BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 ある程度、年をとり、さまざまな経験を積まないと理解の及ばないものというのは、それこそ沢山あるが、音楽でも、そういった類の作品が数多くある。Moacir Santosといえば、自分はどうしてもSantosがBlue Noteに残した3枚の素晴らしいアルバムばかり聴きまくっていて、さまざまな音楽体験を積むまで、Brazilian Jazz屈指の名作とされる本作の良さは中々わからなかったのである。MoacirのBlue Noteからの3作には複雑でありながら極度にSophisticateされた心地良い音楽、米国のMusicianと共演しながらも根底にはAfro-BrazilianのIdentityが流れている音楽が展開されていた。名曲“Nanã”で始まるBlue Noteからの1作目『Maestro』を初めて聴いた時にEnsemble楽曲の素晴らしさに最初は興奮したのだが、アルバム全体にNordesteと呼ばれるBrasil北東部から生まれてきたFrevoBaiãoが、その生命感土着性を失うことなく恐ろしく洗練された音楽として提示されていることにやがて驚かされることになった。そして、SambaAfro-BrazilianのCommunityから生まれ都市音楽として流行し、一般的にも認知/再評価され、60年代前半にはBossa Novaが米国で人気を集めていった頃に、この優れたComposer/Multi-Instrumentalistが発表した本作。ここには、あえてSophisticationを避けRaw素朴Afro-Brazilian Music生命感に満ちたRhythmが提示されている。表現者が理不尽な抑圧を受けていた軍事政権下高らかに鳴り響かせるかのように、力強く大地を歩みだすRhythmと高揚感に満ちた旋律と意匠を凝らした和声を散りばめた傑作を世に出したのである。普段聴きなれたSambaやBossa NovaのRhythmではなく、根底を貫くAfroなハチロクのPolyrhymがアルバムを支配しているが、これが心地良い。そしてClassicalなCelloJazzyなHarmonyが素材の味を損なうことなく取り入れられている。本来Jazzとはさまざまな音楽的要素が異種混合された音楽であった。Antônio Carlos Jobimの師匠でもあるHans-Joachim Koellreutterに音楽理論を学んでいたMoacirらしさも感じられる。Jazzyな和声Ensembleも飛び出すが、基本は自らのIdentityを貫いた音楽に仕上がっているのが良い。

 

 『Coisas』はMoacir Santos65年にリリースしたアルバム。ドラムスにはWilson das Neves、ベースにGabriel Bezerra、ギターにGeraldo Vaspar、ピアノにChaim Lewack、FluteにNicolino Cópia、VibraphoneにJosé Cláudio das Neves。Moacir自身もGeraldo MedeirosBaritone Saxを分け合って吹いている。曲名はすべてCoisaとなって いてCoisa N°〇と、それぞれタイトルに数字がついた組曲型式のようになってる。

アルバム1発目は“Coisa N° 4”。AfroなハチロクのPolyrhymSwingさせ、漆黒の闇強い意志を持って歩みだしていくようなOpener.

高揚感のある旋律が軽快なRhythmにのって心地良い“Coisa N° 10”はGiorgio Bariolaらが弾くCelloHorn Ensembleに絡んで極上の仕上がり。

Coisa N° 5”は後に“Nanã”というタイトルで多くの音楽家にCoverされている名曲。上述の『Maestro』ではVocal入りでMoacil自身も歌っているが、ここではインストで、よりRawで素朴な仕上がり。

小気味よいピアノのBlock Chordで始まる“Coisa N° 3”。ここでもPolyrhythmicApproachが素晴らしく偶数拍子からWaltzに転回するところが非常に気持ち良い。Vibraphoneが効果的だ。

Coisa N° 2”もWaltzにのってCoolなVibrahoneとマッタリ緩めにキメるTromboneのContrastが面白い。Fluteもイイ味を出している。

B面に移って、これまたAfroなハチロクのPolyrhythmにのってSaxが雰囲気たっぷりの“Coisa N° 9”。

軽快な“Coisa N° 6”も軽快な3拍子のRhythmにのったHorn Ensembleが気持ち良すぎ。Baritone Saxが効いてますな。

いきなりSophisticateされたJazzyな和声Ensembleが新鮮な“Coisa N° 7”。

Coisa N° 1”はPolyrhythmicなEnsembleとGeraldo Medeirosが吹くBaritone Saxのソロがイイ感じ。

アルバム最後を飾るのはハチロクにのった哀感漂うSaxがイイ感じの“Coisa N° 8”。

 

Coisa N° 5Nanã)/Moacir Santos

(Hit-C Fiore)

 Paul Brettは英国のGuitar Virtuosoの一人であり、60~70年代に活躍したMusicianである。80年代以降は表舞台で目立った姿をみせないが音楽産業にはずっと関わり続けてきた。Twelve-String Guitarの名手、また優れたComposerとして幅広い音楽性を持ち、ジャンルにとらわれない活動をしてきたが、その才能に比較して評価や知名度は決して高いとは言えないだろう。Jimmy Pageの後釜として10代でNeil Christian & The Crusadersに加入したのを皮切りにModなバンドSW4、そこから発展したArthur BrownのバンドやThe OverlandersTintern AbbeyIvy LeagueFlower Pot Men、そしてCyril Stapleton Orchestraと錚々たるバンドのギタリストとして活躍してきた。BrettはElmer Gantry’s Velvet Operaに加入し、FrontmanだったGantryが脱退すると新たに加わったTwelve-String Guitarの名手Johnny JoyceとVelvet Opera名義で名作『Ride A Hustler’s Dream』をリリースするもバンドは解散してしまう。そしてSession参加したPsychedelic Rock BandのFireのベース奏者Dick DufallとドラムスのBob Voiceと結成したのがPaul Brett's Sageである。Flute/Sax奏者のNicky Higginbottomを加えてPyeからデビュー・アルバム『Paul Brett's Sage』を70年にリリース。Higginbottomが脱退してSweet PainTitus GroanのギタリストStuart Cowellが参加して本作をリリースしている。Roy Harperの1stアルバムやAl StewartStrawbsのアルバムでもPaulのギターを聴くことができるが、Vocalも担当しSongwriterとしての才能も発揮された本作は米国のFolk Rockの影響も感じさせつつ英国の香り漂う名作である。PaulとStuart Cowellの2本のギターの絡み清涼感漂うChorusMichael GibbsOrchestral Arrangementsが生み出す抒情的で奥行きのあるサウンドは実に味わい深い。

 

 『Jubilation Foundry』はPaul Brett's SageDawnから71年にリリースしたアルバム。

アルバム1曲目はベースのDick Dufall作の“Cottage Made For Two”。アコギと爽やかなChorusFluteが何とも心地良い。

Brass隊も加わって華やかな雰囲気の英国Popsに仕上がった“Hold My Hand Mother”は後にJohn Wettonとの活動で知られるJohn Hutcheson作。

これまた知る人ぞ知る英国のS.W.W..のSteve Voice作の“Pasadena Days”。

優美なStringsをバックにLyricalなピアノ弾き語り風の“Keeper Of My Heart”。StringsFluteChorusも効果的。Trumpet奏者Barry MyersPaul Brettの共作。

どっしりしたリズムにのって歌い上げる“Goodbye Forever”。再びHutcheson作。

HarmonicaとPercussionがイイ感じの“Good Old-Fashioned Funky Kind Of Music”。タイトル通りの少し懐かしい感じのFolk Rock。英国の中の米国。これもHutcheson作。

Bits”は2本のギターによる心地良いインスト曲

再びベースのDufall作のGentleなFolk RockI Fell So Far”。

Paul Brett作の“Written In Winter”はギターをジャンジャカかき鳴らし英国の香り漂うメロディがお気に入りのナンバー。

続いてもPaul作の“Tuesday Evening”。心地良いアコギのカッティングで始まりこれまた英国魅惑の歌メロにClassicalなStringsも加わり爽やかなChorusもイイ感じ。ピック弾きのベースも良い仕事をしている。

Hutcheson作の“Help Me Jesus”。これまた英国産Swampな曲調でEarthyなアコギPercussionもイイ感じ。

Paul作のタイトル曲“Jubilation Foundry”。英国的な陰影のあるナンバー。

最後を飾るのは再び2本のギター典雅なEnsembleが最高の“Bits”。

(Hit-C Fiore)

  Edoardo BennatoNapoli出身のCantautoreである。そのNapoletanoらしい情熱的で泥臭くも親しみやすい歌唱音楽スタイルは、Italy南部を中心に絶大な人気を集め、Napoliの英雄Pino Danieleがこの世を去ってしまった今では70年代に登場し、人気を集めたNapoletanoの心意気を伝える貴重な存在となっている。ギターをかき鳴らし、足でバスドラムを踏み、歌の合間にHarmonicaKazooを吹く大道芸人スタイルは"Uomo Orchestra"としてEdoardの名を有名にした。本作は『Pinocchio』に題材を求めたConcept Album。デビュー作からのAlessandro Colombinimに加えて本作ではEdoardoもProducerとして名を連ねている。前作『La Torre Di Babele』からStringsとHorn隊のArrangementsを担当したMaestro Antonio Sinagraの手腕が如何なく発揮されている作品でもある。リズム隊には、前2作に引き続いてToni Espositeと名ベーシストGigi De Rienzoのコンビに、Maxophoneにも参加したドラマーSandro Lorenzettiが名を連ねているのが嬉しい。Maxophoneからは他にもTrumpet奏者のMaurizio BianchiniとベーシストのAlberto Ravasiniが参加している。ギターにはBluesの名手Roberto CiottiTony Di Mauro、SaxにはSaint JusutのBob Fixが参加しているのも興味深い。Edoardo Bennatoの音楽は歌詞が分からなければ十分に、その本質と面白さが伝わらない部分もあるのではあるが、イタリア語がわからなくても、単純に歌と演奏だけでも楽しめるという意味では、本作はお奨めである。親しみやすい庶民派でありながら寓話を題材にしたり、時に鮮烈なMessageも含んだProtest SongもかましてくれるEdoardo Bennato。その存在感は今でもとてつもなく大きいのである。

 

 『Burattino Senza Fili』はEdoardo Bennato77年にリリースしたアルバム。

アルバム1曲目は“È Stata Tua La Colpa”。ゆったりとした始まり方でアコギの爪弾きとEdoardoのVocalも実に味わい深い。Harmonicaの響きがイイ感じ。タイトルの“お前のせいだった”という歌詞もEdoardoらしさに満ちている。

一転してBo Diddley BeatにのってEdoardoのVocalが躍動する“Mangiafuoco”。ElectricとAcousticがイイ塩梅に混じりあい、Percussionとアコギ、ピアノがメチャクチャ心地良く響く。

勢いのあるRock & RollIn Prigione, In Prigione”。ノリノリのナンバーではEdoardoのチョイと鼻がつまったようなVocalの特質が生きてくる。

Acoustic Guitarの爪弾きがイイ感じの弾き語り“La Fata”。VibraphoneAccordionの響きも雰囲気タップリ。夢見心地のサウンドに泥くさいEdoardoのVocalというContrastが独特の雰囲気を醸し出している。

Orchestraをバックに歌われる“Dotti, Medici E Sapienti”。Classicalで典雅な演奏にのってTheatricalなVocalが面白い。

Slide Guitarが気持ち良いEarthyなサウンドで始まる“Tu Grillo Parlante”。途中からはSwampなロックになって盛り上がりまくり。

勢いのあるRock & Rollスタイルで歌われる“Il Gatto E La Volpe”古き良き時代のサウンドで、ノリノリで歌うEdoardoが良い。Liveではお得意の"Uomo Orchestra"スタイルで演奏されることもある。

アルバム最後をシメるのはピアノをバックにしっとりと歌われるBalladQuando Sarai Grande”。

(Hit-C Fiore)

 Mike FiemsIrinois州出身のSinger-SongwriterArizona州で開かれたバンド・コンテストで優勝したのをきっかけに72年に本格的にプロの道を歩みだしたFiemsが残したおそらく唯一のソロ・アルバムが本作である。以前ご紹介した激渋名盤『Wasted』で知られるLink Wrayの実兄Vernon Wrayが設立したVermillion Recordsからリリースされている。 VernonはExecutive-ProducerFiemsがAssistant Engineerを担当、Arizona DesertにあるThe Record Factoryで録音されたとクレジットされている。FiemsはTwelve-String GuitarAcoustic Guitar BassPercussionPianoを演奏している。Fiems以外はドラムスとギターを演奏するBill KennedyとベースのCharlie Gould2名のみという実にSimpleな編成で録音されている。FiemsのVocalは美しくも儚い旋律Lyricalに歌い上げ、バックは決して前に出ずに楽曲の良さをひき立てる演奏に徹しているのが良い。淡々としたSimpleな演奏ではあるが空間を生かしたChorusの拡がり12弦も含むAcoustic Guitarの響きに加えて時折Psychedelicなギターの旋律などが絡み、現実の世界から、いつの間にか幻想的な世界へTripさせられてしまうような感じが楽しい。クセのないGentleなFiemsのVocalとChorusはアルバムのジャケットのように清々しいものだが、どこかにSentimentalな部分を残し、非日常的な世界が顔を覗かせるところが面白い。全体的に60年代のFlowerでPsychedelicな夢想的な雰囲気が漂い、美しくて今にも壊れてしまいそうな硝子細工のような世界が拡がっていく。それは英国の木漏れ日を思わせるFolkyな作品とは一味違う砂漠の蜃気楼のような儚く脆い、それゆえに中毒性の高い幻想の世界へTripさせてくれる作品である。

 

 『I Would Dream』はMike Fiems75年Vermillion Recordsからリリースしたアルバム。

アルバム1曲目はタイトル曲“I Would Dream”。ピアノアコギSimpleな伴奏をバックにLyricalなMike Fiemsのジャケットのように清々しいVocalが気持ち良い。ギター・ソロは少々Psychedelic入っているところも微笑ましい。

I'll Be A Star”もアコギの弾き語り風で透明感に満ちた旋律を気持ち良さそうに歌い上げている。途中でピアノが入って展開するところも良い。

Touch Me”は泣きのChord 進行にのって爽やかなVocalChorusがイイ感じ。

Twelve-String Guitarが冴える“Seven Years”も哀感漂うVocalがグッとくるナンバー。Echoがかかったギターによるイナタいソロも良し。Arizonaの砂漠に引き寄せられていくような奇妙な魅力がある。

Desert Sands”は淡々とした曲調の中に、ふと現れる蜃気楼のような幻想的な心地良い瞬間がたまらない。Chorusとアコギの拡がりが気持ち良すぎ。

Feelin Fine”はMinor Keyで突き進む60年代を思わせるFolk Rock

PianoとChorusがDreamyな“My Lady”。

Funkyなアコギカッティングが気持ち良い“Life In The City”。OldiesのChorusイナタいギター・ソロもイイ味出している。

I'm Here”はCounty Rock風の味付けが面白い。

Sing It”はアコギをジャンジャカ高揚感に満ちながらも、どこかに切なさが残るところが素晴らしい。

アルバム最後を飾るのは“How Will It Be”。哀愁に満ちたイントロから淡々とした歌と演奏に進むが、いつの間にか非日常的な世界へ連れ出されていくような感覚をおぼえる。

(Hit-C Fiore)

 

  おフランスから登場した鍵盤奏者Dominique Perrierと打楽器奏者Roger RizzitelliによるCosmicなElectronic Duo、その名もSpace Art。ジャケットも素敵である本作は彼らの2作目になるアルバム。77年にデビュー・アルバム『Space Art』をリリースして80年のラスト・アルバム『Play Back』まで全部で3枚のオリジナル・アルバムを発表している。フランスのSynthesizer奏者Jean-Michel Jarreと親交を持ち、仕事もしているPerrierの奏でるPolymoogMinimoogArp OdisseyといったAnalog SynthesizerのサウンドとRizzitelliの叩くドラムスのCombinationが生み出す人間味を感じさせるElectronic Soundが彼らの魅力である。Jean-Michel Jarreの『Oxygene』が世に出たのが77年。果てしない宇宙と夢と希望に満ちた未来に憧れを持ち続けていた子供の頃、Synthesizer Musicは後に夢中になるSF小説の世界とリンクして、さまざまな想像をかき立ててくれた。70年代後半にドイツやフランスから続々生まれていったそれらの音楽は欧州らしい抒情性Romanticismがそこはかとなく感じられる作品もあって、Space Artのアルバムも自分にとってはお気に入りの音盤だ。今であればSyhthe Disco Popな3rdアルバム『Play Back』が一番受け入れられやすいだろうが、敢えてジャケットもお気に入りの本盤を紹介したい。

 

 『Trip In The Center Head』はSpace Art77年にリリースした2ndアルバム。

アルバム1発目は“Speedway”。Synthe Bassで始まり欧州らしい重厚で抒情的な旋律Vintage Synthesizerが奏でていく様は正に70年代。Rizzitelliの生ドラムも派手さを抑えた人間らしい温もりを与えてイイ感じである。

Odyssey”は宇宙を駈けぬけていくかのようなSequencerが心地良い。ここでもMoogArp OdisseyなどのAnalog Synthesizerが70年代らしいHumanな感覚を感じさせてくれる。

宇宙飛行士の無線の会話のようなSEをバックに厳かに始まる“Eyes Shade”はSimpleでゆったりとしたBeatを叩き出すRizzitelliのドラムスにのって夢見心地のSynthesizerやギターが登場してくるのが最高。

Watch It”はイントロから重々しく大仰な旋律で始まるが、バックで鳴り響くSequencerなどキラキラしたSynthesizerが次々に登場して変な重さを感じさず、良い意味で軽いサウンドになっているのが良い。

L'Obsession D'Archibald”はメインの旋律がイナタさ満点の楽曲ながらSpasyなSynthesizerの拡がりが絶品。Rizzitelliのドラミングも良し。

Hollywood Flanger”も煌びやかなSynthesizerの洪水とRizzitelliのドラミングがTrippySoundscapeを生み出している。Vibraphoneの使い方もイイ感じ。

最後を飾るのは10分を越える大作Psychosomatique”。牧歌的マッタリした前半が心地良いですな。後半になると徐々にスケールが拡がっていきSpacyな音の洪水に呑み込まれていく。

(Hit-C Fiore)

  英国のStrayというバンドは不思議な魅力を持っている。平均年齢18歳で名門Transatlantic Recordsと契約し70年にデビュー・アルバム『Stary』をリリースしている。若さゆえの暴走というか、荒削りで未消化の部分もあるとはいえ、これが中々面白いアルバムとなっている。英国特有の翳りPsychedelic浮遊感のあるサウンドHardでAggessiveなギターRiffをガンガンかませたり、時に幻想的なAcoustic Guitarが登場したりして独特の雰囲気がイイ感じだ。Blues RockPsychedelic Musicを二大源流としたHardなギターを前面に出した英国独特の多様性と抒情性を持ったバンドが数多く誕生した60年代後半から70年代前半を象徴する作品である。案の定、その後のStrayは次作でMellotronを大胆に導入したかと思えば、73年にリリースされた4thアルバムMudanzas』ではHornSringsも取り入れた作品で音楽性を拡げていく。同時にPopCatchyな音楽性も徐々に強まっていく。しかし、その根底にあるのはThe Beatles以来の伝統である英国的な抒情と捻りを持った旋律である。Andrew PowellがArrangementsにかかわった同作での少々やり過ぎな管弦楽器の導入から一転して、続く本作では装飾は控えめで多彩に攻めるギターを軸にしながらも幅広い音楽性が発揮された英国の香り漂う作品となっている。ギターとMellotron、Hammondを演奏するDel Bromham、VocalとギターのSteve Gadd、ベースのGary Giles、ドラムスのRitchie Coleというデビュー・アルバム以来不動のメンバー4人体制最後の力作であり、彼らとTransatlantic Recordsとの契約最後の作品となった。ちなみにPye移籍後のStrayのアルバムも中々面白いが、これは後日ご紹介する予定。

 

 『Move It』はStray74年にリリースしたアルバム。

アルバム1発目はRitchie Coleドラム・ソロによるのInterludeのような“Tap”。

続くタイトル曲“Move It”はIan Samwell作のCliff RichardDebut SingleのCiver。Tempoを落としてタメのきいたリズム隊をバックにHardなRiffを前面に出したご機嫌な仕上がりである。最高。

ワクワクさせるイントロから惹きこまれる“Hey Domino”は歌メロがCatcyでありながら展開に捻りもある英国らしさが出たナンバー。immy Helmsの典雅なBrassも素晴らしい。ギター。ソロも最高。

米国生まれで英国で活動した作曲家/歌手Jimmy Helms作の“Customs Man”は作者本人のChorusやAndrew Powellの手によるStringsが加わったPsychedelic Popなナンバー。

Mystic Lady”はThe Beatles影響が感じられるPopなナンバー。VocalのGaddの作品。

激カッコイイRiffで始まる“Somebody Called You”。ギターのBromham作のこの曲もBeatlesの遺伝子が感じられる。

BluesyなBalladGive It Up”もVocalがJohn Lennonを思わせるところがある。

Like A Dream”もHammondが隠し味に使われたPopなナンバー。

Rimshotで始まる“Don't Look Back”はSwamp風味のギターとGaddの脱力した気怠いVocalがイイ感じのナンバー。

疾走感に溢れるRight From The Start”。攻めまくるギターRiffCatcyなChorusもイイ感じ。ギター・ソロも突き進むベースもカッコイイ。

最後を飾るのはGadd作のアコギが冴えるBritish Popな“Our Plea

(Hit-C Fiore)

 ArizonaTucsonで結成されたGreen on Red80年代初頭Los Angelesで盛り上がったPaisley Undergroundのバンド中では少し異質であった。83年にリリースされた『Gravity Talks』あたりまでは、このMovementの特徴であるPsychedelicで倦怠感のあるVoocalや60年代Rockに傾倒した音楽性が強く感じられはするものの彼らは徐々にCountry Music色の強いRoots Music寄りの音楽性を強めていく。この辺は以前ご紹介したThe Long Rydersにも共通するPunkを通過した世代のFolk/Roots Musicといった趣きである。元々はVocalとギターのDan Stuartが70年代末に結成したThe Serfersというバンドが母体となっているが、Green on Redと名前を変えて、Dream SyndicateSteve Wynnの協力の元にChris CacavasのOrganやギターが60年代GarageでPsychedelicなサウンドを奏でる上述のアルバムをSlashからリリースしている。そして今や音楽家として確固たる地位を築いた才能豊かなギタリストChuck Prophetが加わった本作で、その独自の音楽性が輝きを増していくことになる。中古レコード屋さんで偶然手に入れた音盤との出会いが自分がこのバンドに深く興味を持っていくきかけとなった。『失われた絆』という邦題が付けられた本作は、日本では、なんとWaveレーベルから出されていたというのも興味深いものがある。ベースのJack "Jake" Waterson、ドラムスの Alex "Big Dog" MacNicol、鍵盤とHarmonica(Mouth Harp)のChris "Chez" Cacavas、ギターのChuck Prophet Chuck "Billy The Kid" Prophet IV、そしてVocalとギターのDan "Big Daddy" Stuartの5人がGreen on Redだというクレジットがされた本作こそ個人的に当時のPaisley Undergroundの中でも重要な位置を占め、Alternative Countryへと繋がる作品だと思っている。

 

 『Gas Food Lodging』はGreen on Redが85年にリリースしたアルバム。

アルバム1発目“That's What Dreams”はChuck Prophetのご機嫌なギターで幕を開ける。もう、このイントロだけで最高である。そこに加わるDan Stuartヘロヘロ気怠いVocalも良し。

Chris CacavasHarmonicaピアノがイイ味を出している“Black River”。

Hair Of The Dog”も歪んだギターピアノがカッコイイ。

疾走するThis I Know”はピアノに加えてオルガンがイイ味を出している。

これまた激渋なギターのRiffで始まる“Fading Away”。短いながらPsyche入ったギター・ソロが絶品。

Tempoを落としてEasy Way Out”。オルガン・ソロが渋いこのゆるい感じも好きだ。

Sixteen Ways”も引き攣ったようなギター・ソロがカッコイイがここでもオルガンが効いている

The Drifter”はヘロヘロに疲れ切ったMick JaggerみたいなVocalが面白い。

Psychedelicなギターで始まる“Sea Of Cortez”はヨレヨレVocalと野郎Chorusと気合の入ったギターがダサカッコイイ

なんと、ここで“We Shall Overcome”の登場だ。Gospel Songとして産まれCivil Rights MovementのAnthemとなりProrest Songとして浸透していくこの曲を、Danが例のよれよれ声で歌い上げるところが良い。

アルバム最後をシメるのは“Gas Food Lodginge”。アルバムの中では最も一般的なPaisley Undergroundのイメージに近いナンバー。疾走するリズムにのったDanの囁くようなVocalとChuckのギターが最高。

 

Hair Of The Dog/Green On Red

(Hit-C Fiore)

  Bernd  Konradはお気に入りのSax奏者の一人であるが、来日していたことがあるとは知らなかった。初めてKonradの存在を知ったのはDidier LockwoodHans Kollerが参加していたこともあって思わず手にした本作である。KonradはTrumet奏者のFrederic RaboldHerbert JoosFrederic Rabold CrewのBaritone Sax奏者のWalter Hüber、鍵盤奏者のPaul Schwarz、ベース奏者のJan Jankeje、DrummerのMartin BuesJazzcrew Stuttgart名義で素晴らしい名演を残している。あの伝説の4枚組Omnibus盤『Jazzfestival Balver Höhle Ausschnitte Vom New Jazz Programm 1974 & 75』のA面冒頭を飾っていたのがJazzcrew Stuttgartの“Time Machine”である。何年か前にReisueされたCD11枚組では当時上述の1曲のみ彼らの演奏のほぼ全容が収録されており、そのQualityの高さに驚かされたものである。また、盟友Herbert JoosとTrombone奏者Wolfgang Czelustとの連名で77年にリリースした『Blow!!』では3人の管楽器奏者のみの演奏でImaginativeなImprovisationを聴かせてくれる。KonradはJoos同様に、欧州のMusicianに多いClassicalな教育を受けて現代音楽へ進み、JazzAvant-Garde Musicも飲み込んだ独自の音楽性を追求していくタイプだと思われる。それにしても本作は傑作である。この手のFreeでAvant-Gardeな音楽にありがちな独りよがりで頭でっかちな部分は全く感じられらない。FreeExperimentalではあるのだが、意外に聴き易い。それでいて安易に媚びることのない優美で独創性の高い音楽に仕上がっている。LockwoodとKoller以外のメンツはドラムスにJazzcrew StuttgartのMartin Bues、ピアノにChristoph Spendel、ベースに名手Thomas Stabenowで、自由闊達でありながらJazz Rock的な楽しみ方も可能な一枚に仕上がっている。

 

 『Traumtänzer』はBernd  Konradが80年にリリースしたアルバム。

アルバム1発目“Phonolith”はいきなり全開モードで緊張度が高く自由闊達な展開がカッコイイ。疾走感に満ちたリズム隊にのってDidier LockwoodViolinがキレキレで煽りまくり。Christoph SpendelのピアノもHans KollerのSaxもテンションが高い演奏で、スリリングなUnisonなどバンド全体がとんでもないパワーを放ちまくっている。

Minimalなベースが気持ち良いアルバム・タイトル曲“Traumtänzer”。ベースとSaxのみの演奏Pastralな風景が果てしなくひろがっていくような感じが良い。KonradのSaxも心地良さそうに歌っているが、決して饒舌にならずにImaginativeなプレイでた楽しませてくれている。只管繰り返されるフレーズもイイ感じ。

静謐で硬質な美しさがたまらない“Nordlicht”。イントロのChristoph Spendelが弾く優美なピアノの響き、そして、それに重なる民族音楽調のKonradとHans KollerのEnsembleも良い。LockwoodのViolinも効果的。

11分越えの“Aufwärtsregen”も出だしからSpendelが弾くMysteriousで美しいピアノの響きに惹きこまれる。特に後半のピアノ独奏は時が止まってしまうほどに美しい。

アルバム最後を飾るのは“Jeannerette”。冒頭の2管による重厚なThemeから軽やかに展開していく様は実にお見事。2管が繰り返すフレーズが実にイイ感じ。ドラムスだけをバックにしたSaxソロが続くが、ここではジャンル無用に自由奔放なフレーズが繰り出されていく。後半の展開はピアノとベースも加わりスリリングな激カッコイイJazz Rockで鳥肌モノである。Martin Buesのドラム・ソロもイイ感じ。

(Hit-C Fiore)

  これは小さくて少々わかりずらいかもしれないがジャケットを見てピンときた。ジャケ買いしてバッチリ自分のツボにハマった一枚で、これでBilly Boy Arnoldのアルバムを買い集めることになったのである。なんたって77年Londonで録音された『Checkin' It Out』では大好きなThe GroundhogsTony McPhee師匠がギターを弾いていたりするのだ。Billy Boy ArnoldことWilliam Arnoldは生まれも育ちもChicagoのBlues Harp/Harmonica奏者。幼少時からHarmonicaを学び、たまたま近所に住んでいたSonny Boy Williamson IJohn Lee Curtis "Sonny Boy" Williamson)に教えてもらうことになるが、師匠は間もなくこの世を去ってしまう。それでもBluesの道を進むArnoldはEllas McDanielというStreet Musicianと活動を開始する。この男こそBo Diddleyであり、54年後半にDiddleyはArnoldとドラムスのClifton James、ベースのRoosevelt Jacksonと共にバンドを結成する。このバンドであの“I'm a Man”と“Bo Diddley”をデモ録音している。その一方で既に"Billy Boy".というNicknameでSoloとしての活動も始めていたArnoldはVee-Jay Recordsと契約を結ぶことになる。そこでDiddleyのBeatを使った“I Wish You Would”を録音している。The YardbirdsDavid BowieSweetもCoverしたこの曲はBluesで初めてエレキ・ベースが使われて録音された曲らしい。この曲がヒットし、これまたYardbirdがCoverした“I Ain’t Got You”なども当たってそれなりの売れっ子になったArnoldがPrestigeに録音したアルバムが本作である。ギターにMighty Joe Young、ピアノにLafayette Leake、ベースに後にThe Paul Butterfield Blues Bandに参加する弟のJerome Arnold、ドラムスにJunior Blackmanというメンツは申し分なし。Arnoldは作曲の才能もあり、実にカッコイイRiffのナンバーやCatchyなR&B感覚の曲もまじえてBluesのDeepな味わいこそないが、実に楽しめるChicago Bluesのアルバムとなった。

 

 『More Blues On The South Side』はBilly Boy Arnold65年にリリースしたアルバム。

アルバム1発目はノリの良い“School Time”。ArnoldのHarpのRiff激カッコイイMighty Joe YoungのギターとLafayette Leakeのピアノの絡みも抜群。

Jimmy Reedの“Goin' By The River”はArnoldのチョイ気怠い歌い方が良い。転がるピアノもイイ感じ。

You Don't Love Me No More”はお得意の軽快なR&B感覚のナンバー。こういう曲を入れるのは好き嫌いを分けるかもしれない。

You're My Girl”はギターのMighty Joeの歌いまくるバッキングが絶妙。ArnoldのVocalもFalsettoを使いながら頑張っている。

Oh Baby”はBlues好きなBritish Beat Bandが好んでCoverしそうなModな魅力のある生き生きとしたノリの良いナンバー。

勢いで突っ走るEvaleena”もArnold特有のR&B感覚が生かされたナンバー。

これまたノリノリの“I Love Only You”はMighty Joeのギターとかけ合うHarpソロがご機嫌なナンバー。

ドッシリしたBeatにのってLafayette Leake転がりまくるピアノとMighty Joeの渋いギターが最高の“Two Drinks Of Wine”。

I'll Forget About You”もR&BノリでHrapも冴えまくりのご機嫌なナンバー。

インスト・ナンバーBilly Boy's Blues”はHarpソロは勿論、ギター・ソロも渋くキメて激カッコイイっす。

Mighty Joeのギターが歌いまくりLeakeのピアノも絶品の“You Better Cut That Out”はArnoldのHarpも渋くて良し。

最後をシメるのはB.B. Kingの“Get Out Of Here”。

(Hit-C Fiore)


 以前も取り上げたPolandWarsaw出身の音楽家Michal UrbaniakViolin奏者Sax奏者として、そして何よりComposer、Band Leader、Arrangerとして比類稀なる才能でPolandから米国に渡り活躍してきた人物である。PolandのKrzysztof KomedaNovi Singersとの活動のみならず73年に当時のPartnerだったVocalのScat魔女Urszula Dudziakと米国を拠点に活動を開始すると、Fusionを結成し、75年の『Fusion III』やFunk FactryではベースにAnthony Jackson、ドラムスSteve Gaddを迎えている。Fusionとは別にBilly CobhamやLarry Coryellらとアルバムを制作しているのも興味深い。ソロ・アルバムとしては3作目となる本作ではAlto Saxに盟友Zbigniew Namysłowski、ドラムスにBernard Pretty PurdieGary Mure、ベースにPee Wee FordAnthony Jackson、PercussionにRalph Macdonald、鍵盤には『Urbaniak』に続きKenny Kirkland、ギターにはJames Robinsonが参加している。何といってもRoy Ayers UbiquityのCalvin BrownがVocalと楽曲提供で参加しており、Fnuk志向の本アルバムで存在感を放っている。

 『Ecstasy』はMichal Urbaniak78年にリリースしたアルバム。
アルバム1発目“Body Rub”はイントロはありがちなキメながらPee Wee FordSlapベースが炸裂し、Chorus隊がFunkyな楽曲を盛り上げるUSA仕様。Henry"Butch"JacksonがVocalを担当。
Deniece Williamsの“Free”は幻想的なVolinで始まる。
アルバム・タイトル曲は高揚感溢れるMellow FunkyなEcstasy”。ベースがSlapでブンブン唸りを上げ、Chorus隊も盛り上げまくり。
FunkyなギターのRiffで始まる“Just A Funky Feeling”。Roy Ayers UbiquityのCalvin BrownがVocalを担当する。
続いてもCalvin BrownがVocalの“Want's Ta Make You Feel Good”は粘り腰のMellowなMidium Funk。Pee Wee Fordの重たいベースが最高。
Urszula Dudziak妖しいVocalにメロメロの“A Day In The Park”。姐さん、エロ過ぎっす。
爽やかBossa風に始まる“French Kiss”。ここでのUrszula姐さんは控えめっす。
アルバム最後をシメるMellowなBallad“Creation”。Urszulaは、やはりしっとりScatしている。この曲だけGary Mureがドラムスを叩く。Anthony Jacksonのベースが良い。後半のMureのドラムスとやり合うViolinソロが激カッコイイ。
(Hit-C Fiore)