BLACK CHERRY -3ページ目

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 Son SealsことFrank "Son" SealsはArkansas州Mississippi川沿いに位置するOsceola生まれのBlues Guitarist/Singer/Drummerで、最初はRobert NighthawkのバンドでDrumsを担当していた。The Rabbit Foot Minstrelsの一員でもあった父親がDipsy Doodle Clubと呼ばれる小さなJuke Jointを経営していて、子供の頃からドップリBluesに浸り続けてきて13歳でプロとしての演奏を開始している。18歳の時にギタリストに転向するが、地元の高級Club T-99で義理の兄弟Walter "Little Walter" Jeffersonらと16歳の時から演奏を始めた。そこでAlbert King,Rufus ThomasBobby BlandJunior ParkerRosco Gordonといった大物Blues Musicianと演奏し多大な影響を受けたと同時にJimmy GrubbsからCountry-Western Musicを紹介され、GrubbsのバンドでDrumsやGuitarを演奏するようになったという。60年代に突入すると、Sealsは自分のバンドSon Seals and the Upsettersを結成している。一方でEarl HookerのバンドでGuitarを弾き、Albert KingのバンドではDrummerとして参加して、71年になるとChicagoに移住してJunior WellsやJames CottonBuddy GuyHound Dog TaylorらとJam Sessionしたりして腕を磨いていく。同年Alligator RecordsからリリースされたHound Dog TaylorのDebut Albumがヒットすると、SealsはChicagoのSouth SideにあるThe Expressway LoungeでTourに出るHound Dog Taylorの代わりに毎週末のRegularの座を譲り受けた。そしてSealsもAlligatorのBruce Iglauerの目に留まり、73年に『The Son Seals Blues Band』をリリースしている。本作はそれに続いてAlligatorから76年にリリースされたアルバムで、こちらはバンド名義ではなくSon Seals名義となっている。Horn隊も加わり、引き締まったバンドの演奏と貫録を増したSealsのVocalが段違いに素晴らしい作品に仕上がっている。

 

 『Midnight Son』はSon Sealsが76年Alligator Recordsからリリースsたアルバム。ピアノにThe James Cotton Blues BandSantanaAlberto Gianquinto、ベースにHarry "Snapper" Mitchum、ドラムスに Bert "Top Hat" Robinson、 TromboneにChicago Soulの名脇役Bill McFarland、TrumpetにKenneth Cooper、Tenor SaxにReggie Allmon、Rhythm Guitarに Steve Plairというメンツの演奏陣も素晴らしい。

アルバム1発目は“I Believe (You're Trying To Make A Fool Out Of Me)”。粘っこいギターHoran隊によるイントロから期待を持たせ、SealsのVocalも前作とは比較にならない貫禄と迫力を感じさせる。

No, No Baby”は激カッコイイDrum Breakで始まるご機嫌なFunky Blues。Horn隊もギター・ソロもVocalも実にイイ感じ。

軽快にぶっ飛ばすノリノリのBluesFour Full Seasons Of Love”。

Telephone Angel”も唸りを上げるギター熱いSealsのVocalがご機嫌である。

Don't Bother Me”はビシッとキマッたHorn隊高らかに鳴り響くイントロからグイノリのBlues

これまたイントロのドラムのFillから最高にご機嫌なFunky BluesOn My Knees”。この手をやらせたらSealsは怖いものなしですな。粘っこいギター・ソロ軽快なHorn隊の掛け合いも絶品。

Don't Fool With My Baby”もイントロのギターがカッコイイ勢いのあるJumpで、躍動感に満ちたリズム隊にのってSealsの歌いっぷりもギターもイイ感じ。

Strung Out Woman”はTempoを上げHorn隊が軽やかに鳴るノリノリのBlues Rock

アルバム最後をシメるのは男泣きのSlow BluesGoing Back Home”。Horn隊をバックむせび泣くギターがたまりまへん。

On My Knees/Son Seals

(Hit-C Fiore)

 The Damnedは大好きなPunk Bandで特別な存在ではあるけれど、やっぱり自分にとっては77年Debut AlbumDamned Damned Damned』と、ギターのBrian Jamesが脱退してベースのCaptain Sensibleがギターを担当し、ベースにThe SaintsのAlgy Wardが加入した79年の『Machine Gun Etiquette』であった。後になって極めて英国的な80年の『The Black Album』や82年の『Strawberries』も楽しめるようになったが、凶暴でPrimitiveなPunk一本やりだった当時の自分にとっては、The Damnedといえば、まずこの2枚であった。そんな自分にとって当時今一つノリきれなかった2枚組レコード『The Black Album』のD面に収録されていたLive演奏だけは最高としか言いようがないものだった。80年7月26日The Damned Fan Clubのメンバー限定で行われたShepperton StudiosでのLive演奏の模様が収録されていたのだ。本作はその6曲に、4曲を追加した全10曲で82年に新たにリリースされたLive Album。とにかく大好きなCaptain Sensibleギターが暴れまくりで、脱退してTankを結成するAlgy Wardに代わって加入したEddie And The Hot RodsPaul GrayのベースもグイノリでDriveしまくりRat Scabies圧巻の暴れ太鼓、Dave VanianはCoolに吼える。大好きなアルバム『Machine Gun Etiquette』の曲が殆どだが1st Albumからも“Neat Neat Neat”と“New Rose”の2大名曲をぶっ放しキレキレで爆走しまくりである。Live Albumとはいっても観客の声が殆ど聴こえないStudio Liveで、それ故に切れ味と疾走感がモロに伝わってくるのが素晴らしい。この頃のThe Damnedを生で観たかった。彼らがずっと生き残っているのは、やはりSyd BarrettSmall FacesEgg,、StraySoft MachineGroundhogsBrian Augerが好きだというCaptainのセンスSongwriting能力の高さ、そして演奏技術の確かさなのである。

 

 『Live Shepperton 1980』は82年にリリースされたThe Damnedの最初のLive Album

アルバム1発目はアルバム『Machine Gun Etiquette』の冒頭を飾る名曲“Love Song”。いきなりSpeed Upしてガンガン迫ってくるコレだよコレのド迫力。

続いても同アルバムから“Second Time Around (Machine Gun Etiquette)”。もうイントロのギターの激カッコイイRiffからノリまくり。拳突き上げっす。

Captainが鍵盤を弾くI Just Can't Be Happy Today”もThe Damned特有の捻りの効いた英国らしさが最高なナンバー。この曲をTOTPで観て自分もCaptainみたいにPunkな鍵盤弾きを目指したのだった。

Machine Gun Etiquette』から4連発目は“Melody Lee”。これまたCaptainの切れ味鋭いギターのカッティングで始まり、Rat Scabies暴れまくりの圧巻のドラミングが最高。

The Beatlesの“Help”。ご存知76年にリリースされた記念すべきDebut SingleNew Rose”のB面だったこの曲は激Punkな演奏なんだけど、この英国らしさを感じさせる選曲は流石としか言いようがない。

ここでDebut Albumから名曲Neat Neat Neat”。最高っすなあ。

Machine Gun Etiquette』でもCoverしていたM.C.5の “Looking At You”。Captainのギターが唸りを上げる文句なしのカッコ良さ

MysteriousなギターのArpeggioから始まる大好きな“Smash It Up Parts 1 & 2”。こちらはギターを歪ませて荒々しさが感じられる。野郎Chorusが炸裂する後半も最高。

ここで名曲中の名曲New Rose”。文句なしのカッコ良さ

最後をシメるのは燃えたぎるCaptainのギターが最高な“Plan 9 Channel 7”。勿論『Machine Gun Etiquette』収録曲。

Love Song/The Damned

(Hit-C Fiore)

 Tom Akstensという名前はまったく知らなかったのだけれど、 Bearsville Studiosで録音され、John FaheyEd Densonが50年代末に設立したLabel Takomaからリリースされた、このアルバムは本当に素晴らしい出来だ。Produceを手掛けたのはArtie Traum、兄のHappy TraumとのHappy And Artie TraumMud Acres、それに連なるWoodstock Mountains Revue中心人物として活躍し、地道に活動を続けてきた信頼できるMusicianである。New York生まれのArtieは、60年代の Greenwich Village Folk Sceneの洗礼を受けて68年にWoodstockに拠点を移し、兄のHappyとのHappy And Artie Traumで、Eric KazArea Code 615Kenny ButtreyTracy Nelsonといった仲間たちと正にあの時代のWoodstockを空気を詰め込んだ名作を世に出した。やはりBoston/CambridgeのFolk Sceneに身を投じていたTom Akstensが、Ohayo Mountainの山小屋でArtie Traumと運命的な出会いを果たし、このTimellessな名作を作り上げたのは本当に大げさでなく、奇跡のようである。Club 47Newport Folk Festival"Mississippi" John HurtDoc WatsonMuddy WatersBill MonroeらのStageに触れることが出来たTom Akstensが、弾き語りだけでなくGuitar InstrumentalやDixieland JazzでAcoustic GitarやBanjoを弾いてBluesやHllbillyに根ざした自作曲を披露していく。Singer-Songwriterとしての才能のみならずギタリストとしてのAkstensは才能に恵まれている。残念ながらTom Akstensは、このアルバム以降、表舞台に出てくることはなかったが、活動は続けているようようだ。近年、ようやくReisueされたようだが、それにしてもBearsville/Woodstockに埋もれさせてしまうには勿体ないアルバムである。

 

Original And Traditional Music』はTom Akstens76年にリリースしたアルバム。

アルバム1曲目はTraditionalの“Milwaukee Blues”。激渋なVocalがたまりませんな。

自作曲River Song”もTomのVocalがいぶし銀の魅力を発揮している。

Honey Babe”もTraditional Song。

Stream Running Backwards”はTomはBanjoを弾いてLaid Backしたサウンドがご機嫌である。

続いてもTraditionalの“Cumberland Gap”。BanjoやFiddleもまじえてなんともコクのある芳醇な仕上がり。

A面最後をシメるのもTraditional Songの“Long John”。こういう真摯に伝統と取り組む弾き語りは沁みますなあ。

自作曲“Stoney Creek, Montana”はドッシリ腰を落としたリズム隊にのってTomがジックリ歌い上げていくMandrinPedal Seel Guitarが最高である。

続いても自作曲でTomのギターの腕前が堪能できる“The Old Chair In The Corner”。

Traditionalの“Don't Let Your Deal Go Down”もFiddleがマッタリイイ感じ

Duncan And Brady / Mole's Moan”はTraditional“Duncan And Brady”とGeoff Muldaurの“Mole's Moan”のMedleyで、軽やかで味わい深いTomのギターがイイ感じ。

アルバム最後をシメるのは"Mississippi" John Hurtの名演で知られる“It Ain't Nobody's Business”。これまた燻し銀の味わい

(Hit-C Fiore

 Steve Hillage70年代のソロ・アルバムは全て傑作であった。Khan、そしてKevin Ayersとの活動を経て "Radio Gnome Invisible" Trilogy期Gongに加入、ギタリストとしてのみならずComposerProducerBandleaderとしてその優れた才能をソロ活動で爆発させた。思えばDave StewartMont CampbellClive BrooksUriel(後にArzachelに発展)を結成した60年代後半からKent大学に進学後もCaravanやSpirogyraらと親交を持つなどCanterbury界隈深くかかわり合いを持ち、その独創的でExperimentalでありながらStrangeでPopな味わいを感じさせるCanterbury独特の音楽性Todd RundgrenMike OldfieldMalcolm Cecilとの活動を通じてジャンルを越境した唯一無比なものになっていったPunk~New Waveの嵐が吹き荒れた70年代後半でも、その存在感は依然として際立ち、いつしかProducerとしてPunk以降の音楽性を持ったMusicianと関わるようになっていった。それは79年にリリースされたアルバム『Open』で明らかにPunk/New Waveの影響も感じられたHillageにとっては必然的であったのだろう。しかし、次作となる83年にリリースされた本作はSteve Hillage名義として最後のStudio Albumとなり、BASIC Programming Languageに由来するタイトルからして80年代以降、Producerとしての活動が続いてきたHillageが、Computerを駆使したSynthesizer主流の音楽に移行していたことを物語っていた。Canterbury特有捻りの効いた先の読めない展開HumorWitが失われた楽曲は70年代の名作の見る影すらないが、それはThe OrbとのCollaborateを通じてAmbient MusicEectronic Dance Music関与していくHillageのElectronica時代の前兆であり、System 7に至る過度期の作品として評価すべきなのかもしれない。今、あらためて聴くと意外に新鮮で面白かったりする。

 

 『For To Next / And Not Or』はSteve Hillageが83年にリリースしたアルバム。レコードではVocal入りの全8曲For To Next』とInstrumentalの全6曲And Not Or』と分けてリリースされたがCDでは1枚にまとめてリリースされている。

まずはVocal入りの『For To Next』から“These Uncharted Lands”、“Kamikaze Eyes”。時代がHillageに追いついたのか当時のありきたりのSynthesizer Popである。残念ながらHillageのVocalはギターや楽曲に比較して個性的とはいえないので、その辺がこういう路線では生きてこないのが残念。

打ち込みのドラムスにのってHillageのギターが咽び泣くAlone”。

Anthems For The Blind”は煌くギターのArpeggioが気持ち良い

Electro-Funkな“Bright Future”は、時代を感じさせるが今聴くと結構イイ感じ。

Spacyな“Frame By Frame”は只ひたすら心地良いSynthesizer Music

疾走感に満ちたWaiting”は、やはりSpacyに駆け巡るギターが最高。

Glory”はHypnoticなSequencerが心地良い。

続いてInstrumentalのAnd Not Or』から。

DanceableなBeatにのったSpacyな“Before The Storm”。

奥方Miquette Giraudy単独作“Red Admiral”もCosmicで幻想的でギターが唸りを上げる。

Serotonin”もやっぱりギターがカッコイイっす。

MysteriousなArpeggioがイイ感じの“And Not Or”。

Knights Templar”はGongの『Angel's Egg (Radio Gnome Invisible Part 2)』収録の“Inner Temple”、“Still Golden”は『Fish Rising』収録“The Golden Vibe”のRemake。これは最高。

These Uncharted Lands/Steve Hillage 

(Hit-C Fiore)

 Janko Nilovic関連はこれまでにも何作かご紹介してきたわけであるが、タイトル通りに、いわゆる男女Scatの掛け合いによる華麗なダヴァダヴァダ道炸裂の本作は、Library Musicの巨匠とも言われるNilovicの作品の中でも人気の高い音盤であるかもしれない。トルコIstanbul生まれの作曲家/Multi-Instrumentalist/Arranger Janko Nilovicは、60年Parisに渡り、Nightclubでピアノを弾きながらLes DoussisというGreece出身のMusicinのTrioのバックでBassやGuitar、鍵盤を演奏していた。Nilovićは、やがてJazz Clubで演奏を続けながらPop MuscianやTV ShowのArranger/Orchestratorとしての仕事を得るようになっていく。67年に自らJu Ju Recordsを立ち上げ、歌手の楽曲を手掛け、ProduceしてSingleをリリースするようになるが、Paris名門Library Music Label Éditions Montparnasse 2000 (MP 2000)の創設者André Farryにその才能に目をかけられたNilovicはProducerとして契約、MP 2000のLabel Manager and A&RのDave SuckyことLouis DelacourとのCollaborationで次々と、その多彩で創造性に満ちた音楽性を反映させたご機嫌なLibrary Musicを世に出していくのだった。個人的にはBoulogne-Billancourt生まれの大好きなギタリストJean-Pierre Alarcenと組んだ作品が一番のお気に入りではあるが、本作は、MP 08とCreditされたNilocicにとっては69年にリリースされたEditions Montparnasse 2000からのMP 06『Psyc Impressions』に続く作品となる。Jay-ZThe BeatnutsDr. Dreら数多くのHip-Hop MusicianにSamplingされ、ようやく再評価されるようになったJanko Nilovicであるが、2000年以降になって、やっと過去の作品がReisueされるようになったことは喜ばしい事であった。

 

 『Vocal Impressions』は71年にリリースされたJanko Nilovic And Dave Suckyのアルバム。

アルバム1発目は勢いのある男女Scatがいきなり炸裂する“Week-End A Chelsea”。Jazzyでキレのあるリズム隊躍動Fluteが心地良く舞う。

欧州の哀感に満ちたダヷダヴァ歌謡Ta Voix Du Fond Des Ondes”。

Bossaa風Beatに囁き系ダヴァダヴァダが洒落乙な“Improvisation Pour Deux Voix”。

Cantate Pour Deux Cœurs”は男女Scat哀愁漂う旋律を歌い上げていく。

Atchika Boum”はBoss Beatにのった、おふざけ男性ScatCuteな女性Scatが絡むのが最高。このお気楽なノリが最高。

心地良いAcoustic Guitarの刻みから入り高揚感に満ちた男女Scatがご機嫌な“Du Soleil Camarade”。

これまた欧州の翳りのある哀愁ダヴァダが心に沁みる“A L'ombre De Notre-Dame”。

Rêverie A St-Germain-Des-Près”も、いかにも70年代の欧州的Elegantな哀感がたまらないダヴァダヴァダ。

Funky Village”はタメのきいたFunkyなBeatにのって手拍子かけ声男女Scatが織り成すご機嫌な世界が楽しめる。

アルバム最後をシメるのは“Ballade Pour Marie”。イントロから高らかにBrassが鳴って男女Scatが高揚感に満ちたダヷダヴァダScatで盛り上げていく。Sunshine でHappyな60年代末から70年代初頭の雰囲気が漂うところが最高。

(Hit-C Fiore)

 Active ForceというFunk Band80年代Funkを語る時に欠かせない存在であると共に、彼らが残した唯一のアルバムActive Force』はFunkの名盤として80年代を代表する一枚であろう。たった一枚のアルバムしかリリースできなかったActive Forceが、なぜ、そこまで持ち上げられるかといえば、Creative SourceThe Soul SearchersEnchantmentL.T.D. を手掛けてきたFunk界の名Producer Michael Stokesが関わった、おそらく5本の指に入る傑作アルバムを彼らが83年というFunk Bandが生演奏の魅力を発揮することが可能だったギリギリの年にリリースしたからである。Michigan州はDetroitに生まれ、10代の時にプロとしてのキャリアをスタートさせたStokes。SussexでFaith, Hope & CharityとCreative Sourceを手掛けて注目を集めたStokesがProducer/Songwriterとして、その才能が爆発するのは間違いなく80年代であろう。特にDetroit出身の5人組Enchantmentとの仕事は商業的な成功は別として個人的に印象深い。そんなMichael StokesがProducerとして全ての楽曲のSongwritingに関わり、鍵盤の演奏も担当したのが本作である。Active Forceは楽曲も手がけるGerald MalloryにLead VocalのVictor Adams、Adrian Steele、Gerald Steele、Adrina Steeleから成る5人組。この5人のVocal陣がLeadも絡むChorusも含めて、かなりSoulfulに歌えることも彼らの魅力である。鍵盤にPatrice RushenDavid ErvinRobbie Buchanan、ベースに Freddie WashingtonEddie N. Watkins Jr.、ドラムスにBar-KaysのMichael Beard、ギターにCharles Fearing、PercussionにPaulinho Da Costaといった充実した一線級の演奏陣もバッチリ歌良し曲良し演奏良し文句なしの名盤である。

 

 『Active Force』はActive Force83年A&M Recordsからリリースしたアルバム。

アルバム1曲目はSpacyなSynthesizerから始まりVocoder使いが絶品の粘り腰FunkKeep On Rockin'”。紅一点のAdrina SteeleのPowerfulなVocalもイイ感じ。

ガッツリ腰を落としたBeatにぶっといSynthesizer BassウネりまくるSynthesizerがご機嫌なBoogie TuneCold Blooded Lover”。黒光りするVocalもイイ感じ。

I Never Thought I'd Love Again”は紅一点のAdrina Steele艶っぽいVocalがたまらない必殺のBallad。かけ合うSoulfulな男性Vocalもイイ感じ。

Coo Coo Kachu”は硬質なエイトビートVocoderが絡むところが、この時代らしい。とはいってもSoulfulな男くさいVocalChorus陣は黒っぽさを失っていない。それにしてもVocoderが最高

Give Me Your Love”はゆったりとした懐の深いBeatにのってVictor Adams男っぽいSoulfulなVocalが情感豊かに歌いあげていくのがご機嫌でChorus隊の絡みも抜群。

Percussionが心地良く鳴り響く中、FunkyなSynthesizer BassウネるSynthesizerをバックにAdrina SteeleのVocalが力強く歌い上げる“Bottom Line”はアルバムで一番のお気に入り。80年代Funkといえば、コレっすなあ。

いきなりVocoderが炸裂するCosmic FunkRise Up”。Soulfulな男女Vocalの掛け合いもバッチリ

アルバム最後をシメるのはイントロのStringsから泣けと言わんばかりの哀感に満ちたBalladMy Sunshine”。Adrina Steeleの歌いっぷりが良き。

(Hit-C Fiore)

Ela/Lô Borges

A Via-Láctea/Lô Borges

Lô Borges

Um cara fenomenal,com músicas extraordinárias partiu no trem azul rumo às estrelas.

Dos artistas que mais admiro, indiscutivelmente são os mineiros do Clube da Esquina os que mais me impactam com suas letras, harmonias e melodias.

Lô foi um sonho real com suas belas canções nas nossas vidas.

O querido Lô será eternamente o menino do Clube da Esquina!

Vá em Paz.

 Eternamente em nossos corações.

(Hit-C Fiore)

 Foxという名前のバンドは世界でどれくらい存在していたのであろうか?英国のバンドではWodden Horseにいた女性SingerのSusan TraynorNoosha Foxという名前で、The Driftersのヒット曲“Under the Boardwalk”を書いたことで知られる米国のSongwriter Kenny Youngと、かつてVan Morrisonとバンドを組んでいたHerbie Armstrongという、後にYellow Dogでご機嫌なアルバムをリリースする名コンビと結成したFoxというBandのアルバムを持っていたが、今回ご紹介するのは、同じ英国でもTheが付いたFoxの方。Gary FarrのThe T-BonesのギタリストWinston WeatherillOctopusのDrummer Tim Reevesと鍵盤奏者Alex Lane、ベーシストのDave Windross、ギタリストでSingerのSteve Brayneというメンツで、Fontanaからアルバム『For Fox Sake』をリリースしている。この彼ら唯一のアルバムは最近、手に入れたのであるが、これが自分のツボにバッチリの中々ご機嫌な作品なのであった。引き締まったリズム隊にのってPsychedelicなギターHammond、そして何よりSteve BrayneとAlex Laneの英国の香り漂うVocalが素晴らしい。そして、楽曲はすべて、この2人の単独作と共作2曲でアルバムが構成されているのであるが、これが全曲ご機嫌なQualityの高さなのが驚きなのである。Engineerは若きRoy Thomas Baker、惜しむらくは、この素晴らしいBritish Psychedelic Popなアルバムが世に出たのが70年であったこと。おそらく、あと数年前に世に出ていたならば、Trafficの『Mr. Fantasy』やManfred Mannの『Mighty Garvey!』、The Zombiesの『Odessey And Oracle』、Status Quoの『Picturesque Matchstickable Messages From The Status Quo』、Blossom Toesの『We Are Ever So Clean』、Pretty Thingsの『S.F. Sorrow』、The Moody Blues の『In Search Of The Lost Chord』、Skip Biffertyの『Skip Bifferty』、Kaleidoscopeの『Tangerine Dream』、Julyの『July』、といったBritish Psychedelicな名作と並び称されてもおかしくない傑作である。そういう意味では69年にリリースされたThe Endの『Introspection』同様に実に惜しい作品である。

 

 『For Fox Sake』はThe Fox70年Fontanaからリリースしたアルバム。

アルバム1曲目は“Secondhand Love”。イントロのOrganとギターから英国の香りムンムンで作者のAlex LaneSoulfulなVocalもイイ感じ。サビのChorusも良き。

Lovely Day”も作者のSteve BrayneのVocalが良い。PsychedelicなギターやOrganもバッチリだし、タメのきいたリズム隊もChorusも実に心地良い。

Alex Lane作の“As She Walks Away”はPsycheなギターが炸裂する前半部から気怠いVocalが雰囲気のタップリ後半がグッとくる。

Steve Brayne作の“Glad I Could”。イントロのPsycheなギターのRiffが最高。Organも大サビのピアノもご機嫌である。

哀感漂うギターのArpeggioから始まる“Butterfly”。これまた作者のBrayneのVocalが良い

ClassicalなOrganから始まる“Look In The Sky”はBrayneとLaneの共作であるが2人のVocalもギターもOrganも最高。

イントロのAlex Laneのピアノが絶品の“Goodtime Music”はModな感じがご機嫌な大好きな曲。ピアノとギターもご機嫌。

Mr. Blank”は哀感漂うLondon CallingなギターとBrayneのVocalがイイ感じで大サビもいかにもなBritish Psychedelic Popドラミングも最高

Brayne作の“Man In A Fast Car”はギターのRiffOrganVocalChorusPsychedelic風味のModな感じで最高。ギター・ソロも良き。

Birthday Card”は哀愁のPsychedelic Pop。Brayneに負けじとLaneも良い曲を書くなあ。

アルバム最後をシメるのは遊園地か何かのSEで始まるBrayneとLane共作の“Madame Magical”。Funkyなリズム隊とVocalが最高。

(Hit-C Fiore)

 Jack DeJohnetteが10月26日にNew YorkKingstonで人生の幕を閉じた。偉大なるDrummer Jack DeJohnetteとの初めての出会いはMiles Davisのアルバム『Bitches Brew』だった。そしてJazzに本格的にのめり込むようになった時に浴びるほど聴いたBill Evansの『At The Montreux Jazz Festival』での演奏は衝撃的であった。演奏技術表現方法Approachというのは時代と共に変化していくものではあり、現代においては圧倒的な演奏技術を持ち革新的な発想とApproachで魅了してくれるDrummerが次々と登場しているけれど、Hard Bop Drummingの礎を築いたMax RoachKenny Clarke、多様化したPolyrhythmを取り入れたElvin JonesTony Williamsがそうであるように、音楽全体の構造を把握してEnsembleを独自の感性絵を描くように自由奔放に組み立てていくDeJohnetteのDrummingは永遠に色あせることのないJazzの歴史に残るものであろう。Illinois州Chicagoに生まれたNative Americanの血をひいているAfrican-AmericanでもあるDeJohnetteは4歳からピアノを学び、13歳からドラムを叩くようになり、14歳の時にPianistとしてプロとしての演奏を開始している。Composerとしても数々の作品を残してきたMulti-Instrumentalistでもあり、それゆえに単なるDrummerとしてだけではなく音楽全体の構造とEnsembleにより深い理解技術を越えた想像力で対峙して独自の美学を体現してきた稀有な存在でもあった。そういった姿勢はECMというLabelと共鳴するところが多かった。DeJohnetteは同Labelを代表するMusicianの一人となった。70年代以降、72年CompostGatewayといったGroupでの作品も素晴らしかったが、DeJohnetteの強固なLeadershipが発揮されたSpecial Editionと共存したNew Directionsでの作品も個人的には興味深い。

 

  『New Directions』はJack DeJohnetteが78年ECMからリリースしたアルバム。ベースに上述のEvansのTrioで組んだEddie Gomez、Trumpetにはキャリア初期のChicago時代に関わったAACMAssociation for the Advancement of Creative Musicians)のメンバーだったLester Bowie、ギターとElectric MandolinにGateway76年に結成され短命に終わったDirectionsで組んだJohn Abercrombieを迎えたQuartet編成。ECMらしからぬジャケットも、イナタいが、いかにも70年代らしさを醸し出していて個人的にはツボである。

アルバム1曲目は“Bayou Fever”。DeJohnetteのドラミングに続いてAbercrombieが浮遊する摩訶不思議なギター独特のAtmosphereを醸し出す中、Lester BowieのTrumpetが奔放に宙を舞う。GomezのベースはBottomで蠢き、いつの間にか時空を超えた世界へTripさせられていくようだ。

Where Or Wayne”もDeJohnetteのCoolに躍動するドラミングにのってBowieのTrumpetは虚空を彷徨いウネるGomezのベースと共にAbercrombieのギターも心地良く旋律を紡ぎ出していく。Gomezのベース・ソロ雰囲気が出ていて良き。

Dream Stalker”はタイトル通り幻想的に始まる。こういう曲でのDeJohnetteの繊細で創造性に満ちたCymbal Workは絶品である。

Bowieの鋭いTrumpetで始まる“One Handed Woman”は青白い炎が揺らめくようなBowieとAbercrombieの掛け合い、そしてGomezのArcoが素晴らしい。そしてバッキングでのDeJohnetteの超絶なドラミングには舌を巻く。ただ、後半のフォービートへの展開はありがちかも。

アルバム最後をシメるのは“Silver Hollow”はDeJohnetteのピアノをFeatureした美しいナンバーでアルバムは幕を閉じる。

 

DeJohnette、どうぞ安らかに

 

(Hit-C Fiore)

 Som Ambienteという名前とジャケットが物語る、正に洒落乙極上のCocktail Lounge Music。とはいっても、涼し気で聴き易く、イイ感じに脱力してはいるけれど、ただのHotelやBarで流れてくるBGMEasy Listeningに終わらない。よくよく聴いてみると、その手の音楽とは明らかに違う演奏技術の高さが感じられたり、センスの良いEnsembleに驚かされたり。BrasilのCidなるLabelからリリースされた、この企画モノっぽいSom AmbienteというGroupは、一体何者かと思わず思ってしまうのであった。それもそのはず、その正体はAzymuthのメンバー。しかもProduceDurval Ferreiraというのだから。Azymuthはご存知の通り鍵盤奏者のJosé Roberto Bertrami、ドラムスのIvan Conti、ベース、ギターのAlex Malheirosの3人組として知られているけれど、75年に最初のアルバムをリリースした時はAzimüthと名乗り、メンバーにPercussion奏者Ariovaldo Contesiniも含む4人編成だった。実はそこに至るまで、60年代後半に出会った3人Contesiniや歌手のFabíolaと共にRioのNightclubSeleçõesとして演奏し、PhonogramのStudio Musicianとして仕事をしてRaul SeixasRita LeeElis ReginaOdair Joséらのアルバムに参加するなどキャリアを積み重ねてきたのだった。そして3人はProjecto IIIApolo IV名義で作品も残している。なんといってもMarcos Valleとの出会いが大きかった。以前ご紹介したValleが全ての曲を手掛けた73年リリースのSoundtrack盤O Fabuloso Fittipaldiで彼らは初めてConjunto Azimuthを名乗るのであるが、1年前の72年にリリースされたこのアルバムもMarcos Valleと3人が作り上げたご機嫌なアルバムである。ここではValleの曲ではなく、Dave BrubeckBurt BacharachHenry  ManciniFrancis LaiからTom JobimJoão Boscoまで名曲をCoolに聴かせてくれる

 

  『Som Ambiente』はSom Ambiente72年にリリースしたアルバム。

Erasmo CarlosRoberto Carlos作の“O Bofe”。涼し気なOrganイイ感じにウネるベース心地良いBeatを叩き出すドラムス、気持ち良すぎ。

Standard“Here's That Rainy Day”はエレピの響き小洒落たフレージングがたまらない。

Bossa Nova In Broadway”はDave Brubeckのアルバム『Jazz Impressions Of New York』収録の“Broadway Bossa Nova”。これまた印象的なThemeをOrganとエレピによるEnsemble小気味よく仕上げている

Burt Bacharachの“(They Long To Be) Close To You”から64年のBroadway Musical『Funny Girl』のために書かれた“People (Funny Girl)”、Henry  Mancini作の60年の同名TV番組のTheme“Mr. Lucky”のMedley。これまたOrganがしっとり聴かせ、最後の曲ではFunkyにエレピが跳ねる

なんと“Love Theme From "The Godfather (Speak Softly Love)”は淡々と、格調高く演奏している。

名曲では“Where Is The Love”では蕩けるようなエレピが最高。

B面はJobimの“Aguas De Marco”からElis Reginaが歌ったJoão Bosco作“Bala Com Bala”のMedleyは曲良し演奏良しで文句なし

By The Time I Get To Phoenix”から“The Shadow Of Your Smile”は後半の転がるエレピがやっぱり最高。

Days Of Wine And Roses”から“Satin Doll”、“April In Paris”、そして最後はNeal Heftyの“Little Darling”を3分台にまとめた小粋なMedley思わず指パッチン

最後をシメるのはFrancis Laiの“Live For Life”から“Someday My Prince Will Come”のMedley。ここでもエレピに聴き惚れてしまう

(Hit-C Fiore)