【帚木411-3】「言伝てやる」とは
源氏物語イラスト訳のあいです
さあ!今日は重要古語!
毎日、少しずつ入れていきましょぉ♪
(ノ´▽`)ノ
【今回の源氏物語】
人知れぬ御心には、いと胸いたく、言伝てやらむよすがだになきをと、かへりみがちにて出でたまひぬ。
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今回出てきた古文単語
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■【人知れず】…人に知られないで。ひそかに
■【御心】…(光源氏の)お心
■【に】…場所の格助詞
■【は】…提示の係助詞
■【いと】…とても
■【いたし】…苦痛だ。つらい
■【言伝て(ことづ)て】…伝言。ことづけ
■【やる(遣る)】…送る
■【む】…婉曲の助動詞「む」の連体形
■【よすが】…手段
■【だに】…~さえ(類推の副助詞)
■【なし】…無い
■【を】…対象の格助詞
■【と】…引用の格助詞
■【かへりみる】…ふりかえって見る
■【―がち】…とかく―することが多い
■【にて】…状態の格助詞
■【出(い)づ】…出る。出立する
■【―たまふ】…作者⇒光源氏への尊敬
■【ぬ】…完了の助動詞「ぬ」の終止形
↑単語の意味と文法的説明です。
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1.今日の古語 「言伝て」
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「言伝て」とは、「ことづて」と読みます。
漢字を見ると、意味はおのずと分かりますよね。
【伝言】
まさにその意味です☆
(o^-')b
(名詞)
①口実 (※「ことづけ」のみ)
②伝言。ことづけ
*「学研全訳古語辞典」より
「ことづて」を辞書でひくと、
「ことづけ」の②を見てくださーい
と書かれています。
そんなに覚えるべき古語でもないし、
単独で入試に問われることもないでしょうが、
…ならば、次の問題ならどうでしょう?
ヽ(゚◇゚ )ノ
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私大マーク古文 例題
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問題)傍線部の解釈として最も適当なものを、次の中から選べ。
1.逢うことはもちろん、後朝の手紙を添えて伝言を申しつけることさえもできないはがゆさ。
2.もはやこれ以降は、逢いたいという伝言さえももらえないであろうということに対する恨み。
3.空蝉との初夜なのに、後朝の伝言を送ることすらできなかったことに対するうしろめたさ。
4.空蝉からの伝言を届けてくれるはずのよりどころとなる人物もいないことに対する悲しさ。
5. 逢いたいという気持ちはあるものの、実際には伝言で済ませようとする光源氏の狡猾さ。
単語の意味が文脈にマッチできるかという問題☆
私大推薦やMARCHレベルで出題されそう♪
▽ ̄)ノ″
※答えはいちばん下にあります。
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☆傍線部の重要古語に着目☆
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前回と同じく、
傍線部の中に、重要古語がいくつも入ってますね。
(;゚;∀;゚;)
そういう場合は、
一語一語の語義をきちんと確認して、
選択肢と照らし合わせます。
重要古語のポイントは次の3つ☆
■【む】…連体形なので【婉曲】の助動詞
■【よすが】…ここでは、手段の意
■【だに】…【類推】の副助詞「~さえも」
国公二次や関関同立レベルでは、
【だに】の類推を記述する問題
なども出題されますが…
(;゚;∀;゚;)
今回は、産近甲龍レベルですので、
【だに】がはっきりしなくても
解ける仕様になってますっ♪
【む】【よすが】の識別方法については、
下の過去記事リンクも、また見ておいてね♪
(o^-')b
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2.今日の古語 「やる」
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で。
「ことづてやる」の、「やる」の方に着目☆
(ラ行四段活用動詞)
①行かせる。出発させる。派遣する
②(手紙や物を)送る。届ける。贈る
③晴らす。気を晴らす。なぐさめる
*「学研全訳古語辞典」より
「言伝て」は「伝言」のことですので、
「やる」は明らかに②の意。
ヽ(゚◇゚ )ノ
「言伝て―やる」で、
「伝言を―送る」という意味となります。
以前に何度も書いておりますとおり、
平安当時の貴族生活は、
「通い婚」が主流で、
男が女のもとに通って来て、
一夜をともにし、
明け方に帰って行く。
そして次の日には、
「後朝(きぬぎぬ)」の手紙や歌を
従者を通じて送る。
という流れで、デートが成立していました。
…そういう古典常識にも、
「やる=②送る」の意味はマッチしますね♪
ヘ(゚∀゚*)ノ
(〃∇〃)
2.もはやこれ以降は、逢いたいという伝言さえももらえないであろう(A)ということに対する恨み。
3.空蝉との初夜なのに、後朝の伝言を送ることすらできなかった(B)ことに対するうしろめたさ。
4.空蝉からの伝言を届けて(C)くれるはずのよりどころとなる人物もいないことに対する悲しさ。
5. 逢いたいという気持ちはあるものの、実際には伝言で済ませよう(D)とする光源氏の狡猾さ。
(A)
・「やる」がズレ(×:もらうのではなく送る)
・「む」の意味ズレ(×:推量ではない)
(B)
・伝言を送るのはこれからの予定であって、
過去のことではない(×文脈ズレ)
(C)
・「やる」ズレ(×:空蝉ではなく光源氏からの伝言)
(D)
・「やる」スギ(×:「送る」意味不足)
正解は……1
【今回の源氏物語】
人知れぬ御心には、いと胸いたく、言伝てやらむよすがだになきをと、かへりみがちにて出でたまひぬ。
● 過去記事リンク
■人
■心
■いと
■よすが
■たまふ
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今日もご訪問ありがとうございました☆
お役に立ちましたでしょうか?(o^-')b