幻の第八帝大/難関大出身者の実力 | An Ulterior Weblog

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戦前、大学と言えばほぼ帝国大学のことである。


敗戦により外れた台湾の台北帝国大学やソウルの京城帝国大学を除き、よく旧七帝大と呼ばれるのが北海道から九州の7つの帝国大学である。

ところが、終戦を迎えていなければ確実に帝国大学に昇格することが決まっていた第八番目の大学がある。広島大学である。広島大学は以前の市街域から郊外の筑波を抜いて日本一広大なキャンパスに移転している。たしか北大の倍ほどではなかったかと思う。北大は東大の倍の広さと言われる。いかに広いかがわかる。(ここでの広さは複数キャンパスの合計で演習林や保養地などは除いた数値での話。調べると九大が広島大以上のキャンパスを新設。正確にはわからないが、今は九大が一番だろう。演習林などを入れるともう桁はずれで北大の独壇場。日本の国土の1/570だそうだ。広大な敷地確保できるところが旧帝大の威光か)

8番目(戦前では10番目)の帝国大学としては岡山とか金沢も対象だったような話もあるが、計画としては中国の旅順が10番目で11番目に広島ということになっていたと言われる。大学時代に大学内で聞いた話であり、帝国の審議会でどうなっていたかまではわからない。

なお、検討段階だったようであるが、徳島大学が四国での帝国大学昇格の上申がされていたように記憶しているが、それは本当かどうかはわからない。(ノーベル賞が出たので予算確保しやすくなったと思われるが、受賞者の人間性にちと問題が。。。)


帝大昇格が迫っていた広島大であるが、戦後、その勢いは長くは続かなかったようだ。例えば、理学専門では京大の基礎物理学研究所と数理解析研究所を除くと唯一、独立した研究所の理論物理学研究所を持っていて、理論物理のサブリーダー的役割をしていた。それも1990年に基礎物理学研究所に吸収されている。敷地は拡大したが、中身の方はどうか、というのが学会関係者の意見ではないだろうか。


大学の格は世間的には偏差値かもしれないが、実態は別で国やほかからの研究予算規模とその質で見られるべきものだ。予算では東大がトップで、次に京大となるが、このあとは旧帝大は大体同じで、偏差値的には高い大学(例えば神戸大)はより下の格付けでしかもらえていない。旧八帝大のはずだった広島も残念ながらその威光はなく、下の格付けでの予算である。

特に独立行政法人化となってから各大学は研究予算確保に大変で、旧帝大はまだいいものの、東工大とかの単科大学はなかなか厳しく、学長人事の問題にまで発展してしまっている。

以前に総合大学がいいと書いたのにはこういう背景がある。それでもその予算は多いとは言えない。東大でも特別プロジェクトは別にした個々の研究予算はまあ何とか質は落とさずにやっていけるレベルといったところだろうが、ほかの大学の研究室からすれば羨ましい限りだろう。

(今後の大学の計画についてはスーパーグローバル大学制度を参照。各大学の計画書を見ることができる:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%AB%E5%A4%A7%E5%AD%A6



おそらく、東大、京大による偏差値序列を受験生と親は見ていると思う。特に受験生やすでに入っている学生は身びいきで旧帝国大がいいとかいや偏差値の高い専門大学の方がいいとかいろいろ言っている。

これに対する答えは簡単だ。偏差値基準を知名度として威張りたいなら、その通りに自分の位置を確認して入れる大学を選び、卒業後もそれをひけらかせばいいし(偏差値人生)、やりたいことがはっきりしていればそれに適した研究室のある大学に行けばいい。つまり教授陣を見て選ぶ。ネットを使えばそれほど難しくない。論文などもある程度たどれる(有料の場合あり)。


今は世界的な大学ランキングもわかるようになってきている。それを見れば日本の偏差値ランキングが必ずしも対応していないことがわかるだろう。それと同時にやはり旧帝大のような総合大学が上位に来ていることからも、総合大学の強みであることがわかる。総じて学問の力をつけたいなら総合大学がいい。専門に拘るなら大学院で選べばいいだけの話。


そこでそれらの卒業生が転がっているわが職場の状態を見ると、偏差値どおりでも世界ランキングでもない。

東大は意外にダメ。役に立たない人物が多い。感覚的に半分。さすが官僚養成大学と言われるだけのことはあって口先だけの者が少なくない。幹部はその典型だ。その分野の博士号をもっているのに役に立たないのもいた。東大は学問をちゃんとしていない人、自分で切り開けない人が多い。昔からも言われているが、どうも受験体制万全で自力というよりエスカレーターに乗って成績を確保してきた人間が多く、大学までで伸びきってしまっているのではないかと思われる(最近は財務省が採用で有名進学高校卒を敢えて避けているような話も聞く)。地方の田舎から出てきている人間が勇躍の可能性が高い感じだ。人の成果をそのまま自分のものにするのも東大が多い。どこの世界も一番で威張っている奴にろくな奴はいないということだろう。コンスタントに実力があるのは京大。さすがに東大とは対照的な学問の大学だ。ノーベル賞が多いのも頷ける。ただ、変人ぽいことが多い。京大出身者の平均像は存在しない。皆ばらばらというか普通というものがない。


その他の旧帝大も総じて学問的には悪くない。北大や東北大は北国のせいか真面目な者が多い(日本の最初の大学は東北帝大の分校から始まった札幌農学校。クラーク博士教頭の下、「学位」というのを初めてきちんと授与した。新渡戸稲造は農学校から東大に進むが学問のレベルの低さに退学し米国へ留学している)。その反面、覇気に欠ける。凡庸かもしれない。結果あまり目立たず、アピール下手。幹部にはあまりなっていない。東工大は単科大学で優秀なのだが(各分野での活躍者多い)、非常にマニアックで幅がないことが多い。その点では右に出るものはいない気がする。大学院では私大から移って来るのが多いこともこのマニアック性上昇の一因かも知れない。それでも、いわゆる理工系の会社において使える人材を一番提供するのはたぶん東工大だろう。ビジネス側からの世界ランキングでも日本のトップだった。東大の役立たずは一杯いたし、酷いのは大体、東大だが、東工大の役立たずは見たことがない。愚かな元首相ぐらいだ。


あとは地域性か。阪大は関西人が多いから灰汁が強いし、絶対他の地域の人たちのペースに協調しない。自分のペースで都合いいように押し通していく。それが職場に留まらず、居酒屋やスナックでも全開である。九大はほとんどが九州人で上昇志向が強い。特に中央での成功。関西とかは意外に向いていない。中央目指して我武者羅に働く。関西人の次に灰汁が強い感じ。

慶応はぼんぼんで真面目の感じだが、学閥が強い感じで地方ではあまり活躍できないかもしれない。早稲田は京大といい勝負の実力主義のはちゃめちゃさがある。理工系については概して真面目ではある。どちらも旧帝大に比べるとやや学問の力が弱い。大学というより大学院の自力の違いが出ている気がする。その点、地方でも国立大の方が大学院の自力が安定して高い感じがするし、実際に旧帝大との実力差がそれほどあるわけでもない。高専ではなかなか上には上がれないが、それでも優秀な人は上がる。ただし、国立の院卒と比べると技術知見の差は大きい感じはする。


これら以外の大学はどうか。大方、偏差値どおりと考えていい。文系で偏差値の割に就職に強いのに一橋とか神戸が上がるが、もっとお得は小樽商大とか、偏差値の割に就職がよくないICUとかいろいろ聞くが、概して偏差値通りでそれで各大学の特色を知り、やりたいこと、卒業後はどうするつもりなのかを考えて選ぶことになろう。さあ、合否の差が付く夏本番が間近である。受験生はなお一層奮闘努力せよ。


さて、受験生のキミ、受験生のお父さんお母さん、どこの大学を選びますか?



名大が出てないとお怒りの方もあろう。名古屋の人は目立たず実を取るといわれるが(悪く言えばせこい)、どうもそうらしく目立たない。人も少ないので、特徴がまったくわからないのである。猫のようにみゃーみゃー言っていないのだけは確かである。受験の世界では栄誉ある旧帝大だが、産業界ではトヨタ大学との認識が強いように思う。


※※

筑波大は大学紛争を反例として、以前の文部省がその威信にかけて自治を解体し管理下において戦後の新構想総合大学として旧帝大に対抗する形で創設されたと言われているが(筑波を成功させて教育行政における旧帝大系の発言力を殺ぐのが目的)、残念ながらそう簡単には行っていないようである。管理の強さが問題だったのかどうかはわからないが、当初は広大な敷地に殺風景な建物ばかりで自殺者が多かったとも聞いた。東京教育大を前身としているが、朝永振一郎が学長をしていた頃の面影は当初から無く、全く別の大学と聞いている。最近の新人の実力を見ると良い方である。


※※※

旧帝大ではないが、その流れに食い込み、偏差値の高い神戸大であるが、大学および大学院入試でTOEICを指標採用しているようで、この大学の質の程度が知れてしまう。たしか教授会か何かで入試を全面的にTOEICに変更してはどうかとかいう話もあったと聞く。入試問題作成は大変ではあるが、だからと言ってそれを外に丸投げでは大学の名が泣く。よくこんな話が出るものだと教授陣の頭の中身を疑う(せっかくノーベル賞を獲得したというのに)。言語というもの、言語習得ということがどういうことか全く理解していない証拠だ。もし、その意味がわからないならTOEICの対策ばかりをしてきた高得点者に高度と言われる英文を読ませたり、適当な題で英文を書かせればわかるだろう。京大や慶応あたりの入試問題をやらせてみればわかるはずだ。


現代は少なくとも理系では大学院が標準になってきている。専門的な分野では大卒ではほとんど使い物にならない。大学院を見ると結構動きがあるし、大学は地元の近いところで費用を抑え、大学院でいいところに行くことを考えていいと思う。入試程度で偏差値でひいこら言わされて苦労せずに、大学で自分の適性にあった研究内容をみつけて、院試でがっちりと勉強して狙った研究のできるところに行った方がずっとよい。すでにそういう時代になっている。そのよい例がノーベル賞を受賞した大村氏や梶田氏だ。