はじめに
今日は、以前発見したとても興味深い記事を紹介します。
その記事の名前は、
「うつは外国語で治る?言語は性格を変える」
です(今回の投稿のタイトルです)。翻訳家さんの書かれた記事みたいですね。
では早速見ていきましょう!
外国語の「効用」
この記事は、テニスの錦織選手について書いた朝日新聞の記事の抜粋から始まります。錦織選手といえばとても流暢な英語を話される方ですよね。
そんな錦織選手は、あるとき英語で話す時の方が自画自賛が大きく、日本語で話す時の方がより「謙虚」な話し方になっていたそうです。
この記事の紹介の後、この著者の方も外国語にまつわる自分の経験について語っています。まとめると、
<イタリア語>
- ジェスチャーが大きくなる
- 気分が上がり「オーバーな表現」になる
- 好きじゃなかったけど、ドイツ語より響きがよく話すのが楽しい
- 声が低くなる
- 日本語の時より落ち着き、「断言」が増える
- イタリア語やドイツ語のときに抱いたような感情はない(ノンネイティブと話すことが多かったから?)
- アメリカに住んだ時は、ポジティブな性格になった気がする(ネイティブと話すのが多かったから?)
「興味深いのは、外国語を話していると日本語では言わないようなユーモアが口をついて出ることだ。いつもと違う自分を実感する瞬間である。」
いやあ、よくわかる気がする。いつか自分自身のも紹介したいと思います!
また、言語ごとに「性格」のようなものがあることがその理由であると述べています。『ムラブリ』著書の伊藤さんも同じようなことをおっしゃっていましたね。
この記事の著者が翻訳された、『落ち込みやすいあなたへ 「うつ」も「燃え尽き症候群」も自分で断ち切れる』という本では、うつや燃え尽き症候群の対処策として「外国語」を活用する方法が記されているといいます。
というのも、僕たちは外国語では落ち込むことが「上手にできない」からだといいます。解釈すると、自分の落ち込んでいる感情を正確に表す単語や表現を獲得するのは難しい、もしくは「言語の性格」により同じようには表せない、ということなのではないかと思います。
さらに、この著者の言葉を引用すると、
「母語とは違い、外国語は距離があるために客観的になりやすい。したがって、自分のことを「他人事」のように考える思考回路が作動するのだろう。」
ということだそうです。つまり、外国語にタッチすることで、「母語の自分」から離れて「別の自分」を経験できるということです。
そして記事の最後には、この「効用」を得るには外国語でなくても「方言」でもいいのだと述べられています。実際、村上春樹さんも東京に出てきて「標準語」を身につけたので、小説家として成功したとおっしゃっているそうです。
このようなケースをみると、AIがますます発達している現代においても、「語学」はとても価値があるものだと思えてきますよね。
「語学のための語学」
とでもいうのでしょうか(もっといい言い方を模索していきたい!)。
このブログを通じて僕が言いたいことを実に端的にまとめてくれた素晴らしい記事でした!
おわりに
いかがだったでしょうか?
英語学習・教育に関わるみなさんは、この著者の方と多かれ少なかれ似たような経験をされたことがあるかもしれませんね。
しかし、僕が小学生〜高校生だった頃は、このような「ロマン」を英語の授業から感じた事は残念ながらありませんでした。まだ「海外」が遠かった時代だったのかもしれませんが、6年間(以上)の英語の授業としては残念ですよね。
自分自身、生徒にこの著者の方と同じような体験をさせてあげられているのかなと自問すると、やはりそこまででもないのかなと思わざるを得ません。
色々と制約があり大変ですが、できることから始めていきたいと思います。