衝撃の一書、「人新世の資本論」。

 

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 経済活動を1970年頃の規模に戻し経済成長をしない、というレベルまでやらないと温暖化は回避できない、とします。

 

 「欧州では温暖化ガス削減の見地から近距離の航空路線が廃止されはじめ鉄道回帰が始まっている」と本書で紹介しています。


 北海道の鉄路といえばJR北海道。2030年の北海道新幹線札幌延伸に向け準備が進んでいます。しかし運営主体となるJR北海道が恒常的な赤字に陥っているところから、北海道新幹線は投下する建設費(1兆4000億円とも)を回収できるかどうかという指摘もされています。

 

 このブログでも、「採算が不透明な新幹線引くならそのおカネを高度成長期に敷設した道路や橋の修繕に」と書いたこともあります。

 

 北海道新幹線を「人新世の資本論」目線で考えてみましょう。

 

 ここからは暴論です。

 

 東京=新千歳の航空路線を廃止して新幹線のみの運用にしたら?

 

 計算してみしょう。

 

 

 羽田=新千歳を飛行機を使って移動した場合に出るCO2量は78,950gだそうです。

 

 年間の同路線の利用者は9百万人。単純計算すると羽田=新千歳便で年間排出されるCO2量は71万トン。新幹線に代替すると排出量は1/6になるそうですので削減されるCO2量は59万トン。

 

 …59万トン、どれくらいの量でしょうか。

 

 山崎家の使用電力量は月640kwhです。年間で7,680kwh。

 

 多分厚真の石炭火力から電力が供給されています。石炭火力による1kwhあたりCO2排出量は943gだそうですのでこれを掛けますと電力消費で7.24t/年のCO2を出していることになります。

 

 先に計算した年59万トンの削減は山崎家の8万2千戸分に相当します。札幌市の総世帯数は92万世帯ですからまずまずインパクトのある数字です。

 

 少し古い数字になりますが2017年の北海道全体のCO2排出量は7,194万トン。この新幹線代替プランで削減される59万トンは0.8%に相当します。

 

 …そして、もし9百万人が新幹線を使って札幌東京を行き来したら?

 

 北海道新幹線では札幌東京の片道料金を26,820円と想定していますのでこれも単純計算してみるとJR北海道は2,426億円の増収となります。

 

 コロナ前、2019年3月期のJR北海道の連結売上は1,710億円、経常利益は△111億円。

 

 JR九州の2019年3月期の経常利益率は15%ですから北海道新幹線の増収分2,426億円が363億円の経常利益増をもたらす、とするとJR北海道はなんとか黒字体質に戻れるのではないか。(年300億円の基金運用益込み、ではありますが)

 

 JR北海道が黒字転換すればこそ、残った鉄路の維持も可能になります。

 

 「そんなことはできない」と思うプランですがそのレベルのことをやっていかないとCO2排出ゼロなどとても覚束ない、ということになっていまいます。

 

 「人新世の資本論」では、

 

 「経済成長をしない社会となるのだから経営コンサルティングも広告業もいらなくなる」

 

 「仕事を終え、家に帰った後は薄暗くしてじっとすごすのが基本」

 

 とまで書いているのですから。

 

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