But Seriously, Folks.../Joe Walsh | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 Joe Walshは、あのバンドに加入するまでが自分の好みであった。言ってしまえばJames Gang時代とBarnstorm時代が個人的には一番のツボであったりする。残念ながら、その後の作品は、これまでの作品と比べものにならない残念な感じ。しかし、このアルバムは例外である。なぜならジャケットが最高であるから。夏が近づくたびに聴きたくなるのである。正直、最初に聴いた時は『So What』あたりまでに感じられた豪快さと内省的でProgressiveな音楽性が共存する面白さが失われているような気がして、JoeらしいHumor溢れる奇抜なジャケットから期待していたものとの違いに勝手にガッカリしてしまったのだった。ところが何回も聴き続けるたびに、このアルバムの魅力が少しづつわかってきたように思える。思えば自分はJoeの多様性に満ちた音楽性と、そこから感じられるBritishな香りに惹かれていたのであろう。しかし、大ヒットしたこのアルバムは奇妙な原題に対して、邦題が『ロスからの蒼い風』となっていることからわかるように、所謂West CoastのRockが持つ爽快で洗練された音楽性がJoeが持つ多彩な音楽性の中で一際目立つようになっている。それは75年Joeが加入したバンドに対しても同様な期待を持つ人々が多いことや、Guestにバンドの当時のメンバー全員が参加していることからも明らかであるが、Joeのこのアルバムは、バンドの大ヒット作とレコーディング中であった次作の合間に、バンドのそういった音楽性が反映された作品として期待された産物であったのかもしれない。そういった周囲の期待に対してJoeはどこか飄々としつつも応じているような。そう思えばジャケットのCynicalな感じも伝わってこないでもない。しかし、まあ、そんな細かい邪推はどうでも良いのだ。爽快で気持ち良く、そしてチョッピリだけど今までのJoeらしい実験精神Cynicalな茶目っ気Humorが感じられる、この季節には欠かせない作品として、今でもずっと聴き続けているのだから。

 

 『But Seriously, Folks...』はJoe Walsh78年Asylum Recordsからリリースしたアルバム。ドラムスにはBarnstorm時代から片腕となっているMulti-InstrumentalistJoe Vitale、ベースには、前作となるStudio LiveYou Can't Argue with a Sick Mind』に引き続き参加の名手Willie Weeks、そして鍵盤にはSpiritJo Jo GunneJay Ferguson、2nd GuitarにLawやAndy Gibbのバンドに参加していたJoey Murciaというメンツが基本メンバー。ProduceはJames Gang~Barnstormからの付き合いのBill Szymczyk

アルバム1発目はJoeの豪快なSlideが最高に気持ち良い”Over And Over”。

Second Hand Store”はREO SpeedwagonのメンバーだったMike Murphyとの共作。爽やかなChorusとアコギがいかにもWest Coastといった感じ。Don FelderPedal Steelで参加している。

これまた乾いたアコギとSlideがご機嫌な”Indian Summer”。AメロやChorusでは初期のJoeらしいMysteriousなところも垣間見られる。

Joe Vitaleとの共作”At The Station”。ギターのRiffうなるSlideが中々だけど、こちらも基本的には爽やかサンな仕上がり。こちらもFelderがギターで参加している。

Tomorrow”はDon HenleyGlenn FreyTimothy B. SchmitChorusで参加した、如何にもWest Coastな感じ

Inner Tube”は、JoeらしいRomanticMysteriousな側面が発揮された1分チョイのインスト曲

間髪入れずに登場する”Theme from Boat Weirdos”。こちらもギターのArppegioとJoe VitaleのFlute幻想的だが、WildなSlideが途中で炸裂し、Joeらしさに満ちたインスト曲いに仕上がっている。

アルバム最後を飾るのはヒットしたご機嫌なRiffで始まりReggae調になる”Life's Been Good”。曲が終わった後に隠しトラックとして収録されたInside JokeがJoeらしい。

(Hit-C Fiore)