BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


  Ben AtkinsAlabama州Vernon生まれのSinger-Songwriter。ChaliceやHip同様にStaxの子会社でIsaac HayesやLittle Sonnyのアルバムで知られるEnterpriseから71年デビュー・アルバムとなる本作『Patchouli』をリリースしている。何でもStaxが初めてソロ契約した白人Musicianであったらしい。Ben AtkinsはBig Ben Atkinsと呼ばれる、その堂々たる体躯から繰り出される男くさいVocalは中々のモノである。しかし、それだけではなくSoulfulで実に南部男らしいGospelの香りも漂わせた包容力に満ちた温かい歌いっぷりは格別なのである。実は自分のAtkinsとの最初の出会いは本作ではなく『The Complete Goldwax Singles (Volume 3 1967-1970)』に収録されていたBen Atkins & The Nomads名義の7", Singleであった。彼らはGoldwax以外にもSytatue RecordsYoungstown Recordsから7", Singleをリリースしており、Youngstownから出たDan PennのProduceでPennとSpooner Oldham共作の“Come On Over/Burning”は何とか手に入れたいと思っている。また、Ben Atkins And The Second Hand名義でJubilee傘下のJosieから“I Wanta Make Love Country Style/Cindy And Fletcher Brown”と“Ring Of Fire/Mr. Pitiful”と2枚のシングルをリリースしているようである。本作はBarry BeckettDavid HoodRoger HawkinsJimmy JohnsonMuscle Shoals Rhythm SectionにMuscle Shoals Sound Studioの名ギタリストWayne PerkinsBooker T & The MG'sDonald "Duck" DunnAl Jackson Jr.ら豪華な演奏陣とGingerとMaryのHolladay姉妹にJeanie Greeneらの女性Chorus陣がバックを務める臨場感伝わるStudio Live演奏が絶品の仕上がり。押し引き弁えたAtkinsのVocalもご機嫌でSwampの濃厚な香り漂う名盤となっている。

 

 『Patchouli』はBen Atkins71年にリリースしたアルバム。

アルバム1曲目“I Love This Song”はド渋なギターのイントロで始まりAtkinsの抑制のきいた歌いっぷりが素晴らしい。バックの演奏女性Chorusも最高である。Dan PennJimmy M. JohnsonLen Renfroの共作。

Cross My Mind”はSoulfulで温もりのある、そして包み込むようなScaleの大きい歌いっぷりに脱帽。女性Chorusギター・ソロも沁みますなあ。

ロッケンなイントロから盛り上がるShine On”は女性Chorus隊を従えてガンガンにノリまくり。

Holding On To Friends”はAtkinsのVocalは勿論、痒いところに手が届く生命感に満ちた演奏も素晴らしい。この辺が南部の魅力である。

Howlin' Wolfのナンバーで披露するAtkinsのBluesyなVocalからFiddleも飛び出すCountry調に展開する“Smokestack Lightnin' / Brighter Side Of It All”。

豪快なSlide Guitarがご機嫌な腰にクるナンバー“Solid Ground”。この生命感に満ち溢れた歌と演奏が一体となった南部魂は最高。

Southern Soul界隈で知られるギタリストJerry Puckett作の“That Brings Me Down”は鄙びたHarmonicaがイイ感じのSouthern Waltz。ここからはStaxの演奏陣がバックを務める。The M.G.'sのBobby Manuelのギターが良い。

タイトルからしてもまんまGospelな“A Long Way To Go”。さすがの歌いっぷりで演奏ともども高揚感に満ち溢れている

Would I Be Better Gone?”はAtkinsの粘り腰のVocalが底力を見せつけたナンバー。地味ながら沁みますなあ。

アルバム最後をシメるのはDonald "Duck" DunnAl Jackson Jr.極上のリズム隊にのったSoulfulなVocalとChorus激カッコイイGood Times Are Coming”。

(Hit-C Fiore)

   Billy NichollsThe Who関係の、というより大好きなJohn EntwistlePete Townshendのアルバムを集めていた時に、その存在を知ったのであった。Pete Townshend72年にリリースした1stソロ・アルバム『Who Came First』やJohn Entwistleの81年作『Too Late The Hero』でその存在を知ったのであった。そして何といってもNichollsがThe Fifth Avenue BandJon LindKenny Altmanと結成したWhite Horse77年に唯一残したアルバム『White Horse』である。“It Doesn't Take Much”や“GIve It Up”、後にPhil CollinsもCoverした名曲“Can't Stop Loving You”他、そのEarthyなPop感覚は今こそ再評価すべきNichollsのSongwritingの才能を感じさせる。そんなBilly Nichollsが作曲家として契約したImmediateに豪華なゲストを迎えて68年に録音が完了してきながらお蔵入りとなってしまった1stソロ・アルバムが本作である。同レーベルのSmall FacesからSteve MarriottRonnie LaneIan McLaganKenny Jonesとメンバー全員が参加し、MarriottとLaneはタイトル曲のProduceまで担当。後にHumble Pieに加わるApostolic InterventionJerry ShirleyNicky HopkinsJohn Paul JonessBig Jim SullivanCaleb Quayeといった英国の腕達者なMusicianが集結しリリースされた本作は、The Beach Boysの66年にリリースされた『Pet Sounds』 への○○からの回答みたいな少々使い古された言葉で語るのも烏滸がましいほどの英国らしさに満ちた傑作に仕上がっている。確かにBeach Boysに影響を受けたChorusがアルバムを支配しているのだが、1曲を除いて全て本人のペンに固められている作品はHarpsichordOrchstrationやBrass隊など英国の香りに満ちたサウンドに彩られた全曲素晴らしい出来に仕上がっている。The Beatlesが67年にリリースした『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』以降のSmall Facesによる68年作『Ogdens' Nut Gone Flake』に共通した香りが漂っている。

 

 『Would You Believe』はBilly Nicholls68年Immediateからリリースする予定だったアルバム。

アルバム1曲目はアルバム唯一本人以外の手となる英国人Producer Jeremy Paul作のタイトル曲“Would You Believe”。このOrchestrationとChorusや効果音が如何にも英国の香りを漂わせたMagicalなPopでアルバムは幕を開ける。この曲のみRonnie LaneとSteve MarriottがProduceしArrangeはSmall Faces名義となっているOgdenのFacesな仕上がり。

Come Again”もChorusやアコギなど、そこかしこにBeach Boys的な雰囲気を漂わせるが、この曲も根底に流れる英国的佇まいが良い。

Life Is Short”もHarpsichord、Brass隊、Chorusが実に英国的なPop

甘美で夢見心地なMelodyOrchestrationが最高な“Feeling Easy”。

Daytime Girl”も典雅なOrchestrationがBeach Boysを思わせるDreamyなChorusと織り成すMagicalなPop Worldに惹きこまれる。

“Daytime Girl (Coda)”は正にBeach BoysなChorusのみで魔法にかけられたように不思議な世界へ導かれてしまう。

アルバムで一番好きな躍動感に満ちたLondon Social Degree”。

ピアノとVocalが如何にも英国的極上PopPortobello Road”。

夢見心地のPsychedelic PopQuestion Mark”。

ジャケットのような捻じれた感覚Brass隊極彩色の世界へTripさせてくれる“Being Happy”。

躍動するリズムとFuzz GuitarがカッコイイGirl From New York”。この曲もDreamyなChorus甘美なMelodyが素晴らしい。

アルバム最後をシメルのは甘く切ないMelodyがたまらないIt Brings Me Down

(Hit-C Fiore)

 

 

Jeannine/Cannonball Adderley Quintet

  大好きなThe Cannonball Adderley QuintetによるDuke Pearsonの書いた名曲“Jeannine”の演奏。Julian "Cannonball" AdderleyNat Adderleyの兄弟をフロントに、ベースにSam Jones、ドラムスはLouis Hayes、ピアノはVictor Feldmanというメンツでの62年Parisでの演奏。淀みなくフレーズを紡ぎ出しスリリングに炸裂するCannonballのAlto Saxは勿論、NatのCoolCornetソロも最高だ。そして大好きなVictor Feldmanの洒脱なピアノ・ソロ淡々と、しかしバンドをDriveさせRinningするSam JonesのベースにLouis Hayesの心地良く響くSymbalRimshot。もう最高の演奏としか言いようがない。なお、Duke Pearson自身も61~61年に録音されたPiano Trioの名盤『Angel Eyes』で、この曲を演奏しており、こちらもご機嫌な出来である。

 

Them Dirty Blues/The Cannonball Adderley Quintet

 “Jeannine”はThe Cannonball Adderley Quintet60年Riversideからリリースしたアルバム『Them Dirty Blues』に収録されている。他にもNat Adderleyの代表曲“Work Song”やBobby Timmonsの“Dat Dere”、Sam Jonesの“Del Sasser”など名曲、名演が目白押し。このアルバムこではBobby TimmonsBarry Harrisがピアノを弾いているが、両者の持ち味が発揮されて、これまたイイ感じ。

(Hit-C Fiore)

  Black Sabbathは大好きなバンドで、お気に入りのアルバムが何枚もあるが、やはり個人的に一番気に入っている一枚となると、Hipgnosisによるジャケットも印象的なこの作品に止めを刺す。特にA面の流れが最高で、個人的にはBlack Sabbathといえば、なんといってもギターのTony Iommi先生のRiffに尽きるわけで、ドッドコ、ドッドコと鋼鉄の鎧を付けて突っ走るA面1曲目とHeavyかつ邪悪で暗黒の世界に引き摺りこまれていくような2曲目が最高なのである。そして問題の3曲目、ドラムスのBill WardSongwritingを担当して自らVocalも披露してしまう従来のSabbathからは想像すらできないPopなナンバー。これが実は英国風情が感じられる中々イイ感じに仕上がっているのである。コテコテのSabbathファンは激怒するであろう、しかし、このSabbathらしからぬ曲が自分にとってはアルバムの良いAccentになっている気がするのである。そしてA面最後を飾るのがBillのPercussiveなドラミングとIommiのグイノリのRiffで始まる大好きな曲“Gypsy”である。しかし、この大好きなアルバム、一般的にはあまり評判が良くないらしい。確かに従来のSabbathファンにはお叱りを受けるような明るくアメリカンな部分Popなところが出ているし、多彩といえば聞こえは良いが、統一性のない楽曲の並びを指摘する気持ちもわからないではない。しかし、個々の楽曲のQualityを考えると、元々Riffだけではなく楽曲作りにも優れた才能を見せてきたIommiがより多様性を取り込み楽曲の構成力も一段レベルが上がった試みがいたるところに発揮されている。本作から参加した鍵盤奏者Gerald WoodruffeOrganピアノSynthesizer楽曲に彩りをつけているいるところもミソである。Black Sabbathというより70年代中盤を代表するBrtish Rockの傑作の一枚といってもいいのではないだろうか。

 

 『Technical Ecstasy』はBlack Sabbath76年にリリースしたアルバム。

アルバム1発目は“Back Street Kids”。イントロから唸りを上げて迫ってくるギターのRiffは勿論、OzzyらしいEvilなVocalも最高。Synthesizer隠し味となっている。

You Won't Change Me”。コレだよ、コレ、SabbathのHeavyでDarkな部分が炸裂するお気に入りのナンバー。イントロのOrgan雰囲気出しまくっているし、Ozzyのノッペリした邪悪なVocalも素晴らしいが、何といってもIommi先生の気合入りまくったギター、これはもう最高としか言いようがないわけで、ソロの圧巻の弾き倒しもグッときますなあ。

前述の問題作“It's Alright”。この曲は大好きなのである。確かにSabbathらしさは全くないのであるが、Bill WordのVocalも素朴でマッタリとイイ感じでIommi先生のMellotronをバックにしたギター・ソロもご機嫌である。そして後半に登場するAcoustic Guitarがこれまた素晴らしいのである。

Bill WordのTribalなドラミングが最高な“Gypsy”。ここでもIomi先生の破壊力抜群のRiffが炸裂。そしてっこの曲も展開でアコピ連打抒情的なPartが挿入される。

そしてBluesyなギターのRiffで始まるFunky Rockな“All Moving Parts (Stand Still)”.。Geezer ButlerFunkyなラインを弾いているのが微笑ましい。このままCoolにいくと思ったらHardに展開するのがカッコイイ。

Rock 'N' Roll Doctor”も野卑なイントロからSabbathらしからぬピアノがキャンキャン鳴り響くアメリカンなRock 'n' Rollに突入するのが面白い。

StringsをバックにOzzyが切々と歌い上げるBalladShe's Gone”。

アルバム最後をシメるのは“Dirty Women”。HeavyなRiffが炸裂し哀感の漂う曲調にOzzyのVocalが実にハマっている。ここでもOrganがさり気なく効いている

 

It's Alright/Black Sabbath

(Hit-C Fiore)

 Módulo 1000Brasilから70年代初頭に登場したPshychedelicExperimentalRock Bandアルバム1枚を残して消滅してしまった伝説的存在として語られることも多いこの4人組Rio de Janeiro60年代末に結成されたという。鍵盤奏者のLuiz SimasことLuiz Paulo Bello Simas、ギターのDaniel Cardone、ベースのEduardo Leal、ドラムスのCandinhoことCandido Fariaがメンバーで、彼らもまた欧米のRockの影響を強く受けた若者たちであった。60年代半ばから70年代初頭にかけて英米から登場した個性的で現実離れした音世界を持った連中は、その独自性をPsychedelicであったりProgressiveだったり、HardでHeavyな音楽性で増幅して人々を魅了し、それらに影響を受けた音楽が世界各国で花開いていく事になる。興味深いことに、その国独特の文化や歴史、社会状況や国民性も関係しながら、少なからずそういったお国柄を反映したバンドが生まれていって世界各国で独特のIdentityを持った魅力的なバンドが次々と世に出ていくことになった。南米からはPsychedelicでありながら甘美でより幻想性を持ち夢見心地な連中が登場し、特にBrasilやArgentinaからは個性的で高い音楽性を持ったバンドが存在感を発揮した。そうはいっても、やはり同時代に欧米で活躍していたバンドの影響は大きく、中でもPink FloydやLed Zeppelin、そしてBlack Sabbath、Uriah Heepといったところの影響を少なからず世界中の多くのバンドから感じることができる。Módulo 1000の場合は、Pink Floydの神秘性実験精神Black Sabbathの持つDarkでHeavy、そしてBrasilのバンドには珍しいBluesyな音楽性が随所に見受けられる。鍵盤奏者のLuiz SimasとドラムスのCandinhoは、後にギターのLulu Santos、ベースのFernando GamaとVímanaというGroupを結成している。

 

 

 『Não Fale Com Paredes』はMódulo 100072年にリリースしたアルバム。

アルバム1曲目 “Turpe Est Sine Crine Caput”。いきなり奇妙奇天烈な効果音変調加工されたVocalCheapなOrganが登場。歪ませたギターが鳴り響き、あちらの世界へTripさせられてしまう。

Black Sabbath並みのDarkでHeavyなRiffで始まるタイトル曲“Não Fale Com Paredes”。唸りを上げるギターの雄たけび奇妙な空虚さに満ちたVocalのContrastが面白い。

ExoticなAcoustic Guitarの出だしが一瞬Led Zeppelinを思わせたりする“Espêlho”も謎めいた異次元に迷い込んでしまったかのよう。甘美で夢見心地のGuitarとChorusとOrganの響きに酔いしれる。

GuitarとOrganのUnisonでスリリングに迫るインスト“Lem - Ed - Êcalg”。1分チョイの小曲だが存在感が感じられる。

これまた無国籍で摩訶不思議なRiffで始まる“Ôlho Por Ôlho, Dente Por Dente”。呪術的で邪悪な雰囲気に包まれながら反復される心地良さの術中にハマってしまう。酩酊したかのようなギター・ソロもイイ感じ。

Metrô Mental”もまた多重録音されたギターがOrganと共に暴れまくり闇の世界へ引き摺りこまれていくかのような音世界が展開される。

ピアノのRiffがカッコイイ“Teclados”。多重録音されたOrganと共にMagicalな世界が展開されていく大好きな曲。

BluesyなギターのRiffやOrgan、VocalからBritish Rockの影響が感じられる“Salve-Se Quem Puder”。

アルバム最後をシメるのは“Animália”。多重録音されたPsychedelicなギター闇夜を飛びまわっていく

(Hit-C Fiore)

 Rodolfo Mederosは今やArgentinaTango界を代表するBandneon奏者の一人として知られるようになったが、Tango ArgentinoAstor PiazzollaによってClassical MusicJazzRockなどジャンルを越境したNuevo TangoTango de Vanguardiaへと革新性を得て変革を遂げていく時代の開拓者のひとりとして独自の存在感を放っている。Buenos AiresMontevideoで生まれていったというTangoはTango AndaluzやCubaのHabanera、Candombe、Milonga、Mazurca、Polkaが混ざり合って誕生したといわれている。さまざまな民族文化歴史を背景に多様性を持った音楽として生まれたTangoが、PiazzollaやMederosらの手によって、ある一定の形式から解き放たれて様々なジャンルの音楽を取り込みながらより魅力的な音楽として生まれ変わっていく様は非常に興味深いものがある。そしてRodolfo Mederosは73年Generación Cero(ゼロの世代)を結成し、Post PiazzollaPost Tangoへの道の先に新たな地平を切り開いていく。73年に録音しながらも76年にリリースされたRodolfo Mederos Y Generación Cero名義の名作『Fuera De Broma』はMederos含めBandneon奏者3人を含みAstor PiazzollaとやっていたArturo SchneiderのSaxやFluteと共にFunkyなJazz Rockまで披露してくれた。続く翌年リリースの『De Todas Maneras』ではBandneon奏者はMederos一人になり、引き続きFluteにはArturo Schneider、新たにギターに元InvisibleでPiazzolaの『Olympia 77』に参加しているTomás Gubitsch、ベースにEduardo Criscuolo、Espirituから鍵盤のGustavo FedelとドラムスのRodolfo Messinaが参加している。本作は同年の12月9日にBuenos AiresにあるTeatro Coliseoで演奏した公演を収録した2020年に発掘されたLive Album。ギターが『De Todas Maneras』で1曲のみだが参加していたClaudio Ragazzi、ドラムスがPablo Ragazziに交代している。

 

 『En Vivo 1977』はRodolfo Mederos Y Generación Ceroによる77年の演奏を収録したLive盤である。同年にリリースされた名盤『De Todas Maneras』の曲を中心に静と動の鮮やかなContrastに彩られた哀感と情熱に満ちた演奏は圧巻である。

アルバムはギターのみのInterplayから始まり、ベースが加わり、次はピアノ、ドラムスと、徐々に楽器が加わり、スリリングなキメをまじえながら名曲“Todo Ayer”になだれ込む。劇的な展開を経てBandneonの音色が帆引き渡るところは何回聴いてもこみ上げてしまう。名曲中の名曲である。

Cada día, Cada Noche”は12拍子にのせて心を鷲掴みにされてしまう哀愁の旋律、そして圧巻のギター弾き倒し優美なピアノ・ソロに鳥肌立ちまくり。

これまた泣けと言わんばかりの“El Lugar Donde Vivo”。

イントロのBandneonから惹きこまれる“De Todas Maneras”はSynthesizerとピアノ・ソロにドラム・ソロが熱いっす。

El Largo Adiós”も物悲しいギターのArpeggioとBandneonの旋律がたまらない。そして狂おしい泣きのギターがここぞとばかりに炸裂する。

Triste Diciembre”は静謐な前半から歪ませまくりのギターとベースだけの演奏になり熱いJazz Rockに展開していくところがグッときますな。

Últimos Días De Marzo”。これまた泣きのギター炸裂のDramaticなナンバー。ここから3曲は翌78年リリースの『Todo Hoy』に収録される曲が続く。

De Cómo Aquellos Personajes Fueron A Comer Después De La Función Y Algunas Cosas Más...”は遊び心に満ちたLounge感覚の2分チョイの小曲

最後をシメるのは変拍子をまじえて刻々と展開が変化する14分越えの大曲Todo Hoy”。Gustavo Fedelの圧巻のピアノ・ソロ、Eduardo Criscuoloの唸りを上げるベース・ソロもイイ感じ。最後は鬼気迫るRagazziのギター弾き倒しで悶絶。

(Hit-C Fiore)

 これは一生モノの音盤である。自分がベースを弾くようになって、このアルバムに出会って数多くのものを教えてもらっている。現在でも聴き続けて、聴くたびに発見のある名作である。そしてベース弾きでなくとも、この作品を楽しむことができるだろう。Bebopの創生期からかかわってきた偉大なるベーシスト/ComposerのOscar Pettiford。なんといっても、その胴鳴りの良い、深く味わいのあるベースの音色とフレージング、Time Feelに魅了されずにはいられない。Justよりも若干後ノリで、指で倍音が豊かなガット弦独特の震えが伝わるような弾き方は独特の黒くてコシのある粘りを生み出している。そして何といっても広い音域を使いながら溢れださんばかりに飛び出してくる歌心に満ちたフレーズ。最初はピアノ弾きで途中からベースを弾きだすようになったというPettifordは当時のベーシストが弾く奏法が気に入らず自分なりのやり方を見つけ出していったという。わずか14歳で、その腕をMilto Hintonらに賞賛されていたにも関わらず音楽で生計を立てることが困難であると考えて一旦は道を諦めるも、再びHintonの熱心な説得で音楽を始めるようになったPettifordが最初に参加したのはSax奏者Charlie Bernetのバンドで42年のことであった。Coleman HawkinsEarl HinesBen Websterらと録音する機会も得て、評判となったPettifordはNew Yorkに進出すると、Minton's PlayhouseDizzy GillespieThelonious MonkKenny ClarkeらとBebopを生み出すJamを重ねた。そして初のBop Comboと呼ばれたGillespieとの双頭Groupを作った。そして45年からDuke Ellington48年からはWoody Hermanの楽団に加入している。そして55年Greenwich VillageBarrow Streetに誕生したCafé BohemiaでHouse Bandを率いて活躍するのだが、本作はそのバンドのメンバーが中心となっている。

 

 『Oscar Pettiford Volume 2』はOscar Pettiford55年にリリースしたアルバム。Tenor SaxとFlute、Clarinetに大好きなJerome Richardson、Alto SaxとClarinetにGigi Gryce、Valve TromboneにBob Brookmeyer、TrumpetにDonald ByrdErnie Royal、ピアノにDon Abney、ドラムスにOsie Johnsonという布陣である。

アルバム1曲目はQuincy Jones作の“Another One”。小洒落たThemeを奏でる管楽器とPettifordの腹に響くDrive感のあるベースが心地良い。そして粘り腰で歌うベース・ソロもご機嫌である。

ドラムスのOsie Johnson作の“Minor 7th Heaven”。ここでもベース・ソロが披露されるが、次々と披露される管楽器のソロと共にRelaxした大人の余裕が感じられる演奏である。

Hoagy Carmichael作の珠玉のStandard“Stardust”はDon AbneyのPianoをバックにいきなりベース・ソロ。最後までソロが続く。ピアノとベースのみの演奏。

Bohemia After Dark”、Pettifordのペンによる名曲中の名曲。ベースで始まり、RichardsonのFluteやByrdのTrumpetもイイ感じの指パッチンJazz

RichardsonのFluteで始まる大好きな曲“Oscalypso”。Pettifordのベースラインも激カッコイイ。躍動感に満ちたOsie Johnsonのドラムスも流石である。しかし短すぎる。

大好きなピアニストMary Lou Williams作の“Scorpio”。奇妙な響きを持った独自の個性に満ちた楽曲を生かすチョイ現代音楽入ったEnsembleの妙が興味深い。

ピアニストBilly Taylor作のご機嫌な“Titoro”。激カッコイイっす。

Don't Squawk”はRichardsonのFluteが大活躍。ベース・ソロも最高。

アルバム最後を飾るのはEllingtonな指パッチンJazzKamman's A' Commin'”。

(Hit-C Fiore)

 Elton DeanCanterbury関係の音楽を聴く時に、特に彼らのAbstractでFree寄りの即興演奏を聴きたくなった時に欠かせない人物である。Deanを知ったのは勿論Soft Machineであり、British Jazz Rock史上に燦然と輝く『Third』という、その名の通り彼らの3作目のアルバムであった。ExperimentalでJazzでもなければRockでもない、その摩訶不思議でスリリングな音空間を形成していたその一角で、DeanのAlto SaxSaxello独自の存在感を放っていた。Soft Machineが69年にリリースした『Volume Two』でRobert WyattとHugh HopperとMike Ratledgeが構築した、正にCanterburyとしか言いようがないMagicalでPop、そしてImaginativeな音世界にFree Jazzに接近したImprovisationInterplayを取り込んで、さらなるAbstractでFreeな独自性をもたらしたのはDeanとJimmy Hastings、Lyn Dobson、Nick Evansの管楽器奏者であった。続く71年のアルバム『Fourth』で前作の4人の管楽器奏者で一人だけ残ったDeanの存在感はさらに増していき、よりSeriousなFree Jazzに接近していく路線が強まったアルバム『Fifth』には既にWyattの姿はなかった。そしてDeanもまた、自身のGroupに専念するたMachineを脱退してしまうのであった。本作はそんなDeanがMachine在籍時にリリースしたアルバムである。Nottingham生まれLondonTooting育ちのElton DeanのプロのキャリアはLong John Baldry率いるBluesologyを皮切りに68年から70年までのKeith Tippett Sextetへの参加で一躍評判を呼び高まることになった。そしてMachineに参加すると、Deanは一躍バンドのFrontmanとしての役割を担うまでになるのであった。本作にはMachineからMark CharigPhil HowardRoy Babbingtonが参加している。Machineを脱退したDeanはHopperとSoft Heapなどで行動をともにしながらも孤高の世界を歩み続けていく事になる。

 

 『Elton Dean』はElton Dean71年CBSからリリースしたアルバム。この時期DeanはPhil HowardらとJust UsというGroupでも並行して活動していた。

アルバム1発目は“Ooglenovastrome”。Phil HowardのバタバタしたドラミングをバックにDeanがFreeにBlowするとベースが加わり、Mark CharigのCornetも絡んでくる。CharigのCornetがベースをのみをバックに静謐で幻想的なソロを披露し、再びDeanとドラムスが加わってくるところは実にカッコイイ。そして今度はDeanが白熱のソロを披露しベースとドラムスのみになると、DeanのElectric Pianoが加わりNeville Whiteheadがベース・ソロを取る。この辺はSoftt Machineを思わせるところだが、これまた丁丁発止のかけ合いがイイ感じ。するとCharigも加わって白熱の終盤へ。Howardがどうだとばかりに怒涛のドラム・ソロをキメてDeanとCharigの2人の掛け合いを経て全員がメンチ切りあうエンディングへ。

Something Passed Me By”もDeanとCharigがバタバタしたドラムスをバックにで延々とFreeな掛け合いを演じる。

DeanのElectric Pianoが妖しく鳴り響くイントロで始まる“Blind Badger”。2管のThemeが激カッコイイ真っ当なフォービートが始まるとCharigの虚空を切り裂くソロが炸裂。この曲からはベースがRoy Babbingtonに代わる。今度はDeanのFreakyなソロが登場する。

これまたDeanが弾くエレピが加わったFreeでAbstractなイントロで始まる“Neo-Caliban Grides”。いきなりエレピが多重録音されDeanとCharigの管楽器バトルが展開され、Babbingtonも多重録音でArcoとベースの絡みから混沌になだれ込むFree Jazzに突入していく。

アルバム最後をシメるのはまるでSoft Machineを思わせるCoolで浮遊遊感溢れるPart: The Last”。Deanが弾くElectric Pianoが心地良い。

(Hit-C Fiore)

 Cyrille Verdeauxといえば、やっぱりどうしてもSteve HillageDidier MalherbeTim BlakeといったGongの面々やLard FreeGilbert ArtmanとのProject Clearlight75年作『Clearlight Symphony』である。浮遊感に満ちPsychedelicでSpacyな一大叙事詩的でGong的なMeditationalな風味も仄かに感じられるお気に入りの作品だ。Paris生まれの、このCyrille Verdeauxという人はConservatory of Music in ParisConservatory of Niceに学んだ音楽家である。つまり、キッチリとAcademicな音楽教育を受けてきた人であるわけであるが、一連の作品にはどこか東洋的思想的というか独自の精神世界が貫き通されている。それは少々内省的ではあるかもしれないが、単なる抒情的であったりClassicalであったりという前にVerdeauxという人物の世界観がしっかり反映されたものであるところが面白い。風貌からしてどこか哲学的であったりするのだが、この手の人物は得てして多作家であることが多い。Clearlightで『Forever Blowing Bubbles』、『Les Contes Du Singe Fou』や『Visions』といったアルバムを発表した後、彼がどのような食い扶持を見つけたのかは不明ではあるが、米国に渡ってからもカセットレコードで作品を制作し続けていった。特に80年代初頭の旺盛な創作意欲は驚くべき量産体制で作品を世に出していくのであった。本作はそんなVerdeauxが少し制作のスピードを緩めた80年代半ばにリリースされた作品である。Prophet 5Mini-MoogPPGARP 2600ARP String Ensembleらの音色が時代を感じさせつつも懐かしくて気に入っている。なんとJean-Philippe RykielFrédérick RousseauがSynthesizer奏者としてCreditされてる。ベースにPierrot Perrier、ドラムスにJean Michel Risseが参加している。

 

 『Messenger Of The Son』はCyrille Verdeaux85年にリリースしたアルバム。

アルバム1発目“Overture”。厳かなピアノで始まりSynthesizerもまじえながらClassicalな世界が展開されていく。この辺はVerdeauxの出自が強く感じられる。

CosmicなSynthesizer心地良くTripさせてくれる“Astral Journey”。そしてお得意のMeditativeなピアノのフレーズが流麗に流れていくさまがいかにも。

陽気なPercussionで始まる“Energy”。ここでもSequencerを中心にLayerされていくSynthesizerが時代をかんじさせられる部分もありつつ心地良い。

疾走感溢れるBallad In Seven Steps”。7拍子躍動感に満ちたリズム隊をバックにピアノとSynthesizerが流麗に絡み合う。

作者のRex Hudsonがベースを弾く“The Keys Of Enoch”。神秘的なナンバーだが、ここでもどこかMeditativeな香りが漂う。

Vibrato”は速いPassageのフレーズが煽るJazz  Rock調のナンバー。

Magic Circus”はAcoustic GuitarSynthesizerの絡みが夢見心地Mike Oldfieldを思わせる。

Deep Death”はFrédérick Rousseauの作品。静謐な中に深遠な世界がゆっくりと拡がっていくのが良い。

Full Sun Raga”はタイトル通りRagaな雰囲気の浮遊感溢れるPeacefulなナンバー。いかにおな旋律を奏でるSynthesizerが良い。

アルバム最後を飾るのは美麗なMelodyのタイトル曲“Messenger Of The Son”。

(Hit-C Fiore

 

 Booker T. & Priscillaのアルバムは以前も書いたかもしれないが、ずっと食わず嫌いであった。Booker T.といえば自分にとってはBooker T. & the M.G.'sであり、そのイメージにずっと囚われていて、それ以外のBooker T.のアルバムには正直見向きもしなかったのであった。勿論、Booker T. & Priscillaの作品も眼中になかったのである。言い訳がましく聞えるだろうけれど、個人的にはPriscilla Jones歌い上げ系のVocalが少々苦手ということもあったと思う。そしてあまりにもベタなジャケットに当時は少々気後れしてしまったのである。しかし所謂Swampな音楽を聴き始めた頃に、ようやくこのアルバムを手にして、固定観念にとらわれていた自分を恥じることになったのであった。Tennessee州Lafayette生まれのPriscilla Jonesは言わずと知れたBooker T. のPartnerであり(79年まで)、あのRita Coolidgeのお姉さんである。Gospelの影響を受けたDeepな歌いっぷり時に感情過多に歌い上げてしまう側面もあって自分の好みから外れてしまうのであるが、Booker T. の和みのVocalが加わることによって良い意味でラブラブな2人の雰囲気が多幸感に満ちた南部の愛に満ちた温もりのある世界を作り上げている。Booker T. & Priscillaは全部で4作のアルバムを制作しているが、デビュー・アルバムとなる本作はいきなり2枚組で、彼らの意気込みが伝わってくる。Booker T. が鍵盤やギター、Priscillaもピアノを弾き、ギターにGerry McGheeJesse Ed Davis Chris、ベースに名手Chris Ethridge、ドラムスに、これまた凄腕Jim Keltner、PercussionにBobbye Hall Porter、HaronicaにTim Hallらを迎えたツボを心得たバックの演奏も勿論素晴らしい。そして何よりアルバムの半数以上のSongwritingに関わったPriscillaの才能も評価されるべきであろう。彼女のVocalは好き嫌いが分かれるかもしれないが、Booker T.と残した作品はSwamp好きにはたまらないものがあるのである。

 

 『Booker T. & Priscilla』はBooker T. & Priscilla71年にリリースしたアルバム。

アルバム1曲目はギターとOrganがご機嫌なShuffleThe Wedding Song”。

She”もPriscillaと絡むBooker T.のマッタリVocalがイイ感じ。

Indian Song”はタイトルまんまのPrimitiveなBeatにPriscillaのVocalとHarmonica雰囲気たっぷりEarthyなナンバー

Priscillaの母性的なVocalがハマッたBalladの小曲“Sea Gull”。

For Priscilla”、これまたタイトル通りBooker T.が思い入れたっぷりに照れることなく歌い上げるのが微笑ましい。

The Delta Spng”はPriscilla Jonesの語りから始まり彼女のSongwritingが冴える泥くさいナンバー。とはいえPriscillaのVocalは少々苦手かも。

Why”もPriscilla作のEarthyなBallad鄙びたHarmonicaがイイ感じ。

Live仕立ての迫力のあるShuffleMississippi Voodoo”。ここでもHarmonicaが頑張っている。

Swampの香り濃厚なギターのRiffが絶品の“Cool Black Dream”。

Singer-SongwriterDonna Weiss作のGospelなBalladSweet Child You're Not Alone”。

Priscillaの力強い歌声が響き渡るピアノ弾き語り風のBalladHe”。

包容力と切なさが同居する典型的な南部産BalladSister Babe”。

Earth Children”は夫婦DuetStringsも加わるGospelなBallad

Water Brothers”もSwampの香り漂う演奏がイイ感じである。

Medley From The Jones Ranch”はGospel哀感溢れるナンバー。

Booker T.のVocalがイイ感じのFunkyな“Funny Honey

これまたBooker T.和みのVocalが絶品の“California Girl”。

最後はBooker T.の単独作が続く。マッタリSwampな“The Sun Don't Shine”とBooker T.のピアノ弾き語り“Ole Man Trouble”で最高。

(Hit-C Fiore)