Bunkamuraザ・ミュージアムで「俺たちの国芳・わたしたちの国貞」を観た! | とんとん・にっき

とんとん・にっき

来るもの拒まず去る者追わず、
日々、駄文を重ねております。

kuni3 kuni2


Bunkamuraザ・ミュージアムでボストン美術館所蔵「俺たちの国芳・わたしたちの国貞」を観てきました。いわゆる「クニ・クニ展」です。観に行ったのは3月24日のことでした。


国芳、国貞といえば、本棚を見てみると、静嘉堂文庫美術館の「歌川国貞―美人画を中心に―」(平成8年発行)とか、府中市美術館の「歌川国芳展」(2010年発行)とか、「破天荒の浮世絵師 歌川国芳」(2011年発行)の図録が目に入りました。たぶん国芳を僕が最初に見たのは東京ステーションギャラリーの「国芳暁斎なんでもこいッ展」だったと思います。浮世絵のコレクションで定評のある千葉市美術館でも、国貞と国芳は観たことがあります。


煩雑になりますが、このブログに書いたものを下に載せておきます。

静嘉堂文庫美術館で「錦絵の美―国貞・広重の世界―」(前期)を観た!

千葉美術館で「江戸浮世絵巻」展を観た!

府中市美術館で「歌川国芳展」(前期)を観た!その1

府中市美術館で「歌川国芳」展(前期)を観た!その2

府中市美術館で「歌川国芳―奇と笑いの木版画」展(後期)を観た!

太田記念美術館で「破天荒の浮世絵師 歌川国芳」展(前期)を観た!

太田記念美術館で「破天荒の浮世絵師 歌川国芳」展(後期)を観た!

国芳暁斎なんでもこいッ展だィ!


また、ボストン美術館の浮世絵に限っても、今まで何度か開催されていました。


さて、Bunkamuraザ・ミュージアムの「ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞」、幕末に一世を風靡した天才浮世絵師、歌川国芳(1797~1861)と、歌川国貞(1786~1864)の作品170件(約350枚)が勢ぞろいしました。豪快で大胆な国芳、粋で緻密な国貞という、対照的な二人の浮世絵が一堂に会しました。しかも、まるで摺りたてのような保存状態のよさで知られるボストン美術館所蔵の浮世絵です。これは見逃すわけにはまいりません。


ウィリアム・スタージス・ビゲローが、1911年にボストン美術館へ寄贈した日本美術のコレクションのうち、群を抜いていたのは、歌川国芳と歌川国貞の二人の作品だったという。国芳が3200枚以上、国貞が9000枚以上という、膨大な数の作品でした。収集家によるさらなる寄贈を合わせると、ボストン美術館の日本の版画のコレクションはいまやその数52000枚以上だというからすごい。


国貞は19世紀の日本において、群を抜いて人気のある浮世絵師だったという。歌舞伎役者を誰それと判別できるように描いた役者絵や、流行最先端の女性を描いた美人画には、多くの需要があり、国貞は多作の絵師になりました。彼の良きライバルは、歌川派の兄弟弟子である国芳でした。国芳は過去の偉大な武士たちの戦や、彼らが超自然的な怪物と戦う姿を中心に据えた武者絵のジャンルを普及させました。


しかし、西洋の収集家や目利きの趣味は、人物版画から遠のいていったという。20世記のほとんどの日本と西洋の主要な浮世絵の権威たちは、19世紀の最も優れた版画は、北斎や広重による風景版画であると考えていたのです。しかも、国芳と国貞を「頽廃的」として退けました。時代は移り変わります。国芳と国貞は、今日の大衆文化と共鳴して、現代の鑑賞者の胸を躍らせています。


国芳によってユーモラスに描き直された日本の逸話や伝説や、ダイナミックなアクションシーンんが、いまや世界中で愛されているマンガやアニメの原型であることは、疑いようもありません。国貞の版画に鮮やかに描き出された、活気に満ちた幕末の都市文化は、現代の商業的なエンテーテインメントの世界と顕著な類似性をもっています。(「図録」による)


最初に出てくる国芳の「相馬の古内裏に将門の姫君・・・」や「讃岐院眷属をして 為朝をすくふ図」、そして最後に出てくる国貞の「江戸町壱丁目 扇屋内 花扇・・・」、この3枚で「国芳、国貞」の展覧会の、言いたいことをすべて表しているように思います。が、その他にも幾つか(多すぎるかも)、下に載せておきます。

展覧会の構成は、以下の通りです。


一幕目の一 髑髏彫物伊達男

一幕目の二 物怪退治英雄譚

一幕目の三 畏怖大海原

一幕目の四 異世界魑魅魍魎

一幕目の五 天下無双武者絵

二幕目の一 三角関係世話物

二幕目の二 千両役者揃続絵

二幕目の三 楽屋裏素顔夢想

二幕目の四 痛快機知娯楽絵

二幕目の五 滑稽面白相

二幕目の六 今様江戸女子姿

二幕目の七 四季行楽案内図

二幕目の八 当世艶姿考



一幕目の一 髑髏彫物伊達男



一幕目の二 物怪退治英雄譚




一幕目の三 畏怖大海原



一幕目の四 異世界魑魅魍魎




一幕目の五 天下無双武者絵



二幕目の一 三角関係世話物



二幕目の二 千両役者揃続絵




二幕目の三 楽屋裏素顔夢想



二幕目の四 痛快機知娯楽絵




二幕目の五 滑稽面白相


二幕目の六 今様江戸女子姿




二幕目の七 四季行楽案内図




二幕目の八 当世艶姿考




ボストン美術館所蔵「俺たちの国芳・わたしたちの国貞」

幕末の浮世絵両雄が渋谷で激突。

テレビやグラビア雑誌がない江戸時代、浮世絵は歌舞伎スターのブロマイドであり、最新のエンターテインメントやファッションを伝える重要なメディアでした。本展では世界に冠たる浮世絵コレクションで知られるボストン美術館より、幕末に絶大な人気を博した二人の天才浮世絵師、歌川国芳と歌川国貞の選りすぐりの作品で、江戸の世界を体感していただきます。二人は兄弟弟子でありながらその作風は対照的で、国芳は豪快な武者絵と大胆な構図で、国貞は粋な美人画や緻密な表現で一世を風靡しました。江戸の「俺たち」 は国芳が描く任侠の世界に憧れ、物語のヒーローの姿に自らを重ねあわせ、粋で鉄火な美人に恋い焦がれたことでしょう。一方で「わたし」は、国貞が描くキラ キラ輝く歌舞伎役者に熱い思いを寄せ、美しい女性の艶姿に夢を馳せたのです。本展では、江戸の国芳・国貞ファンたちと現代の私たちに共通する心情を探りな がら、直感的に鑑賞できることを目指します。


「Bunkamuraザ・ミュージアム」ホームページ

kuni1 ボストン美術館所蔵

「俺たちの国芳・わたしたちの国貞」

図録

執筆:松嶋雅人(東京国立博物館研究員)

セーラ・E・トンプソン(ボストン美術館キュレーター)

編集:日本テレビ放送網

Bunkamyuraザ・ミュージアム

神戸市立博物館

名古屋ボストン美術館

発行:日本テレビ放送網



過去の関連記事:Bunkamuraザ・ミュージアム関連

Bunkamuraザ・ミュージアムで「英国の夢 ラファエル前派展」を観た!
Bunkamura ザ・ミュージアムでウィーン美術史美術館所蔵「風景画の誕生」を観た!

Bunkamuraザ・ミュージアムで「ボッティチェリとルネサンス―フィレンツェの富と美」を観た!
Bunkamuraザ・ミュージアムで「夢見るフランス絵画」を観た!
Bunkamuraザ・ミュージアムで「だまし絵Ⅱ 進化するだまし絵」を観た!
Bunkamuraザ・ミュージアムで「デュフィ展」を観た!
Bunkamuraザ・ミュージアムで「ミラノ 華麗なる貴族コレクション」を観た!
Bunkamuraザ・ミュージアムで「シャヴァンヌ展」を観た!
Bunkamuraザ・ミュージアムで「山寺後藤美術館展 バルビゾンへの道」を観た!
Bunkamuraザ・ミュージアム「レオナール・フジタ―ポーラ美術館コレクション」!
Bunkamuraザ・ミュージアムで「アントニオ・ロペス展」を観た!
Bunkamuraザ・ミュージアムで「白隠展」を観た!
Bunkamuraザ・ミュージアムで「巨匠たちの英国水彩画展」を観た!
Bunkamuraザ・ミュージアムで「レーピン展」を観た!
Bunkamuraザ・ミュージアムで「レオナルド・ダ・ヴィンチ美の理想」を観た!
Bunkamuraザ・ミュージアムで「フェルメールからのラブレター展」を観た!
Bunkamuraザ・ミュージアムで「フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展」を観た!
Bunkamura ザ・ミュージアムで「モネとジヴェルニーの画家たち」展を観た!
Bunkamuraザ・ミュージアムで「フランダースの光」展を観た!
Bukamuraザ・ミュージアムで「ベルギー王立図書館所蔵 ブリューゲル版画の世界」展を観た!
Bunkamuraザ・ミュージアムで「語りかける風景」展を観た!
Bunkamuraザ・ミュージアムで「ロートレックコネクション」展を(再び)観た!
Bunkamuraザ・ミュージアムで「ロートレックコネクション」展を観た!
Bunkamuraザ・ミュージアムで「20世紀のはじまり ピカソとクレーの生きた時代」展を観た!
Bunkamuraザ・ミュージアムで「ベルギー幻想美術館」展を観た!
Bunkamuraザ・ミュージアムで「奇想の王国 だまし絵展」を観た!
Bunkamuraザ・ミュージアムで「国立トレチャコフ美術館展 忘れえぬロシア」を観た!
Bunkamura ザ・ミュージアムで「アンドリュー・ワイエス 創造への道程」展を観た!
Bunkamuraザ・ミュージアムで「ジョン・エヴァレット・ミレイ展」を観た!
Bunkamura で「アンカー展」を観る!
「ヴェネツィア絵画のきらめき」展を観る!
「ポンペイの輝き」展を観た!
「ピカソとモディリアーニの時代」展を観る!