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つい先日、
最近話題になっている「幹細胞コスメ」についてのコラムを書かせて頂きました。
→塗るだけでお肌を再生!? 「幹細胞コスメ」 について
で、この記事を書いて直ぐに
現在日本国内でヒト幹細胞培養液(成分名:『ヒト脂肪細胞順化培養液エキス』)の原料販売を手がけている
『アンチエイジング株式会社』
の代表者様からご連絡を頂き、
幹細胞エキスについてのもっと詳しいお話をお伺いする機会を頂きました。
↓こちらはその際に頂いた資料の一部ですね!
なんと社長様(!)が直々にご足労下さいまして、
とても丁寧にこの成分について説明頂けました。
流石かなりの知識をお持ちの方でいらっしゃって、かずのすけも安心してお話を伺えました(^^)
(たまにそういう成分の説明を頂くことがあっても、そういう担当の方は科学には素人の方が多くお話にならない場合がほとんどなのです…。。)
それで先日のブログでも書いた内容ですが、
僕も一部誤解していた部分があったなぁと感じまして
本日その補足/訂正及び雑感をまとめていきたいと思います。
乱文になりますがご容赦下さいませm(_ _)m
◎「幹細胞エキス」の誤解
まず『幹細胞』について、その概要は先日の記事に記載した通りということで良いと思います。
また僕は先日の記事で
「幹細胞エキスそのものには幹細胞は入っていない可能性が高い」
という風に話をまとめましたが、
これは本当に当たっていました。
現在化粧品成分として流通している幹細胞エキス(幹細胞培養液)は、
生体への危険性を除去するために細胞そのものは取り除かれていなければ商品化が認められないそうです。
僕が頂いた資料でもこれは明記されています。↓
化粧品成分名「ヒト脂肪細胞順化培養液エキス」は原料名では
『ADSC-CM』
という名前になっています。
実際に現在注目を集めている人口幹細胞は皮膚にもし着床すれば『ガン化』のリスクやアレルギー等の懸念がありますから、
安全性を第一にするには細胞そのものは抜かれていなかればならないそうです。
で、ここまではかずのすけの見解は大正解でしたが、
一般的には多くの人が誤解して認識しているポイントです。
①幹細胞培養液(幹細胞エキス)には「幹細胞」は入っていない。
しかしここからが僕も誤解していたポイントの話です。
僕は先日の記事では
「幹細胞エキスには幹細胞は入っていないから、ほとんど何の効果も見込めないだろう」
と結論付けています。
しかしこれは少し問題のある結論だったと思います。
幹細胞培養液は確かに幹細胞は入っていません。
なのでかずのすけはこれは「ほぼただの水」のようなものだろうと考えました。
実際に細胞は取っちゃっているわけですしね。
ですが、
実際には幹細胞培養液はそもそも幹細胞そのものの力で細胞を賦活させようという成分ではなかったのです。
この成分の目玉は、
幹細胞を培養した際に細胞が作る副生成物…
つまり様々なアミノ酸やタンパク質、成長因子(GF)などだったのです。
↓これはヒト脂肪細胞順化培養液エキスの原料中のタンパク質や成長因子を調べたデータです。
つまり幹細胞エキスには「幹細胞」そのものは入っていませんが、
幹細胞が作るコラーゲンやヒアルロン酸、EGF・FGFなどの成長因子は複数種類配合されていることになります。
コラーゲンやヒアルロン酸そのものには細胞の賦活効果はほぼありませんが、
EGFやFGFなどは細胞組織に直接触れさせれば細胞の増殖を促す効果があることは確かな事実です。
(もちろんそれを化粧品として皮膚塗布して効果があるか?というと別の話ですが)
なので、「幹細胞エキス=幹細胞入っていないから全く効果無し!」というのは少し言い過ぎでした。
少なくともコラーゲン・ヒアルロン酸による保湿効果はありますし、
うまく基底細胞層まで届くことが出来れば細胞の賦活効果もある…のかもしれません!
というわけで、
②幹細胞エキスはコラーゲン・ヒアルロン酸と成長因子ペプチドの複合成分。
(→よって保湿作用・細胞活性効果が見込める?)
以上①・②の二つのポイントが幹細胞エキスに対して我々消費者が持っている大きな誤解点だと思います。
◎幹細胞培養液の効果と安全性について
さてここまでが今のところ僕の判断でも確実に言えることです。
ただ実際に最も重要なのは
「結局この成分は効くの?安全なの?」
ということだと思います。
これについては一応先方から資料を頂き、
また先日のフレグランスジャーナル10月号にも論文が載っているので
それを参考にしますと、
『試験管内試験』では、
・細胞増殖効果 ・コラーゲン発現効果 ・ヒアルロン酸発現効果
・美白効果 ・紫外線抑止効果
などが確認されています。
『生体臨床試験』では、
・シワ改善効果
などが確認されている、と書いてあります。
また聞いた話でしかないので真偽の程は不明ですが、
実際にこちらの成分を推奨濃度で配合した化粧品を塗布しておくと
みるみるお肌が若返ったようにお肌が綺麗になるそう。
また安全性に関してもかなり厳重な基準の元作られているのでとても安全性は高いのだとか。
成分の開発は元々韓国で創薬に携わっていた元大学教授が所長を務めるバイオ研究所で作られているもので、
ドナーの選定から施設の環境管理、成分の試験検査など含めておびただしい管理基準が設けられているそうです。
(細胞の培養は医薬品用の管理基準に従ったクリーンルームで行われているるということです!)
ちなみに原材料は「ヒトの脂肪」なのですが、
ドナーとして一体だれから採取した細胞かも研究所で管理しているそうで、
脂肪吸引などの医療廃棄物を使用しているわけではないそうです。
細胞にも適正はあるので一から適正試験もして、
相応しいヒトの細胞からしかこの成分は作られていないらしいですね。
特にこの成分は「生体由来成分」という特殊な成分なので、
化粧品成分への登録の際にもとても大変な安全管理基準をクリアしなければならないのだそうです。
なので会社の言い分としては
「効果もあって、とっても安全!」
なのだということ。
もしホントにそうであればそれは夢のような成分ですね!
◎しかし現段階では「なんとも言えない」のが実情
しかし実際にはこれは作っている会社が提示しているデータなので、
それがホントかどうかは正直何とも言えません。
むしろかずのすけとしてはやはりまだ完全に信頼するのは難しいと感じています。
例えば先ほどお見せした成分組成の表があると思います。
こちらの表の「Concentration(濃度)」と書いてある所を見ると、
単位が『pg/mL』となっています。
『pg』とは、「ピコグラム」のことなのですが、
これは1pg =0.000000000001gというとても小さい値を表しています。
なので例えばEGFの量が「10032」とありますが、
実際には0.000000010032(g/mL)なんですよね。
これはもうほぼゼロと言っても過言ではないわけです。
これってホントに有効な濃度なの?ととても疑問に思います。
またこの成分の推奨配合濃度も結構驚きの数値で、
メーカー推奨値が「10%」です。
この原料は幹細胞培養液30%の溶液だそうなので、
培養液10%のコスメを作ろうと思うと
化粧品の約1/3程度をこの原料が占める必要があります。
普通化粧品のメイン成分になっているBGとかグリセリンみたいな基剤がありますが、
これですら5%~8%程度の配合が一般的です。
普通のエキスとかの美容成分なら1%も配合しないものです。
実際この原料価格で10%のクリームを作ろうと思うと、
製品は原材料費だけでも普通の化粧品が何個も買えるくらいの価格になります。
そこに広告費・処方・製造・梱包・流通・利益などを入れたとしたら…。。
まず価格的にも現実的ではない化粧品ということになりますね(^o^;)
論文で「効果があった!」として出して来ているデータの濃度も10%と30%になってますから…(^_^;)
普通の化粧品での配合にしてその通りの効果を期待するのはまず難しいだろうということなのです。
そもそも幹細胞培養液は分子の大きいタンパク質とかペプチドの複合成分なので、
それなりの高濃度にしてそこそこ長い期間大量に塗り続けるでもしなければ
皮膚の内部に浸透して効果を発揮するなどまず不可能なのです。
(実際に幹細胞培養エキスの効果は2ヶ月くらいは使わないと見えてこないのだそうですし…。)
そのため、こちらの成分で効果を求める場合は莫大な濃度の配合が必要になるというわけです。
これはやはりコスト的に現実的ではないように感じます。
また安全性についても今のところは会社の言い分を丸呑み出来る状況ではありません。
幹細胞エキスのコスメは現在では韓国やアメリカでかなり売れていてそこそこ使用者も増えており、
これまで大きな健康被害の報告も一応は無いそうです。
高濃度で配合すれば実際にはシワ等が薄くなると人気で使う人が多いのだとか。
(でも殆どの会社は1%くらいしか配合してないとも言ってました…;)
ですがまだまだ新規材料であることには違いは無く、
10年20年のデータの蓄積があるわけではありません。
社長は「生体から取り出した成分だから副作用は無い」と仰っていたのですが、
正直なところ僕はそれは「どうかな~」と思っています(^_^;)
化粧品というのは毎日それなりの頻度で使っても身体に異常を来してはいけないわけです。
もし使うとみるみる若返るコスメが出来たとしても、
人の肌の細胞の分裂回数には限りがあり、活発化しすぎると分裂回数を早く消費して逆に肌を老いさせる原因になる…
という説(テロメア説)が本当だとすると
悪戯に肌の細胞分裂を活性化するコスメは老化の促進となるとも言えます。
また活性化された細胞がガンになる可能性も全く無いとは言いませんし、
さらに細胞活性の信号を出す効果を化粧品に頼りきってしまうと
自分の身体そのものが信号を出すのを忘れてしまうかも知れません・・・。
(ステロイドのように)
もちろんそんな話が実際にあるわけではなくて単なる想像ですが、
ただ僕はそういう可能性もなくはないと思っています。
成分自体に副作用が無くても、効果そのものが副作用になることは往々にしてありえるのです。
少なくとも10年くらいの蓄積がなければ
「安全だ!副作用の心配は無い!」
と断言することは難しいでしょう。
なのでこの成分を各社に説明に行っても、
大きな化粧品会社は大抵
「凄く面白い成分だと思うけど、まだ早いかな?」
という対応になってしまうのだとか。
それはかずのすけも同じ印象を受けました。
もしほんとに効果もあって副作用も無いのであれば、
それはそれは凄い成分ということになりますけどね!
もっとコストダウンして安全性が確実であることが分かったならば、
とても面白い有用性のある化粧品原料と言う事が出来るでしょう。
ということで、
とても長くなりましたが本稿は以上です!
また関連内容の雑感等を後日ぼやき記事でお話したいと思いますm(_ _)m
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