『黄帝内経』にみる人の一生 その3 | 春月の『ちょこっと健康術』

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おはようございます 

『黄帝内経(こうていだいけい)』にみる人の一生、『霊枢(れいすう)・天年篇』をその1その2とお届けして、10年ごとの変化についての記述にようやく入りますよ~。

某健康酒のCMでやってる「女性は7の倍数、男性は8の倍数」について、「女性は7年、男性は8年ごとに節目が来る?」で解説して、「『黄帝内経』が説く養生の大切さ その3」で補足してますが、そっち(素問・上古天真論篇)は女性49歳、男性64歳まででしたね。

こっち(霊枢・天年篇)は、ご長寿の百歳が話題の中心ですから、もちろん百歳までの記述があります。養生すれば百歳まで生きられるはず。とはいえ、だんだんと衰えてはいくもので、その変化がどんなものか、10年ごとに区切っています。

 黄帝が問う。「人の気の盛衰は、生まれてから死ぬまで、どうなっていくのか。」
 岐伯が答える。「人は生まれて10歳になると、それまで不安定だった五臓が定まり始め、血気のめぐりも順調になり、その気が下にあるので、よく動いて走り回るようになります。
 20歳になると、血気が盛んになり、肌肉がまさに成長を遂げようとするので、さらに機敏に動いて歩くのが速くなります。
 30歳になると、五臓は大いに定まり、肌肉は堅固で、血気は満ちて盛んになるので、穏やかに歩くのを好むようになります。
 40歳になると、五臓六腑や十二経脈がすべて大いに盛んで頂点に達しますが、肌のきめはやつれ始め、顔の色つやが次第に衰え、毛髪は白くなり始め、血気は揺るがず、座ることを好むようになります。
 50歳になると、肝気が衰え始め、肝葉が薄くなり、胆汁も減少するので、目がはっきりとは見えなくなってきます。
 60歳になると、心気が衰え始め、憂い悲しむようになり、血気が衰えてめぐりも悪くなるので、横臥するのを好むようになります。
 70歳になると、脾気が虚弱になり、皮膚が枯れてかさつくようになります。
 80歳になると、肺気が衰弱して、魄をとどめておけなくなってくるので、よく言い間違いをするようになります。
 90歳になると、腎気もやつれて、その他の四臓の経脈が空虚になります。
 100歳になると、五臓すべての経脈が空虚となり、神気がすべてなくなって、形骸だけが残り、死に至るのです。」

10歳までは子どもの身体だという認識ですね。子どもについては、「子どもの身体を東洋医学的にみると」にあるように、臓腑も気血も未熟で不安定。それがようやく安定し始めるのが10歳ということでしょうか。「気が下にある」というのは、丹田がしっかりしてくるってことかな。

五臓六腑の成長と気血の充足は、なんと!40歳がピークとされております。20歳でも30歳でもないんだ!そういえば、論語も「四十にして立つ」でしたね。とはいえ、頂点に達するということは、後はもう下り坂っていう意味なんですけどね。その証拠に、髪の色も、肌のきめも、顔の色つやも、み~んな衰え始めちゃうぅ。

『黄帝内経』で、ものごとを比較するときに、例えとして出してくる言い回しがうまいなぁ~と思うことがよくあるんですけど、これもそうです。10歳は「よく走る」、20歳は「速く歩く」、30歳は「歩く」、40歳は「座る」、60歳で「横になる」。思い当たる節が…。

十二経脈は、東洋医学講座のNo.71No.72 にあるように、気血の流れる幹線路で、五臓六腑と皮膚・肌肉・筋骨を連絡して、陰陽の調和をはかっています。

気が衰え始めるのが、50歳で肝気、60歳で心気、70歳で脾気、80歳で肺気、90歳で腎気。五行の木火土金水の順に弱っていくんですね。東洋医学講座No.7にあるように、木生火、火生土、土生金、金生水ですから、木の肝が弱れば、火の心が弱るというように順繰りに弱る。

肝は目に通じている(東洋医学講座No.10)ので、肝気が弱ると、目がしょぼついて、よく見えなくなります。これは、50歳になると、老眼が始まるって言ってるワケですね。

心は血脈をコントロールしている(No.9)ので、心気が弱れば、血脈の流れが悪くなって、栄養が十分に行きわたらなくなるから、疲れやすくなって、横になりたがるということでしょう。

脾は昇清・運化をつかさどる(No.11)ので、脾気が弱ると、栄養補給や水分代謝に影響が出ます。で、一番外側の皮膚が、最初に乾き始めるってことかなと思います。あるいは、土である脾が弱ることで、金である肺(No.12)に影響して、皮膚が弱るという解釈もできなくはない。

肺は魄を貯蔵しています(No.24 )。肺気が弱って、魄が抜けてしまうと、注意力が散漫になって、日常的な動作や言葉が出てこなくなります。認知症の始まりってところでしょうか。

腎は精気を宿し(No.13)、生命活動の根本です。90歳で腎気が衰弱し、100歳で腎気が枯渇して、神気(No.24「またも気について考えてみる」)が無くなれば、それは死を意味します。

それぞれの年代ごとに、うまいこと説明してるな~って思いますけど、よく考えたら、年代ごとの特徴をひっぱり出してきて、それに合うような説明をつけてるだけのような気もします。それにしても、現代人でも、そう大きくは違っていないように思いますけど、いかがでしょうか?

一天一笑、今日も笑顔でいい一日にしましょう。

サザンカ 
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