ある本を読んだので、ご紹介します。
『医療幻想』久坂部羊・著(ちくま新書)
著者は、大阪大学医学部を出た医師の方で、現在、医師の仕事以外にも、大学の講義や小説の執筆をされています。
日本の医療の実態とは、どのようなものなのか?
「健康診断に熱心な人ほど早死する」など、お読みになればわかりますが、過激な内容です。
例えば、「がん検診」。
私もある講演会で早期発見の意義を聞かされ、昨年から受け始めました。しかし、本書では「がんは早期に治療をすればいい病気かどうか、はっきりわからないということだ」(同書、84頁)とあります。
まあ、何事にもA説、B説といくつか考え方があり、自分の思うほうを信じればいいと思うので、異論はありません。
皆さんにも関係する箇所でいうと、「医師が求めるもの」VS「患者の求めるもの」というパート(同書、50~52頁)でしょうか。
患者が医療に求めるもの。それは、病気を治してもらうことであり、患者の気持ちを理解し、安心させてくれる温かい医療を求めているはず。
一方、医師が医療に求めるものは、なんなのか?
医学部の受験はむずかしい。今は小学生のころから塾や予備校に行かされ、遊ぶひまもなく勉強させられる。そうした環境の中で、人間味溢れる医師になれというのは、少々望みが高すぎるのではないか。
さて、皆さんはどうお考えになりますか?
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記事後記
ひとつ言えるのは、医師によっても意見は様々だということです。
よって、身内に医師がいる人でも、本を読んだり、講演会などに参加し、他の医師の話を聞くことは有益なのではないでしょうか。
多くの視点を持つことは、それだけ可能性を広げることになるかもしれませんよ。