「 風の丘 」
~ 古(こ)に憂い、託すもの ~
風をその体に纏い、一人の人が、
丘の上からこの世界を眺めていた。
花は生き生きと、
生まれた喜びを風と共に歌い、
水はこの星を流れるままに、
美しくその姿を輝かせている。
虹が架かる空を飛ぶ鳥たちと、
時の流れを感じさせない白雲たち…
碧い宝石として永劫輝くであろう、
この星の未来をその瞳に写しながら、
あらためて 「 この星に生きる喜び 」 を、
彼はその体いっぱいに感じていた。
ひとつ息を吸えば、
たちまち意識は空を越え、
すべての元となる 「 光 」 に還り…
ひとつ息を吐けば、
それはすべてに宿る 「 風 」 となって、
この大地の上を吹き抜ける。
花を撫で、
木々を愛で、
鳥と共に、
空を遥かに吹き抜ける風に…
落ち着いた心そのままに、
静かにその瞳を開けると、
変わらぬ自然の眩しさが、
彼を安心させた。
これから先、
どんなことがあろうとも、
この空は、
この大地は、
私たちに観られるのを待つだろう。
光をその身に掲げ、
私たちが戻ってくるその 「 時 」 を…
彼の瞳に、
この先の〝 一瞬の憂い 〟が写り、
そしてまた、
そこから瞬きひろがる金色(こんじき)の光を、
宿し、想うのだった
生命(いのち)はそのままで美しく、
そこになんの欠けたるものはない。
そのことを知るために、
人々はその生命を〝 灰色のベール 〟で覆い、
手探りで 「 真の答え 」 を探す旅に出る。
傷つくことを体験し、
不安と恐れ、
時に憎悪に苛まれながらも、
人が 「 探すこと 」 を止めないのは、
そこにこそ、生命が輝くことを知っているからだ。
苦しみの果てにたどり着くものは空虚ではないことを、
そしてその先にあるものこそ、
私たちが 「 愛してやまないもの 」 だということを、
深く知り、信じているからだ。
敵を演じる人々も、
やがてはその〝 幻 〟に気づき、
手を取り合う時がくるだろう。
自然の中でみんなが歌い会う 「 時 」 、
それは、星のシンフォニー
奏でるは共にこの星の舞台を任された、
色とりどりの演者たち。
共に歌い、手を取り合い、
もう一度、私たちを待っていてくれた空に向かって、
大地に向かって、
この輝きを掲げる 「 時 」 こそ、
皆が待ち望んだ 希望の光 なのである
その 「 一瞬 」 を、
丘の上から一人の人が、
空に想いを馳せて見上げていた…
この一瞬のために空と大地は、
その光を、
私たちに観られるのを待つだろう。
光をもう一度取り戻し、
想い出し、
皆で掲げて戻ってくる 「 時 」 を…
「 希望 」 をその瞳に宿し、
彼はまた風を纏い、丘の上から歩き出した
静かに目を閉じて、
そっと手をあててみると、
木と、ひとつに溶け合っていく…
優しい水のながれの中に、
胎内のようなこの星の愛の中に、
この宇宙を美しく流れる、
生命(いのち)という愛の中に…
2017-07-14 「 この星と共に生きた記憶を☆彡☆彡☆彡 」
遠雷が鳴った。
遥か太古の記憶が、
この魂の記憶が、
蘇ってくる。
人は100年の命だという。
本当だろうか?
私はそうは想わない。
この心に、
この星で生きた記憶が、
この世界で生きた悠久が、
今でもはっきりと残っているからだ。
それは空を見上げる度に、
木々や大地と語り合う時に、
夕暮れの中に、
夜を照らす星々の、
輝きの中に
あなたは何のために、
この星に生まれてきたの?
何をしに、
この星に生まれてきたの?
人の世は、
儚いものだという。
私はそうは想わない
この心に、
私とあなたが生きた記憶が、
確かに刻まれているからだ。
この星の上で、
この星と共に生きた記憶が…
私は信じる、
一人一人の命の輝きを。
魂の気高さを。
その 「 記憶 」 を
私は祈ることをやめない。
この星を、
愛しているから。
この星に育まれた命たちを、
愛しているから。
あなたたちと共に、
生きた記憶を、
愛しているから…
書籍作成中
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- 魂の軌跡 -
~ 光の写真展の旅へ ~