The Sound Of 65/The Graham Bond Organization | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

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 コレはヤバイ音だ。常習性がかなり高い。薄暗いあやしい煙が立ち込めるLondonのClubの空気が伝わってくる。そしてGraham Bond、この男はいったい何者だったのであろうか?37年にEssexに生まれ、Londonの地下鉄の列車の下で36才の短い生涯を閉じた男。何を生き急いだのだろうか?誰もわからない。でも彼の残した音源は今でも我々を魅了することは変わらない。HipであるよりStrangeな、そして黒魔術に傾倒しHeavyな雰囲気を醸し出す後のBondのEvilな音楽性は、ここではそれほど感じ取れない。

British Jazz史上に名を残す、大好きなRendell–Carr Quintetが63年に結成される前。Don RendellのQuintetでAlto Saxを吹いていた男。そしてBeatlesやStonesが登場。British Beat全盛、やがてやってくるSwinging LondonJazzもBluesもRockもTradもR&Bも入り混じって、とんでもない化学反応が起きていた当時の英国音楽シーン。後にCreamを結成するGinger BakerJack Bruceを従えて大暴れした謎の男。Alexis Korner率いるBlues Incorporatedに参加した時に一緒だったGinger BakerJack BruceにJohn McLaughlinを加えてGraham Bond Quartetを結成。John McLaughlinは存在感を示せず解雇され、Blues Incorporated時代の仲間であるDick Heckstall-Smithが加わり、ここにGraham Bond Organisationが誕生する。しかしJohn McLaughlinを解雇って、ある意味スゴイ。この時点でMcLaughlinは彼らの音楽性に馴染めていなかったのだろう。

 

 『The Sound Of 65』は65年に発表されたThe Graham Bond Organizationの1stアルバム。70年に発表された未発表音源集『Solid Bond』ではJon Hisemanがドラムを叩いている音源もあり、これまたシビレる。そこでのLive音源を聴くと、彼らがいかにJazzyでHipであったかわかる。そして、このGraham BondのSaxHammondからはHard Bopを演奏していた時代も、ModなJazzを演奏していた頃も常に英国特有のくぐもったCoolな響きが感じ取れる。Dick Heckstall-SmithBlues Incorporatedに加わる前はBondのようにHard Bopを演奏していた。この2人の感性はジャンルを超越している。さらに英国特有の色も出しているところが素晴らしい。また、Bondと、Dick Heckstall-SmithとGinger BakerとJack Bruceがそろい踏みの62年Blues Incorporatedは最高のメンツともいえるわけで、それをさらに先鋭化させたThe Graham Bond OrganisationCreamColosseumなどが活躍するBritish Rockの黄金時代前夜といった雰囲気も感じさせる。

翌年に発表された次作『There's a Bond Between Us』ではCreamの萌芽を感じさせるJack Bluesが興味深い。厳しく自分を律したDick Heckstall-Smithが脱退した後のThe Graham Bond Organizationはダメダメになってしまったというが。

(Hit-C Fiore)