Jards MacaléのStrangeでどこか謎めいた音楽の虜になってしまったのは今から10年ほど前である。名前こそ聴いたことはあるものの、実際にその音楽を初めて聴いたのはWagner TisoやRobertinho Silva、Luiz AlvesといったMinas一派にPaulo MouraやNeco、Laércio De Freitasといった豪華な演奏陣目当てで手に入れた77年作『Contrastes』であった。そして、その底知れない音楽性の深みを知ったのはDiscobertasからリリースされたこの初期の音源を収録した編集盤なのであった。そんなRio de Janeiro生まれのJards MacaléことJards Anet da Silvaは、今年11月17日に82歳の人生の幕を閉じたのであった。João Donatoとのアルバム『Síntese Do Lance』がまだ記憶に新しいし、2ヶ月ほど前にJoyceのLiveにGuest出演してたのに…。ピアノを弾き歌手でもあった母親とAccordionを弾く父親の元、音楽に囲まれて育ち、幼少期にIpanemaに移り住むと、 "Macalé" というあだ名をつけられたのであった。PianoとOrchestrationを Guerra Peixeに、CelloをPeter Dauelsbergに、ギターを Turibio SantosとJodacil Damascenoに学び、Esther Scliarに師事して音楽理論を学んだ。Macaléは65年にGrupo Opiniãoのギタリストとしてプロのキャリアを開始し、Maria Bethâniaの初演では音楽監督を務めた。また、Elizeth CardosoやNara LeãoはMacaléの楽曲を録音した。69年には第4回 Internacional da Cançãoに参加して“Gothan City”を歌い、翌70年には自らのバンドGrupo Somaを率いてEP『Só Morto』をリリースする。軍事軍事独立政権によって弾圧されLondonに亡命を余儀なくされたCaetano Velosoに招かれ72年リリースのアルバム『Transa』でギターを弾きMusical Directorとして貢献した。同年にDebut Album『Jards Macalé』をリリースする。アルバム・デビュー前後の音源を収録した本作には、Tropicáliaと深い関りを持ったMacaléの武骨でありながら、Psychedelicで混沌とし、Romanticで官能的な一面も持ち合わせた音楽性が妖しくも生命感に満ちた輝きを放ち続けている。、
『Só Morto』はJards Macaléが70年にRGEからリリースしたDebut EPの4曲に70~73年に残したLive音源10曲を加えDiscobertasが2014年にリリースしたCompilation Album。
アルバム1曲目はMacaléのギターとVocalがMysteriousで生命感に満ちた“Soluços”。
“O Crim”も妖しく密林で蠢く生き物のような得体のしれない野生の神秘を湛えている。
“Só Morto (Burning Night)”は狂おしく絶叫するMacaléが最高。
“Sem Essa”は抒情的なギターと優しく語りかけるVocalで始まりRomanticなMacaléの一面が出たナンバー。
ここからLive音源が始まる。まずは暴れまくるHorn隊で始まる、その名も“Gothan City”。鬼気迫るShoutを披露するMacaléのVocalも武骨で生々しく生命感に満ち溢れている。
“Só Morto”はアコギ弾き語りで始まり、力強く歌い上げていくMacalé渾身のShoutに圧倒される。
Debut Album収録の“Let's Play That”。こちらもド迫力である。
上述のアルバム『Contrastes』にも収録される美しいBallad“Poema de Rosa”。観客からも大きな
再び“Let's Play That”。こちらは静かに始まりながらも
熱い衝動がマグマのように流れ出す。
こちらもドラムスをバックに再び狂おしい心の叫びが炸裂する“Gothan City”。
Debut Album収録の“Revendo Amigos”。一筋縄ではいかないMacalé節が良き。
74年の2nd Album収録の『Aprender A Nadar』収録の“Orora Analfabeta”。こちらも一人芝居のような弾き語り。
続いても2nd収録の軽快で洒脱な“Anjo Exterminado”。
最後をシメるのも2nd収録で魅惑のMelodyを情熱的に歌い上げる“Rua Real Grandeza”
◎Soluços/Jards Macalé
◎Sem Essa/Jards Macalé
Vai deixar muitas saudades.
Vá em paz, Jards Anet da Silva. Seu legado é eterno.
Obrigado por tudo, Jards.
(Hit-C Fiore)







