Johnny "Hammond" Smithといえば、74年リリースの『Gambler's Life』や翌75年の次作『Gears』といったLarryとFonceのMizell兄弟によるSky High Productions系Jazz Funkのイメージがどうしても強かったのだが、50年代末~60年代のNew Jazz/PrestigeやRiversideに残した作品も中々ご機嫌なJazz Organ奏者である。派手さを売りにしたり黒光りするコテコテの演奏ではなく、むしろ淡々とCoolにソロを弾くタイプではあるが、Jimmy Smithの影響を受けBluesに根ざしたSoulfulな味わいは、あえて過剰さを排除したことによって実に味わい深さを増している。良くも悪くもSoul Jazzの心地良さと黒っぽさを失わずに後味スッキリ飽きのこないOrganを弾く名人である。CTI傘下のKuduがLabel立ち上げの第一弾としてSmithに声をかけたのがわかるような気がする。Kentucky州はLouisvilleに生まれたJohnny "Hammond" SmithことJohn Robert (Hammond) Smithは最初は地元の音楽学校でピアノを習い15歳でプロ入り、18歳でOhio州Clevelandに出てSax奏者Jimmy HinsleyとギタリストWillie LewisのGroupで演奏するようになった。Wild Bill DavisやBill DoggettのHammondを聴いてOrgan奏者に転向、Columbusで当時無名であったSinger Nancy Wilsonと仕事をするようになった。NancyはCapitolと契約し、SmithはIndependent Labelと契約しアルバムをリリースした後、59年にEddie “Lockjaw” Davisの推薦でPrestigeと契約する。Harmonyに対するIdeationやRhythmic Sensitivity、フレーズの選び方において従来のSoul Jazzとは一味違うApproachで個性を発揮するようになったSmithではあるが、Bernard Purdieをドラムスに迎えた69年の『Soul Talk』あたりから徐々にFunkyな色合いを増すようになってKuduと契約以降、ジャンルの壁を越えてMizell Brothersとの出会いによってエレピのみならずSynthesizerまで弾くようになっていく。
『Talk That Talk』はJohnny "Hammond" Smithが61年にNew Jazzからリリースしたアルバム。ドラムスにArt Taylor、ベースにGeorge Tucker、CongasにRay Barretto、3曲でTenor SaxのOliver Nelsonが加わる。
アルバム1発目はタイトル曲となる自作の“Talk That Talk”。地味なOpenerだけど指パッチンなご機嫌なノリでBluesyにキメるHammondが鯔背っすなあ。
“An Affair To Remember”は57年公開のRomanticな同名映画『めぐり逢い(邦題)』でVic Dameneが歌った主題歌でNat King Coleの名唱でも知られる。こちらも軽快にSwingする指パッチンな出来。
Dinah Shoreの名唱やJazz Messengersの演奏でも知られる“The End Of A Love Affair”もRay BarrettoのCongasが心地良く鳴り響きHammondが実にイイ感じで鳴り響く。途中からフォービートに展開するところも良き。
“Minors Allowed”はイナタいThemeを持ったSmith自作曲。Hammondの鳴らし方は絶品。
Smith自作曲“Rip Tide”はTenor Saxが奏でるご機嫌なイントロから始まるノリノリのナンバー。
ここでお約束の“Misty”。この手のBalladでも眠くならないSmithのRhythmicなApproachとフレージングはお見事。
“Bennie's Diggin'”はSoulfulなOliver NelsonのTenor Saxがご機嫌なSmithの自作曲。Percussionが心地良く響く中、Nelsonの流れる水のごとく繰り出されるフレーズに酔いしれ、SmithのCoolにキメたHammondソロに思わず指パッチン。
アルバム最後をシメるのはClifford BrownやDonald Byrdの名演で知られる48年公開の同名映画のTheme曲“A Portrait Of Jennie”。Smithらしい淡々としながらも味わい深いHammondが沁みますなあ。
(Hit-C Fiore)