BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 Ma Raineyの歌声はなんて力強く生命感に満ち溢れているのだろう。"Mother Of The Blues"と呼ばれたMa RaineyことGertrude "Ma" Rainey(旧姓Pridgett)はGeorgia州中央西部に位置するColumbusでMinstrel Performerの娘として生まれ、Gertrude Pridgettとして10代の頃からSinger、Dancerとしての活動を開始している。14歳の時にBlack Vaudeville芸人たちと共演するようになって、彼女の人気は急上昇した。1904年にWill "Pa" Raineyと結婚した後は、"Ma" Raineyとして知られるようになったが、その時、既に彼女は南部で最も人気のあるVaudeville Starの一人となっていた.のだった。彼らはThe Rabbit Foot MinstrelsとTourを行い、南部でBluesに出会ったMaは、それを自分のRepertoireに取り入れるようになり、Tolliver’s Circus and Musical Extravaganzaに所属した1914~16年ごろには、自分たちのGroup Rainey and Rainey, Assassinators of the Bluesを結成した。こうしてMaは伝統的なVaudeville ActからBlues Singerへ見事に転身を遂げていく。Energyに満ち、力強さとAfro- Americanとしての誇りが感じられる、そのVocalの、彼女独特の“Moaning” Singing TechniqueとStageでの魅力的な立ち振る舞いは観客を魅了した。1916年に結婚生活は終わりを遂げてしまったが、Maは自身のバンドMadam Gertrude Ma Rainey and her Georgia Smart Setsを率いてTourを開始し、それは大成功を収めるのだった。その結果、MaのSolo公演は人種の垣根を取り払い、Afro-Americanであることの誇りや彼らの家族生活、人種差別を、その歌を通じて伝えていく事になる。何より素晴らしいのは、彼女の自作曲では、古典的なBluesの題材のみならず逆境にあっても屈しないことや、当時Taboo視されていたQueernessなどについても、さりげなく歌っていることであろう。

 

 『Ma Rainey's Black Bottom』は85年にYazooからリリースされたMa RaineyのCompilation Album。

アルバム1発目の“"Ma" Rainey's Black Bottom”は82年に August Wilsonによって戯曲化され、2020年にGeorge C. Wolfe監督で公開された映画のタイトルにもなったMa Rainey And Her Georgia Band名義で28年リリースのナンバー。

“Dont Fish In My Sea”も27年に同バンド名義でリリースされたナンバーでJimmy BlytheのピアノをバックにMaの生命感に満ち溢れたVocalがイイ感じ。

24年にParamountに録音された“Booze And Blues”は、Fletcher HendersonのピアノやドラムスにCornetやTromboneもまじえて、包容力のあるMaのVocalが良き。

“Farewell Blues”はMaはさりげなく歌いつつ滲み出るせつなさが良い。

“Stack O' Lee Blues”はMaがHorn隊をバックに伸びやかに歌う。

“Black Eye Blues (Take 1)”は、ようやくギターが加わりMaの気怠いげなVocalも生き生きと伝わる。

歌詞が怖い“Oh Papa Blues”はバンドを従えマッタリした中にMaらしい感情表現豊かなVocalが素晴らしい。

“Blues Oh Blues”もTromboneやTrumpetを始めHorn隊とMaのVocalのCombinationもバッチリ。

“Shave 'Em Dry Blues”はイントロのギターのRiffからMaのEnergyに満ちたVocalまで最高。

“Lucky Rock Blues”は大らかで目の前に綿畑が広がるようなBlues。

“Screech Owl Blues”も和みますなあ。Maはマッタリしつつ力強く歌い上げていくのが良い。

“Georgia Cake Walk”は上述の“"Ma" Rainey's Black Bottom”のB面曲。

Tampa Redのギターがご機嫌な“Sleep Talking Blues (Take 1)”。

最後をシメるのは貫禄の“Yonder Came The Blues (Take 1)”。

◎Shave 'Em Dry Blues/Ma Rainey

(Hit-C Fiore)

 Samsonは70年代後半の英国で、ほぼPunkと並行してUndergroundから勃興したNew Wave of British Heavy Metal(以下NWOBHM)というMovemntの中で、隠れた名バンドとして、もっと評価されてもいいのではないだろうか。Guitarist/SingerのPaul Samsonによって77年に結成されたSamsonであるが、一般的には後に Iron Maidenに加入するVocalist Bruce Dickinson(当時はBruce Bruceと名乗っていた)や革のマスクをかぶってStageでは金属製の檻の中でPlayしたDrummer Thunderstick (Barry Graham Purkis)といったメンバーが在籍していた事で知られている。以前も書いたようにPunkに夢中になっていた自分にとってはNWOBHMのバンドも同じように攻撃的でガンガン突き進んでいくPunkishなノリのバンドが好みであった。Samsonに関しては完全な後追いで、個人的には元ZzebraでGillanで活躍した巨漢のBassist John McCoyが在籍していたことから、その存在を知ったのであった。SamsonはLondonを拠点として活動していたMcCoyとDrummerのRoger Huntが後にGillanに加入するギタリスBernie Torméと組んでいたScrapyardというバンドが母体となっている。Torméの後任としてPaul Samsonが加入し、バンド名はMcCoyと改名された。ところが、John McCoyがGillanに加入するために脱退してしまうのだった。 後任にPaul Samsonの親友Chris Aylmerが加入してDrummerに後にIron Maidenに加入するClive Burrが参加してSamsonというバンドが誕生するのだった。その後何度もメンバーの出入りを繰り返しながら、78年にBurrrが脱退してAuditionでBarry Graham Purkisが加入する。ここでRecording契約が提示されたが、なんとAyimerが承諾せず。そのため楽曲提供とProducerを担当した前メンバーともいえるJohn McCoyがベースを弾くことになりDebut Albumとなる本作が完成した。個人的にはMcCoyとSamsonの楽曲のBritishなセンスがたまらなく魅力的だ。

 

 『Survivors』はSamsonが79年にリリースしたアルバム。アルバムのジャケットには Bruce Dickinsonも加わった4人組になってバンド・メンバーとして記載されているが、加入前に録音は完了しており、VocalはSamsonがVocalを担当している。1曲を除きアルバム全曲John McCoyとPaul Samsonの共作となっている。

“It's Not As Easy As It Seems”は金属的にゴリゴリ迫るギターのRiffで始まるご機嫌なOpener。

“I Wish I Was The Saddle Of A Schoolgirl's Bike”はBritish伝統のBluesyで70年代のHard Rockの香りを残している。

“Big Brother”もギターのRiffがご機嫌なHard Shuffle。この曲もNWOHMというより70年代前半のBrihish Rockを引き摺った古き良きHard Rock。

GillanのColin Towns が参加した“Tomorrow Or Yesterday”はピアノをFeatureしたBalladからギンギンのSynthesizerソロが炸裂する激しい展開を経て、またBalladに戻り大団円。Paul SamsonのVocalも頑張っている。

“Koz”はBruce DickinsonもHarmonicaで参加したPsychedelic風味のインスト曲。 Thunderstick (Barry Graham Purkis)のドラミングが素晴らしい。

“Six Foot Under”もNWOBHMというより捻りのある70年代のBritish Rockという感じ。

“Inside Out”もまた、Status Quoかよ!な70年代の黄金のBritish HardなBoogieで、敢えてこの時代にコレを繰り出すのが良い。

アルバム最後をシメるのは“Wrong Side Of Time”。Acoustic Guitarで始まる英国的な翳りがたまらない抒情的なナンバー。Paul Samsonのギターが本当にツボ。

◎Gravy Train/Paul Samson

(Hit-C Fiore)

 Bill JenningsのBluesyでイナタいギターは一度ハマると抜け出せなくなる魅力がある。Grant GreenやRay Crawford、Tiny Grimes、Boogaloo Joe Jones、Billy Butler、Bill Harris、Melvin Sparks、Mel BrownといったAfrican AmericanのJazz Guitarist特有のR&B、Blues、Gospel、Soul感覚を感じさせる所謂、漆黒のセンスがJazzとBlendされてEarthyで泥くさくて生命感に満ちた独特の旨味を醸し出すのだが、Jenningsの場合は、独自の歌心とイナタさ、そして固めの音色が相まって、なんともいえない彼らしい武骨な魅力を加えている。どうやら、Jenningsは左利きらしい。しかし、弦の張り方は左利き用に変えておらず、通常のギターを逆に抱えているようだ。つまり低音弦が下にくるわけでChordの抑え方も彼独特のものとなっている。Jenningsは楽器の演奏はUkuleleから始めたというが、プロになるや否やギターに転向して、10代でBill DoggettやLouis Jordanと共演している。しかし、そのキャリアがR&Bかいから始まったとはいえ、Jennings自身はCharlie ParkerのSaxのフレーズをギターで弾きたいと考えていたというBebop魂の持ち主なのであった。 Little Willie Johnの56年のヒット曲“Fever”でギターを弾き、Willis "Gator" JacksonやBrother Jack McDuffやLeo Parker、King Curtis、Louis Armstrong、そしてElla FitzgeraldとRecordingしてきたJenningsはJump Blues、Soul、R&B、Swing Jazz、BeopとあらゆるStyleでギターを弾いてきた。 "Tthe Architect of Soul Jazz"と呼ばれ、B.B. Kingが、自身に最も大きな影響を与えた人物の一人としてJenningsの名を挙げているのも分かるような気がする。さて、本作はBill JenningsがPrestigeから59年にリリースしたLeader Album。Brother Jack McDuffがPianoとOrgan、ベースにWendell Marshall、ドラムスにAlvin Johnsonというメンツ。

 

 『Enough Said!』はBill Jenningsがリ59年にPrestigeからリースしたアルバム。

アルバム1発目はDrumsのAlvin Johnson作のタイトル曲“Enough Said!”。いきなりポコポコした脱力のギターで始まり、Organとの粋なかけ合い、マッタリしつつ歌心に満ちたRelaxしたOpener。Jack McDuffのHammondもよく歌ってますなあ。

Jennings自身のペンによる“Tough Gain”。こちらはSwingyな演奏でグイグイ迫る。これは思わず指パッチンのご機嫌な鯔背な男前Soul Jazz。

ItalyのCantautore Domenico ModugnoがFranco Migliacciと共作した58年のヒット曲“Volare(Nel Blu Dipinto Di Blu)”。こちらはJenningsがHammondにのって、しっとりとMelodyを歌い上げ、マッタリした仕上がりがイイ感じ。陽気な中に哀感を漂わせるJenningsが良い。

Italy生まれの英国人作曲家Adalgiso Ferrarisによって“黒い瞳”として人気を博したRomanticなRussian Song“Dark Eyes”。これまたマッタリ風味でギターの演奏が続き、リズム隊が加わり盛り上がっていく。

Standardの“It Could Happen To You”。Hammondで始まり、これもHammond主体で徐々に盛り上がっていく。

“Blue Jams”はJennings、McDuff、Marshall共作の小粋なBlues。

最後を飾るのはBrother Jack McDuffがBenny GolsonのBig Band Arrangeで64年にPrestigeからリリースしたアルバム『Prelude』の最後を飾った“Dig Uncle Will”。こちらは軽快にSwingしてJenningsのギターが歌いまくり。ご機嫌な指パッチンSoul Jazzに仕上がっている。

◎Tough Gain/Bill Jennings

(Hit-C Fiore)

 Brazilian Genghis KhanなるGroup、、もうバンド名のごとく、70年代末から80年代にかけて活動したドイツのEurodisco Pop Band Genghis KhanにInspireされて誕生したBrasilの二番煎じバンドである。まあ、東京ビートルズみたいなものか。まず本家のGenghis Khanは、名Producer Ralph Siegelが手掛けMunichで生まれた6人組で、そのタイトルも“Dschinghis Khan”という曲でEurovision Song Contestに出場し欧州でヒットさせると“Moskau”、“Hadschi Halef Omar”といった曲も連続ヒットし、日本でも人気があって、当時シングル盤がリリースされている。同じドイツのDisco Group Boney Mの78年のヒット曲“Rasputin”にヒントを得たようなデビュー曲、いかにもな衣装と踊りが胡散臭くも、お馬鹿で何ともいえない一度聴くと癖になってしまうウルトラC級の味を醸し出しているのが良い。Hot Bloodの“Soul Dracula”とか、The Jimmy Castor Bunchの“King Kong”、Rick Dees And His Cast Of Idiotsの“Disco Duck(Part 1)”とかこの手のDisco Songのシングルを集めているDJの子が知り合いにいて、聴かせてもらったけど、この辺のB級C級な感じはなんとも興味深い。さて、BrasilのGenghis Khan、こちらの方は4人組。GenghisとThorの男性陣とTâniaとTulyの女性陣、70年代末に活動を開始している。まあ、こういう、言ってしまえばジャケットからも伝わってくる色物ではあるわけだけれど、そこは、さすがBrasil、楽曲的にはそれなりに完成度が高い仕上がりになっている。基本お馬鹿で男女が絡み合う芝居がかったVocalは、Cheapながら味わいのあるサウンドをバックにLatin特有の、きわめて陽性な盛り上がりをみせて、思わず口ずさんでしまうCatchyな仕上がりとなっている。何も考えずアルバムを聴き流していると気分が高揚してくるのが良い。単なる二番煎じに終わらないところが、さすがBrasil。

 

 『Brazilian Genghis Khan』はBrazilian Genghis Khanが84年にRGEからリリースした唯一のアルバム。

アルバム1発目は“Kid'Esgraça X Kid Poca-Prosa”。ジャケットまんまの芝居がかったお馬鹿Disco。これは映像と一緒に楽しみべき。

“O Amor É O Caminho”は男女Vocalが歌い上げる、思わずペンライトふってしまいそうなナンバー。

“Salsa”も陽気でアホアホな感じで、こういうのは踊ったもん勝ちのDisco Party Song。

“Manequim”なんかはCheapなんだけど、Brasilらしい歌心というか、やっぱりLatinな、一緒に歌いたくなってしまう感じが面白い。

“O Jardim De Alá”はSynthesizerとElactric Drumsがイイ感じのDisco Song。

“Guitarzan”も軽快なRythmにのってComical調で語りも入って芝居がかったVocalが、何ともお馬鹿で楽しそう。

“Você Quer Dançar”はReggaeというかTropicalな感じが中々面白い。女性Vocalがイイ味出している。

“Conta Mais”もCatchyで陽気に男女Vocalが歌い上げていくのが良い。

“Eu Sempre Vou Amar Você”は甘美で切ないナンバーで結構聴かせる。

高揚感に満ち溢れた“Latino América”。これは思わず腰が動き出してしまう。

アルバム最後をシメるのはSingleでリリースされた“Comer, Comer”。これも思わず口ずさんでしまうドリフ魂を感じるComic Song。

◎Comer, Comer/Brazilian Genghis Khan

(Hit-C Fiore)

 Ann Burtonは以前も取り上げたことがある大好きなJazz Singerの一人であるのだが、ここ日本でも70年代に高い人気を誇り、73年の初来日以来、生涯で4度の来日公演を行い、日本でもアルバムを制作している。本日ご紹介するのは、そんな日本制作のご機嫌なアルバムのひとつ。Ann Burtonが77年に来日した際、高知のJazz ClubでKenn McCarthyのピアノだけをバックに素晴らしい歌声を披露した模様を収録した未発表Live Albumで、『宵のひととき(ライブ・イン・ジャパン '77)』という邦題で2003年に発掘されAll Artからリリースされている。同年にLobからリリースされた『He's Funny That Way』やTrio Recordsからリリースされた『Burton For Certain』という日本制作の素晴らしい作品を残していたAnnだが、本作では彼女のMCや観客の様子まで録音され、RelaxしたAnnのLive Performanceが楽しめるのは嬉しい。しかもピアノ奏者とのDuoというSimpleさゆえに、Annの優しく包み込む暖かみのある歌声と情感豊かな歌唱がダイレクトに伝わってくるのが良い。そしてKenn McCarthyの歌心のあるピアノが最高なのである。また、Ann Burtonといえば、選曲のセンスがいつも素晴らしいのであるが、本作ではStandard Numberに加えてThe BeatlesやCarpenters、、Eaglesのナンバーを取り上げ、しっかり自分のものとしているのに感心させられる。常々AnnはフォービートのJazz以外にRockやPopsにも素晴らしい曲があると言っていたらしいし、Marvin Gayeの『Let's Get It On』を高く評価していたというから、ジャンルの垣根を越えて、本当に音楽好きで、音楽の本質を良く分かっているSingerだといえるだろう。AmsterdamでPolandからの移民であった母親と共に第二次世界大戦でユダヤ人迫害に直面し数々の苦難を乗り越え、遅咲きのDebutを飾ったAnnだからこそ、高い技巧を越えて人々の心に訴えかける深い感情表現ができるのであろう。自分にとっていつまでも、ずっとそばに置いておきたい愛すべき名盤である。

 

 『A Lovely Way To Spend An Evening (Live In Japan 1977)』は77年に高知のALTECで行われたAnn BurtonとKenn McCarthyのピアノとのDuo公演の模様を収録したLive Album。

アルバム1発目は大好きな『Ballads & Burton』にも収録されていた“A Lovely Way To Spend An Evening”。暖かい拍手に迎えられてAnnが歌い出す瞬間に思わず熱いモノがこみ上げてしまう。

“Lover Come Back To Me”は小気味よいKenn McCarthyのピアノとAnnのVocalの高い技巧に酔いしれる。思わず指パッチン。

Debut Album『Blue Burton』に収録されていた大好きな“But Not For Me”。Verseからジックリ歌い上げるのが素晴らしい。

『Ann Burton Sings For Lovers And Other Strangers』収録のRod McKuen作“A Boy Named Charlie Brown”.。このセンス、Annはやっぱり素晴らしい。落ち込んだ時にこの曲で何度慰められたことか。

“Got To Get You Into My Life”も同アルバム収録で、これまたご機嫌なArrangeで極上の歌とピアノに酔いしれる。最高。

Carpentersの“Rainy Days And Mondays”は語りかけるように歌う。

Fats Wallerで知られる“Ain't Misbehavin'”でBluesyなVocalが良き。

小粋なVocalが絶品の“Exactly Like You”。

Duke Ellingtonの“Just A-Sittin' And A-Rockin'”もIntimateな魅力が感じられるご機嫌な仕上がり。

“You've Changed”はBalladの名手Annの真骨頂。

“I Won't Cry Anymore”も小粋なピアノで始まり手拍子も微笑ましい。

Eaglesの“Desperado”、Bobby Hebbの“Sunny”もAnnらしさが良く出ている。これまた後者の手拍子がアレだけど、それまた微笑ましい。

73年のMusical『A Little Night Music』に使われた“Send In The Clowns”もAnnの情感豊かなVocalに酔いしれる。

Billie Holidayの名唱で知られる“He's Funny That Way”。

最後を飾るのは大好きな“A Lovely Way To Spend An Evening”。最高。

◎Got To Get You Into My Life/Ann Burton

(Hit-C Fiore)

 Costa Blancaはその名の通り、SpainのCosta Blancaと呼ばれる地中海沿岸地域にあるAlicante出身のJazz Rock Group。70年代後半に活動していたと考えられる彼らのBackgroundにはMediterraneanの香りが濃厚に漂い、大都市のMadridやBarcelona出身だったりSpain南部のSarasen文化の香りが漂うAndalucía出身のRock Andaluzと呼ばれるJazz Rock BandやSpain北部のPaís Vasco(Basque州:Basque語ではEuskadi)の連中とは異なる開放的な魅力を放っている。とはいえ、同じ地中海沿岸のCatalunya(Catalonia)から登場したCompanyia Elèctrica Dharmaのような強烈な個性を持ち合わせているわけでもない。それでも、南欧出身のJazz Rock Groupらしく4人のメンバー全員が、かなり高度な演奏技術を有しているのは事実であり、特にRecording時、弱冠17歳で神童と言われ、現在でも活動を続けているDrummer Pedro Barcelóを筆頭にPsychedelicな香りを放つギターのNaopelón Carratalá、Weather  ReportのWayne Shorterからの影響を感じさせるFrance出身のSax奏者のAlain Fabrizio、Funkyな要素をバンドに持ち込んでいるベースのAntonio Navarret、4人それぞれが独特の音楽的背景を持ち、個性を発揮している。残念ながら時代的なこともあり、アルバム1枚を残してCosta Blancaは解散してしまったようだが、演奏、楽曲、EnsembleともQualityは十分に高い秀作に仕上がっている。しかし、この年代でも南米、東欧はともかく、Italy、Spain、Franceには圧倒的な演奏技術で創造性に富んだ複雑精緻な楽曲とEnsembleを個性豊かに演奏する名Groupがまだまだ数々の名作を生みだしていた時期でもあり、その中に埋もれてしまったとしても不思議ではない。しかし、ようやく発掘された本作は、いかに、この時期の南欧のJazz Rock Groupが充実していたかを教えてくれるものだ。

 

 『Viaje A Prantía』はCosta BlancaがSpainのLabel Aphrodita Discosから77年にリリースしたDebut Albumにして唯一のAlbum。

アルバム1曲目はタイトル曲“Viaje A Prantía”。Acoustic Guitarの爪弾きから始まり、ゆったりしながら懐の深いリズム隊にのってAlain FabrizioがTenorSaxを開放的に、伸びやかにBlowしていく。バックではギターが抒情的なArpeggioで支えている。ベースは低音でぶっとく存在感を発揮している。Pedro Barcelóのドラミングは、とても17歳とは思えない落ち着き、繊細さと大胆さを併せ持ったものだ。10分越えで派手さこそないがEnsemblの妙で最後までじっくり聴かせるOpener。

Percussionの金物が鳴りSaxとギターがMelodyを奏でMysteriousに始まる“El Barón De Finestrat”。ギターとSaxによる抒情的なかけ合いがTempoを落としてタメをきかせたリズム隊にのってCoolに淡々と進んでいく。そしてベースが弾きまくるAggressiveな展開に入るとSaxのBlowもEmotionalになり、再び落ち着いた展開に戻りギター・ソロが始まる。Saxも続き、また再び激しい掛け合いとなる。静と動のContrastも鮮やかに緩急自在なEnsembleがイイ感じ。

B面はスリリングなキメから始まる疾走感に満ちたJazz Rock“El Caminito Que No Mola”からスタート。Brand Xも真っ青なキレキレの超絶技巧が炸裂する。特にEmotionalに弾き倒すギター・ソロが素晴らしい。圧巻は9分にもわたる神童 Pedro Barcelóのドラム・ソロ。

Antonio NavarretのJaco PastoriusばりのFunkyなベースから始まる“Tijal”。複雑でスリリングなキメが心地良く、まあ、言ってみればWeather Reportなのだが、Naopelón Carrataláのギター・ソロがご機嫌である。

アルバム最後をシメるのはSax奏者Fabrizio単独作の“Cuando El Coco Se Viste De Gris”。キメを繰り返しながら、ここでもFunkyなベースとギターのカッティングがイイ感じ。FabrizioのSaxソロも良き。

◎Cuando El Coco Se Viste De Gris/Costa Blanca

(Hit-C Fiore)

 Sunrizeという、ありふれた名前のFunk Group、これまたアルバム1枚とSingleを2枚ほどリリースして残して消滅してしまった連中だけど、大好きなIsley Brothers絡みで彼らに興味を持ったのだった。82年という、Funk Bandにとっては、これまた微妙な時代にCaliforniaを拠点としたLabel The Boardwalk Entertainment Coから世に出た、このアルバム、実は中々の掘り出し物であった。最初こそアルバムのジャケットを見て一瞬、躊躇してしまったのだが、ジャケット裏面に、しっかりProduced And Arranged By The Isley BrothersとCreditされているのだから間違いなしなのであった。メンバーのギタリストDavid Townsendは、The Isley Brothersが82年にリリースしたアルバム『Inside You』に“First Love”というSweetでMellowな楽曲を提供していたのだった。Townsendは、あのMarvin Gayeの“Let's Get It On”を共作し、同名のアルバムを共同ProduceしたEd Townsendの息子さんでIsleyのバックでギターを弾いていたそう。またIsleyのアルバムにもCongasやDrumsで参加していたSongwriterで鍵盤も演奏するLead VocalのEverett Collins、同じくIsleyのアルバムに参加していたCongas-Player、Percussion奏者のKevin Jones、ベースのTony Herbert、Lead Vocalと鍵盤担当のRonnie Scruggs、この5人組がSunrizeである。アルバムはIsley Brothersのいわば、弟分といった感じで楽曲のQualityも高くIsley流儀のFunkやMelowなBalladなどもバッチリこなしているが、Isley Brothersの重心の低いFunkではなくキレで勝負するFunk、そして官能性もIsleyに及ぶべくもないが、そこはジャケットからは想像もつかない爽やかなChorusや若々しい躍動感が前面に出ている。彼らにIsleyを求めるのは酷だが、FunkとしてのQualityは高いし、ジャケットからは想像もつかない爽やかさとSharpで軽快な演奏は、後にメンバーが結成するSurfaceに繋がっていくものである。

 

 『Sunrize』はSunrizeが82年にThe Boardwalk Entertainment Coからリリースしたアルバム。

アルバム1発目は“Who's Stickin' It? (Part 1 & 2)”。Slapもまじえ野太くBottomを支えるベースに黒々とウネるSynthesizerは正にIsley Brothers流儀のFunk。それもそのはず、Ernie Isley、Marvin Isley、Chris Jasperの3人が参加しているのだった。Vocoder使いがCoolである。

“I Need You More Than Words Can Say”は華麗なStringsが寄り添う甘美でMellowなナンバー。Isley Brothersもアルバムには必ずこの手の曲があるけれど、Sunrizeは爽やかで若々しいのである。これも名曲。

“Someone's Taken My Hand”もまた、Isley Brothersのアルバムに必ず入っている大人の都会の夜を描いた泣きのBallad。さすがにIsleyのフェロモン濃度高い官能性はないが、爽やかでRomanticにキメで、コレはコレで良き。

“Come And Get My Lovin'”も軽快に切れ込む爽やかFunk。キレの良いリズム隊と爽やかなChorusにStringsが絡んで気持ち良すぎ。

“I Just Wanna Make Sweet Love Tonight”も小気味良いギターのカッティングとSlapがイイ感じのキレの良さで勝負するFunk。

ピアノで始まる哀感に満ちたBallad“Honey I Love You”。楽曲としては弱いかも。

“Hello Love”は煌くエレピとギターのカッティングが心地良いMellowなFunk.。この辺も小型Isleyといった感じ。

アルバム最後をシメるのは“You Are The One”。小粋なChorusとギターのカッティングが最高に心地良いFunk.。Slapもイイ感じ。それにしても爽やかなChorusである。この曲もErnie Isley、Marvin Isley、Chris Jasperの3人が参加している。

◎You Are The One/Sunrize

(Hit-C Fiore)

 Phyllis Dillonの歌声は、やっぱりいつ聴いても最高だ。一日中、ただボーッと何も考えずにPhyllis DillonのVocalに身をゆだねられていられたら、なんて幸せなことだろう。60年代後半から70年代前半にかけて、Duke ReidのTreasure IsleにPhyllisが残してきたSingleは本当に素晴らしい。ゆったりまったりしたRocksteadyにのったPhyllisのSweetな歌声は自然と身体を揺らして、心に落ち着きを与えてくれる。67年末にPhyllisはNew Yorkに移住し、家族を持ち、銀行員として働きながらReidのためTreasure IsleでのRecordingを続けた。JamaicaのKingstonに飛行機で移動して録音に参加するといった二重生活を送ることになる。やがてRocksteadyがReggaeと変わっていった71年、Phyllisは“One Life To Live One Love To Give”をリリースして、これが英国でもヒットして一躍Phyllisの名を高め、72年にTreasure Isleからアルバムもリリースされる。本日ご紹介する、そのアルバムは、そのPhyllis Dillonが残した唯一の公式アルバムである。残念なことに、Phyllisは子育てに専念するために歌手活動を休止することになったのである。Slow Downした懐の深い心地良いBeatに、時にCute、時にSoulfulな歌声で甘美なMelodyを歌い上げていくPhyllisのVocalがバッチリの組み合わせなのは言うまでもないが、わずか3年ほどで終焉を迎えていったRocksteadyならではの米国のSoul/R&Bと共鳴する甘やかで切ない雰囲気と、60年代の終わりにRocksteadyから移行していくReggaeの雰囲気が同居しているところも本作の面白いところであろう。Cover中心の楽曲が並べられているが、バックを固めるTommy McCook & The Supersonicsの演奏もご機嫌である。いつの間にか夏が終わって秋の日差しが心地良い休日に、その歌声に浸っていたい。

 

 『One Life To Live』はPhyllis Dillonが72年にTreasure Isleからリリースしたアルバム。

アルバム1発目は上述のヒット曲“One Life To Live One Love To Give”。暖かく包み込むようなPhyllisのVocalが良き。

“Love The One You With”はご存知Stephen Stillsの70年のアルバム『Stephen Stills』の冒頭を飾る名曲“Love The One You're With”をマッタリCover。

“Long Time No Nice Time”はBob Marley And The Wailing Wailersの67年リリース“Nice Time”のCover。チョイTempoを速めてCalypso仕立てがイイ感じ。

The BeatlesのGeorge渾身の名作“Something”。“I Can't Forget About You Baby”。

Freddie McKayの“Picture On The Wall”は大好きな曲でPhyllisのVocalも沁みますなあ。

Marlena Shawの69年の“Woman Of The Ghetto”もPhyllis

タリしたBeatにのってPhyllisがが丁寧にSoulfulに歌い上げている。

Carpentersの“Close To You”はBurt Bacharachの珠玉のMelodyを歌い上げるPhyllisのCuteな歌声が絶品。

“Eddie Oh Baby”はRolling StonesもCoverしているEric Donaldsonの“Cherry Oh Baby”の替え歌で、これまた気持ち良すぎ。

Dillonの自作曲となる甘く切ない“We Belong Together”が、これまた最高。これはグッと込み上げるものがありますな。

甘美で高揚感に溢れる“The Love That A Woman Should Give To A Man”もPhyllisのVocalが最高。

アルバム最後をシメるのはPhyllis自作の“You Are Like Heaven To Me”。正に"The Queen Of Jamaican Soul"に相応しい歌いっぷり。

◎Don't Stay Away/Phyllis Dellon

(Hit-C Fiore)

◎Stick Around For Rock And Roll/Outlaws 

 Outlawsは、Southern Rockの伝統のトリプル・ギターで、楽曲もLead Vocalを担当するメンバー以外の歌えるメンバーによるHarmoneyもバッチリ。Countryの香り漂う、どこか垢抜けないところが、たまらなく魅力的だった。個人的にはDebut Albumから3rd Albumまで参加していたHenry Paulが在籍していた南部男のWildで豪放な雰囲気に、Conutry風味が漂う初期が彼ららしくて好きで、PaulとHughie ThomassonとBilly Jonesの3人がフロントに並んで歌ってギターを弾くのは最高だった。Henry  Paul Band結成のためにHenryが脱退してしまったのは残念だったけれど、このバンドの荒々しくて男くさい魅力は、やっぱりHughie ThomassonとBilly Jonesの2人のギタリストによるところが大きいのであった。だからPaulが脱退してドラムにこれまでのMonte Yohoに加えてDavid Dixが加入、ギターもFreddie Salemが加わりトリプル・ギター、ツイン・ドラム体制になって、Outlawsは、よりHardで強力な布陣となったのであった。

 

◎Lady In Waiting/Outlaws

 “Stick Around For Rock And Roll”はOutlawsが76年にリリースした2nd Album『Lady In Waiting』に収録されている。メンバーはHughie ThomassonとBilly Jonesに、Henry PaulのギターとVocal、ベースにFrank O'Keefe、ドラムスにMonte Yohoの5人組。Outlawsで一番好きなのは次作の『Hurry Sundown』だけど、Debut Albumに比べて荒々しいトリプル・ギターに西海岸風のChorus、Country/Bluegrass Musicの香りが強まり、彼らの個性がより発揮され始めた本作も中々の出来。

(Hit-C Fiore)

 Bill Nelson率いるBe-Bop Deluxeは70年代の英国のRock Bandらしさに満ちて大好きであった。興味深いことにPopでGlamでProgressiveなHard Rockだった初期の音楽性から、バンドはアルバム毎に少しづつその方向性を変化させていった。76年に、おそらく彼らの最高傑作『Modern Music』をリリースすると、ジャケットに27年に公開されたDystopia未来都市を描いたFritz Lang監督の『Metropolis』の一場面を使用したLive Album『Live! In The Air Age』を翌77年に発表し最終作となってしまった78年リリースのアルバム『Drastic Plastic』では明らかにPunk/New Waveの影響を受けたSoundに変貌していた。そしてNelsonは78年にBe-Bop Deluxeを解散、新たに鍵盤奏者のAndy Clarkと共に、よりPunkでElectronicなBill Nelson's Red Noiseを結成、79年にアルバム『Sound-on-Sound』とSingle“Furniture Music”と“Revolt into Style”をリリースする。そして同年、続く2作目のアルバムとして録音されたのが本作である。しかしレコード会社は、なんとリリースを拒否する。80年のBil Nelson名義のEP“Do You Dream In Colour ?”のリリースを経て、アルバムは81年にMercuryからNelson名義で発売されることになった。この時、ExperimentalでAmbientな15曲のInstrumentalを収録した『Sounding The Ritual Echo (Atmospheres for Dreaming) 』がBonusで付いてきたのだった。ProduceはBe-Bop Deluxeの『Sunburst Finish』以来付き合いのあるJohn Leckie。全英Album Chartで、なんと

7位を獲得した、Bil Nelsonとして最も売れたアルバムである。

West Riding of YorkshireのWakefieldに生まれたBil Nelsonは Wakefield College of Artに学び、Jean CocteauとDuane Eddyに影響を受けている。最初のソロ・アルバムは71年にIndy LabelのSmile RecordsからリリースされたLo-Fiで宅録感に満ちた早すぎたBed Side Music『Northern Dream』であった。男前でギターが上手くてPunkish、Chris Speddingと被るのものがある。

 

 『Quit Dreaming And Get On The Beam』はBill Nelsonが81年にリリースしたアルバム。前作に続き弟のIanがSaxで参加している他、1曲を除き、殆どNelsonが制作している。

アルバム1発目はAggresiveなギターで始まる“Banal”。バックの演奏はピコピコTechnoなノリでRock魂溢れるギターやSaxとのContrastが面白い。そしてギター・ソロはいつものNelson節。斬新さや実験的な要素がない、ロック・ギター、この辺が古くからのファンにはたまらないところ。

EMIから売れる曲書けと言われて書いた“Living In My Limousine”はNelsonも反省しているようだが、今聴くと新鮮だったりする。

“Vertical Games”はピコピコだけど重たいリズムで迫る。

“Disposable”は唯一Red Noiseのメンバーで録音した曲。このギターはカッコイイ。Rick FordのFretless Bass、Steve PeerのDrums、鍵盤はAndy Clark。Ian NellsonのSaxもイイ感じ。

“False Alarms”は初期XTCみたいな大好きな曲。

“Decline And Fall”はイントロのPunkishなギターから盛り上がりまくり。この曲のみSkidsのTom Kellicanがドラムを叩いている。

似非OrientalなTechno Tune“Life Runs Out Like Sand”。

“A Kind Of Loving”は勢いのあるTechno Punk。

“Do You Dream In Colour”は16BeatのStrange PopなナンバーでIanのSaxが効果的だ。

“U.H.F.”もイントロのギターがカッコイイ。もう、この辺は同時期のYMOと共鳴しまくりのCoolなTechno Tune。

アルバム最後をシメる“Youth Of Nation On Fire”もTechnoなStrange Popでアルバムで一番お気に入り。

◎Furniture Music/Bil Nelson

◎Do You Dream In Colour ?/Bil Nelson

(Hit-C Fiore)