Edgar E Os Taisのこのアルバムは、もうジャケットが最高過ぎる。多分、昭和の日本にも共通するだろうけれど、TVの歌謡番組から登場しました!みたいなこのジャケットが、いかにも古き良き60~70年代的なRetroな雰囲気を醸し出していて良いのである。子供の頃、祖父母といる時はニュースにプロ野球、ボクシング、落語、時代劇なんだけど、両親といる時は、この手の歌謡番組を見ていたような記憶がうっすらとあるのであった。歌番組では指揮者がいて、Chorus隊、Horn隊を含む生バンド、時にはOrchestraがバックで演奏していた時代。時代の変遷と共に生の演奏者やChorus隊雇うよりお手頃な打ち込みの時代になって、かつてのCarmen Dragon率いるThe Glendale Symphony Orchestraのような初見でどんな難易度の高い譜面でも、なんなく演奏できてしまう恐ろしく演奏能力の高いMusicianの梁山泊のような集団は今どうなっちゃっているんだろうと脱線してしまったけれど、さてBrasilの名ギタリスト/作編曲家Antônio Edgard Gianullo率いるGroup Edgar E Os Taisの話。60年代にJoão Gilbertoが、Bossa Novaを演奏しその名を轟かせる前に、São Pauloで神童と謳われたGuitaristがいた。それが(Antônio) Edgard Gianulloである。TVを中心に50年代から活動を開始し、TV番組やCM音楽の仕事の傍らSession MusicianとしてもJacóの名前でWalter Wanderleyなどと共演、そしていよいよ自己のGroup Edgar E Os Taisを結成する。超絶技巧なんだけど、難易度の高いChorusをさりげなくキメまくる男女混成Chorusが炸裂している。中でも紅一点の女性VocalAna Roselyが基本Cuteで愛らしいのだが、時に妖艶で神秘的な面も垣間見せ、これが素晴らしい。Os Poligonaisからピアニストで、ここでは鍵盤にContrabassも弾き、Arrangemo手掛けるVicente De Paula SalviaにSax、Fluteを演奏するVidal Sbrighi、加えてOrganにCelestaも弾くContrabass奏者Sergio Barrosoをはじめ、ドラムスのToniquinhoらの演奏も最高に素晴らしいが、Scatがキレキレで60年代ダヴァダヴァダの魅惑の世界に惹きこまれてしまう。
『Cantárida』はEdgar E Os Taisが70年にリリースしたアルバム。
アルバム1曲目は“Estou Dez Anos Atrasado”はErasmo Carlosの70年作『Erasmo Carlos E Os Tremendões』の冒頭を飾るナンバー。勢いはそのままにTempoを落として男女Chorusのユルさがイイ感じ。
ギターのカッティングで始まるこの時代らしいインストのJazz Rock“Queen Aparecida”。まるでGeorgie Fameのあの曲のようだけどHammondとBrassが、これまたイイ感じ。後半のソロの展開も良き。
“Não Deixo Você Ir Embora”も男女Vocalがマッタリご機嫌でバックのFluteがイイ味を出している。
“Dela”はErasmo Carlosの名作『Sonhos E Memórias 1941 - 1972』収録“Sorriso Dela”のCover。小洒落た男女Chorusから入り最高としか言いようがない。
“A Primeira Vez”は女性Vocalがしっとり歌い上げ、寄り添う男性Chorusも雰囲気タップリ。
“Vou Me Pirulitar”はEmbalo RやMilton Banana Troで知られるJorge Ben作のナンバー。これまたCuteな女性Vocalに絡む男性ChorusとHorn隊のEnsembleがキレキレで最高。
“Prólogo”は高速Scatが炸裂する三保敬太郎と伊集加世子、岡崎広志の『11PM』のOpenigもビックリのダヴァダヴァダの世界。
“Foi Tão Bacana”も可憐な女性Vocalと男性ダヴァダヴァダChorusの共演が微笑ましい。
Humorousな男女Vcalのかけ合い“A Morena Lena (La Ballena Nena) (Mairzy Doats)”もホンワカして楽しい。
“Quem Vem Lá”もキレキレの男女ChorusにSaxソロが絡むあたりは最高に心地良い。
Trio MarayáのHilton Accioli作“Bambê-Lô”は神秘を湛えた女性Vocalがバックの演奏と共にMysteriousな香りを運ぶアルバム一番のお気に入り。
アルバム最後をシメるのは奇才Nonato Buzar作の“Alô Helô”。心地良くも難易度の高いChorusを涼しい顔してキメるあたりが最高。
(Hit-C Fiore)









