Barnstorm/Joe Walsh | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

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 Joe WalshRon Woodは好きなMusicianだ。彼らの在籍したグループの作品もソロ・アルバムも所有している。それらを聴いてきた自分にとって、現在の彼らをみていると少し複雑なものがある。2人は、ともに47年生まれで、76年の多分、最も油がのっているであろう時期に、ビッグ・グループに加入した。入ってみたはいいけれど、みたいな感じが残念なのである、個人的に。そこでは、自分が最も好きであった、彼らの持ち味が消されてしまってるような気がするのだ。バンドのために自分の強い個性を抑えているというか、バンド・リーダーにオイシイところを持っていかれてるというか微妙だが。元来、2人とも自分のエゴを強烈に押し出さず、グループに適応するタイプで、そのためにバンドが波風立たず、上手く機能しているともいえるのだが、彼らは満足しているのであろうかと思う。だから、彼らはメンバーに選ばれたのだろうが。勿論StonesにしてもEaglesにしても彼らが加わった事でメンバーがお互いに刺激を与えあってバンドとしては魅力が増したことは事実だが。

例えば自分にとってJoe Walshといえばリフ。どスコイって感じの力技一発みたいなダイナミックな部分が魅力。それと、Barnstorm時代が好きだ。多彩な音楽的要素を、静と動アコースティックとエレキと上手く対比させて音像化していくところが好きだ。少しBritishな翳りも感じさせるところも良い。

BarnstormはJoe WalshがJames Gang脱退後の72年に結成したグループで最初はトリオだった。その後、長い付き合いとなるマルチ楽器奏者でもあるドラマーJoe VitaleとベースのKenny Passarelliと組んで同じTrioだったJames Gangとは、また違った世界をみせてくれる。Kenny PassarelliはFretless Bassが得意な人で後にElton JohnやStephen StillsHall&Oatesといっしょにやったりしている。


 『Barnstorm』は72年の作品。Bill SzymczykのProduce。Songwriterとして一皮むけたWalshが味わえるアルバム。大人の事情でWalshのソロ名義になっているが実際はBarnstomの作品。ピアノでPaul Harrisが参加。Al PerkinsのPedal Steelも名人芸を披露している。

オープナー“Here We Go”はアコギで始まる。大自然の中でたたずみ、「さぁ、行くぜ」って感じの伸びやかなエレキが入るとスケールの大きな演奏が展開していく。このダイナミズムと叙情的な部分が共存したところがBarnstomの持ち味。

Midnight Visitor”は風の音のSEから、アコギの爪弾き、Pedal Steelが印象的。静謐なアコピ、最後はやはりSEで終わる構成が見事。

One And One”はChorusが清々しくてCSN&Yを連想したりして。心地良くひたってると、あっという間に終わってしまう。続いて VitaleFluteが幻想的なナンバー“Giant Bohemoth”に繋がっていく。

B面の最初を飾る“Birdcall Morning”はSlideとアコギのコンビネーションが最高。気持ちよいナンバー。

Home”もChorusが独特の雰囲気を出している。この曲では、なんとChuck Raineyがベースを弾いている。曲の終わりの方でらしさを披露している。

Turn To Stone”はWalshお得意の豪快でロッキンなナンバー。このアルバムの中でも際立つHardなノリ。

最後はしっとりと弾き語りComin' Down”でシメる。少しPsycheでBritishな後味も残るアルバム。Walshの作品で一番お気に入りかもしれない。

レスポールが豪快に吠えまくってます。→Turn To Stone/Barnstorm

(Hit-C Fiore)