中国のことをこのブログで書くのは初めてじゃないでしょうか。
大学の授業の準備をしてましたらいろいろわかったことがあったのでまとめてみます。
【共同富裕/第三次配分でさまざまな業界が狙い撃ちに】
最近の中国、ちょっと変な動きが出ていました。
・学習塾業界に関する規制案
・オンラインゲームの規制
・中国国内の仮想通貨取引と中国人民が海外で行う仮想通貨取引の全面禁止
など。キーワードは共同富裕、です。
今年8月の財経委員会で習近平主席が打ち出した方針に、
「第三次配分」(富裕層や大企業が自主的に寄付を行い、富の再配分を行う)
「不合理な所得の一掃」(上記の、仮想通貨取引などから得る所得)
が盛り込まれていたそうです。この談話は日本ではほとんど報じられていません。私もさかのぼって記事を探してようやく見つけました。
恒大危機と共同富裕は同根、共同富裕は第2文化大革命ではない:日経ビジネス電子版 (nikkei.com)
こうなると共同富裕はもう既定路線。そういえば昨年11月にはアリババグループの金融会社アント社が上場目前で上場中止に追い込まれ、経営者のジャック・マー氏がしばらく所在不明になる、という一件もありましたが序章だったのか。
【恒大集団の現状】
今回の恒大集団問題は、直接的には不動産会社に対して昨年夏に設けた、3つのレッドラインを満たしていない、というところからでした。
①総資産に対する負債(前受け金を除く)の比率が70%以下
②自己資本に対する負債比率が100%以下
③短期負債を上回る現金を保有していること
の3つです。
恒大集団は9月17日の段階で一部の銀行借入について返済猶予を得ているという報道があり、23日にはドル建借入の利払ができませんでした。25日には、恒大集団傘下のEV製造会社である恒大汽車が一部業務を停止し、「このままだと従業員給与の未払いが発生する」と警告を発しました。(払えない企業側が警告…というのは?)
また、3つのレッドラインを満たしていない不動産開発会社は恒大集団のほかにも多数あります。
また恒大集団は一般市民向けに12%配当をうたった債券も発行しています(理財商品)。こちらはすでに取り付け騒ぎが起きています。(9月16日)
【日本のバブルと酷似】
「恒大集団がデフォルトした場合(すでにデフォルトに近い状態だと思います)リーマンショックのような世界不況に」という論評がありますが思い出されるのはリーマンショックよりも日本のバブル期です。
不動産バブルがはじけ、金融機関に不良債権の山ができ…
中国の現状はもっと深刻かもしれません。
上海のマンション価格は最近の調査によると地域住民の年収の59倍と言われています。東京、ロンドン、NYは9-14倍。
バブル期の東京でも14倍です(ニッセイ基礎研究所調)。
中国の不動産はバブルとしてはとっくに破裂していないとおかしいレベルのものではないのでしょうか。いろいろな方策を屋上屋を重ねるようにしていままで破たんしないようにしてきた印象があります。
すでに債務返済のため、恒大集団では自社物件の値引き販売に着手しているということですのでバブルは炸裂した、と考えてよいのではないでしょうか。
その傷は深そうです。
【恒大集団は救済されるのか】
基本的には放置されるはずです。共同富裕の考え方から言えば不動産取引を通じて蓄財するのはNG。それを業としてやってきた会社を救済するというのは筋が通りません。
恒大集団を助けると他の不動産会社も救済せねばならない、というのもネックになってくると思います。
恒大集団をどうするか、という点について政府や党から何も発表がなくいまのところどうなるかは不明です。
【恒大集団問題がなくても】
中国の上位1%が保有する富の割合は2000年の21%から31%に増加しており、アメリカとほぼ同じレベルになっています。
この10年間で中国の貧富の差が開きすぎたことを無理やり是正しようとしているのが共同富裕です。いままで儲けたカネで次の投資を、という循環が減速することは間違いありません。
恒大集団問題は9月23日に払えなかった利息を30日間の猶予期間内に払えるか、というのが次の焦点になりますが状況は非常に厳しそうです。
コロナ禍から復活しかけている各国経済を揺るがすような問題になるかもしれません。
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