BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


◎(Sometimes I Feel So) Uninspired/Traffic

 Trafficには名曲が多いけれど、その中でもBest5に入る大好きなナンバー。Winwoodは歌やHammondは勿論いうまでもなく最高だけれど、表現力豊かな味わいのあるギターも御機嫌なのであった。それにしても、この男たちの、何回聴いても決して飽きることにない最高の歌と演奏といったらない。WinwoodにChris WoodJim Capldi英国3人組が、憧れの米国南部Muscle Shoals Rhythm Sectionと出会って生まれた最高傑作。Roger HawkinsとJim Capaldiのツイン・ドラムRebop Kwaku BaahのPercussin、David Hoodのベース、Barry Beckettの鍵盤から生み出されていく、包み込むようにゆったりとしながら徐々に圧巻のウネリを生みだしていく奥深く芳醇な味わいのリズムをバックに、英国の翳りを漂わせるChris WoodのSax、そしてWinwoodのSoulfulなVocal永遠に心をとらえて離さない魅力に満ちたものだ。Winwood節ともいえるMinorとMajorを行き来する英国的な抒情と繊細さを孕んだMelodyが米国南部のEarthyで懐の深いリズムと出会って生まれたこの曲は聴けば聴くほど味わいが増していく英国音楽の面白さはJazzにしてもRockにしても、本場米国のBluesやSoul、Jazzをまんま演奏するのではなく、そこに英国人でしか表現し得ない感性繊細な表現、Humourや、どこかCynicalなセンス、Tradなどからの影響を織り交ぜながら自分たちのIdentityが結実された音楽として再構築している点が最高なのである。

 

Shoot Out At The Fantasy Factory/Traffic

 “(Sometimes I Feel So) Uninspired”はTraffic73年にリリースしたアルバム『Shoot Out At The Fantasy Factory』に収録されていいる。また同年にリリースされたLive Album『On The Road』でも魂のこもった最高の歌と演奏を聴くことが出来る。

(Hit-C Fiore)

 David Crosby1月18日に、この世に別れを告げていった。気難しそうだけど、その笑顔は人懐っこく優しそうで、人の心をとらえて離さない感じがして、West Coast Rock界の勝新ともいうべき、Outlaw自由奔放だけど、どこか憎めない愛すべき才人2010年代に入ってからの充実しまくった意欲作をリリースして、これからが音楽人生本番だぜ、みたいな勢いが自分にとって強い印象として残っていたので、何とも残念で、悲しくとても辛い。2014年リリースの『Croz』に始まり、2016年の『Lighthouse』、翌年の『Sky Trails』、Becca StevensMichelle WillisMichael Leagueとの『Here If You Listen』、そして2021年作『For Free』に昨年リリースされたばかりのソロとしては初めてのLive Album『David Crosby & the Lighthouse Band Live at the Capitol Theatre』という長い闘病生活をおくっていたとは思えない近年の作品は、いずれも旺盛な創作意欲と気合の入り方を感じさせ、完成度も高い。これら大物Musicianや期待の若手音楽家との交流を通じて、才能と自信に満ち溢れた素晴らしい作品で楽しませてくれてきただけに、あまりにも突然の終幕が今でも信じられない。自分にとってのDavid Crosbyというのは、The ByrdsCrosby, Stills, Nash & Youngのメンバーという印象よりも、そういった近年の作品でのMaestroぶりや、71年にリリースされたMusteriousで瞑想的な摩訶不思議な魅力に満ちた1stソロ・アルバムIf I Could Only Remember My Name』での得体のしれない怪しいMusicianであり、大好きなJoni Mitchellの風変わりでいびつな魅力に満ち溢れたDebut Album『Song To A Seagull』Produceした少々偏屈だけどStrangeな魅力を湛えた音楽性を持った人物として強く印象に残っている。そんなCrosbyが1stソロから18年ぶりに世に出したのが2ndアルバムとなる本作である。80年代ということもあって、Sound Productionはさすがに時代を感じさせられるが、仲間に支えられ続けておクスリ生活から足を洗った清々しい笑顔を見せるジャケット通りの作品だ。何より楽曲が良い。と思ったら、裏ジャケットの写真では、やっぱりCrosbyらしい毒を放っているのが最高だ。

 

 『Oh Yes I Can』はDavid Crosby89年にリリースしたアルバム。ギターにDanny KortchmarDavid LindleyLarry CarltonSteve Lukather、鍵盤にCraig DoergeMike Finnigan、ドラムスにRuss KunkelJim KeltnerJoe Vitale、ベースにLeland SklarGeorge "Chocolate" PerryTim Drummond、PercussionにJoe Lalaといった名手が勢ぞろい、そしてBacking Vocalで盟友Graham NashJackson BrowneJames TaylorBonnie RaittJ.D. Southerが参加している。ギターでMichael Hedgesと鍵盤にKenny Kirklandが参加しているのが、近年より顕著になったJazzからの影響を感じさせてCrosbyらしい。

アルバム1曲目“Drive My Car”はイントロのギターとドラムス、Synthesizerから80年代感がガッツリ飛び出し元気いっぱいのOpener。

Melody”もイントロのSyntheがいかにも80年代。しかし、Gentleに歌い出すCrosbyに溢れる祝祭感はたまらなく魅力的。

クスリと手を切るぜとの決意に満ちたMonkey And The Underdog”。

In The Wide Ruin”はJackson BrowneをChorusに迎えた清々しいBallad

Tracks In The Dust”はGraham NashとCrosbyらしいアコギ弾き語り

Drop Down Mama”はMike FinniganのOrganとDan DugmoreのSlideがイイ感じのRock魂炸裂男くさいShuffle

Bonnie RaittとのDuetが最高な“Lady Of The Harbor”。

NashとのMagicalなChorusがご機嫌な“Distances”。

Flying Man”は最後までScatのみで通す大好きなナンバー。Larry Carltoのギターが歌っている。

タイトル曲の“Oh Yes I Can”はアコピをバックPositiveなBallad

アルバム最後を飾るのはMichael Hedgesアコギが絶品自由な国を歌ったMy Country 'Tis Of Thee”。NashとJ.D. SoutherとのChorusも最高。

 

Distances/David Crosby

 

安らかにDavid Crosby…

 

(Hit-C Fiore)

 Broncoは大好きな英国Blue-Eeyed Soul SingerであるJess RodenThe Alan Bown Set脱退後に結成したバンド。Jessが元DoorsのギタリストRobby Krieger、ドラマーのJohn Densmoreと結成したButts BandThe Jess Roden Bandと並んで名Vocalistであり有能なSongwriterでもあるJessの歴史を振り返る時に無視できない素晴らしいバンドである。メンツはVocal、Acoustic GuitarのJessにKevyn GammondRobbie Bluntという2人のギタリスト、ベースにJohn Pasternak 、ドラムスにPete Robinsonという5人組。69年に結成されてIsland Recordsと契約してDebut Album『Country Home』を70年にリリースしていいる。本作はそれに続く2nd Albumで、前作に引き続きSinger-SongwriterClifford T. Wardが参加し共作もしている。また、1曲のみだが、Label MateMott The HoopleからIan Hunterがピアノ、Mick RalphsがOrganで参加している他、FotheringayTrevor LucasもVocalで参加している。Crosby, Stills, Nash & Young(以下CSN&Y)を思わせるChorusやAcoustic Guitarの使い方に、英国らしい陰影に富んだLyricismBluesやSoul影響下のJessのVocalが相まって一筋縄ではいかない独自の魅力が生まれている。所謂、英国の中の亜米利加ではあるが、Soulfulで時にMellowなJessのVocalが本作を特別なものにしている。AcousticとElectricを見事に使い分けたギターのKevynとRobbieのEnsembleも素晴らしい。それにしてもCSN&Yは当時の英国のMusicianに大きな影響を与えたものだ。あえて英国のTraditional Musicよりも米国のCountry Rock的なアプローチで、Jessの黒っぽいVocalも意外なほどハマっている。ジャケット同様に黄昏た1stアルバムもご機嫌だが、時に甘美で心地良ささえ感じさせる本作の激渋Amberな味わいも格別である。

 

 『Ace Of Sunlight』はBronco71年Islandからリリースしたアルバム。

アルバム1曲目は“Amber Moon”。Jess自らAcoustic Guitarを弾きながら歌う。そこにKevynとRobbieが絶妙のエレキで絡む。そしてEartyな雰囲気を一層盛り上げている激渋のOrganを弾いているのはMick Ralphs、これまた隠し味のピアノIan Hunter

Time Slips Away”はAcoustic GuitarとElectric Guitar絶妙のEnsembleを奏でるCountry RockTrevor Lucasも参加してCrosby, Stills, Nash & Young風のChorusもイイ感じ。アコギとエレキでギターが盛り立てる後半の演奏もご機嫌。

KevynがClifford T. Wardと共作した“Some Uncertainty”はPopな味わいの楽し気なCountry Rock。JessのHarmonicaがイイ味を出している。

疾走感に満ちた“Woman”もKennyとClifford T. Wardの共作曲。勢いのある演奏をバックにJessのSoulfulな熱いShoutがグッとくる。やっぱりJessの魂の入ったVocalは最高である。

Jass作の“New Day Avenue”は1曲目同様アコギ弾き語りで、これまたCrosby, Stills, Nash & Youngを思わせるChorusと英国の香りが感じられる独特の翳りが絶妙の味わい。後半の展開がいかにも英国的

Discernible”もアコギとエレキのEnsembleとTerry Allenなる人物が弾くOrganが絶品である。Percussionも心地良く響く

Jess作の“Sudden Street”も弾き語り風でアコギとエレキとChorusをバックにJessがじっくり歌い上げているのが気持ち良い。

最後をシメるのはJessのピアノ弾き語りが絶品の“Joys And Fears”。ギターも含めてJessひとりによる演奏と歌とChorusで、Simpleながら実に味わい深い仕上がり

(Hit-C Fiore)

 Facts Of LifeSylvia Robinsonと並んで "Mother of Hip Hop"と称されるGeorgia州出身のR&B and Soul Singer Millie Jacksonに見いだされた3人組のVocal GroupSouthern Soulの女帝ともいえる存在感を放つMillieに目を付けられただけある実力派である。Tyrone DavisであるJean DavisKeith WilliamsChuck Carterの3人は当初、The Gospel Truthと名乗っておりFloridaKayvette RecordsからMillieのProduceで75年にDebut Single“Up Hill Peace Of Mind”をリリースしている。 Jeanはなんたって、お気に入りの女性Vocal Group Honey And The Bees出身だし、Keith Williamsは、 Little Anthony & The Imperialsと一緒に歌っていたり、Flamingos70年にリリースした“Buffalo Soldier”で Lead Vocalをつとめた実力派、そしてChuck Carterも60年代に.BrunswickやBedford RecordsからSolodeSingleをリリースしているのだから、かなりのものだ。Facts Of Lifeと改名して76年にBanks & Hamptonの“Caught In The Act (Of Gettin' It On)”をリリース、彼らの2nd Singleは、なんとCountry Singerの Bill Anderson作でMary Lou TurnerとのDuoで75年にHitした“Sometimes”。こ。これがUS Black Singles Chart3位となるHitとなってしまうのだから面白い。イナタい曲でも、彼らのSoulfulな男女Vocal掛け合いが実にイイ感じで、マッタリしてはいるけれど、沁みますなあ。本作は、そんな彼らが77年にリリースしたDebut Album。Barbra StreisandとかBarry Manilowといった意外な選曲に驚かされるけれど、実力派の3人がDeepにSoulfulに歌い上げているのが良い。翌78年にリリースされた2nd AlbumA Matter Of Fact』をリリースしているが、このアルバムも中々の出来であった。残念ながら、この2枚のアルバムを残して解散してしまったようだ。

 

 『Sometimes』はFacts Of Life77年にリリースしたアルバム。

アルバム1曲目はHit曲“Sometimes”。Country Soulなゆったりマッタリとしたハチロク系のイナタい感じだけど、この暖かみのある男女Vocalのかけ合いがイイ感じ。

上述のDebut Single“Caught In The Act (Of Gettin' It On)”。こちらもハチロク系Balladだけど、男女Vocalのかけ合い甘美でSoulfulな味わいで絶品。バックの演奏もHorn隊やOrganやギターがイイ感じ。

George JacksonとRaymond Moore作の“Bitter Woman”は一転してイントロのエレピから都会的な香りが漂う。

なんとBarbra Streisand主演の映画『A Star Is Born』で使われたBarbaraとLeon Russell作でKris KristoffersonとのDuet曲Lost Inside of You”。優美なStringsをバックに堂々の歌いっぷり。

続いてもBarry Manilowが歌ったRichard KerrWill Jennings作“Looks Like We Made It”をチョイTempoを落としSoulfulに、Deepに歌い上げている。

Lenny Welchの“A Hundred Pounds Of Pain”はエイトビートでグイノリのナンバーだけど、StringsやHorn隊、Chorusが入ってVocalを盛り立てているSoulfulな仕上がり

前述のThe Gospel Truth時代のDebut SingleUphill Peace Of Mind”はSouthern Soul界のCurtsことFrederick Knight作。彼らの本領発揮のFunkyなナンバー。

溌剌としたGeorge JacksonWhat Would Your Mama Say?”はJeanのVocalがご機嫌

Millie Jackson作のSoulfulなShuffleGivin' Me Your Love”。

That Kind Of Fire”はDeepなVocalじっくり歌い上げ黒々とした雰囲気がご機嫌な仕上がり

アルバム最後をシメるのは甘美なBalladLove Is The Final Truth”。

(Hit-C Fiore)

 『Véu De Noiva』は例によってNovelaもの、BrasilのTVドラマのサントラ盤としてリリースされたアルバムで、個人的にかなり愛聴してきた作品である。鮮やかな黄色のジェケットにまず目を奪われてしまうが、この音盤に出会って、もうかれこれ20年以上が過ぎ去ってしまっただろうか。Originalのアナログは手の届かない存在というほど高くなかったかもしれないが、CDでReisueされた時は狂喜して、早速手に入れたものだ。そういえば、貧乏学生だった頃は、まだYoutubeなんてのはなかったから、誰かに録音してもらった音源を聴いて気に入ったアルバムは、何とかバイトで稼いで手に入れるようにしたものだった。そして今度はCDで聴いて気に入った作品はアナログで手に入れるように必死で稼ぎまくったものである。一時この手のNovela/サントラ盤が続々と外資系大型CDショップで売られていた時代、90年代から、まだ2000年代初頭にかけては、都内のショップで、かなりのスペースをさいてコーナーを作った南米の作品が存在感を放っていて、お目当て以外にも店頭に並んだ沢山のCDを手に取って、気に入った作品を手に入れることができた時代であった。あの頃は良かったなあ、などと懐古的になりつつも、このアルバムを聴いていると、当時のさまざまな思い出が目の前に浮かんでは消え、やっぱ甘美で夢想的な世界に入り込んでしまうのであった。さて69年から70年にかけてBrasilの最大の放送局Rede Globo(TV Globo)で午後8時に放映されたTelenovelaである『花嫁のヴェール』のサントラ盤となる本作。お目当てはApolo IVなる謎のGroupによる“Azimuth”の演奏であるわけだが、Elis ReginaWilson Das NevesによるCaetano Velosoの“Irene”のCoverやJoyceRoberto MenescalのScatが冴えわたるナンバーとか名曲揃いである。そしてAntônio AdolfoTiberio Gaspar共作の甘く切ないTheme曲“Tele Tema (Tema De Amor)”は何回聴いても最高である。

 

 『Véu De Noiva』は69年から70年にかけて放映されたBrasilのTV番組のSoundtrack盤

アルバム1曲目、Sambalanço TrioSom TrêsのピアニストCésar Camargo Marianoが書いた“Tema De Luciano”はLuiz Eçaのピアノと寄り添うStringsがいきなり哀感に満ちた演奏。

Umas E OutrasRegininhaが歌うAntônio AdolfoTiberio Gaspar共作の“Tele Tema (Tema De Amor)”は切なく甘美で官能的なVocalが最高ですなあ。

Marcos ValleNovelli共作の“Azimuth(Mil Milhas - Tema De Marcelo)”はApolo IVなる後のAzimuthのメンバーによる演奏。Valleの『Mustang Côr De Sangue』収録の同曲と同じ。Aggressiveに弾きまくるピアノ優美なStringsやHorn隊との共演が面白い。

Márcia表情豊かに歌い上げるChico BuarqueGaroto Vinicius De MoraesGente Humilde”。

Roberto Menescalの“Depois Da Queda (Tema De Flor)”はFluteStringsをバックにしたScatが最高に心地良いインスト曲

Elis Reginaが歌うCaetano Velosoの69年のアルバム『Caetano Veloso』1曲目を飾るIrene”のCoverはノリノリの演奏にEis節が炸裂

Joyce魅惑のScatが素晴らしいDori CaymmiNelson Motta作の“Andréa”は極上のWaltz

再びApolo IVの“Azimuth (Mil Milhas - Tema De Marcelo)”が登場。こちらは、ゆったりと奏でられピアノとOrganも最高で気分は夢心地。

RegininhaLaércio仲睦まじくDuetする“Tele Tema (Tema De Amor)”。これは恋人2人の気分が伝わってきてたまらんすなあ。

今度はWilson Das Nevesによる“Irene”。これまたご機嫌なインスト曲に仕上がってますなあ。

PsychedelicThe Youngstersインスト曲Abertura”。

アルバム最後を飾るのはTrumpet奏者Cláudio Roditiによる“Tele Tema (Tema De Amor)”。これまた切なくも最高の終わり方ですな。

(Hit-C Fiore)

 The Ingram KingdomNew Jersey州Camden出身のFamily Funk Groupである。Family Groupは数あれど、歌も演奏もFamilyだけでやるというFunk Groupとなると、思い浮かぶのは個人的に Five Stairstepsから発展したお気に入りのInvisible Man's Bandがあるけれど、彼らはBurke兄弟以外にDean Gantが加わっているから全員家族のバンドではないし、ご存知Isley BrothersはVocal3兄弟で始まり、後に加わった演奏陣は2人の兄弟に一人は義理の兄弟である。そういう意味ではメンバー全員が音楽一家Ingram家の子供たちだけで編成され歌の演奏もやってのけるThe Ingram Kingdomは貴重な存在といえるのではないだろうか。Vocalの紅一点Barbara IngramにギターとTromboneのWilliam(Bill) Ingram、鍵盤とSaxphone、FluteのJimmy Ingram、ベースとTromboneのButch Ingram、ドラムスのJohnny IngramにCongasのTimmy Ingramという6人組。しかし、このジャケットは最高ですなあ。多幸感に満ち溢れ、メンバー仲良く晴れやかな笑顔で“The Funk Is In Our Music”、コレ最高!文句なしに彼らを応援したくなってしまいますな。しかもLead VocalのBarbaraをはじめ、全員が実力派のMusicianなんだから素晴らしい。特にBarbaraはCarla BensonEvette Benton女性Vocal Trioを結成して"The Sweethearts(of Sigma)", "The Philadelphia Angels", "The Sweeties"と名前を使い分けながら70年代から80年代のPhiladelphia Soulを中心としたPhiladelphia International Recordsの数々の作品にBacking Vocalとして参加してきた実力者である。Maestro Thom Bellの元でSigma Sound Studiosで経験を積み、The Spinnersの“Could It Be I'm Falling in Love”や“Games People Play”でも彼女らの歌声を聴くことが出来る。そんなBarbaraのVocalをFeatureしたThe Ingram KingdomのDebut Album高揚感と躍動感に満ち溢れたご機嫌なFunk Albumに仕上がっている。

 

 『The Ingram Kingdom』はThe Ingram Kingdom76年にリリースしたアルバム。

アルバム1発目はいきなりバンド名/アルバム・タイトルの“Ingram Kingdom”。バンド名を連呼する彼らのTheme曲と思われ、勢いのあるリズム隊にHorn隊やChorus、Clavinetが絡み、ハリのあるBarbara IngramのVocalがギター・ソロもイイ感じ。

Tried It And Liked It”はしっとり歌い上げるBarbaraのVocalがたまらなく甘美なBallad

心躍る若さはち切れんばかりのイントロで始まり男女Vocalの掛け合いがグッとくる“What Else Can I Say”は高揚感に満ち溢れたナンバー。躍動感あふれるリズム隊もご機嫌でBarbaraのSoulfulなShoutも最高。

ベースから始まるMagicalなイントロから惹きこまれてしまう“He's Mine”。OrganやPercussionにエレピがMysteriousに響き、BarbaraのCuteなVocalが登場するとグッと気分が高揚する。低音でウネるベースも実に心地良い。

若さゆえの外連味のないド直球のタイトルが素晴らしい“Music Is Our Message”。Barbaraの可憐で官能的なVocalがたまらない。

続いても“The Funk Is In Our Music”ときたもんだ。最高!Horn隊も加わり、PercussionChorusOrganぶっといベース黒々としたFunk道一直線で楽しませてくれる。

Funkyなエレピで始まりギターが唸る“Someone's On My Side”。短いながらもウネるSynthesizerソロもご機嫌で、BarbaraのSjoutも最高である。

She's All Alone”は男女Vocalによる甘いBallad

アルバム最後をシメるのはやっぱりドFunk一直線の“Put Your Troubles Behind”。

(Hit-C Fiore)

 Tete Montoliuお気に入りのピアニストの一人であり、その鮮やかなまでに粒立ちの揃った強弱のメリハリがハッキリついたタッチが素晴らしい。そして生命感に満ちた圧倒的なSwing感覚で淀みなく繰り出されるDrive感溢れるフレーズが生み出すCatharsisに酔いしれる至福の瞬間、これは格別だ。ただ、その超絶技巧とDynamismに満ちた緊張感の高い演奏を、何時いかなる時でも無条件に受け入れられるかというと、それはその時の体調であるとか、精神状態であるとか、時と場所、Situationを選ぶであろう。人間たまにはユッタリとRelaxしたい時とか和みたい時もあるわけで、そういった時はConcentric盤やSteeplechase盤、SABA盤やDiscophon盤でのTeteの気合の入りまくった弾き倒しの演奏ではなく、他の音盤の御登場となるわけである。しかし、Teteにだって以前ご紹介した77年リリースのBlues For Myselfのように心地良い寛ぎ感をもたらしてくれる作品があるのであった。本日ご紹介するのは、そんなTeteがEnsayoに残したLatin3部作といわれる作品の中の一枚。TeteがBossa Novaの名曲優美でRomanticかつ躍動感に満ちたLatin感覚で心地良く演奏している。CatalunyaCataloniaの誇りともいえるピアニストTeteは70年代に地元BarcelonaのLabel Ensayoに上述の『Blues For Myself』やLatin3部作などLeader作を残しているがTen To Two BluesなどDusko Goykovichのアルバムでも素晴らしい演奏を披露している。元々はClassical Music中心のLabelだったEnsayoであるが、TeteがTangoやLatinの名曲を演奏した74年リリースの『Temas Latinoamericanos』に続いて、好企画である本作で、難いこと抜きにマッタリ楽しみたいものだ。ベースにAlberto Moraleda、ドラムスにMiguel Angel Lizandra、PercusiionにはCubaPedrito Díazという布陣。ジャンルを越えて理屈抜きに甘美で心地良い旋律を紡ぎ出すTeteの演奏に酔いしれるのである。

 

 『Temas Brasileños』はTete Montoliu74年にリリースしたアルバム。

アルバム1発目は“Orfeo Negro”とあるが、Medleyで“Felicidade”から“Orfeo Negro”、そして“Samba de Orfeu”と続く3曲Medley

La Chica De Ipanema”は優美なソロ・ピアノからベースとPercussionのリズムが加わって軽快でRelaxした演奏が心地良く響く。“Take The A Train”のフレーズを取り入れる遊び心を発揮しつつユッタリピアノのみになって、リズムが加わって“Corcovado”のMelodyにウットリ聴き入ってしまう。カクテル・ピアノ入ってきたかと思えば得意のスピード感に満ちた速弾きを時折織り交ぜ、典雅なソロ・ピアノからPercussionが心地良く響くSamba De Uma Nota So”へ突入。Bossaからフォービートに展開してTeteが本領発揮のキレキレのピアノが炸裂するところもご機嫌。こちらも3曲Medley

一転してDarkな響きのピアノで始まりFree Jazzでも始まるかと思わせておいてZé Do NorteことAlfredo Ricardo Do Nascimento作“O'Canganceiro”で生命感に満ちたMelodyが飛び出す瞬間の気持ち良さといったらない。そしてAry Barrosoの“Bahia”をBossa風に演奏し“Brasilブラジルの水彩画)”でPercussionも入って陽気に弾けるのが最高。EndingでのPercussiveなTeteのお遊びフレーズもご愛嬌でLatinの血が騒ぐノリノリである。

Baden Powellの“Canto De Ossanha”は不穏な雰囲気で始まりDarkなBlock Chordから一気に爽快なMelodyが飛び出すBossaへと突入、ここではTeteのスリリングな指さばきが聴きモノ、そして“OlaWave”のカクテル・ピアノ風ユッタリマッタリと思わせておいて速いPassageのフレーズが突如飛び出したり遊び心に満ちた演奏で、“So Danço Samba”でTeteらしい躍動感に満ちた演奏でMonkの“Straight No Chaser”のフレーズをきっかけにフォービートに展開して気持ち良すぎ

最後をシメるのも“Desafinado”~“MeditaçaoMeditation)”ときてArco弾きで始まり陽気に盛り上がる必殺の“Tristeza”と最後も3曲Medley

(Hit-C Fiore) 

 Kayakというバンドに初めて出会ったのは馴染みの中古レコード屋さんであった。おもわずジャケットに惹かれて衝動買いしてしまったわけだけれど、手を出しやすい金額だったこともあっただろう。レコ屋のおやさんがオランダの山本山とおっしゃっていたが、同国のバンドといえば古くは“Venus”のヒットで知られるShoking BlueEarth And FireGolden Earring、そしてFocusや大好きなSupersisterといったところは知っていたのだが、Kayakに関しては殆ど予備知識はなかった。このレコ屋さんのおかげでEkseptionSolutionFinch同様にKayakに出会うことができて本当に良かった。個人的には当時夢中になっていた10ccSailorStackridgeCity Boyといった70年代の英国らしい捻りがきいて凝りまくった音楽独特のセンスでPopに聴かせるバンドに共通するジャケットのセンスに思わず期待値が上がっていたのである。Kayakの場合は中心人物となる鍵盤奏者のTon Scherpenzeel音楽性が強く反映されているのだろう。Popな装いの中でProgressiveでSymphonicな音楽性が彼らの個性として魅力を放っている。またTonと共にバンドの曲を手がjけているドラムスのPim Koopmanも中々味のある楽曲を提供している。本作は彼らの2作目にあたるアルバムで単純にバンド名をタイトルにしているが、自信作なのであろう。次作では1曲しか書いていないPimが、本作で脱退してしまうベースのCees van LeeuwenやTonと共作したりして半数以上の曲を手掛けているのも興味深い。音楽学校Hilversums Muzieklyceumで共に学んだTonとPimが中心となって結成されたKayakはPercussionを叩きMarimbaも弾くVocalのMax Werner、ギターのJohan Slager、ベースのCees van Leeuwenというメンツ。TonはHarpsichordAccordion、PimはMarimbaも演奏する。70年代後半Wigwamに近いところも感じさせるが、Bluesの香りがしないところがKayakの個性でもある。

 

 『Kayak』はKayak74年にリリースしたアルバム。

アルバム1曲目は“Alibi”。唸りを上げるギターによるイントロから哀感を湛えて展開していくが、Beach Boysを思わせるPopなChorusが時に幻想的な瞬間も生み出してイイ感じ。

ベースのCees van LeeuwenとドラムスのPim Koopman作の“Wintertime”もMinorなKeyPopに迫る歌謡的な部分捻りをきかせた部分が交差して中々面白い。AccordionMellotronも良い。

Mountain Too Rough”はピアノで始まるClassicalで優美な香りが匂い立つBallad。バックの典雅なMellotronによるStringsもさりげなくて良し。Max Wernerの優男風のVocalがハマりここでもChorusが素晴らしい

勢いのあるRiffで始まる“They Get To Know Me”もPim KoopmanとCees van Leeuwen作。緩急をうまくつけた展開の中でSynthesizerとギターのソロの掛け合いが聴きモノ。

TonとPim作の“Serenades”。イントロのロックなギターから変拍子Riffも挟んでPopに展開する。

Woe And Alas”はTon単独作で典雅で抒情的なMelodyを美しくも捻りもきいた仕上がりで聴かせる素晴らしい楽曲。

Organで厳かに始まるPim作の“Mireille”は2分チョイのインストだが、MellotronMarimbaも飛び出しSymphonicな部分が顔を出す次曲のInterrude的な曲。

前曲と繋がって展開される“Trust In The Machine”は彼ららしい捻じれたPopセンスが印象的なChorusと共に炸裂する。Avant-Gardeな中間部を経て単にPopで終わらないところに、この時期の彼ららしいところが感じられて良い。

最後をシメるのはTonとPimがCees van Leeuwenと共作した“His Master's Noise”。美麗で捻りのある旋律Acoustic PianoのみのSimpleな演奏で引立つ素晴らしいBalladChotusも最高

(Hit-C Fiore)

  Wipers70年代に後半に登場した大好きな孤高のPunk Band…少なくとも自分の中ではそうだった。しかし、Mediaに彼らの動向が登場したような気配もなく…、実体はStudio Projectであったようだ。Wipersは70年代後半Portland州Oregon出身のGreg SageによるRrecording Projectとして誕生した。バンド名はSageが映画館の窓ふきの仕事をしていたことから名付けられた。もう聞き飽きた言葉であるが、Kurt Cobainがお気に入りのバンドということで、彼らもまた一躍、その名を高めた存在である。実際にNirvanaでWipersの“Return of the Rat”と“D-7”をCoverしているのだから、影響を受けたのは確かだろう。その2曲が収録されているのが本日ご紹介するWipersが79年にリリースした彼らの1stアルバム『Is This Real?』である。ザクザクと攻撃的に切り刻むギターが最高のCatharsisを与えてくれる“Return of the Rat”と、陰鬱な雰囲気でギターのArpeggioから始まる“D-7”。どちらも、まるでNirvanaの曲といってもいいぐらいだ。しかし、その2曲のCoverで彼らの知名度が急上昇した時に、既にWipersは消滅していたのであった。そのくらい大きな影響をKurt Cobain/Nirvanaに与えたWipersは最初は、TourやPromotionもせずに10年間で15枚のLPを録音することをSageが目標としていたという。そりゃ、Interviewをはじめバンドの写真などPressにも登場しないわけである。Sageは音楽をEntertainmentではなくArtだと考えていたのだった。それらの事実を知った時、作品至上主義ともいうべき、そういったSageの姿勢に10代の時の自分は大きな感銘を受けたのであった。Rrecording Projectとはいっても、Sage自身が全ての楽器を演奏するわけではない。裏ジャケットにはギターとVocal担当のSageと共にベースのDave KoupalとドラムスのSam Henryの名前がある。結局、Sage以外のメンバーが変わったりする時もあったが、WpersはTrio編成を基本として18年で10枚の目標には届かなかったが数々の素晴らしいアルバムを残したのだった。

 

 『Is This Real?』はWipers79年にリリースしたアルバム。

アルバム1発目は上述の疾走感に溢れるReturn Of The Rat”。

続く“Mystery”もガンガン突き進むリズム隊PopなMelodyがのった爽快なナンバー。

Up Front”はPrimitiveなベースとドラムスから始まり歪ませたギターがガンガン攻めたてるご機嫌なナンバー。ギター・ソロもカッケーっす。

破壊的なギターのRiffによるイントロから最高の“Let's Go Let's Go Away”。

タイトル曲“Is This Real?”も小気味よいギターのRiffで始まりPopなSage節が炸裂する。Reggae調になったりするのも面白い。

これまたイントロの攻撃的なギターとドラムス、ベースの絡みが激カッコイイ“Tragedy”。

不穏なベースから始まる“Alien Boy”はタイトルのごとく不気味でDarkなナンバー

D-7”は上述のナンバーで途中から攻めの体制になって畳み込むところは何回聴いても最高だ。ギター・ソロもカッコ良すぎ

Potential Suicide”も黙々と刻むベースから始まり唸りを上げるギターが入ってくるところがご機嫌ですなあ。Darkな彼らの一面が出ている。

ドッシリTempoを落としたイントロから疾走溢れる展開になる“Don't Know What I Am”。お約束とはいえカッケーっすなあ。

動き回るベース切り込むギターがたまらない“Window Shop For Love”。

アルバム最後をシメるのは“Wait A Minute”。哀感を感じさせながらガンガンAggressiveに突き進むところがWipersらしくて良い。

(Hit-C Fiore)

 なんとも意味不明の情けないジャケットだけれど、これは自分にとって宝物の一枚。ずっと贔屓にしている英国のバンドFamilyLive盤である。Family解散後にバンドの中心的存在であったRoger ChapmanJohn "Charlie" Whitneyが結成したStreetwalkersが7年ほど前に『I'm Walking - Complete Streetwalkers 1974-1977』という素晴らしい未発表Live音源と全Studio/Single盤の15枚組CD BOXを世に出して、Familyの方もデビュー50周年を記念して2018年に決定版ともいえる『At The BBC』というBoxがリリースされている。こちらは公式デビュー前の1967年11月から活動末期となる1973年5月までBBCに放送用として残されていた彼らのLiveやSessionの演奏を収録したCD7枚+DVDBOXで、解散まで叩き続け屋台骨を支えたRob Townsendやバンドの黄金期を支えたPoli Palmerの演奏のみならずRick GrechJohn WeiderJim CreaganTony Ashton、そしてJohn WettonといったFamilyに在籍していた個性あふれる強者たちの演奏を楽しめるファンにとってはたまらない感涙垂涎のお宝であった。それでも、90年代初頭Windsong Internationalからリリースされた本作は自分にとって変わらない価値を持ち続けるものである。この当時、90年代前半に、このIndipendent Labelから次々とリリースされた正式にlicenseされたBBC音源には狂喜したものであった。一方、Familyも2000年代に入って『1973 BBC Radio Show』やら『BBC Radio Volume 1 1968 - 69』から『BBC Radio Volume 2 1971 - 73』、『BBC Radio Volume 3 1970』とBBC3連発が出るなどファンにとっては財布のひもが緩んでたまらない状態であったわけだけど、本作は出た当時の強い思い入れもあるにしても、やっぱり格別の味わいだ。鍵盤にTony Ashton、ベースにJim Creaganという布陣でドラムスのRob Townsend、ギターのJohn "Charlie" Whitney、Roger Chapmanのオリジナル・メンバーを盛り立てた極上の歌と演奏が楽しめる。特にAshtonのHammondが最高なのだ。

 

 『BBC Radio 1 Live In Concert』は91年にリリースされたFamilyのLive Album。73年1月のLondon Paris Theatreでの演奏と後半3曲は71年12月のLondon Playhouse Theatreの演奏を収録している。

アルバム1発目は後期を代表する粘っこくFunkyなノリの“Burlesque”。 WhitneyのSlideとChapmanのVocalは最高としか言いようがない。

Fearless』からTony AstonのHammondが唸りを上げるSat’dy Barfly”。

Bandstand』からAshtonのMysteriousな鍵盤とChapmanの変幻自在のVocalが英国の香りプンプンで圧巻の“Top Of The Hill”。

同アルバムからアコギで歌われる大好きな名曲My Friend The Sun”。哀感に満ちたChapmanのVocalはたまらなもがありますなあ。

最後のStudio Album『It's Only A Movie』から“Buffet Tea”。アコギがイイ感じだけどTony Astonのピアノ・ソロが素晴らしい。

Fearless』収録の大好きな曲“Children”もアコギでジャンジャカBoogieなノリでシンガロング、これはPubの酔っぱらいノリでご機嫌ですなあ。

英国独特の重たいノリでTony Astonの流麗なアコピにのってChapmanのVocalがが最高な“Glove”。ギター・ソロとHammondソロも泣ける

泥くさいドスコイFunkyなノリが彼ららしい“Ready To Go”も『Bandstand』から。Hammondソロピアノ・ソロがカッコイイっすなあ。

Anyway』からこれまた大好きな曲“Holding The Compass”。Whitneyのギターがイイ味出してますなあ。

Huey "Piano" SmithCoverRockin’ Pneumonia And Boogie Woogie Flu”はAshtonの転がるピアノが冴えわたるBlues Rockな仕上がり。

71年リリースのSinge“In My Own Time”はPercussionにのってChapmanが吼えるFunkyなノリがご機嫌なナンバー。

69年リリースの『Family Entertainment』収録の初期の名曲“Weaver’s Answer”。これぞ英国としか言いようがない変幻自在でStrangeな味わいが最高。

アルバム最後をシメるのは『Anyway』収録の“Part Of The Load”。Jim CreaganのFunkyなベースで始まる大好きな曲。Synthesizerも最高。

Top Of The Hill/Family

(Hit-C Fiore)