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BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 F1で優勝した初めてのBrazil出身Racing Driver Emerson Fittipaldi。FittipaldiがLotusのLead Driverとなったのは、70年のFormula One World Drivers' Championshipを獲得することになるJochen Rindtが同年のItalian Grand Prix予選で事故死した後である。抜擢されたFittipaldiは、Lotusに優勝をもたらし、フルシーズンとなった71年こそ未勝利だったものの、72年には当時最年少の25歳でFormula One World Drivers' Championshipを手にした。そしてFittipaldiはBrazilの英雄となったのだ。本盤はRoberto Fariasが監督をつとめた、Emerson FittipaldiのDocumentaryのサントラ盤。音楽はMarcos Valleが全ての曲の作曲に絡んでいる。そして演奏はConjunto Azimuth。 そう、あのAzymuthである(彼らは最初はAzimuthという表記で、Azymuthとなるのはアルバム77年の『Águia Não Come Mosca』からであった)。このアルバムに収録されている“Azimuth”という曲からとられたのである。鍵盤奏者José Roberto Bertrami、ドラムスとPercussionのIvan Conti、ベース奏者Alex Malheiros。言うまでもなく楽曲も演奏も最高である。惜しむらくは実際の演奏時間が短いこと。しかし、それは伝説のDriver Fittipaldiの声が沢山収録されているのだから良しとしよう。
 
 『O Fabuloso Fittipaldi』は73年にリリースされた同名のDocumentaryのサントラ盤。
Fittipaldi Show”は、けたたましい排気音に続いてFunkyなギター・カッティングにピアノやHammondが盛り上げるOpeningにふさわしいノリノリのナンバー。流麗なStringsやBrass隊やエレキもイイ味出している。
Emerson Fittipaldi夫人のMaria Helenaが歌う極上のBalladTema De Maria Helena”。
イントロの鋭いHornのRiffがカッコ良すぎる“Vitória”。
優美なピアノで始まる“Rindt”。FluteOrchestrationが切なく響き、徐々にスケール感が拡がっていく。
緊張感のあるイントロから哀し気な雰囲気へと変わっていく“Acidente”。Saxが登場するとBossa風の展開になる。
Azimuth (Mil Milhas)”はすぐ終わってしまう。
Tema De Maria Helena”もアルバム2曲目のインスト版
アルバム最後をシメるのは“Vibrarequim”。PercussionとHornが派手に鳴り響く中、躍動感に満ち溢れた演奏が素晴らしい。

Tema de Maria Helena

(Hit-C Fiore)

 フランスのJazz Rock BandSpeed Limtに関しては大好きなベーシストJannick Top先生が参加している2ndアルバムの方にどうしても軍配が上がってしまうし、作品としても70年代French Jazz Rockの傑作の一枚だと思うのだが、今回ご紹介する1stアルバムの方も中々の力作に仕上がっている。いずれもMagmaZao周辺の重要人物が絡んだ作品であり、こちらの方はベースには、これまたお気に入りのZaoのJoël Dugrenot、 ギターで後に、あのSynchro Rhythmic Eclectic Languageに参加するGérard Curbillonが参加しているのが2枚目のアルバムと異なる点だ。ドラムスのGeorge Jinda、鍵盤奏者のJean-Louis Bucchi、PercussionのShiroc、そしてSax奏者Yochk'O Sefferの3人は1stも2ndも不動であるが、こちらの方は『Bitches Brew』以降のElectric Milesの影響がまだ色濃く残っており、60年代末~70年代初頭のサウンドを引き摺っている。とはいえ、Jean-Charles CaponのCelloやCoatantiec、Michel RipochePierre LouisRoland StepczakのViolinが加わり、Jannick TopのベースがGeorge Jindaのドラムスと圧倒的なEnsembleを形成していた次作ほどのOriginarityや完成度はないものの、本作でもメンバーの高い演奏能力が発揮され、Freeでスリリングな展開が結構聴かせてくれるものがある。アルバム全6曲でA面3曲が Seffer、B面3曲がBucchiのペンによるものとなっている。実験精神に富んだImprovisationが中心となり、Ensembleは練り込み不足な部分というか、整合性に欠けるところもあるのだが、各人の高い演奏能力が時に激カッコイイ瞬間を生み出しておりExperimentalであろうとする心意気と勢いは買える。

 

 『Speed Limit』はSpeed Limit74年にリリースしたアルバム。

アルバム1発目はご機嫌なGeorge JindaのドラムスとShirocのPercussionから始まる“Sleep Walker”。ありがちなThemeのRiffではあるが、Yochk'O SefferのSoprano Sax、Jean-Louis Bucchiのエレピ、Gérard Curbillonのギター、Joël DugrenotのベースがFree寄りのApproachで緊張感の高いEnsembleへ突入する。いわゆるElectric Milesの影響下にある音であるのだが、Curbillonのギターが当時のJohn McLaughlinばりのカッティングに加え、後期King Crimson以降のRobert Frippを思わせる歪ませまくりの邪悪なトーンで頑張っている。Dugrenotのベースも低音で蠢きながら存在感を放っている。

Jean-Louis Bucchiのエレピが暴れまくる“Pava”。後半になると作者のYochk'O Sefferらしい大陸的なThemeが登場する。

Abra”はいきなりExperimentalでFreakyなイントロから12拍子のRffがカッコイイThemeがチョイSooft Machineを思わせる。

B面1曲目“Spanish Dream”はSefferのEthnicなSoprano SaxがMysteriousな異国情緒を醸し出しBucchiのFankyなエレピが心地良いが、ここでもGérard CurbillonのRobert Frippライクなギター邪悪な世界を演出し存在感を放っている。

Ballad To Laura Antonelli”は、タイトルからしてまんま70年代にItalyの映画で活躍した女優Laura Antonelliに捧げられたものであろうが、直球過ぎるタイトルが微笑ましい。エレピSax雰囲気タップリである。

アルバム最後を飾るのは“Ducky”。Funkyなエレピうねるまくりのベースが最高。

(Hit-C Fiore)

 

 昨年惜しくもこの世に別れを告げていったMotörheadのギタリスト "Fast" Eddie ClarkeのProduce作品。大好きなThe Damnedの『Machine Gun Etiquette』でベースを弾いていたAlgy WardにギターのPeter BrabbsとドラムスのMark Brabbsの兄弟によるTrio編成。Algy抜きだけど今年来日して中々ご機嫌なステージを披露してくれたらしい。TankMotörheadの弟分と呼ばれ、勢い任せにただひたすら突っ走る粗野な荒くれ野郎どもである。しかし、その暴走ぶりのカッコイイこと。日本盤も出ていたようで邦題は『激烈リフ軍団』。いやあ最高ですわ。80年代の英国のHardなRock野郎どもの中では一番のお気に入りであるVardisの次に好きなバンドである。とにかくRiffでガンガン攻めてまくる自分の一番好きなスタイルであり、Algy Wardの荒々しいダミ声VocalとDriveするベースも頑張っている。本作は彼らのデビュー・アルバムでありEddyのProduceもお見事の傑作に仕上がっている。The SaintsそしてThe Damnedに在籍していたAlgyの出自から感じ取れるPunkishな攻撃性British Rock特有CoolでSolidな部分が見事に噛み合ったアルバムである。何より全曲が、これでもかとRiffゴリ押しなのが素晴らしい。スピード感と迫力こそMotörheadに及ばないが、肩パッドにお化粧キメたお兄さんが闊歩しテクノでピコピコだった80年代に時代錯誤も甚だしい無駄に男汁飛び散らすこのStrong Styleは最高である。その心意気は買いたいところだ。10代の頃にMotörheadの"Philthy Animal" Taylorのドラムスをコピーしていた自分にとっては、 どうしてもTankは迫力不足に感じられたものだが、楽曲自体は非常に良くできているバンドである。特にこの1stアルバムはカッコイイRiffが目白押しで、時々無性に聴きたくなるのである。ある意味、男気に溢れた非常に爽快なアルバムであり、気合を入れたい時に聴くと個人的には非常に盛り上がってしまうのである。

 

 『Filth Hounds Of Hades』はTank82年にリリースしたアルバム。

アルバム1発目“Shellshock”は男汁したたり落ちる気合の入ったかけ声で掴みバッチリのイントロからギターの激カッコイイRiffで突っ走る。Algyの気合が入ったVocalも良し。

Struck By Lightning”もカッコ良すぎの暴走が若気の至りなんて関係ねえとばかりに止まらない。

これまた問答無用のヘドバンぶちかますには最高の“Run Like Hell”。

Blood, Guts & Beer”はBritish Rockらしさも漂う貫録のナンバー。

HardでBluesyなギターRiffがカッコイイ“That's What Dreams Are Made Of”。Spacyなギター・ソロも面白い。

師匠Motörhead路線の“Turn Your Head Around”。そりゃLemmyたちに比べりゃ、まだまだ迫力不足で青臭いけれど、この気合の入り方は買いである。

Heavy Artillery”は男気に満ちた野郎Chprusもイイ感じのBritish Hard Rock

イントロのスリリングなUnisonが激カッコイイ“Who Needs Love Songs?”。続く重たいRiffも気持ち良い。Bメロの展開がBritishだったりするところも良し。

タイトル曲“Filth Hounds Of Hades”も爽快感すら感じるRiffゴリ押しが最高。Peter Brabbsのギター・ソロもカッコイイ。

アルバム最後をシメるのは“(He Fell In Love With A) Stormtrooper”。最後の最後までStrong Styleで突っ走った男気に拍手。最後の最後のこの曲は古き良きBritishな香りも仄かに漂うところが泣かせますな。

 

Heavy Artillery/Tank

(Hit-C Fiore)

 このジャケットから伝わってくる熱い魂。この決意を秘めたようなタイトルとジャケットのポーズをキメる激カッコイイ佇まいは中身の素晴らしさを十分に物語っている。Alligator移籍第一弾となる本作はTexus州Hiouston生まれのFlorida育ち、Guitar ShortyことDavid William Kearneyの会心の一撃となった。FloridaのTampa Bayで活動していた16歳の時に授けられた、そのNickname。Elvis Presleyにギターを教えたという本当かどうかわからない話で知られるNorth CarolinaのGuitar Shortyを名乗ったBluesmanとは同名異人である。Elvisといえば、本作に収録されている68年ヒット曲“A Little Less Conversationおしゃべりはやめて)”はご機嫌だ。聴いていただければ、お分かりになるように、重量感のあるAggressiveFunkyなBluesは最高だ。17歳の時にRay Charlesのバンドに加入しWalter Johnson Orchestraで演奏しているところをWillie Dixonに見いだされ57年Cobraからシングルをリリースしている。Guitar Slimのバンドに加入してNew Orleansに移り、SlimからBlues道を叩きこまれたこの男はステージで宙返りをしたり、ギターの逆立ち弾きなども披露するようになるが、これもSlimのShowmanshipに影響を受けたものであろう。後にT-Bone WalkerBig Joe Turner、そしてLittle Richardと共演したShortyは19歳の時にSam Cookeのバンドに加入してWest Coastへ移ることになる。その頃Jimi Hendrixの妹と結婚している。またShortyのギターはWah PedalSignature Toneなど、Jimiに大きな影響を与えているという。50年代末から60年代に地道に活動し70年代は自動車整備工も経験したものの真摯にBluesを演奏してきたShorty。80年代にソロ・アルバムをリリースし、90年代に入るとアルバムのリリースも増え、存在感を増してきた。Shortyは今から15年以上も前に来日を果たしているそうだ。80歳を過ぎてまだまだ現役で活動を続けているGuitar Shortyの生演奏を一度は体験してみたいものだ。是非とも来日して欲しいBluesmanである。

 

 『Watch Your Back』はGuitar Shorty2004年にAlligator Recordsからリリースしたアルバム。90年代のBlack Topからのアルバムの勢いが続いている。

アルバム1発目“Old School”はユッタリしたShuffleするRhythmにのって切れ込むギター堂々の歌いっぷり

Rhythmに工夫を凝らしたStory Of My Life”でも抑えた歌い方がイイ感じでギターも絶好調。

ドッシリ腰を落とした“I'm Gonna Leave You”。タメのきいたリズム隊にのった艶のあるギタードスのきいたVocalがカッコイイ。

BluesyなギターRockなRhythmで迫る“What She Don't Know”。

Van Morrisonの“I've Been Working”ではSoulfulな歌いっぷりが沁みますなあ。

豪快なShuffleでキメるHard BoogieGet Busy”。70年代のBlues Rock的な味わいが気にっている。

低く腰を落としたリズム隊にのって歌いまくるギターとJimi HenライクなVocalがイイ感じの“Let My Guitar Do The Talking”。Wahをかけたギターがこれまたご機嫌。

イントロのギターが激カッコイイ“It Ain't The Fall That Kills You”は本作以降顕著となるFunky Rock仕立てでWildに切り込むソロもFunkyなカッティングも気持良すぎ。

Billy StrangeMac Davis共作の大好きなElvis Presleyの“A Little Less Conversationおしゃべりはやめて)”もBluesyなギターが唸りを上げる激カッコイイFunky Rockで思わず腰が動き出す。

アルバム最後をシメるのは“Right Tool For The Job”。勢いのあるリズム隊にFunkyなカッティング気怠いVocalがカッコ良すぎ。

(Hit-C Fiore)

 Mod Anthemとなった“The Eagle Flies On Friday”で知られるBirminghamで結成されたGroup The Exception曲を書いてドラムを叩きながら歌うAlan "Bugsy" EastwoodがGroupの中心的存在ではあるが、後にFairport ConventionJethro Tullで活躍するベーシストDave PeggChris Berberのバンドに参加するギタリストRoger Hillが在籍していた実力派バンドである。ちなみにHillはPeggとはBirminghamで60年代前半に活動していたBeat GroupのThe Ugly'sで一緒だったりして親交が深いのかFairpotにも参加している。The ExceptionはBugsyは不動でメンバー・チェンジをしながら69年まで活動を続けた。69年にはPresident Recordsから1stアルバム『The Exceptional Exception』をリリースしている。Bugsyの書く曲は多彩でBluesJazzRockPsychedelicな要素が散りばめられているが、SoulfulなBugsyのVocalが軸となり、腕利きのバンドのメンバーによる締まった演奏が曲をひき立てている。派手さこそないが玄人好みのバンドといえるだろう。音楽性は時代と共に多少変化していくが、BluesがベースとなってModな演奏を楽しむなら初期であろう。VibraphoneCoolな響きとBugsyの黒いVocal引き締まったリズム隊が実にご機嫌だ。またピアノSaxが加わった後期の演奏もチョイPsychedelic入ったBlues Rockで中々面白い。本盤は彼らが67~69年の間に残した7枚のシングル唯一のアルバムとなる上述の69年作を全曲収録したComplete音源集である。また、デモなど5曲の未発表音源も収録されている。RPM Recordsから2014年にリリースされている。知られざる名バンドと言って良いだろう。

 

 『The Eagle Flies On Friday:Complete Recordings 1967 - 1969』はThe ExceptionAnthology

The Eagle Flies On Friday”はVibpraphoneが印象的なBluesyなサウンドにAlan "Bugsy" EastwoodのSoulfulなVocalがのった激Modなナンバー。

Girl Trouble”はチョイと緩めのShuffleナンバーで、語りなんかも入ってこれまたイイ感じのBlues Rock。

Gaberdine Saturday Night Street Walker”もVibraphoneCoolBritish Jazzy Pop。VocalとChorusのかけ合いもイイ感じ。

Up TempoのJazzyなインストSunday Night At The Prince Rupert”はRoger HillとDave Peggの共作。Vbraphoneとうねるベースに熱いギターが激カッコイイ。リズム・チェンジによる場面転換など、英国のバンドらしさも発揮された、これはご機嫌なナンバー。

68年リリースのSka入ったRub It Down”やお遊び感覚の“It's Snowing In The Desert”、“Helicopter”、“Back Room”もNoveltyなナンバーで中々楽しい。

一方Funkyなピアノがイイ感じの“Tailor Made Babe”やHarpが激カッコイイ“Turn Over The Soil”はBluesyなBugsyのVocalやChorusが激渋カッコイイModな曲に仕上がっている。

Jack Rabbit”はチョイPsychedelic入ったギターが入るが基本はBritish Popなナンバー。

イントロのアコギが激カッコイイ“Keep The Motor Running”もご機嫌なナンバー。短いながらSaxソロもイイ感じ。

British Traditionalな香りも漂う“Pendulum”も味わい深い。

Roger Hill作の“Don't Torture Your Mind”は哀感漂うBritih Beat。最後に短いながらSaxソロも炸裂。

Hoagy Carmichaelの“Hong Kong Blues”。Brass隊に加えてここでもRoger Hillのギターがイイ味を出している。

Bluesyな“Rock Bottom Cinder

Woman Of The Green Lantern”は気怠いVocaとModalなJazzyなピアノがCool

The Eagle Flies On Friday/The Exception

(Hit-C Fiore)

 大好きなOrgan奏者Jimmy McGriffSueSolid State、そしてBlue Noteにご機嫌なアルバムを残してくれたが、Groove Merchantからリリースしているアルバムも中々いけまっせ。なんと72年に音楽業界をRetireしてConnecticutで農場をやっていたそうだが、よくぞ音楽の世界に戻ってきてくれたものである。引退すると決めた時にCharles EarlandにHammond B-3を売り渡してしまったMcGriffではあったが、とあるClubのOrnerからプレゼントされて、再び手にした名器の響きは忘れていなかったのだろう。Hammond B-3とLeslieが生み出す漆黒のサウンドが、これまた70年代にSonny Lesterが設立したGroove Merchantにバッチリなのである。71年リリースの『Groove Grease』や翌年の『Let's Stay Together』のノリの良いSoul Jazzな路線も嫌いじゃないが、よりBluesyなJazzを聴かせてくれる本作が今の自分にはシックリくるのである。Hard-Boiled酒とヤニの香りが漂うド渋なJazz。ジャケットで、「あんさん、こんなんで、どうでっか?好きでっしゃろ、こういうの」と笑みを浮かべるMcGriffが良い。ギターにGeorge FreemanJohn Thomas、ドラムスにはOrgan Jazzならお手の物のMarion Booker Jr.、Tenor SaxにRonald Arnoldと人選も渋好み。前2作のようなR&BやSoulのCoverではなくCharlie ParkerJimmy Smithの曲を取り上げ、メンバーも含めた自作曲はBluesyにキメているのが良い。20代の頃は、派手なインタープレイが火花を散らしたり、腰を動かすノリノリのJazzに比べると、こういうJazzは地味に感じられて、それほど聴きこんでいなかったのだが、やっぱり年をとると、こういうBluesyなヤツが沁みますわ。ジワジワと味わい深さが沁みわたっていくお気に入りのスルメ盤である。

 

 『Fly Dude』はJimmy McGriff72年にリリースしたGroove Merchantから3作目のアルバム。

アルバム1発目は“Everyday I Have The Blues”。Blues Standardとしてもお馴染みこの曲を1曲目にもってくるあたり、わかってますなあ。

続いてはJimmy Smith御大の“Jumping the Blues”。軽快なノリでHammond B-3が炸裂している。黒々としたフレーズAggressiveリズムに切れ込んでいく感じが素晴らしい。George Freemanのギターもイイ感じ。

Les McCannの“Healin' Feeling”は黒光りしたコテコテな仕上がり。Freemanもイナタいソロを披露し、Ronald ArnoldのTenor Saxもイイ味を出している。しかし何といってもFunkyにキメまくるMcGriffのHammndがカッコ良すぎ。

McGriff自作の“Cotton Boy Blues”は8分越えのド渋なSlow Blues。Freemanのギターが沁みますなあ。

Charlie Parkerの“Yardbird Suite”。ステップを踏むような心地良く軽快な演奏。これまた指パッチンでご機嫌ですなあ。

これまた自作の“The Groove Fly”は渋すぎるBlues。Hammondソロでお得意のフレーズを挟むなどして大人の余裕が渋いっす。

ギタリストのGeorge Freeman作のBlues“It's You I Adore”。こちらもRelaxした演奏がイイ感じ。

最後をシメるのはMcGriff自作のFunky TuneButterfly”。Freemanのイナタ過ぎるギター・ソロに乾杯。

(Hit-C Fiore)

  Zal Cleminsonのギターが大好きで、あのGibson SGから繰り出される独特の音色のギターにずっとゾッコンである。The Sensational Alex Harvey Band(以下AHB)、そして当然大好きなNazarethと追いかけて、とうとう遡ってこのバンドに辿り着いたのであった。Tear GasはZalの故郷でもあるScotlandGlasgowで結成されたバンド。ギターは勿論ZalでVocalが後にProducerとして活躍するDavid Batchelor、そしてベースはAHBでも一緒になるChris Glen、ドラムスはWullie Munro、鍵盤にEddie Campbell芯が通ってEdgeyなZalのギターの全編弾き倒し大会と思いきや、なんとここでは引きの美学、A面で巧みに使われるAcoustic GuitarやB面で登場するPedal Steel Guitarもまじえながら多彩なバッキングと、ここぞのギター・ソロで魅了する。デビュー・アルバムにしてド渋な米国志向を打ち出しつつ、全編通して多用される英国の薄靄漂う森の中から聞えてくるようなChorusが印象的だ。Psychedelicな残り火米国南部志向Swampな感じが絶妙に混じりあいながらも消すに消せない英国の香り。米国への憧れも感じつつ、抒情と翳りのあるメロディ一筋縄ではいかない展開が登場すれば、そこは個人的にツボ突きまくりの英国の中の米国状態である。そして、このアルバムで何より特筆すべきはFunkyにウネるChrisのベースを中心にした鋼のようなリズム隊である。次作『Tear Gas』でもドラムスがTed McKennaに交代してよりAggressiveで重量感を増したリズム隊が、よりHardさを増したサウンドと相まって冴えまくる傑作に仕上がっている。ガンガンHardに攻めまくるZalのギターは勿論最高なわけであるが、本作で披露する技ありのギターも中々味わい深いものがある。ジャケットも渋いし、いきなりデビュー・アルバムでこういう路線をやるところが実にニクイ。

 

 『Piggy Go Getter』はTear Gas71年にリリースしたアルバム。

アルバム1発目“Lost Awakening”はZalのアコギとエレキの使い分けが最高。米国志向が感じられつつ英国独特の翳りがたまらない曲で、David Batchelor男くさいVocalもイイ感じ。Chris Glenのベースがこれまたカッコイイ。

続いても米国南部への思いが感じられる“Your Woman's Gone And Left You”。Chrisのぶっとく低音で鳴らしまくるベースがご機嫌。しかしアコギの使い方が光りますなあ。

ド渋なアコギのカッティングで始まる“Night Girl”はPercussionChorusも巧みに使いつつ英国的な抒情と詩情が感じられる。そしてお約束のギター・ソロは短いながらも痺れますな。

Nothing Can Change Your Mind”はCatchyなサビMajor Seventh使いのChord進行と泣きのメロディがグッときますな。

ようやく登場といった感じのノリノリのナンバーLiving For Today”。

続いてもUp Tempoの“Big House”。ここではEddie Campbellが弾くピアノにZalのPedal Steelが能天気なアメリカンでChorusと共にVocalを盛り上げる。

Mirrors Of Sorrow”はBeatlesの“Hey Bulldog”から拝借したRiffでグイノリで迫りつつPopなChorusが絡んで英国人らしさを感じられる曲。

Look What Else Is Happening”はZalのギターが唸りを上げShuffleに展開する英国魂がたまらないナンバー。Chorusも幽玄だしOrganもイイ感じ。

コレだよコレの弾むようなリズム隊がご機嫌のFunky Rock“I'm Fallin' Far Behind”。FunkyにウネるChrisのベースが最高っす。

アルバム最後を飾るのは“Witches Come Today”。

(Hit-C Fiore)

 

 ある程度、年をとり、さまざまな経験を積まないと理解の及ばないものというのは、それこそ沢山あるが、音楽でも、そういった類の作品が数多くある。Moacir Santosといえば、自分はどうしてもSantosがBlue Noteに残した3枚の素晴らしいアルバムばかり聴きまくっていて、さまざまな音楽体験を積むまで、Brazilian Jazz屈指の名作とされる本作の良さは中々わからなかったのである。MoacirのBlue Noteからの3作には複雑でありながら極度にSophisticateされた心地良い音楽、米国のMusicianと共演しながらも根底にはAfro-BrazilianのIdentityが流れている音楽が展開されていた。名曲“Nanã”で始まるBlue Noteからの1作目『Maestro』を初めて聴いた時にEnsemble楽曲の素晴らしさに最初は興奮したのだが、アルバム全体にNordesteと呼ばれるBrasil北東部から生まれてきたFrevoBaiãoが、その生命感土着性を失うことなく恐ろしく洗練された音楽として提示されていることにやがて驚かされることになった。そして、SambaAfro-BrazilianのCommunityから生まれ都市音楽として流行し、一般的にも認知/再評価され、60年代前半にはBossa Novaが米国で人気を集めていった頃に、この優れたComposer/Multi-Instrumentalistが発表した本作。ここには、あえてSophisticationを避けRaw素朴Afro-Brazilian Music生命感に満ちたRhythmが提示されている。表現者が理不尽な抑圧を受けていた軍事政権下高らかに鳴り響かせるかのように、力強く大地を歩みだすRhythmと高揚感に満ちた旋律と意匠を凝らした和声を散りばめた傑作を世に出したのである。普段聴きなれたSambaやBossa NovaのRhythmではなく、根底を貫くAfroなハチロクのPolyrhymがアルバムを支配しているが、これが心地良い。そしてClassicalなCelloJazzyなHarmonyが素材の味を損なうことなく取り入れられている。本来Jazzとはさまざまな音楽的要素が異種混合された音楽であった。Antônio Carlos Jobimの師匠でもあるHans-Joachim Koellreutterに音楽理論を学んでいたMoacirらしさも感じられる。Jazzyな和声Ensembleも飛び出すが、基本は自らのIdentityを貫いた音楽に仕上がっているのが良い。

 

 『Coisas』はMoacir Santos65年にリリースしたアルバム。ドラムスにはWilson das Neves、ベースにGabriel Bezerra、ギターにGeraldo Vaspar、ピアノにChaim Lewack、FluteにNicolino Cópia、VibraphoneにJosé Cláudio das Neves。Moacir自身もGeraldo MedeirosBaritone Saxを分け合って吹いている。曲名はすべてCoisaとなって いてCoisa N°〇と、それぞれタイトルに数字がついた組曲型式のようになってる。

アルバム1発目は“Coisa N° 4”。AfroなハチロクのPolyrhymSwingさせ、漆黒の闇強い意志を持って歩みだしていくようなOpener.

高揚感のある旋律が軽快なRhythmにのって心地良い“Coisa N° 10”はGiorgio Bariolaらが弾くCelloHorn Ensembleに絡んで極上の仕上がり。

Coisa N° 5”は後に“Nanã”というタイトルで多くの音楽家にCoverされている名曲。上述の『Maestro』ではVocal入りでMoacil自身も歌っているが、ここではインストで、よりRawで素朴な仕上がり。

小気味よいピアノのBlock Chordで始まる“Coisa N° 3”。ここでもPolyrhythmicApproachが素晴らしく偶数拍子からWaltzに転回するところが非常に気持ち良い。Vibraphoneが効果的だ。

Coisa N° 2”もWaltzにのってCoolなVibrahoneとマッタリ緩めにキメるTromboneのContrastが面白い。Fluteもイイ味を出している。

B面に移って、これまたAfroなハチロクのPolyrhythmにのってSaxが雰囲気たっぷりの“Coisa N° 9”。

軽快な“Coisa N° 6”も軽快な3拍子のRhythmにのったHorn Ensembleが気持ち良すぎ。Baritone Saxが効いてますな。

いきなりSophisticateされたJazzyな和声Ensembleが新鮮な“Coisa N° 7”。

Coisa N° 1”はPolyrhythmicなEnsembleとGeraldo Medeirosが吹くBaritone Saxのソロがイイ感じ。

アルバム最後を飾るのはハチロクにのった哀感漂うSaxがイイ感じの“Coisa N° 8”。

 

Coisa N° 5Nanã)/Moacir Santos

(Hit-C Fiore)

 Paul Brettは英国のGuitar Virtuosoの一人であり、60~70年代に活躍したMusicianである。80年代以降は表舞台で目立った姿をみせないが音楽産業にはずっと関わり続けてきた。Twelve-String Guitarの名手、また優れたComposerとして幅広い音楽性を持ち、ジャンルにとらわれない活動をしてきたが、その才能に比較して評価や知名度は決して高いとは言えないだろう。Jimmy Pageの後釜として10代でNeil Christian & The Crusadersに加入したのを皮切りにModなバンドSW4、そこから発展したArthur BrownのバンドやThe OverlandersTintern AbbeyIvy LeagueFlower Pot Men、そしてCyril Stapleton Orchestraと錚々たるバンドのギタリストとして活躍してきた。BrettはElmer Gantry’s Velvet Operaに加入し、FrontmanだったGantryが脱退すると新たに加わったTwelve-String Guitarの名手Johnny JoyceとVelvet Opera名義で名作『Ride A Hustler’s Dream』をリリースするもバンドは解散してしまう。そしてSession参加したPsychedelic Rock BandのFireのベース奏者Dick DufallとドラムスのBob Voiceと結成したのがPaul Brett's Sageである。Flute/Sax奏者のNicky Higginbottomを加えてPyeからデビュー・アルバム『Paul Brett's Sage』を70年にリリース。Higginbottomが脱退してSweet PainTitus GroanのギタリストStuart Cowellが参加して本作をリリースしている。Roy Harperの1stアルバムやAl StewartStrawbsのアルバムでもPaulのギターを聴くことができるが、Vocalも担当しSongwriterとしての才能も発揮された本作は米国のFolk Rockの影響も感じさせつつ英国の香り漂う名作である。PaulとStuart Cowellの2本のギターの絡み清涼感漂うChorusMichael GibbsOrchestral Arrangementsが生み出す抒情的で奥行きのあるサウンドは実に味わい深い。

 

 『Jubilation Foundry』はPaul Brett's SageDawnから71年にリリースしたアルバム。

アルバム1曲目はベースのDick Dufall作の“Cottage Made For Two”。アコギと爽やかなChorusFluteが何とも心地良い。

Brass隊も加わって華やかな雰囲気の英国Popsに仕上がった“Hold My Hand Mother”は後にJohn Wettonとの活動で知られるJohn Hutcheson作。

これまた知る人ぞ知る英国のS.W.W..のSteve Voice作の“Pasadena Days”。

優美なStringsをバックにLyricalなピアノ弾き語り風の“Keeper Of My Heart”。StringsFluteChorusも効果的。Trumpet奏者Barry MyersPaul Brettの共作。

どっしりしたリズムにのって歌い上げる“Goodbye Forever”。再びHutcheson作。

HarmonicaとPercussionがイイ感じの“Good Old-Fashioned Funky Kind Of Music”。タイトル通りの少し懐かしい感じのFolk Rock。英国の中の米国。これもHutcheson作。

Bits”は2本のギターによる心地良いインスト曲

再びベースのDufall作のGentleなFolk RockI Fell So Far”。

Paul Brett作の“Written In Winter”はギターをジャンジャカかき鳴らし英国の香り漂うメロディがお気に入りのナンバー。

続いてもPaul作の“Tuesday Evening”。心地良いアコギのカッティングで始まりこれまた英国魅惑の歌メロにClassicalなStringsも加わり爽やかなChorusもイイ感じ。ピック弾きのベースも良い仕事をしている。

Hutcheson作の“Help Me Jesus”。これまた英国産Swampな曲調でEarthyなアコギPercussionもイイ感じ。

Paul作のタイトル曲“Jubilation Foundry”。英国的な陰影のあるナンバー。

最後を飾るのは再び2本のギター典雅なEnsembleが最高の“Bits”。

(Hit-C Fiore)

  Edoardo BennatoNapoli出身のCantautoreである。そのNapoletanoらしい情熱的で泥臭くも親しみやすい歌唱音楽スタイルは、Italy南部を中心に絶大な人気を集め、Napoliの英雄Pino Danieleがこの世を去ってしまった今では70年代に登場し、人気を集めたNapoletanoの心意気を伝える貴重な存在となっている。ギターをかき鳴らし、足でバスドラムを踏み、歌の合間にHarmonicaKazooを吹く大道芸人スタイルは"Uomo Orchestra"としてEdoardの名を有名にした。本作は『Pinocchio』に題材を求めたConcept Album。デビュー作からのAlessandro Colombinimに加えて本作ではEdoardoもProducerとして名を連ねている。前作『La Torre Di Babele』からStringsとHorn隊のArrangementsを担当したMaestro Antonio Sinagraの手腕が如何なく発揮されている作品でもある。リズム隊には、前2作に引き続いてToni Espositeと名ベーシストGigi De Rienzoのコンビに、Maxophoneにも参加したドラマーSandro Lorenzettiが名を連ねているのが嬉しい。Maxophoneからは他にもTrumpet奏者のMaurizio BianchiniとベーシストのAlberto Ravasiniが参加している。ギターにはBluesの名手Roberto CiottiTony Di Mauro、SaxにはSaint JusutのBob Fixが参加しているのも興味深い。Edoardo Bennatoの音楽は歌詞が分からなければ十分に、その本質と面白さが伝わらない部分もあるのではあるが、イタリア語がわからなくても、単純に歌と演奏だけでも楽しめるという意味では、本作はお奨めである。親しみやすい庶民派でありながら寓話を題材にしたり、時に鮮烈なMessageも含んだProtest SongもかましてくれるEdoardo Bennato。その存在感は今でもとてつもなく大きいのである。

 

 『Burattino Senza Fili』はEdoardo Bennato77年にリリースしたアルバム。

アルバム1曲目は“È Stata Tua La Colpa”。ゆったりとした始まり方でアコギの爪弾きとEdoardoのVocalも実に味わい深い。Harmonicaの響きがイイ感じ。タイトルの“お前のせいだった”という歌詞もEdoardoらしさに満ちている。

一転してBo Diddley BeatにのってEdoardoのVocalが躍動する“Mangiafuoco”。ElectricとAcousticがイイ塩梅に混じりあい、Percussionとアコギ、ピアノがメチャクチャ心地良く響く。

勢いのあるRock & RollIn Prigione, In Prigione”。ノリノリのナンバーではEdoardoのチョイと鼻がつまったようなVocalの特質が生きてくる。

Acoustic Guitarの爪弾きがイイ感じの弾き語り“La Fata”。VibraphoneAccordionの響きも雰囲気タップリ。夢見心地のサウンドに泥くさいEdoardoのVocalというContrastが独特の雰囲気を醸し出している。

Orchestraをバックに歌われる“Dotti, Medici E Sapienti”。Classicalで典雅な演奏にのってTheatricalなVocalが面白い。

Slide Guitarが気持ち良いEarthyなサウンドで始まる“Tu Grillo Parlante”。途中からはSwampなロックになって盛り上がりまくり。

勢いのあるRock & Rollスタイルで歌われる“Il Gatto E La Volpe”古き良き時代のサウンドで、ノリノリで歌うEdoardoが良い。Liveではお得意の"Uomo Orchestra"スタイルで演奏されることもある。

アルバム最後をシメるのはピアノをバックにしっとりと歌われるBalladQuando Sarai Grande”。

(Hit-C Fiore)