犬の散歩と腫瘍 | An Ulterior Weblog

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休日の夕方、犬と散歩していると三世代に渡る家族が 我々の散歩と同じ方向で歩いていた。3歳ぐらいの女の子と5歳ぐらいの男の子がいて、2人とも、あ、わんわんだ、と直ぐに反応。

女の子が、わんわんに触りたい、と言うと、おじいちゃんが、危ないからダメだよ、と諭す。女の子は更にお母さんのところに行って、わんわんに触りたい、と言うが、お母さんは、また今度ね、とやはり認めない。

よほど我が犬と触れ合いたかったのか、とうとう泣きじゃくっていた。

ほどなく、家族は家に着き、中に順に入って行った。我々が家の前を通り過ぎてしばらくして、後ろから女の子の声がまた聞こえてきた。わんわんどこに行くの?とお母さんに訊いていた。お家に帰るのよ、とお母さん。

女の子が1年後あたり大きくなった頃、自由に触らせてもらえるだろうか。我が犬はそのとき生きているだろうか。


実は我が犬は鼻腔に腫瘍の疑いが濃厚である。きっかけは滲むような鼻血。最初はどこから血が出ているのかわからなかった。いつも出ていたわけでもなかったが、あるとき、左の鼻水に血が混じっているのに気が付き、まさか腫瘍になるとはと絶望感に襲われた(鼻血は鼻炎の可能性が高いが、高齢犬での癌死亡率が高い最近は腫瘍を疑って病院直行がよい)。近くでは手術などできるところもない。すぐに同じくボーダーコリーを飼っている人に遠くの良い動物病院を教えてもらい、結局、遥かに遠い放射線治療の出来る大学附属動物病院を紹介されることになった。

東日本では北から、北大、酪農学園大、帯広畜産大、岩手大、日本獣医生命科学大、麻布大、日大のたった7つしか良い治療が出来ないそうである。東京農工大や東大は設備がいま一つとのこと。放射線治療では日本獣医生命科学大が強いということだった。日本一の最新鋭の設備で成果を出してきているのが北大(症例数も大変多い)。
治療用の放射性物質の管理が大変なせいか、個人病院では三重県まで無いという。東京や神奈川にも全く無いというのにはとても驚いた。我々は関東の大学病院の一つを紹介してもらうことにした。

鼻腔腫瘍は外科手術は出来ないことが多い。肺胞のように複雑だからだ。脳が近いので浸潤してしまってることも多く、気が付いたら手の施しようがないという例がかなりを占める(北大の最新鋭機でも成績はなかなか振るわない。https://www.vetmed.hokudai.ac.jp/VMTH/department/radiotherapy/info2.htm)。抗ガン剤は効きが弱い。あとは免疫療法があるが、もともと腫瘍になるのは老齢の犬が多く、必ずしも適用可能とは限らない。
放射線治療は進行具合で照射回数が異なる。麻酔をかけてから照射に入るため、麻酔に耐えられる体力が前提。根治か緩和かでも違うが、1ヶ月以内で終わらせる必要があるらしい。費用もそれで異なるが、検査に始まり50万はかかるようだ。症状が重いと100万越えも。


我が犬は保護犬で、あまり人間からよい待遇を受けて来なかったと推察されるが、大人しく愛嬌があるので本当に人気がある。ボーダーコリーという野性味は微塵も感じられない。ぬいぐるみに近い。家族や周囲に多くの笑みをもたらしている。平均寿命としては推定であと1、2年との見込みだが、長生きしてほしい。
たぶん、こんなに大人しく手のかからない犬はまずいない。どこの動物病院でもそう言われる。次は我々の手では余ってもう飼えないだろう。我が犬を保護してくれた団体関係者や、犬の飼い方を説いて頂いた方々にはいつも感謝している。
 
 
変り種として『日本動物高度医療センター』という”株式会社”がある。医療法人ではない。”本社”が川崎にあり、名古屋、東京と”支社”が次々とできた。本社ができてまだ10年程。会社だけに”高額”医療センターと言ってもいいような話が多い。どこも扱えなくなったペットをここでは治療してくれる最後の砦とも言われる。日本全部の個人動物病院の1/3ほどと提携関係にあるらしい。私もここをあげられた。が、避けた。もともとの創設の経緯をみると、その理念とは遠く離れているように思われたからだ。創設した元日本獣医学会会長は東京農工大に在籍のまま、この会社を立ち上げて2年で退職しており、その後、農工大に定年まで籍をおき名誉教授となっている。国立大学も独立行政法人になったからこんなことが可能だが、行動としては俗物的で理念から遠いとしかいいようがない。もしくは単に会社を作る上で名義貸しをしたのだろう。本社の医師の数も全国提携しているのにとても少ない。ただ、一縷の望みを持って訪問する患者の飼い主にとってはそんなことより救えるのかそうでないのかだけだろう。幸い、私の場合は医者選びとしてはよい選択が続いたようで、ここよりも信頼度の高い治療が受けられそうである。