北海道神宮の「茅輪(ちのわ)くぐり」。病気災難を祓うとされるかや(茅)で輪を作り、その輪をくぐって災厄を逃れ命を延長する、と。
【持続化給付金】
申込受付が始まったのが5月1日。すでに200万社以上の中小企業が申し込みをしたと思われ、4分の3以上で受給が終わっている模様です。
そもそも論ですが、この給付金はコロナの影響を大きく受ける中小零細企業の救済が目的でした。念頭においているのは小規模な飲食店など家族規模、零細な規模で経営している事業体。そうでなければ法人200万円、個人事業主100万円という金額では救済できません。
これら数の多い事業者に短期間で給付金を行きわたらせるためには、条件をシンプルにすること、添付書類を最低限にすること、が必須でした。
そしてそれは達成され、まずまずのスピードで給付がなされました。
【持続化給付金の不正受給】
仕組みがシンプルであること、基本的には対象者に受給させるための仕組みであること、から不正が横行する余地がでます。
本来なら受給できないはずの事業者に「必ず受給させる」という謳い文句で申請業務を請け、給付金の4割など法外な報酬を受け取る業者がいる、と。
持続化給付金、不正横行か 満額受給うたい申請代行、高額手数料―新型コロナ
経産省も持続化給付金のQ&Aに原則は本人申請としながら「電子申請の際、身近な方や日頃手続きのご相談をされている方などに、申請の支援をして頂くことは問題ありません。」とも掲載しています。
もともと受給資格があったがどう申請していいかわからない、という方々を支援することは構わないでしょうがここで問題になっているのは受給資格がないのに「あるように装って」受給する手助けをする、というところです。
おそらく…
法人なら事業概況書の月別売上をある月だけ高く書き、逆に今年の売上明細をいじって該当月の売上を低めにし、△50%と偽る、というような手口でしょう。
【罰則は】
持続化給付金給付規程第9条2「不正受給が疑われる場合」に、中小企業庁長官は事務局を通じ調査を行い、不正があったときには返還を命じる、としています。
そして「一 不正受給の日の翌日から返還の日まで、年3%の割合で算定した延滞金を加え、これらの合計額にその2割に相当する額を加えた額を支払う義務を負い、事務局は当該申請者に対し、これらの金員を請求する旨の通知を行う。」
「二 不正受給が発覚した場合には、事務局は原則として申請者の屋号・雅号等の公表を行う。」(※個人事業主の場合。法人なら法人名が公表される」
「三 事務局は、不正の内容により、不正に給付金を受給した申請者を告発する。」
としています。100万円受給したとしてまず日割りで3%の延滞金を計算し、その延滞金に100万円に加えた金額の2割増しの返金をしなくてはなりません。
申請者の社名、屋号などの公表も痛いところです。
【抜け穴】
これらの罰則はすべて申請者に関するもので代理で申請を行った者はこの罰則規定にあてはまりません。
もちろん野放し、ということではなく、申請書類である申告書や事業概況書、青色申告書を偽造すれば(公文書)偽造ということになるでしょうし、不正受給を数十件、数百件という規模で行えば、詐欺などにも問われるでしょう。
【手掛かりは】
ではどうやって不正を追及するのか、というと…
今回のようなオンライン申請をした場合には必ずIPアドレスの記録が残ります。同じIPアドレスから大量に、しかも内容に疑義のある申請が送られている、というところで事務局側もわかるのではないでしょうか。
ともあれ、代行業者と依頼者である受給者のやりとりも跡を残さないアプリを使ってやるようですしなかなか起訴や裁判に耐える証拠を集めるのは難しいかもしれません。
せっかくの困った人たち向けの救済のための給付金です。本来受給すべき人たちにいきわたるよう、不正受給は厳に慎むべき、と思います。
また、不正に受給させます、という仲介者を使い、給付金を得たとしても直接不利益をこうむるのは依頼した側になります。上記の運営規程の通りです。
コロナ対策融資、保証はリスケ中の企業にも出ます。詳細は動画にて!