しかしここにきて日本を代表する組織のいくつかがフラット型組織からピラミッド型組織に戻ろうとしているが、この流れこそが日本組織の特徴を表す傾向だろう。
本来フラット型組織とは、(顧客)現場⇔経営層間の距離を縮め、トップダウンとボトムアップによる情報の伝達をよりスピーディーによりスムーズに行うためのものであり、その有益性は本来的には高い。しかし組織によっては、
・マネージャー一人が現場30人をマネジメントしなくてはならない
・マネジメントの立場にありながらも自身もプレーヤーとして成果を上げなくてはならないため、細やかなフォローが出来ない
・部下とのコミュニケーションが希薄化し経営方針や戦略を落とし込むことができない
・現場から様々な情報は上がってくるがまとまった時間がとれないため対策がたてられない
などの弊害が出ている。
これは何もフラット型組織が問題なわけではなく組織の規模や段階によってはメリット/デメリットがあるということに過ぎないが、少なくとも弊害を見る限り、トップダウン/ボトムアップを実現できる(もしくはできない)ためのポイントは「マネジメントクラス」が機能しているかどうか?ということである。現場のマネジメントクラスが現場の声を吸い上げ経営層に情報を伝達する。経営層の戦略や方針を現場に具体的な行動として落とし込む。これらの要にあるのがマネジメントクラスそのものだ。
つまるところ実際的に日本の多くの組織はトップダウンでもボトムアップでもなく、「ミドルアップ/ミドルダウン」である。このモデルをおざなりに経営層⇔現場という2極の距離だけをコントロールしようとしても組織のマネジメントは上手くいかない。