わぶろぐ一覧。(このブログは過去の再投稿です)
 
これは、大阪大学大学院・生命機能研究科および医学系研究科教授の仲野徹さんという方が、「HONZ」という「おすすめ本」を紹介するサイトで書かれた「ちくわぶの世界」の書評「『ちくわぶの世界』を読んで悔い改めよ!喰い改めよ!」がYAHOO!ニュースに取り上げられたものです。
 
もともとの書評は、2020/2/4に「HONZ」のサイトに掲載されたのですが、2020/2/14にYAHOO!ニュースで取り上げられたことにより、各種ニュースサイトなどにも転載され、かなりの反響を呼んでいます。
 
書評の内容は、丸山晶代さん著の「ちくわぶの世界」を「おすすめ本」として紹介しつつも、ちくわぶ自体は「まずい。まずすぎる。」とディスりまくる内容となっています。
 
 
そして、このニュースは、かなり多くの方にリツイートされています。
 
それらの中には「他所の地域の食文化に対する敬意に欠けた腹立たしい記事」「これ書いたやつ嫌い」「よそ者に不味いとかガタガタ言われたくねーわ。」「ちくわぶを冒涜するのは許しがたいのである」「否定から入るクソみたいな記事。」など、「ちくわぶはまずい」という主張に対して否定的なコメントが付記されたものが比較的多くあります。
 
勿論、仲野教授と同意見の方のリツイートもあります。
 
またこの記事を読んで「ちくわぶが全国区でなかったことを初めて知った」という意味のリツイートもありました。
 
私も、著者の丸山さんも「ちくわぶを全国区にしたい!」という思いから、日々損得勘定抜きにちくわぶ活動を続けています。
 
その意味では、この書評が掲載され、YAHOO!ニュースにも取り上げられたことは、ちくわぶに対する世間一般からの関心を高め、ちくわぶ好きの人に取ってはそのちくわぶ愛を再認識する機会となったという意味で、非常に効果的なことだと大変感謝しています。
 
「ちくわぶはまずい」という趣旨ではあっても、それが回りまわって、ちくわぶの知名度を上げることに貢献してくれているのですから、それはそれで大変有難いことなのです。
 
まず、その意味で、書評を書かれた仲野教授には、他意無く深く御礼を申し上げたいと思います。
 
まことにありがとうございました。
 
そしてここで、関越ながら、私がAmazonのサイトに投稿した「ちくわぶの世界」のカスタマーレビューを紹介させていただきます。
 
世界のちくわぶ
2019年12月4日
私は「ちくわぶが嫌い」だという人の気持ちが判らないでもありません。
「竹輪でも麩でもないクセにちくわぶを名乗るのは生意気」「ぶよぶよねちねちしていて気持ち悪い」「味が無く粉っぽくて不味い」「小麦粉の固まりだ」
これらは全て真実です。
特に、コンディションの良くないコンビニのちくわぶで初体験をした人が「ちくわぶ=不味いもの」と刷り込まれてしまうのは、全く無理の無いことだと思います。
但し、これらはちくわぶのほんの一面でしかないのです。
人にも必ず、良い面とそうでない面があります。完全な人間なんていないのですから。
もしあなたが、自分の良くない面だけを捉えられて、それを全てとして人格を評価されてしまったとしたら、どのように感じるでしょう?
本書の著者の丸山晶代さんは、ちくわぶを全ての面から掘り下げて、ちくわぶの魅力を余すところなく伝えてくれています。
この本は、もちろんちくわぶを好きな人、ちくわぶを知らない人にも読んでいただきたいのですが、敢えてちくわぶを嫌いな人にもお勧めしたいと思います。
きっと、ちくわぶに対する認識や見方が変わり、帰りにスーパーに寄ってちくわぶを購入せざるを得なくなることでしょう。
ちくわぶの魅力を世界に発信するために、近く「World Wide Wabu Consortium(W3C)」が設立されるという噂も聞きます。
「ちくわぶの世界」を起爆剤として、「世界のちくわぶ」となる日も遠くありません。
 
上述の通り、私はちくわぶを忌み嫌う人が沢山いることをリアルに知っています。
 
実は、私の嫁さんもその一人だったりします。
 
ちくわぶを嫌いになってしまう理由はいろいろあると思います。
 
嫁さんの場合は、どういう物だか全く判らないまま口に入れたため、予想と全く異なる味と食感に驚いて思わず吐き出してしまい、以来、憎悪するようになった、ということです。
 
もうひとつ、私は「どうしようも無く不味いちくわぶ」というものも存在すると思います。
 
まずい出汁で炊かれて、ぶよぶよぐずぐずになったちくわぶを初体験の人が食べたら、かなりの衝撃を受けても不思議では無いでしょう。
 
私は以前、とあるラーメン屋で、インスタントの麺が伸びたようなものに、醤油を薄めた感じのスープをかけたようなラーメンを出されたことがあります。
 
このようなラーメンを生まれて初めてのラーメンとして食べたら、「ラーメン=不味いもの」として、以来、全くラーメンを食べなくなってしまうでしょう。
 
そしてそれはその人に取って、全く不憫で気の毒なことだということは、日本人であれば容易に理解することができるでしょう。
 
ただ、私は「ちくわぶは不味い」と確信している人に対して、無理に美味しいちくわぶを食べていただきたいとは思わないのです。
 
ちくわぶは、味付け、切り方、炊き加減、食べ方や、それこそメーカーによっても大きく味わいが異なります。
 
まして、おでんだけでなく、煮物、炒め物、焼き物などに使えば、それぞれで全く食感や風味が異なるのです。
 
そういったちくわぶバリエーションや様々な魅力を楽しめるのは、ちくわぶらばーならではの特権なのです。
 
そして、「反ちくわぶ派」が少なからず存在することも、「ちくわぶを全国区に!」という私の思いのエネルギー源となっています。
 
「ちくわぶ派」に叩かれることが判っていながら、敢えてちくわぶを全否定するような書評を書くような方には、その信念を貫き通して欲しいとすら思っています。
 
美味しいちくわぶを食べることで「反わぶ派」から「わぶ派」に境を飛び越えて来てくれる人も中にはいるでしょう。
 
ただし、経験的には、そう簡単にはその印象は変わりません。
 
ちくわぶは、好きな人には「偏愛」と言えるほどの愛され方をしている反面、嫌いな人にはこの世のものとは思えないような嫌われ方をするという、両極端な面を持つ、珍しい食べ物です。
 
そして、それを当たり前に食べて来た人に取っては「全国区ではなく、ごく一部の地域でしか食べられて来なかった」ということが信じがたい、という意味でもオリジナリティの高い食べ物です。
 
ちくわぶを知らない人、ちくわぶをまだ食べたことの無い人には、是非チャレンジしていただきたいとは思います。
 
ちくわぶは嫌いだけれど、美味しいちくわぶがあるなら再チャレンジしてみたい、という人も決して拒みません。
 
ちくわぶは、懐が深いのです。
 
ただ、その際には、予備知識を持っておいてください。
 
「ちくわぶは、小麦粉と水、メーカーによってはそれに塩を加えて練り上げたものです。それ自体にはほぼ味はありません。うどん似た部分もありますが、うどんよりもだしの味や味付けに左右されます。煮込みの浅いちくわぶは、粉っぽい感じを残している場合もありますが、そういったちくわぶが好きだという人もいます。逆に煮込まれてくたくた、でろでろになったちくわぶが好きだと言う人もいます。ちくわぶメーカーの中では、「川口屋」のものが最も型崩れしにくく、ちくわぶ好きの中でも評判が高いものです。おでんのちくわぶは、上質な出汁で、旨味の詰まった練り物などと一緒に炊かれることで、それらの旨味を吸い込み、それを味わう食べ物です。すいとんとは似ている部分が多く、すいとんが好きなのであれば、違和感無く受け入れることができるでしょう。ねっちりもっちりとした食感もちくわぶの魅力です。」
 
せめて、この位の説明を聞いた上で、ある程度の心構えを持って食べてみてください。
 
それでも、「自分には合わない」と感じられる方もいらっしゃると思います。
 
万人にとって「絶対に美味い」なんていう食べ物はこの世には無いのですから、仕方の無いことです。
 
特にちくわぶは、全ての人に受け入れられる類の食材ではないことも理解しておくべきだと思います。
 
味の好みは人それぞれ」であることは、私は実体験として身に染みていますので、「嫌い」だと言われてもショックは受けません。
 
私は、他人の味に対する感覚については、とやかく言うつもりは全く無いのです。
 
単にそれは、その人個人の印象であるというだけのことなのです。
 
おしまい