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年齢によるからだの変化について、『黄帝内経』が言及しているのは、『黄帝内経』が説く養生の大切さシリーズのその1、その2、その3でお届けした『素問』の第一『上古天真論篇』だけではありません。
人の生長老衰がどのように進み、体質や性格がどんなふうに影響し、人の寿命の長短がどういった要素で決まるか。人の一生を一般的にとらえたケースが、『霊枢』の第五十四『天年篇』に書かれています。
『素問・上古天真論篇』では、「女性は7年、男性は8年ごとに節目が来る?」でご紹介したように、女性7年・男性8年周期で説明されてましたね。それを踏襲しているかと思いきや、『霊枢・天年篇』では、男女の別なく、一般的な法則として、10年単位で説明されています。
黄帝が岐伯に質問した。「人が生を受けるとき、何の気を基礎として、何を防御とするのか。何を失うと死に、何を得れば生きられるのか。」
岐伯が答えた。「母親を基礎とし、父親を防御機能とします。神気を失えば死に至り、神気を得れば生きることができます。」
黄帝がさらに問う。「神気とは何か。」
岐伯が答える。「血気が調和して、営衛が順調に運行し、五臓が形成され、神気が心に宿って、魂魄も備わったならば、そこで一個の人体ができあがります。」
「母親を基礎とし、父親を防御機能とする」なんて、いったい何のこっちゃ?『黄帝内経』の表現はシンプルで、原文では基と楯になってて、これを基礎と防御機能としたんですが、それでもまだよくわかりませんね。
東洋医学講座No.13 やNo.24にあるように、生長・老化に深く関わるのは腎精(腎に貯蔵される精気)です。腎精は、両親から受け継いだ先天の精と、飲食によって得た後天の精が合わさったもの。そして、その腎精から天癸(てんき)という生殖物質がつくられます。
ということは、お母さんとお父さんの天癸の結合、すなわち天癸の元となる腎精が合わさって、生命が誕生するということになります。
東洋医学では、東洋医学講座No.2とNo.3、「あらためて、陰陽って何?」 あるいは「宇宙も人も陰陽の法則で変化する?」にあるように、人のからだも陰陽の法則に従います。
そこで、男女の腎精の結合という生命の誕生を陰陽の法則でみると、からだの内部が陰で外部が陽、血が陰で気が陽ですから、陰血が内部で基質となり、陽気が外部で護衛となって、ひとつのからだができあがっていくと考えることができます。さらに、女性が陰で、男性が陽です。
ということは、内部・陰血・基質・母親、外部・陽気・護衛・父親というつながりで、「母が基、父が楯」という表現になったと考えられるワケです。参考にしたのは、『現代語訳 黄帝内経 霊枢』(東洋学術出版社)です。
神気については、東洋医学講座No.24 や「またも気について考えてみる」、「目は口ほどにものを言う」で取り上げてますので、そちらを見てくださいね。
一天一笑、今日も笑顔でいい一日にしましょう。
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