『スサノオとタケミナカタの真実を巡る旅』。
4話目.タケミナカタが呼んでいる
5話目.タケミナカタの叫び
6話目.神は人の敬によりて…
7話目.最強の武神再び…
8話目.伝説の星の神
10話目.タケミナカタとは何者か?
11話目.日本史上初の王、再び…
12話目.海底に沈んだ神
13話目.コトシロヌシの真実
14話目.ヤマタノオロチと生贄伝説
コトシロヌシとタケミナカタ。
抑えるために、
神柱となり、
犠牲となった、
この兄弟神の真実を、
僕は伝えなければならない。
そして古事記の中での、
ヤマタノオロチ伝説から見た、
日本の『人身御供』の歴史を
掘り下げるために、
『生贄』。
詳しく知る必要がやって来た。
そのために赴いたのはここ、
タケミナカタさんを祀る、
諏訪神社の総本社である、
長野県は、『諏訪大社』。
僕はもうすでに知っていた。
何の因果か、
美保神社に続いて、
タケミナカタさんを祀る、
この諏訪の地の祭りに今も、
この国の、
『生贄』の文化の名残は、
存在していると。
今この現代に続いているものであっても、
美保神社の『青柴垣神事』と同様に、
その起源、理由が明確でないものが、
多くあるという。
諏訪大社では、
起源無き『奇祭』が、
あまりに多すぎる。
まずは毎年元旦に行われる、
『蛙狩神事(かわずがりしんじ)』。
諏訪大社前宮のご神域を流れる、
御手洗(みたらし)川の底を掘り返し、
冬眠したアカガエルを2匹、
生きたまま捕らえる。
そして拝殿正面でアカガエルを矢で射抜き、
生贄として捧げ、
国家平安と五穀豊穣を祈願する、
お祭りだという。
『御頭祭』。
約1.5メートルの御贄柱(おにえばしら)という木の柱と、
剥製の鹿の頭が3頭供えられるご神事だが、
明治時代までは、
鹿の頭を75頭供え、
その他の供え物として、
白鷺、白兎、雉子、山鳥、鯉、鰤、鮒などの肉を、
備えていたという。
神官たちが供え物を下ろして食べ、
酒を酌み交わす。
その後、御贄柱を飾り立て、
神の代わりともされる、
紅の着物を着せられた、
御神(おんこう、おこう)という、
8歳ぐらいの子どもが、
この柱に縛り付けられる。
諏訪の国司の使者の乗った馬が登場して、
それを止めさせ、
御神は解放され、
この奇祭は終わるという。
この旅の最初の方でもお伝えした、
満6年間隔(数え年の7年目ごと)で行われる、
『御柱祭』。
山中から御柱として、
樅の大木を16本切り出し、
山から曳行(※えいこう 引っ張っていくこと)し、
後にその柱を4カ所の各宮、
(上社本宮・前宮・下社秋宮・春宮)に、
4本ずつ建ててご神木とする。
『ご神木』である。
にも関わらず、
傷だらけになるまで山中を引きずり回し、
人が土足で乗り上げ、
まるで人の血を、
欲しているかのように、
不慮の事故で何度も、
人が死んでも継続されるという。
一体何の意味があるというのか…?
これらの祭りを、
地元の方々も、
諏訪大社の方々も、
その由来については、
分かり兼ねるという。
しかしコトシロヌシさんが、
海に身を投げ、
その身を捧げた、
犠牲の象徴と考えられている、
『青柴垣神事』が、
美保神社で行われていて、
同様に、
タケミナカタさんが鎮まる、
この諏訪の地で、
これらの生贄の奇祭が、
今もこの現代で行われている。
これを果たして、
偶然で終わらせて、
良いものだろうか?
一通りの参拝を済ませ、
僕らが次に向かったのは、
諏訪大社上社本宮から、
車で約5分程度のところにある、
この地方の歴史をまとめた、
『神長官守矢史料館』。
かつて神前に供えられていたのであろう、
ウサギの串刺しの剥製や、
鹿の頭の剥製、
鹿の脳みその和えた模型などが、
展示されていた。
僕はこれらの展示物を眺めながら、
思いを馳せた。
この生贄を捧げる先に、
古代の人々は一体、
何を見ていたのか?
誰が何のために、
この諏訪の地で、
これだけの血を、
捧げようとしたのか?
誰も知らないその答えを、
僕は知らなければならない。
この、
『タケミナカタの真実を巡る旅』は、
終わりを迎えるのだろう。
様々な疑問と思いが、
頭の中を行き来する中、
神長官守矢資料館を出た。
すると少し見上げた小高い場所に、
いくつかのお社があるのが見えたので、
そこに行ってみた。
ここに赴いた時、
目についたことがあった。
ここのお社のすべてにも、
諏訪大社と同様に、
そのまわりに、
4本の柱が立てられているのである。
この諏訪の地域のお社のほとんどに、
この柱は立てられているらしく、
恐らく諏訪大社の御柱を、
由来としているのだろうが、
その意味を少しでも知りたくて僕は、
この御柱に触れてみた。
この場所に於ける、
この『柱』からの声が、
聴こえてきた。
その声とは…?
『我らは、柱なり…。
この諏訪の地で、
国が二つに裂けることを防ぐ、護国の柱なり…』、
という声だった…。
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