の本丸である「安心して乗れる鉄道」にまずは全力投球して欲しいものです。

 

 

<車掌さん、駅員さんへ>

車内での迷惑行為を現認したら、

 

1 へこへこせず、毅然とした態度で「他の乗客に迷惑を及ぼす行為である」旨を伝える(鉄道営業法に抵触している旨)

2 直ちにやめるよう警告する(イエローカード)

3 それでもやめなければ途中駅で強制下車になる旨、通告

4 悪態をついてきたり、指示に従わない場合は運転指令に迷惑行為を通告、途中駅で下車させる


理想は警察への通告、会社が事なかれ主義体質の場合は、必ず助役クラスに対応させる


5 車内放送、駅放送で「迷惑行為を排除するため停車している」旨を放送する

 

5は、加害者への見せしめではなく「当社は秩序を乱す行為を絶対に許容しない」との乗客への強いメッセージとなるのです。


「善意の乗客や女性や子供、障害がある方など交通弱者」が安心して乗れる鉄道会社を作るのがプロである鉄道員の使命です。違いますか。

 

 

事なかれ主義が蔓延した社会。


現場の第一線で働く鉄道員さんは会社が守ってくれないことも多く、やってられないですよね。若手の退職者が増えるのも仕方ないことです。

 

 

「本当に大切なことは何か」を見失った企業経営、腐った政治とズブズブで、利益至上主義。


人を大切にしない組織の弊害。


社員を大切にしない会社がお客様を大切に出来るはずがありません。

 

自分自身がその昔、乗務員として車内の迷惑行為に数えきれないほど対峙した経験があるだけに、今回の現場の対応はとても残念で悲しいものでした。なぜ毅然と対応してくれないのか。


とは言え、乗務員さんも駅員さんも悪くないのです。これは組織の問題です。

 

しまかぜ特別料金を払った挙句、居酒屋以下の空間で忍耐を強要された残念な時間でした。

 

今回、

私自身は泥酔者に対して、どう対応すれば状況が好転したのか、答えが見つかりません。


乗務員として取るべき態度はわかるのですが、たまたま乗り合わせたのがあなただとしたら、どうしますか。

 

ケンカを売る、以外で「自分ならこうするかな」と言うご意見をお聞かせください。

 

まとまりのない文章ですみません。

 

 

文責:高萩徳宗

2024年3月6日




 

 

 

先週金曜日は札幌で講演会、

昨日は勝川で共創セミナーでした。

 





コロナで人流が制限されていましたが、バーチャルではなく人と人が直接対話できる場作りは大切だと、改めて感じました。

 

今、長年お世話になっているオートネットワールド河合さんのオフィスでパソコンを開いています。

接客テーブルに「メニュー」が置かれていました。

 

1番「新車リース」から22番「ETCセットアップ」まで簡潔にメニュー化されています。

オイル交換にしても、ETCセットアップにしても、当たり前と言えば当たり前のことですが、「素人であるお客様の側から見たわかりやすさ」は大切です。

 

ご商売をされている皆さまは、一般公開するしないは別にして、まず「自分のサービスメニュー」を作って誰かに見てもらうのは面白いかも知れません。






 

 

【共創チームお誘い】

 

 

札幌での出版記念講演会、

勝川での共創セミナーにご参加いただきました皆さま、ありがとうございました。

 

何名かの方から

 

「共創チームって、私でも入れますか?」

「共創チームに入りたいのですがどうした良いですか」

 

と声をかけていただきました。

 

あまり積極的にセールス活動をしていなかったのですが、

メンバーの新陳代謝(という言い方は大変失礼かも知れませんが)

新しい仲間が増えるのはとても嬉しいことですので、

 

ご入会を検討されている方は、こちらのウェブサイトをご覧ください。

 

 

共創チーム

https://www.beltempo-kyoso.com/

 

年会費など

http://tinyurl.com/5b25tpxe

 

入会申し込みはこちらから

https://directform.jp/form/f.do?id=5083

 

ご一緒できますことを楽しみにしています。

 

高萩徳宗

 

【反省】三連休前の金曜日の夜だということを失念してました

北陸新幹線は満席&東横インも満室 高萩徳宗の旅に出たくなるチャンネル 

2024年2月9日22時からYouTubeライブ

https://youtube.com/live/5HVDLrUqPPo

 

 

明日、小海町の元青年団(平均年齢75歳」の皆さまの旅に交ぜていただけることになり、

夜のうちに佐久平まで移動して来ました。

 

私は自分ひとりの時は直前まで手配しないことが多いのです。

「なんとかなるさ、ひとりだし」

拘束を嫌う私はギリギリまで自由でいたい

 

呑気に構えていたら夕方の東京駅はカオス(インフルエンザ気をつけて)
年末の帰省ラッシュかと思う大混雑でした。

 

マイナス2度の佐久平からお届けします。

明日は上越妙高から高田の町を探索して

鵜の浜温泉に泊まります。

 

お年も召しているし貸切観光タクシーでと考えましたが

「電車で鵜の浜温泉まで行きたい」とおっしゃってくださいました。

電車が良いそうです。嬉しい旅のなかま。

 

明日は酔いつぶれていなければ鵜の浜温泉からライブをお届けします。

酒豪揃いだそうで、おそらく撃沈確率98%。

 

高萩徳宗